平成 27 年 3 月 30 日 No.493 平成 27 年分からの贈与税について 平成 27 年 1 月 1 日より改正相続税法が施行され、相続税の基礎控除額が引き下げられるなど大幅に増税となった一方で、 贈与税については高齢者世代から次世代への早期の資産移転を促す観点から、税率構造が緩和されるなどの改正が実施されて おります。今回は、贈与税の主な改正内容について解説することとします。 1.相続税精算課税の適用要件が変わりました。 改正前 贈与者 65 歳以上の者 受贈者 20 歳以上の子である推定相続人 改正後 60 歳以上の者 20 歳以上の子である推定相続人又 20 歳以上の孫 ※年齢の判定は贈与をした(受けた)年の 1 月 1 日において行います(以下2.においても同様) 。 2.贈与税(暦年課税)の税率構造が変わりました。 改正後の税率 基礎控除後の課税価格 改正前の税率 ~ 200 万円以下 200 万円超 ~ 300 万円以下 300 万円超 ~ 400 万円以下 400 万円超 ~ 600 万円以下 600 万円超 ~ 1,000 万円以下 1,000 万円超 ~ 1,500 万円以下 1,500 万円超 ~ 3,000 万円以下 3,000 万円超 ~ 4,500 万円以下 4,500 万円超 ~ 10% 15% 20% 30% 40% 50% 一般税率 (一般贈与財産) 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55% 特例税率 (特例贈与財産) 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55% 暦年課税の場合において、直系尊属(父母や祖父母、養父母など)からの贈与により財産を取得した受贈者(財産の贈与を 受けた年の 1 月 1 日において 20 歳以上の者に限ります。 )については、 「特例税率」を適用して贈与税額を計算します。この 特例税率の適用がある財産のことを「特例適用財産」といいます。一方、特例税率の適用がない財産( 「一般税率」を適用する 財産)のことを「一般贈与財産」といいます。 贈与により取得した財産が一般贈与財産又は特例贈与財産のいずれかのみの場合には、その取得財産に応じて、それぞれの 税率を適用して贈与税額の計算を行いますが、同一年中に一般贈与財産と特例贈与財産の両方を取得した場合の贈与税額の計 算方法は下記のとおりとなります。 A:一般贈与財産の価額 一般贈与財産に対応する金額 : a ×(A / C)… ① B:特例贈与財産の価額 特例贈与財産に対応する金額 : b ×(B / C)… ② C:合計贈与価額(A + B) ① + ② = 贈与税額 (※A、B 及び C は、課税価格の基礎に算入される価額) 例 贈与により㋐ 一般贈与財産 100 万円と㋑ 特例贈与 財産 400 万円(合計 500 万円)を取得した場合 a:合計贈与価額 C について一般税率を適用して計算した金額 b:合計贈与価額 C について特例税率を適用して計算した金額 500 万円 - 110 万円 = 390 万円(基礎控除後の課税価格) ㋐ に対応する金額 : (390 万円 × 20% - 25 万円)×(100 万円 / 500 万円)= 106,000 円 … ① ㋑ に対応する金額 : (390 万円 × 15% - 10 万円)×(400 万円 / 500 万円)= 388,000 円 … ② ① + ② = 494,000 円(贈与税額) 今後は、受贈者の年齢や誰から財産をもらうのかによって贈与税の適用税率が異なりますので、贈与税額の計算を行ううえ で誤りのないように気をつけてください。なお、兄弟姉妹や配偶者の父母、伯叔父母は、受贈者の直系尊属には該当しません のでご注意ください。 (担当:小西 渉)
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