災害等により損害を受けた場合の減免措置 平成27 年10 月26 日 No.515

平成 27 年 10 月 26 日
No.515
災害等により損害を受けた場合の減免措置
地震や台風などの災害又は盗難若しくは横領によって納税者、その者と生計を一にする親族でその年の総所得金額等が 38
万円以下であるものの有する資産(下記1に掲げるものを除く。
)について損害を受けた場合には、損害を受けた方の税負担
を軽減するため、確定申告書の提出により一定の金額の所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。
1.雑損控除の対象とならない資産
(1)生活に通常必要でない資産(書画、骨董など 1 個又は 1 組の価額が 30 万円超のものが該当します。
)
(2)棚卸資産
(3)不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産など
(4)山林
2.雑損控除として控除できる金額
次の金額のうちいずれか多い方の金額が、雑損控除の対象となります。
(1)原則
損失額 - 総所得金額等 × 10%
(2)災害等に関連してやむを得ず支出した金額(以下「災害関連支出」という。
)が 5 万円を超える場合
損失額のうち災害関連支出 - 5 万円
(注 1)損失額 = 損害金額(損失発生直前におけるその資産の価額)+ 災害関連支出 - 保険金等により補填される金額
(注 2)損失額が大きくその年の所得金額から控除しきれない金額は、翌年以後最長 3 年間にわたって繰越し、各年の所得
から控除することができます。なお、繰越控除の適用を受けるには、控除しきれない金額が生じた年の翌年以後連続し
て確定申告書を提出しなければなりません。
3.雑損控除を受けるための手続き
確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、控除額の計算の基礎となる金額を明らかにする書類を添付又は提
示しなければなりません。
4.災害減免法との関係
災害により、納税者又はその者の親族の所有する住宅又は家財の損害金額(保険金等により補填される金額を除きます。
)が
その時価の 2 分の 1 以上で、かつ、災害にあった年の所得金額が 1,000 万円以下のときにおいて、その損害による損失額
について雑損控除を受けない場合には、災害減免法によりその年の所得税が次のように軽減又は免除されます。
所得金額の合計額
軽減又は免除される所得税額
500 万円以下
所得税額の全額
500 万円超 750 万円以下
所得税額の 2 分の 1
750 万円超 1,000 万円以下
所得税額の 4 分の 1
(注)雑損控除と災害減免法は併用して適用を受けることはできず、いずれか有利な方の選択適用となります。
5.災害減免法による徴収猶予・還付
災害を受けた給与所得者や公的年金等の受給者の災害による損害金額が、住宅又は家財の価額の 2 分の 1 以上で、かつ、そ
の年分の所得金額の見積額が 1,000 万円以下である場合には、所得金額の見積額に応じて、源泉所得税及び復興特別所得税
の全部又は一部について徴収猶予や還付を受けることができます。
(注)退職所得の源泉徴収には、災害減免法による徴収猶予・還付の適用はありません。
6.留意点
(1)給与所得者が、源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予又は還付を受けた場合は年末調整がされません
ので、確定申告により所得税及び復興特別所得税を精算することになります。
(2)盗難又は横領による損失は災害減免法の適用対象外となります。
(3)詐欺又は恐喝などによる損失は雑損控除・災害減免法ともに適用対象外となりますのでご注意下さい。
(担当:小西 渉)