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メカトロニクス情報誌
2015 年 5 月 1 日 発行
めかとろ通信
新電元メカトロニクス株式会社
第 19 号
Shindengen Mechatronics Co.,Ltd.
< SS 型スーパーストロークソレノイド> SS 型スーパーストロークソレノイドは、特殊形状の磁極を
1.標準品に比較して大幅に長いストロークで使用できます。
採用することにより、一般型に比べて大幅に長いストロークで
2.リニア型ソレノイドの特徴である最終位置 ( ストローク
の使用を可能としたソレノイドです。 このソレノイドの特徴
を生かした応用の一つとして、エアシリンダの置き換えがあり
ます。今回はその応用について考えてみます。
SS シリーズの特徴として次のような特性を挙げることがで
きます。
0mm) 付近での推力の急激な立上りがありません。
このため、小ストローク付近では標準型より推力の絶対値は
下がりますが、 動作音・衝撃は小さくなります。
3.有効ストローク内での推力変化が比較的小さく、対向バネ
と発生推力とのバランスで位置制御も可能です。
■ エアシリンダからの置き換え
製造業においては圧縮エアによるアクチュエータが使用され
常に簡単なエアシリンダに比較して内部の機構はかなり複雑な
ています。この形式のアクチュエータ ( エアシリンダに代表さ
ものとなっています。さらに電磁弁での駆動から専用のドライ
れる ) は、ストローク、作動力ともに大きく、駆動や搬送用な
バに置き換える必要もあり、大きさもコストも問題です。全て
どとして幅広い分野で古くから使用されています。ただし、エ
のケースでの置き換えは困難でしょう。
アコンプレッサが必要なこと、エア配管が必要であることなど、
ソレノイドは作動ストロークがあまり大きくとれないこと、
大掛かりな設備が必要であることが欠点とされています。これ
作動開始点の推力が小さいことが問題となり、そのままの置き
に加えて、環境面からの問題が指摘されるようになってきまし
換えはなかなか困難で、何らかの機構との組み合わせや、極め
た。エアアクチュエータは作動に使用した圧縮エアを大気中に
て限定的な応用とされてきました。ただし、速い作動速度の必
放出します。この中にはアクチュエータの作動のために必要な
要なところでは大変有利ですし、配管が不要で電気配線だけで
潤滑油が含まれることがあり、ミストとして大気中に放出され
済むこと、価格が安いことは捨てがたいメリットです。構造も
ることになります。清浄な環境が必要なところでは使用するこ
極めて簡単で信頼性の向上も見込めるでしょう。
とが困難でした。また、近年は別な観点からの環境影響が問題
スーパーストロークソレノイドは最終位置付近での推力の上
となっています。圧縮工程での損失、配管経路においてリーク
昇を抑え、作動開始付近を持ち上げることで有効ストロークの
や圧力損失を生じるため、エネルギーの利用効率からも対策が
延長を実現したものです。一般型のソレノイドに比べて作動ス
求められているのです。排気音が気になる場所も存在します。
トロークを大きくし、推力の変化を抑えたことから、エアシリ
このため、他形式のアクチュエータへの置き換えが模索されて
ンダの特性に近づいています。作動速度が速いソレノイドの特
います。
徴はそのまま継承しています。その反面、エアシリンダのよう
その一つとしてモータと変換機構を組み合わせた、電動アク
にバルブの絞り弁 ( スピコン ) の調整によって速度を変更する
チュエータが提案され利用されています。しかし、構造的に非
ことは困難です。従って、作動端での衝撃低減、または作動音
の防止のためには、外部に何らかの緩衝材等を設置するなどの
対策が必要となります。スーパーストロークソレノイドは、作
動終端での推力上昇が抑えられているため、この対策が容易で
す。ソレノイドは片方向にだけ推力を発生します。このため、
復帰動作には復帰ばねを用いるか、復帰用にもう一台のソレノ
イドを用意する必要があります。この点はエアシリンダと大き
く異なる点で注意が必要です。停電時には、電動アクチュエー
タの場合には現在位置で停止してしまいますが、ソレノイドに
復帰ばねを用いると、エアシリンダと同様に原点に復帰すると
いうメリットもあり、フェールセーフ上好ましい動作になりま
す。エアコンプレッサでの損失、配管での圧力損失、シール部
でのリークなどの損失がなくなることに加え、保持時間が長い
場合には保持回路を併用することによって、さらに消費電力を
削減、エネルギーの利用効率向上が可能です。
Shindengen Mechatronics Co.,Ltd.
新電元メカトロニクス
< SS 型スーパーストロークソレノイド> 第 19 号
Shindengen Mechatronics Co.,Ltd.
■ 置き換え例
エアシリンダを用いたシステムを電動アクチュエータ、およ
への配線を変更するだけで、PLC の変更は不要です。
びソレノイドに置き換えた場合を示します。どちらのケースで
ソレノイドの定格によっては電源を用意する必要があり
も、配管での圧力損失などの損失を低減し、排気での環境影響
ます。ソレノイドは電動アクチュエータに比較して安価で、専
を無くすことが出来ます。
用のドライバを用意する必要もなくローコストで構成できま
電動アクチュエータの場合には専用のドライバと、駆動用の
す。単純な構造から、信頼性の向上も期待できます。
信号を用意する必要がありますが、ソレノイドの場合、電磁弁
電動アクチュエータ
ソレノイド
振動・騒
音
エアコンプレッサ
不要
不要
補機類
( レギュレータ・フィルタ他 )
配
管
リーク
圧力損失
PLC
( コントローラ )
PLC の設定変更
により駆動信号
を作成する
駆動信号
ソレノイドの定格に
よっては追加が必要
直流電源
出力
音
排気・騒
新規
電磁弁
専用ドライバ
接続変更
リーク
配線
エアシリンダ
スーパーストローク
ソレノイド
電動アクチュエータ
ターゲットアクチュエータ
■ おわりに
ソレノイドは、ストロークや推力がエアシリンダとは若干異なる特性を持っていますので、カタログをよくご覧の上で検討・
選定してください。カタログは当社 HP で閲覧、ダウンロードできます。
■この資料の内容は改良の為、お断り無く変更することがありますのでご了承ください
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2015 年 5 月現在
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