6 2 平成 が高いほど酸化されにくいため品質 これら厳 選の原 材 料から、長 崎 が長持ちすることにも役だっている。 五島の伝 統 製 法で﹁五島 手 延 う ど ん﹂はつく ら れていく。生 地 を 切 ら ずに、少 し ずつ延ばして細 く し ていく 手 延 方 式で あ る。特 色 は、 うどんのコシのもとになる小麦のグ ルテンをより 引 き 出 す ため、引 き 延ばしと熟成︵ねかし︶を繰り返 すのだが、生 地の熟 成 回 数 が 多い 時間については、毎日その日の天候・ ことがあ げ られる。各工 程の熟 成 気温・湿度を考慮してグルテン引き 出 しに 最 適 と な るよ う に 調 整 す る。最初、団子状の塊だった生地が、 熟 成のたび絶 妙な力 加 減により 引 回のう ち 寄港地であり 両国文化の中継地点 ぶ五 島 列 島 は、かつて 遣 唐 使 船の はるか奈 良 時 代。東シナ 海に浮か ともある ﹁五島うどん﹂ の始まりは、 日 本三大 う どんに数 え られるこ 乾 麺で、五島 を 経 由した北 前 船の される。秋田の稲 庭 う どんも 同 じ ん、能登で輪島そうめんになったと これが東に伝わって瀬戸内海そうめ 生 地 を 延 ばして干 す 乾 麺であ り、 た。五島 う どんは、生 麺ではな く だった。遣 唐 使の渡 航 島 手 延 う どん﹂のルーツと 伝 え ら と 製 法の発 展 を 経て、これが﹁五 ﹁索 餅︵さ くへい︶﹂で あ り、時 代 島 に も た ら し たのが 唐 菓 子の一種 南路だったという。その遣唐使が五 あり、五島各地に広がり 昭和 島では、う どんは伝 統の祝 賀 食で り、かつては貴 重 な 高 級 食だった。 藩で家 臣に下 賜された﹂記 録があ 代の寛 文 9︵1666︶年 に五 島 なお、五島藩政史料に﹁江戸時 航路に重なっている。 れている。﹁索 餅﹂とは 中 国 語で、 頃から﹁五島 手 延 う どん﹂と呼ば 後期の 回は五島列島を経由 する ﹁索﹂が縄、﹁餅﹂が小麦粉に水を れ広く流通するようになった。 麺帯をつくる。 年 加えて練ったものの意味。形や製法 か ら、﹁五 島 手 延 う ど ん﹂だ け で なく日本の麺の原形になったと考え られている。 麺 食 文 化 史の観 点 か らは、﹁小 麦に 水 を 加 えて、手でひっぱ り な がら延ばし、だんだん細長くする﹂ 麺づく りの技 法は五島 列 島のう ち の新 上五 島の各 地 域へ受 け 継 がれ 五島手延うどん 製造工程 ②圧延 麺帯を渦巻き状に切る。 材料を混ぜる。 ③切り廻し 椿油を塗り、 生地を直径 ㎝に引き延ばす。 ①混合・撹拌 ④こなし 生地を直径 延ばす。 ⑤熟成 ⑥細目・小均 ひも状の生地を綾掛け で巻き取る。 ㎝に引き ⑦かけば めるとまた新たな食感を味わえます。 * 特認者とは、当該地域に当該地域食品の伝統的・歴史的製法等を一者のみが受け継いでおり、それが関係者等によって明らかにされ、一般財団法人食品産業センターが特に認めた者をいいます。 年度 本 場 の 本 物 認 定 品︵ Ⅱ 種 ︶ さ く へ い ルーツは千年以上前、遣唐使が伝えた﹁索餅﹂による 細めでコシのあるつるつる麺 上五島産の椿油と海水塩を使って 長めの乾燥で仕上げるつるつる麺 ﹁五 島 手 延 う どん︵国 内 産 小 麦 使 用︶ ﹂の原 料は、小麦粉・食塩・ 椿油のみ。添加物は一切ない。現在、 主原料の小麦については、ほぼ輸入 にたよるなか、貴 重な国 産 小 麦 を 使 用 している。小 麦の品 種 は 麺の 食感を左右する重要な選択で、と くに厳選して高タンパクの北海道産 を指定。高タンパクの小麦粉でつく の﹁ななかまど﹂と九州産の﹁隼﹂ るう どんは、茹でのびしにくく鍋の シメにも最適なのである。 塩は、五島 灘の海 水 を くみ上 げ て完 全天日干した天日塩と、海 水 き 延 ば さ れて、ついに 乾 燥 後 は 直 シの強いこのうどんならではの豪快な の塩 分を濃 縮し平 釜で結 晶化させ ずそのまま食べる「地獄炊き」は、コ 径約2㎜になってできあがる。 熟成に合わせて長さを 調整する。 付きました。茹で上がりを水にさらさ フードジャーナリスト 食文化研究家 エッセイスト た釜 焚 き 塩の2種 を 使 用。手 延 製 ⑧熟成 はた掛け・門干し ⑨小引き ⑩ で乾燥させると、 長さ約1 自給できる立地から、特産品として根 ﹁小麦粉は島で採れないので国産 ですが、塩 も 椿 油 も 地 元 産 を 使っ ての伝 統 製 法です。通 常のう どん は2日の工程でつく り ま すが、﹁本 場の本 物﹂認 定 品は、茹で割れ防 %未 満とし、よ 止のために乾 燥 を1日 多 く して3 日を 要して水 分 干し道具に長さ約15 0㎝になるよう引き延 ばし掛ける。 約 ∼ 時間、 日がかり うどんを延ばすときに塗る椿油が完全 法では欠かせない植物油については、 新上五島特産の椿の実を搾った10 0%椿油を使っている。椿油は一般に 高品質といわれるオリーブオイルよ り も 多 くのオレイン酸 を 含む最 高 級 油であ り、麺の引 き 延ばしにか かわり、風味とともにオレイン酸値 り 麺 を 引 き 締めおいしく 仕 上 げて います。1000年もの歴史とふる ⑪乾燥 50㎝、 直径約 ㎜になる。 麺長約 ㎝で裁断する。 40 審査専門委員 楽しみかたで、後半は冷水でめんを締 12 ⑫こわり ます。生地に混ぜ込む良質な海水塩、 特認者 五島列島は、 中通島が中心の北東部 を 「上五島 (かみごとう) 」 、 福江島が 中心の「下五島(しもごとう)」に区 分される。 行政区では上五島が南松 浦郡新上五島町、 下五島が五島市に 属する。五島手延うどんの製法は、 新上五島町の各地域へ代々伝わっ ていた。 法です。認定品には国内産小麦を用い 株式会社長崎五島うどん 長崎県南松浦郡新上五島町有川郷 578-24 ☎0959-42-1560 向笠 千恵子 氏 さとの産 物が力 を 合わせた五島 手 延うどんを全国に広めていきたいで す﹂と株式会社長崎五島うどん代 表 取 締 役の山﨑泉さんは誇らしく 生地をだんだんに細く延ばしていく製 製法の特徴/伝統の手延製法によってつくる乾麺タイプのうどん。製麺の工程で何度も延 ばしと熟成を繰り返すため、 強いコシが生まれる。 五 島 列 島 は、長 崎 港 から 西 に 約 100km、東シナ海に浮かぶ五つの大 きな島を中心とした 140 もの島々からな る。古代には中国に最も近い遣唐使船 の寄港地であり、大陸の食文化に接し たことから、製法を発展させて手延うど んとして伝承してきた。島には温暖を好 む藪椿が古くから自生し椿油がつくられ るなど乾麺の原料があり、麺の自然乾 燥に適した海風が吹くことなどで、手延 うどん=乾麺づくりの伝統が大切に守ら れてきた風土である。 五島手延うどん (国産小麦粉)麺長25cm 量目200g 黒地に赤の大きな椿が印象的なパッケージだが、 これは椿油 を使用していることの象徴。椿油は最高級油の植物油であり、 風味よく、表面にコーティングされることで煮崩れしにくく、独特 のコシと喉ごしがよく、品質長持ちなどの特色を与えている。食 べ方は、釜揚げうどんのほかにも、煮込みうどん、冷やしうどん、 焼きうどん、 またパスタ代わりに使って各種洋風メニューも楽し める。 遣唐使船の伝えた手延べ麺が始まりで、 名称の由来/新上五島では、古くから手延製法により地域等の呼称を付けたうどんが つくられていたが、近年、その製法を学んだ職人によって列島各地に広がり 「五島手延 うどん」 と呼ばれるようになった。 日本の麺の原点、 手延製法が伝わる島々 商品情報 鍋で茹で上げたうどんをそのまま アゴだしのつゆにつければ本場流 特認者*/株式会社長崎五島うどん (長崎県南松浦郡新上五島町有川郷 578-24) 氏 山﨑 泉 特徴 が ココ 語った。 2 2 品質と安全性/原材料は、国産小麦・海水塩・椿油のみで完全無添加。各製造工程 では、目視を含めた状態検査、個別包装工程では金属探知機検査ほか、除湿・温度対 策や健康管理を厳しい基準を設けて実施している。 株式会社長崎五島うどん 代表取締役 五島手延うどん (国内産小麦使用) 五島手延うどん ︵国内産小麦使用︶ 麺を引き延ばすときに最高級の 椿油を使用。 五島列島は、 「東の伊 豆大島、 西の五島列島」 と呼ばれ る全国第2位の椿油の生産地で、 昔からの特産品となっている。 本場の本物 84 85 本場の本物 44 25 長 崎 県 小麦粉に水を加えると麺の弾力=コシ にかかわるグルテンができ、 少しずつ麺 を延ばすことでより強いコシが生まれ る。 長くなればなるほど途中でからまな いような麺さばきには熟練の技術が必 要になる。 19 1 4 42 原材料の特徴/主原料の小麦粉は「五島手延うどん」の特性に合う国産小麦。塩は新 上五島産のミネラル豊富な海水塩、乾麺製造に必要な植物性油は新上五島の名産で ある最高級椿油を使っている。 14 物 の本 場 本 認定 一般の食卓塩は精製されて成 分99%以上が塩化ナトリウム だが、 新上五島産の食塩は海の ミネラルを約20%も含んで、 ほんのり甘く麺の熟成や味に 関与している。 五島名物、 「地獄炊き」 。 コワイ名前の由来は、 うどんを鉄鍋 でぐつぐつ茹でるから。熱々のうどんを鍋から直接す くってアゴ (飛魚) のだしか、 生卵にしょうゆを入れたタレ にからめて食べる。 手延うどんのコシの強さやのどごし のよさが、 存分に楽しめる。
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