【補足説明資料】 - 国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 福島

【補足説明資料】
① 国立大学法人長岡技術科学大学について
今般覚書を締結する国立大学法人長岡技術科学大学は、平成 14 年度より大学院工
学研究科修士課程機械システム工学専攻内に社会人キャリアアップコースとして「機械
安全工学」を、平成 18 年度にはコースを発展する形でシステム安全専攻を設置し、安全
工学に関する教育・研究を行ってきた。平成 24 年度には、原子力分野においてもシステ
ム安全の考え方を取り入れるため大学院に原子力システム安全工学専攻を設置し、教
育・研究を実施している。
(システム安全とは)
機械類の設計から製造、使用などのシステムのライフサイクル全般にわたって、
国際的な安全規格に基づき危険につながる要因を系統的に洗い出し、適切な対
策を実施するために、安全技術とマネジメントスキルを統合的に適用する手法の
体系のこと。
② 原子力機構の 1F 廃炉推進に向けた研究拠点整備について
原子力機構福島研究開発部門福島研究基盤創生センターでは、1F の廃炉を推進する
ために必要不可欠な研究開発拠点の整備として、遠隔操作機器・装置の開発実証施設
及び放射性物質の分析・研究施設の設置を進めている。
楢葉遠隔技術開発センターは、遠隔操作機器・装置の開発・実証試験のための施設
で、原子力機構の居室や会議室等から構成される研究管理棟と試験を実施する試験棟
がある。平成 27 年夏より研究管理棟の一部を運用開始する。
原子力機構が整備を進めている研究拠点の立地場所
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③ 1F の廃炉推進
1F の原子炉建屋内は放射能レベルがとても高く、人間が入って容易に作業することが
できない。このため、1F の廃炉作業を推進すめるためには、遠隔で操作できる機器や装
置を開発し、利用する必要がある。
④ 遠隔操作機器・装置
陸走型ロボットによる調査や建設機械の無人化施工などのように、有線又は無線通信
などにより、遠隔地から操作される機器・装置。遠隔操作により、人が容易に立ち入るこ
とができない場所の調査、作業などに用いる。
(ロボットとは)
人に代わって作業を行う装置、機械のこと。
⑤ 現場状況を再現した試験環境
幅や傾斜を変更できる階段、温度調節機能や塩水利用が可能な水槽など 1F の構内
環境を模擬した設備である。
⑥ ロボットシミュレータ
コンピュータを用いてロボットの挙動を模擬するシステムであり、ロボットシミュレータを
利用することにより、想定するミッションに適したロボットの形状や機構の事前検討・検証
や、操作者がロボットの基本動作や基本操作の手順を習熟するために利用することが可
能となる。
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⑦ 安全規格・安全認証
安全規格は、すべての機械類に適用できる基本概念、設計原則を示す「基本安全規」
格の ISO(国際標準化機構)/IEC(国際標準電気会議) Guide 51 を頂点とし、広範囲の
機械類に適用できる安全又は安全装置を扱う「グループ安全規格」、特定の機械に対す
る安全要件を規定する「個別安全規格」の 3 階層による体系である。
安全認証は、規格類が安全規格に示されている要件に基づき設計、開発、製造等が
行われていることを、客観的な第 3 者が認証することである。
⑧ 遠隔操作機器の要素技術
要素技術とは、遠隔操作機器を構成する腕機構や移動機構、機械材料などのハード
ウェア及び制御システムや通信システムなどのソフトウェアのことである。
⑨ 災害対応ロボット
災害対応ロボットは、ロボットの中でも特に、地震、火災等の自然災害や産業事故で、
現場から離れた安全な位置から遠隔操作されることにより人に代わって作業するロボット
のことである。
(災害対応ロボットの例)
陸走型
空中飛行型
水中走行型
⑩ 標準試験法
標準試験法は、米国国立標準技術研究所(NIST)によって開発されている。標準試験
法は、災害対応ロボットの不整地移動性能や障害物のある環境での通信性能などのカ
タログに表現しにくい性能を定量的に評価することが可能である。
福島研究基盤創生センターではこの標準試験法をベースに、1F の廃炉を含む災害対
応で使用する遠隔操作機器特有の試験法を開発する計画である。
(標準試験法で用いられる装置の例)
階段/踊り場
走行性能評価用の様々な地形
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⑪ 米国国立標準技術研究所
米国国立標準技術研究所(NIST)は、1901 年に設立された商務省配下の技術研究所
である。災害対応ロボットの標準試験法を開発しているエンジニアリング研究所を含む 6
つの研究ユニットを有している。
2014 年度予算は 8.5 億ドルで、3,000 人の科学者、技術者等が在籍し、共同研究で産
学官より 2,700 人を受け入れている。
以上
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