備後地域における企業の海外進出と地域経済の課題

『福 山大 学経済学論集』
第 39巻 第 1。 第 2合 併号
(2015年 3月 )抜 刷
備後地域 にお け る企 業 の海外進 出 と地 域経済 の課題
― 高付加価 値産業 の創 出 と育成 に 向 けて一
張
楓
備後地域 にお ける企業の海外進 出と地域経済 の課題一高付加価値産 業 の創出と育成 に向けて一
備後地域 にお け る企 業 の海外進 出 と地 域経済 の課題
― 高付加価 値産業 の 創 出 と育成 に向けて一
張
楓
※
は じめ に
本 稿 の 課 題 は、 備 後 地 域 にお け る企 業 の海 外 進 出 と地 域 経 済 の 状 況 を多様 な統 計デ ー タ を駆 使
して 考 察 す る こ とを通 して、 備後 地 域 経 済 の 課 題 を浮 き彫 りにす る と 同時 に、 備後 地 域 の 持 続 的
な発 展 の た め の 提 言 を行 う ことに あ る。 今後 、 備 後 地 域 経 済 に対 す る本格 的研 究 を進 め る うえで
基 礎 的か つ 重 要 な作 業 と して 本稿 が位 置 づ け られ る。 これ が本稿 の 最大 の特徴 で あ る。
周知 の よ うに、 1980年 代後 半以 降、 プ ラザ 合意 を契機 とす る 日本 企業 の グ ローバ ル 化 (直 接 投
資 の 増大 と海 外 拠 点 の拡 充 )は 、 きわ めて 顕著 に進 行 した。 そ の な か で、 近 年 、 悲観 的 空洞 化 論
の相 対 化 が、 様 々 な研 究 分 野 か らの アプ ロー チ によ り急 速 に進 ん で きて い る。 た とえば 、
中小企
業研 究 で は、 産 業 空洞 化 の 議 論 を批 判 す るな か で、 中沢孝 夫 は海 外 進 出 に ともな い地 域 内産 業構
造 の転換 が進行 しつ つ あ る点 に
2注
され て い る点 に
1、
渡 辺幸 男 は 日本 と東 ア ジアの広 域 的 な地 域分 業 生産 体 制 が形成
意 を呼 び掛 けて い る◇ また、 地 域産 業 論 で は、 橘 川武 郎 の研 究 に代 表 され るよ
うに、「1990年 代 以 降 に進 行 した の が産 業 の 空洞 化 で は な く、 国 際分 業 の 深 化 で あ り」、「東 ア ジ
ア域 内 で 進 展 す る水 平 的 。相 互 補 完 的 な 国際分 業 に適 応 で きな い製 造 業 者 は、 事業 を継 続 す る こ
とが 困難 にな る」 との見 方 が提 示 され て い る3。 さ らに、 開発 経済 や 国 際経 済 を研 究 分 野 とす る戸
堂 康 之 は近 著 にお いて4、 海 外 投 資 に ともな う国 内雇 用 の減 少効 果 (産 業 の 空洞 化 )を 内外 の最 新
研 究 成 果 によ り強 く否 定 す る と 同時 に、 日本 の グ ロー バ ル 化 の 国際 的 な遅 れ が企 業 の成 長 と雇 用
に悪 い影 響 を与 え る と強 く懸 念 し、「企業 の グ ローバ ル 化」 を さ らに進 め る必 要 が あ る と強調 して
い る。
一 方、 1990年 代 初 め のバ ブル崩 壊 以 降、地 域経 済 は経 済 の グ ローバ ル 化 の み な らず 、 情報 技 術
福 山大学経済学部税務会計学科准教授。E mail kaedeCuec.fukuyttm u acjp。 本稿は 2014年 度福 山大学経済
学部 シンポ ジウム『備後企業 の海外展 開 とグ ローバ ル人材養成』 (2014年 9月 20日 )に おける報告 に加 筆・ 修
正 を加 えた ものである。 シンポジウム報告時 に中沢孝夫先生 (福 山大学)、 新宅純二 郎先生 (東 京大学)な どか ら
有益な助言 をいただいた。 また本稿の着想は備後経済 レポー ト社三 宮恵社長 による筆者 へのイ ンタ ビュー
(「 備後
地域 の産業の特徴 と多様性 を高付加価値 にどう結びつ けるか。研究者 として方向性 を示す必要があるJ『 経済 レポー
・10∼ 13頁 )が 大 きな契機 となった。併せて謝意 を表 したい。
ト』 1889号 、 2014年 9月 10日 、
1
中沢 (2011)。
2
渡辺 (2011)。
3
││(2005)。 橘り
││(2010)。
り
権略
4
戸堂 (2011)。
-29-
備後地域における企業の海外進出と地域経済 の課題一高付加価値産業の創出と育成に向けて一
の発展、少子高齢化 の進展な ど、 経済環境 の著 しい変化 へ の対応が遅れ、活 力を失 いつつ ある5。
こうしたなかで、地域経済の再生を図 りなが ら、グ ローバ ル化 を進行 させ る ことの可能性 と重 票
性が、戸堂康之や橘川武郎、新宅純 二 郎 。大木清弘な どの研究 によ り提示 されている。 まず、 戸
堂 の研究 では
6、
「っなが り」 をキー ワー ドに、「企業 のグ ローバル化」 と 「地方 の産業集積 の創出」
という提 案が行 われている。その背景には、前者 では既述 したように、産業空洞化 へ の否定 とグロー
バル化 の遅れが、後者 では、企 業や労働者 の生産性 向上 を支える産業集積が地方 にお いて十分 に
育 っていない こと、がある。具体的には、グ ローバ ル化 と産業集積 の創 出 によ り世界 と地 域 内 に
おける 「人 と人 とのつなが りを強化す る」 ことが新 しいアイデ アの創造、 また高度 な技術 を核 と
して産業集積 の創出 の源泉 とな り、経 済発展 につながる と強調 されて いる。 つ ぎに、橘川武 郎 の
研究 では
7、
「新興国 の成長市場 に密着す るかたちで地 域経済 の活性化 を図る こと」が必要 である
と指摘 されてお り、 とりわけ第 2次 産業 にお いて 実現 しうる方法 として、 ① 「日本国内 の特定地
域 の産業集積な いし工 場が、高付加価値部品 の世界的な供給者 としての地 位 を確立す ること」、②
「日本国内 の特定地域 に立地す る工 場 を、海外進出す る工場の マザー フ ァク トリーや世界戦略上
固有 の意義 を持つ拠点 ファク トリー として位置付け る こと」が提示 されている。 最後 の新宅純 二
郎 。大木清弘 の研究 では
8、
地域経済 のあ りかたに直接は言及 されていないものの、「深層 の現地
化」の進展下 で 国内付加価値絶対額 を維持するためには、新興国海外市場 の販売拡大 を目的 とする、
産業財 (金 属や化学製品)の 輸 出 と海外進出による現地化 を促進す る ことが 必要である と示 唆 さ
れている。
以 上のような研究状況 をふ まえ、本稿では、備後地域経済 の再生にとって高付加価値産業 の創
出をともな う海外進 出が重要な条件 の 1つ となるとの観点 に立 脚 して、備後地域 における海外進
出 の状況 と経済構造 の長期的変化 を明 らかにす るとともに、 これ までの海外進出にともな う域 内
高付加価値産業 の創出可能性 の有無を検証 したい。
ちなみに、本稿で注 目す る備後地域は、広島県東部 に位置 し、主に福 山市 を中心 とする 4市 (福
山市・ 府 中市・ 尾道市・ 三 原市)か ら構成 され る
9。
当該地域は 75万 人弱 の人 口を有 してお り
10、
また 「ものづ くり産業」の地域 として鉄鋼や 一般機械な どの重厚長大産業のみな らず、繊維・木 工・
家具 な どの特色 ある地場産業 も集積 している広 島県 内第 2の 中核的な都市圏域 である。 こ うした
特色 をもつ備後地域 に着 目した総合的研究 として、 日本政策投資銀行 中国支店 の調査研究 「中国
5
6
7
8
9
10
植 田 (2007)。
戸堂 (2011)。
│1武 郎 (2010、 16∼ 21頁 )。
橘り
新宅 。大木 (2012)。
新市町・沼隈町・
備後地域 の長期的統計分析では、2003年 以降 の市町村合併 の影響 を考慮 して、福山市 には 内海町 。
神辺町、府 中市 には上下 町、尾道市 には御調町・ 向島町・ 因島市・ 瀬戸 田町、 三原市 には本郷町・ 久井町 。大和
町が含 まれている。
人 口規模は 2010年 の水準である
(『
広島県統計年鑑』 2013年 版。原資料は 2010年 の国勢調査によるもの)。
-30-
備後地域 にお ける企業の海外進出 と地域経済の課題― 高付加価値産 業 の創出 と育成に向けて一
地域 ものづ くリシ リー ズ①・② Jが 挙げ られる 11。 とりわ けシリー ズ② では、 シリー ズ① で作成 さ
れた 中国地方産 業集積 マ ップを踏 まえて、広 島県東部か ら岡山県 西部 にまたがる 「備後・
井笠地域 J
に着 目し、その製造業集積 の形成や特性 が指摘 されて い る。 つ ま り、 当該地域 にお いて
繊維 関連
(繊 維 、 衣服・ そ の他)、 金属 機械関係 (鉄 鋼 、 非鉄金属、一般 機械 )、 電気機械関
連 (電 気機械、
電子部品、デ バ イスな ど)の 3分 野で特 に集積が確認されてお り、 また、かかる産 業集積 の形成
進展 にお いて、 当該地 域 の伝統産業 にお ける技 術や資本 の蓄積が有効 に働 いていた との示唆 も多
く行われて い る。 当調査 研究 は、その後 の研究が常 に立 ち戻る ことになるス タンダー ドな研究で
あるが、 現状分析 として特定 の時期 (2001年 前後 )に のみ限定 して いたため、地域内産 業構造 と
集積 の時系列的な変化 に関心 を向けてお らず、 課題 として残 したままで ある。 実際、近年、 植 田
浩史 による一連 の産 業集積研究で も指摘 されて いるよ うに 12、 1980年 代以降、 と りわ けバブル崩
壊以降、 中小企業 をとりま く経済環境が激変 し、 実態 としての産業集積 も①集積 の量的縮小 (企
業数 の減少)、 ②集積 内部で の効率的な分業か ら取引 の広域化、国際分業 へ の移行、な ど様 々な 間
題 を抱 えるよ うにな っていった 。そ の なかで、「産業集積 の 内部 に存在す る ことで、 中小企業が
受動的 に メ リッ トを得 られ る時 代 は もはや 終 わ りを見せ ているJと して、 産業集積の量 的縮小 に
対する集積 自体 また中小企 業 の対応 の あ り方 に関す る実証分析が産業集 積 の 今後 の展望 にあた っ
て重 要な課題であると強調 されて い る13。 本稿 で もかか る観 点 に立脚 して備後地域 の産業構造 の
時系列的な変化 を強 く意識 して分析 を進めたい。 ただ し、産 業集積 の実証分析は別稿 に譲る。
なお、 分析 にあた って、 以下 の点 に注 目す る。 第 1節 では、 備後地域企 業 の海外進 出 の状況 を
確認す るとともに、早期 海外進出企業 の経営 パ フ ォーマ ンスを検討す る。第 2節 では、 備後地域
経済 の構造変化 を様 々な統計資料 に基づいて分析 し、 1990年 代以降の備後地域経済の問題点 と課
題 を明 らか にす る。おわ りでは、第
1 2節 での分析結果 をふ まえて備後地域 の持続的な発 展 のた
め の提言 を行 う。
1
備 後地 域 企 業 の 海 外進 出
11
広島県の海外進 出状況
ここで 備後地域企業 の海外進出 の状況 を分析す る前提 として、 広島県 の状況 を確認 してお きた
n
日本政策投資銀行 中国支店 (2004)。
日本政策投資銀行 中国支店 (2005)。
12
植 田 (2004).植 田編 (2004)。
13 なお ここで
産業集積 の メ リッ トとは、植 田浩 史の研究整理 による と、「①多数の企業の集積 を基盤 に した企 業間
業種 間 の分業 によ る専 門化や競 争関係 の進展、②広範な分業関係 による技術や受注可能領域 の拡 大 ③ 多様な受
注 に対応 す るための分業 の 調整 費用 の低 さ、C利 用可能な 資源 の蓄積 による創業や事業転換 の可能性 の 高 さ、 0
以 上の事 業環境 を通 じた個 々の企業や ネ ッ トヮー ク 地域 といった 各 レベル での技術水 準や製 品企画 力 開発カ
の向 上Jで ある (植 田編 (2000、 11頁 )).
-31-
備後地域における企業の海外進出と地域経済の課題一高付加価値産業の創出と育成に向けて一
2013年 にお け る海 外進 出 日本 企 業 の 本社 所 在 県 別 出資 企 業 数 上 位 10位 都
い。 表 1は 、 1993∼
道府 県 の推 移 で あ るが、 そ れ によ る と、 1990年 代後 半以 降、静 岡 と長 野 の 伸 び に ともな い広 島が
1993年 の 8位 か ら 10位 に後 退 し、 また、 そ の 増加 倍 率 が 1.15倍 に と どま って お り、 上 位 10位
都道 府県 と全 国 の 平均 水準 (1.27倍 と 1.30倍 )を 大 き く下 回 つて いる。 他 方 、広 島県 企 業 出資 件
数 の 推移 につ いて は、 図 1に よ る と、 1993年 の
103件 か ら 2013年 に 240件 に達 して お り、 そ
の 増加 倍 率 が 全 国 平均 の 2.22倍 を上 回 つて 2.79倍 で あ った。 また 1社 当た り出資 件 数 が 同期 間
表
1
海外進出 日本企業本社所在県別出資企業数上位 10位 都道府県の推移
2005年
2000年
1東
485
2大 阪
3愛 知
4神 奈川
5兵 庫
6埼 玉
7京 都
8広 島
9静 岡
165-― ―
→
434
158 大
東
'大 阪
62
46 神
奈川
31-― ―→ 兵庫
21-埼 玉
1×
436
阪
→ 愛知
→ 神奈川
→ 兵庫
→ 埼玉
→ 静岡
● 京都
75
47
35
30
21
20
→ 愛知
2013年
調
143
→東
447-一―→東京 2,040 456
135
●大阪
76
→ 愛知
52
→ 神奈川
●兵庫
36
●埼玉
25
23
0静 岡
23-― ―→京都
16
→ 長野
601 134
●大阪
77
→ 愛知
350
56-― 一→神奈川 240
32
156
1・ 兵庫
26-埼
玉
24
→ 静岡
22-一 一●京都
17-長 野
‖4
102
92
70
78
54
35
25
23
21
16
注)集 計対象は日本企業の出資比率合計が10%以 上(間 接出資を含む)の 現地法人である。
(1社 当たり出資件 数 )
(件 、社 )
70
300
60
50
40
30
20
10
当り出資件数 (広 島県 )→ ← 1社 当り出資件数 (全 国 )
広島県における海外進出 日本企業出資企業 と出資件数の推移
出所 )『 海外進出企業総覧』 (各 年版)東 洋経済新報社。
注 )集 計対象は日本企業の出資比率合計が 10%以 上 (間 接出資を含む)の 現地法人である。
-32-
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図
-1社
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‐‐ 広 島企業 匿コ 広島件数
00
備後地域における企業の海外進出と地域経済 の課題一高付加価値産業の創出と育成に向けて一
には 1,7件 か ら 3.5件 へ と 2倍 の 増 加 を示 して い るが、 そ の 水 準 は全 国 平 均 と格 差 が大 き く開 い
た ま まで あ る。 業 種 別 出資 件 数 につ いて は、 1997年 。2007年 。2013年 にお け る状 況 を ま とめ
た表 2で み る と、 製造 業 が圧 倒 的 シ ェア の 高 さ を示 して い る に と どま らず 、 全 国 の 製 造 業 シ ェア
が減 少 して い る の に対 して
2000年 代 後 半 以 降 も増加 基 調 にあ り、 そ のな か で 輸 送 用 機 器 が 中心
(2割 )で あ りな が ら、 機械 、 電気 機 械 も上昇傾 向 を示 して い る。 一 方、 卸 売 業 につ いて は、 出資
件 数 の シ ェアが
2000年 代後 半以 降減 少 しつ つ あ るが、 絶 対 件 数 が機 械 や 輸 送 用 機 械 を 中心 に増
加 傾 向 にあ る。 表
3は 、 公益財 団法 人 ひ ろ しま産 業振興 機構 の調査 資 料 に基 づ いて 整理 した 1993
年 と 2013年 にお け る広 島県 海 外 進 出企 業 地 域 別 海 外 進 出時 期 別 事 業 所 数 の 分 布 で あ るが、 そ れ
によ る と、 そ の特 徴 と して、 ① プ ラザ 合意 以降、 事 業所 数 が急 増 し、 海 外 進 出が本格 化 した こと、
②事業所分布が 1980年 代後半 には順 に北米、NIES、
アセアンが中心だったが (表 3の 1993年
調査 )、 1990。 2000年 代 には北米 と NIES(韓 国 と台湾)の 減少 に対 して、 中国が激増 をみせて
いた こと、 ③ただ し、 2011年 以降、 アセ アンと中国が 前 の時期 (2006∼ 10年 )に 比 して倍増
と半減 を呈 していることにみ られ るように、 短期間 の うちに、 アジア内部 にお いて 進出先 の分散
化が進展 していること、の 3点 が指摘できる。
表 2 全国と広島県本社 日本企業の業種別出資件数の推移
全国
製造業
食料品
繊維業
化学
ゴム・皮革
鉄鋼業
ト
含
リ
失「員
金属製品
`≧
機械
電気機器
輸送用機器
斎青密考艶暑:
その他
卸売業
繊維製品
化学製品
機械
電気機器
輸送用機器
莉青層]摯 発暑:
その他
その他
%
1997`F
広島
10,805
666
470
29
990
1,158
43
50
20134F
%
101
2
%
全国
564 12,981
1 1
711
13
7
73
39
広島
324
14
961
42
3
17
583
2,037
9
717
50
334
19
68
24
1,544
全国
431 143 59.6
24
5
21
11
204 09 6 34 340 11 13
418 18 4 22 596 20
451 20
2013/1997
%
4_6
059 085
176 000
5.4 167 .二
143 000
1 1
8 33
51
広島
120 1142
107
2150
7
19
29
i'
103-
1591 2お
79
161
ブ
12:11
‐3_00
2,015 88 3 17 2,172 72 9 38 108
1,558 68 38 212 2,321 77 53 2211 149 139
300
13
4
22
375
12
4
17
125
100
1,760 76 12 67 1,251 42 14 58 071 117
5,447 237 38 212 8,786 292 63 263 1611 1■
157 07
442
19
184
6
34
840
06
1
04
28
117190
000
849 37 6 34 1,852 62 24 10.0 218‐
1,291 56 5 28 2,339 78 2 08 181 040
444
19
443
19
1,321
79
6,758 294
10
1
10
40
56
06
56
223
720
24
27 11:3
576
19
1
04
2,275
76
8
33
8339 277
34 142
合計
23,010100,0 179 1000 3ollo6 1000 240
出所)『 海外進出企業総覧 (会 社別編)』 各年版、東洋経済新報。
-33-
1oo:0
6.
4oo
162 1 2,71
130
100
125 080
123 085
1311‐ ■■41
備後地域 にお ける企業 の海外進 出と地域経済 の課題一 高付加価値産業 の創出 と育成 に向けて一
表
3
広島県海外進出企業地域別海外進出時期別事業所数の分布
アジ ア
-704F 71-7575-8081-35 86-90 91-95 96-00 01´ ‐05 06-10 11-13
不 田
アセアン
1
NIES
1
中国
み ハ 袖
9
9
中東
3
lL米
年
中南 米
ヨーロッパ
ケセアニア
タの Ib
合 計
2
ア ジ ア
アセアン
韓国
台湾
中国
134
1
14
12
1
0
214
1
1
子 の 柿
3
中東
年
lL米
中南 米
ヨーロッパ
オヤアニア
63
合 計
120
1
出所)『 海外進出企業 イレクトリー』広島県国際経済交流協会、1993年 。
『 海外進出企業ダイレクトリー』公
ま産業振興機構、2013年 。
団法 人ひろ
1.2 備後地域の海外進出
まず、公益財団法人ひろしま産業振興機構 の最新 2013年 度調査資料 にもとづいて作成 した表 4
で備後地域企業海外進出の状況 をみよう。企業数 。
134事 業所 で、県全体 (187社 、
事業所数が 59社 。
497事 業所)の 32%。 27%を 占めてお り、 1社 企業 当た り事業所数が県平均よ り若千少ない こと
がわかる。業種別事業所 数 については、 製造業 では、 衣服 (19)や 機械器具関係 (一 般機械器具
20、
電気機械器具
6、
卸売 。小売・ 飲食店
輸送用機械器具
(13)、
運輸
3、
(9)、
精密機械器具 9の 計 38)、 造船 (15)に 、非製造業 では、
サー ビス (6)│こ それぞれ分布 している。従業員数 につい
ては、 国内 。海外事業所 ではそれぞれ 16,941人 、 16,826人 であ り、その うち、 製造業 では海外
が 15,812人
(う
ち 日本人 85人 )で 国内の 10,128人 を大幅 に上 回ってお り、内外比率が 1.56に
達 している。 ちなみに、 内外比率が 1以 上の業種 として、 製造業 では衣服
(1.3)、
プラスチ ック
(2.1)、
非鉄金属
(2.3)、
金属
(3.2)、
造船
(46.3)、
(3.99)、
木材 。木製品
非製造業 では、運輸
(1.3)
が表 4で 確認 される。
では、 いかなる規模の企業が海外進 出していたのであろうか。それ について、 表 4に ある従業
員規模別企業分布 でみると、 製造業 では従業員規模 300人 以下 の 中小企業が 34社 、非製造業で
は従 業員数規模 100人 以下 の 中小企業が 12社 で計 46社 となっているが、 さらに、残 りの 13社
について 中小企業基本法 に基づいて 資本金規模 をみると、 中小企業 の基準 を満たす企業が 8社 あ
る ことか ら、海外進 出 の 中小企業が製造業 40社 と非 製造業 14社 の計 54社 とな る。 ちなみ に、
大企業 (従 業員数規模 と資本金規模でいずれ も中小企業の基準上限を上回る)は 、北川鉄 工所 (一
-34-
備後地域 にお ける企業 の海外進出 と地域経済 の課題― 高付加価値産業の創出 と育成 に向けて一
で
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一 い一
一
一
一 N O
卜一
饉
一
一
∞ 一
一ト
一一
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一 い 〇
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∞ 0で ﹂
饉駄・
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≪嶼□叢相●﹃
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ヽヽヽ
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N N
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一
一
一
-35-
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業 部 製
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一
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・
墨
表 4 備後地域企業海外進 出の状況 (2013年 6月 現在)
備後地域における企業の海外進出と地域経済の課題―高付加価値産業の創出と育成に向けて一
般 機 械 、 1,122人 、 86億 4,000万 円)、 早 川 ゴ ム (ゴ ム 製 品、 342人 、 4億 9,433万 円)、
リ ョー
ビ (非 鉄 金属 、2,074人 、184億 7,219万 7,908円 〉、ロー ツ ェ (精 密機械 器 具、341人 、9億 8,277
万 5,000円 )、 青 山商事 (卸 売 ・ 小売、 5,494人 、 625億
471万 円)の 5社 で あ る 14。 海 外事 業所
の業種別 進 出先別分布 につ いて は、金 属、機械器 具 (一 般機 械器 具 。
電気機 械 器 具 。
輸送 用機械 器 具・
精 密機 械 器 具 )、 造 船 が 中国 (精 密機械 器 具企 業 は未 進 出)や アセ ア ン (タ イ、 ベ トナ ム、 フィ リ
ピ ン)に 、 衣 服 製 造 と運 輸・ 通 信 や 卸 売 。小 売 な ど非 製 造 業 が 中国 に集 中分 布 して い る。 そ の 進
出時期 につ いて は、広 島県 全体 の動 向 よ り遅れ て
90年 代初頭 以 降、衣服 や造 船 を中心 に本格化 し、
2000年 代 以降、機 械器 具 や 非製造 業 (卸 売 。小売や運 輸 。通 信、 サ ー ビス )が 加 わ る こと とな る。
海外事 業所 の 進 出時期 別 ・ 進 出先別 分布 を表 5で み る と、 1990年 代初頭 には アセ ア ン と中国が 中
心 で あ つたが、 2000年 代以 降、 中国 を軸 に据 えなが らも、 タイ や ベ トナム ヘ の進 出増 加 によ リア
セ ア ンで の 多 角化 が急 速 に進展 しつ つ あ る こ とが 特筆 す べ きで あ る◇ ちな み に、 2010年 以 降 のア
セ ア ン進 出 ペ ー スが
2000年 代 の 年 間 1.4事 業 所 か ら 2.5事 業所 へ と急 増 して いるの に対 して、 中
国 の それ が 3.3事 業所 か ら 2.8事 業所 へ と減 速 して い る (表
5)。
つ ぎ に、 早期 海 外 進 出組 の 経 営 パ フ ォー マ ンス を検 討 しよ う。 こ こで い う早期 海 外 進 出組 は表
6に 示す よ うに、公 益財 団法 人 ひ ろ しま産 業振 興機 構 の 1993年 と 2013年 度 調査 資 料 「海 外進 出
企 業 ダイ レク トリー 」 に基 づ いて 抽 出 した長 期 持 続 的海 外事 業 展 開 の
9社 (青 山商事 、 石 井表 記、
北川鉄 工所 、 コー コス 信 岡、 大 昌、 タ カヤ商事 、 立川 林産 、古 川製作 所、 リ ョー ビ )で あ る。
まず 、 海 外 事 業 の経 営 パ フ ォー マ ンス の特徴 と して、 つ ぎ の
3点 が指 摘 で き る。 第 1点 は、 20
年 以 上 にわ た って 長期 持続 的 に海外事 業展 開が行 わ れ て い る点 で あ る。 9社 の事 業所 数 が
表
5
進 出先別事業 所海 外進 出時期
2000 2010
不 明
1980 1985 1991
∼ 84 ∼ 90 ∼ 99
年∼
年代
韓国
台湾
8
3
中南 米
ヨー ロッパ
23
1
Jヒ )K
7
3
一
4
中
産業振興機構 、2013年 。
M
公益財 団法人ひろ しま産業振興機構 (2013)。
-36-
1993年
備後地域 にお ける企業の海外進出と地域経済 の課題― 高付加価値産業の創出 と育成 に向けて一
表
6
早期海 外進 出組 9社 の経 営 パ フォ ーマ ンス
備考(設 立年、
従業員数、
売上、
主要製品
)
5494
6255第
一商品部
2
福山市 1998年
250
149海
外営業課
3
1998年 、
22人 、
売上15億
シンガポール
7
業部 マシナリー
シンガポール
フィ
ピン
リ
機事業部海
外営業室
アメリ
カ
ス
イ
ギリ
3デ ィ
ス
3(株 )北 川鉄工所 一般機械機具製造
府中市 1993年 1245
2013年
664工
1,122
804工 機事業部海
外営業室
5(株 )大 昌
木材、
木製品製造
157
170生 産部
2
156万 USS、 シ
、
ジット
スクブ など
年、
1991年 、
スクラフ
ジット
1991年 、
2人 、
ス
ジェット
1989年 、
105人 、
637万 USt、 シルク
印刷など
1989年 、
工
19釧
、 、
1988年 8人 300万 USS、
旋盤用チャ
シリ
ンダー
ッ
ク、
1987年 、
21人 、
4650千 £
St、
同上
カ
アメ
リ
ス
イ
ギリ
シンガボール
タ
イ
中国(上 海
2009年
ベト
ナム
1997年 、
302人 、
112万8797USS,メ
)
・その他の繊維 福山市
衣服
製品
NTS
ー
ンダ、
NC円 テ
、 、
不明、
旋盤用チャン
ク、
シリ
2000年 33人
、
不明、
同上
、1名 、
不明、
同上
2003年 、
454人 、
不明、自動車や建設機械などの鋳造製品
2009年 、
8人 、
NC円 テーブル
不明、
旋盤用チャック、
シリンダ、
1987年 、
60人
0 ■ 0 0 糊T O 上 醐 0 醐 観 醐
2010年
スーツ17bリ ー
メ
ンズ功ジ
ュ71レ
ン
ア
府中市
00
6 タ
カヤ商事(株
)
卸 売、
飲食店
Jヽ
2013年
264
08管 理本部
282
08管 理本部
272
1990年 140人 6500万 Bジ ーンズ
1990年 、
160人 、
7710万 B、
16
2003年 、
不明
アメリカ
カ
アメリ
アメリカ
アメリカ
フランス
1974年 、186人 、
電動工具
1988年 、
8人 、
グループ会社の総括管理
1985年 、
2け △、
ダイカスト
製品
1986年 、738人 、
日芸用機器
1989年 、
66人 、
電動工具、
国芸用機器
υ
じ
Zヰ ゝ
不ス ト
フリ/
竜
!!J△ 、
アメ
カ
1985年 、
リ
ダ
彗LΔ 、
ス
1990年 、
イ
234人 、
ギリ
カスト
ダイ
製品
2074 1847企 画部
メキシコ
中国(■ 蘇)
中国(大 連)
業ダイレクト
リ
刊広島県国際経済交流協会、
注)0:事 業所の継続、Xよ 事業所閉鎖.撤 退、
新規1事 業所の新規開設
x xO x × 一0 糊 靭 醐 糊 続
2445 1842企 画部
2013年
ジーンズ
20■ 年、
97人 、
ダイカスト
製品
2007年 、
307人 、
ダイカスト
製品
22,人
2010年 、 、
ダイカスト
製品
工
1994年 、1324人 、
電動 具、
建築用品
企業ダイレクト
リ刊公益財団法人ひろしま産業振興機構、
2013年 。
か ら 2013年 にか けて 18か ら 25へ 増加 してお り、 そ の うち、 1970年 代 と 1980年 代 にはそれ ぞ
れ 1社 1事 業 所 (ア メ リカ )、
6社 12事 業 所
(ア メ リカ
4、
ラ ン ド・ オー ス トラ リア・ フ ィ リピ ン 。マ レー シア・ 台湾 各
の大 半 が
イギ リス
2、
フ ラ ンス ・ ニ ュー ジー
1)が あ った よ うに、 早期 海外 進 出組
1980年 代 に海 外 進 出 を本格 化 させ た の で あ る。 第 2点 は、 海 外 事 業 の 経 営 規 模 拡 大 を
実現 させ た点 で あ る。 た とえば 、 青 山商 事 台湾事 業所 の 売 上 高 は開設 時 の
1993年 か ら 2013年 に
NT$規 模 に達 して い る。 石 井表 記 の フ ィ リピ ン事 業 所 の従 業 員 数 。売 上 高 は 1993
年 の 50人 。156万 US$か ら 2013年 には 105人 、 637万 US$へ とそ れ ぞ れ 2倍 と 4倍 の急 激
か け て 1.5億
な拡大 ぶ りを示 して い る。大 昌 のマ レー シア事 業 所 の従 業 員規模 が
て い な い ものの、 売 上 高が
20年 間 にわ た って ほぼ 変 わ っ
520万 M$(193万 US$)か ら 800万 M$(244万 US$)へ と増大 し
-37-
備後地域 における企業の海外進出と地域経済 の課題一高付加価値産業の創出と育成に向けて一
て いる
15。
立 川 林 産 のニ ュー ジー ラ ン ドの従 業 員 数 。売 上 高 は 同期 間 にお いて
$NZ(5,367万 US$)か
せ て い る。 リ ョー ビの
ら 245人 、 8,000万
$NZ(9,756万 US$)へ とそ れぞ れ顕著 な増加 を見
1985年 開設米 国事 業所 で は、後 述 す るよ うに、 1990年 代以 降 にお け る米
国 の 4か 所事 業所 の再編 が行 われ て い た こと もあ り、 1993年 には
年 には
130人 、 3,00防
217人 だ った従 業 員数 が 2013
833人 に膨 らんで い た ので あ る。 第 3点 の 特徴 は海 外 展 開 を撤 回せ ず に、 現 地 事 業所 の再
編 や新 規 投 資 が積 極 的 に行 われ て い る点 で あ る。 た とえば 、 北 川 鉄 工 所 につ いて は、 ア メ リカ と
イギ リスで は事 業所 の再 編 が進 め られ る一方、2000年 代 初頭以 降、ア ジア (順 にタ イ、シ ンガ ポ ー
ル、 中国 )へ の 本格 的新 規 投 資 が行 わ れ て い る。 コー コス 信 岡 で も、 この 間 に 中国事 業 所 の撤 退
と、 ベ トナ ム と中国香港 へ の 新 規 投 資 が進 め られ て い る。 古 川製 作 所 で は 同様 に、 この 間 に台 湾
の撤退 と、 中国青 島 とタイ ヘ の新 規 投 資が行 われ た。 さ らに、 リ ョー ビで は、 1980年 代 にみ られ
た ア メ リカ の 4事 業所 が 1事 業所 に再編 され る一 方 、 1994年 の 中国大 連 事 業所 開設 を皮 切 りに、
ア ジア (中 国 とタイ )へ の新 規 投 資 が積 極 的 に進 め られ て い た。 また そ う したな か で、 多 くの企
業 が海 外事 業部 を増や す方 向 で 海 外 進 出 を進 めて い る ことに大 きな特徴 が表 れ て い る (青 山商事 、
北川鉄 工 所、 コー コス 信 岡、 タカヤ商事 、古 川 製作 所、 リ ョー ビの
6社 )。
つ ぎ に、 国 内事 業 にお け る早 期 海 外 進 出組 の 経 営 パ フ ォー マ ンス につ いて は、 長期 持 続 的海 外
展 開が本 社 にお け る経 営 規 模 の 拡 大 (従 業 員 数 増 )、
また は経 営 基 盤 の強 化 (資 本金 増 )に 寄 与 し
て い る ことが 特 徴 と して指 摘 され な ければ な らな いで あ ろ う。 1993か らの
20年 間 にお いて 従 業
員数 と資 本 金 が と もに増加 した企 業 が 青 山商事 、 立 川 林産 の 2社 で、 従 業 員数 の み が 増加 した企
業 が石 井 表 記 、 大 昌、 タカヤ 商事 の
信 岡、 リ ョー ビの
3社 で、 資 本 金 のみ が 増加 した企 業 が 北 川鉄 工 所、 コー コス
3社 で あ る。 9社 の うち 8社 が海 外 展 開推 進、 国 内事 業 の 経 営 規 模 の 拡 大 と経
営基盤 の強化、 の両者 またはその いずれか を行 っていた ことが 「産業空洞化」 と相容 れない動 き
として注 目す べ きであろう。
以 上のように、 備後地域企業海外進出の特徴 として、 ①広島県 に遅れて 90年 代初頭以降、製造
業 中心 に海外進出が本格化 していつた こと、②そ の進出先が一貫 してアセアンと中国が中心であっ
たが、 2000年 代以降 にはアセアンの多角化が急速 に進め られていること、③輸送機械企業中心 を
特徴 とす る広 島県全体 の動向 に対 して、備後地域 においては、 製造業 では、 衣服や 一 般機械 ・ 精
密機械器具、造船 、非 製造業 では、 卸売・ 小売、サー ビス、 運輸業 とい うよ うに、 多様な企業が
進出していること、④金属・機械器具・造船が中国やアセアンに分散 してお り、衣服製造業 と運輸・
通信や卸売小売な ど非製造業が 中国 に集 中 していること、 ⑤早期海外進 出組 の経営 パ フォーマ ン
ス にみ られ るよ うに、長期持続的 に海外事業展開を行 うことが本社 における経営規模 の拡大や経
営基盤 の強化 に寄与 していること、の 5点 が指摘できる。
15
為 替 レー トは Board Of Governos of the Federal ReseⅣ e System(連 邦 準 備 制 度 理 事 会 HP)http://www
federalreseⅣ e.gov/relettes/H10/hist/default1999 htmを 参照。以下 も同様。
-38-
備後地域 にお ける企業 の海外進出 と地域経済 の課題一高付加価値産業 の創出 と育成 に向けて一
表 8 備後地域産業別事業所数 。従業者数の推移
2001年 (A)
事 業所数
8
7
5
︲
一
鉱建
業
ス 熱供給 水道業
運輸・通信業
卸売・′ 売業 ,飲 食店
Jヽ
金融・保 険業
不 動 産 業
サービス業
公務(他 に分類されないもの)
2
6
6
3.
設
(%) (人 )
02
00
87
51
01
1,258
17,267
30
408
647
15
1,659
11,834
39
280
06
1000
262
2011年 (3)
事業所数
高
従業者 数
(%)
増減 数
事業所数 従業者数
1
82
10
00
84
30717
00
△ 5
2
2,876
89
22,427
75
264
03
74
△ 786
△ 151
△ 31
△ 205
△ 5,320
△ 112
△ 8,290
△ 11
△ 810
14
△ 21,140
△ 1,465
2,473
△ 13,548
△ 7379
1,714
05
20
01
904
61
284
1,053
11,947
32
368
22,194
21
535
16
3,891
93,519
7,379
11
258
20
2,317
9.549
71
361795
1000
22,180
102,773
7,693
272
81,633
6,228
6,364
79,971
294
21
21
658
266
△ 2,285
△ 262
1
・企業統計調査報告 」、2011年 度 は
『 平成24年 度経済センサス』。
表9
2011年 備後地域産業別売上高・付加価値額
単位 :百 万円 )
I卸 売業 ,小 売 業
」金 融 業 ,保 険 業
K不 動産 業 ,物 品賃 貸業
L学 術研究 ,専 門・技 術サ ービス業
M宿 泊業 ,飲 食サービス業
N生 活 関連サービス業 ,娯 楽業
0教 育 ,学 習支援 業
P医 療 ,福 祉
Q複 合サービス事 業
サービス業 (他 に
付加価値額 では ともに、製造業 (36%、
∼ R)(13%、
5,917
59,192
C鉱 業 ,採 石 業 ,砂 利採取 業
D建 設 業
E製 造 業
F電 気・ガス・熱供給・水道 業
G情 報通信 業
H運 輸 業 ,郵 便 業
06
22,953
424,613
05
86
6,960
111,957
07
108
18,898
51,202
45,719
82,356
157,301
24,085
04
10
09
17
32
05
4,759
17,122
19,069
29,917
33,158
11,567
05
17
18
29
32
11
229,753
47
128,603
33%)を 筆頭 に卸売 。小売業
12.4
(32%、 21%)、
サ ー ビス業 (L
26%)が 上位 3位 にランクイ ンし、大 きなプ レゼ ンスを示 している。
最後 に、 1997∼ 2011年 における備後地域雇用者報酬 ・財産所得・ 企業所得の推移 を図 2で み
てみよう。企 業所得 (右 目盛 )に ついては、 備後地域全体 では 81%増 の広島県 を上回 り、 93%の
大幅増 を示 してお り、その うち、尾道 (168%)と 三原 (96%)の 増加率が最 も顕著であった。一
方、雇用者報酬 と賃金俸給 (左 目盛)が 、備後地 域 と広 島県 では この間 に軒並み 20%以 上低下 し
たが、備後地域 の低下幅が大き く、そのなかで もとりわけ県水準以 上に低下 したのは府 中、三原、
「雇
福 山であった。雇用者報酬減少 の原因は、全国 の状況 を検討 した岡田和弘 の研究 に依拠すれば、
-40-
備後地域 における企 業 の海外進出と地域経済 の課題一高付加価値産 業 の創出 と育成 に向けて一
10,2SIIIII■ ■
■││■ ││││
t3■ ‐│… ■■‐‐……Ⅲ
│■
10111111■
│一
││││.‐
・
・・
lι 4111■ │■ ■ギ■■響
hi米急
│■ ■
■■■■■
■
01511■ ■
図 2 備後地域雇用者報酬・財産所得 ・企業所得の増減率 (1997∼ 2011年 度 )
出所)『 市町民経済計算』 (1997年 度、2011年 度)広 島県。
用者数 の減少 と非正規雇用化 。ワーキ ングプアの増大」 にあるとされてい る16。
この ことは 前述
した 2000年 代 にお ける備後地域 内 の事業所数 と従業員数 の減少 によって も裏付け られているの
ではないか と思われ る。
以 上のよ うに、近 年 にお ける備後地域の産業構 造 の特徴 として、 ①総生産額では製造 業 の低下
とサービス業 の増加 によ り、構造変化が生 じつつあること、② しか しなが ら、総生産額規模の縮小、
また事 業所数 。従業員数 にお ける三大産業部門 (製 造業、卸売 。小売業、サー ビス業)の 顕著な
減少が進行 していること、 ③ さ らに、地 域全体 の雇用者報酬が企業所得の大幅な増加 と対照的に
大幅 に下落 している こと、 の 3点 が指摘できる。 この ことか ら、備後地域 の 「集積」規模が急速
に縮小 に向か いつつ あることが伺われよう。
2.2 製造業の構造変化
ここで製造業 に着 目してその構造変化 の考察 を行 いた い。製造業 に着 目した の は前述 したよ う
に、 製造業が備後地域全産業 の総生産額 。事業所数・ 従業員数 。売上高 。付加価値額では いずれ
も最大規模 の構成比を占める重要な産業部門であったか らである。
2.2.1 備後地域製造業の長期的動向
まず、事 業所数 と従 業員数 の推移 を図 3で みると、事業所数 と従 業員数 ともに、 1980年 代前半
16
岡田・ 高野・ 渡辺・秋元 ・西尾・ 川西
(2013、
32頁 )。
-41-
備後地域 における企 業 の海外進出 と地域経済の課題― 高付加価値産業 の創出と育成 に向けて一
1451010
.40010
1350.01
13‐
0001
‐
2150CI
‐
20100
1■
5100
1100101
60011Ⅲ ⅢⅢ■■■■■‐ 一 ■■■■│■ ■│■
=‐=‐ ニニ■‐
│・ ‐
‐
│
y藤討
藤
∵:=誓 k‐ty藤
―
l
■■■■■1従 業員1数 │(右 ).■ ■■ ■ ■‐
■■■■■
│‐
│
図 3 製造業事業所数 と従業員数の推移
出所)『 工業統計表』 (各 年版)。
4100110000101
僣力 儘
篠綾
輸
=篠 =(‐
=●
:
3500000001
300000000
250∞ 0011111
200000000
1150000000
■0000011110
「「「 │││=摯
‐│││‐ │││‐ ■ ││││ │││:::l
││││││││││‐
││││‐ │
●││■ │■ ││■
―
ー
塁 ミ
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ミヨ属 ミ
薫員
早f零 言ヨ言ヨ曇
「 ギ :;ヨ 言
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「量‐
││■=ミ■
=ミ 意 青
■ │■
曇
I盤11』
曇
[翼 71ふ
春
'麗
=憲と付加価値率の推移
図 4 実質出荷額・付加価値額
│││││││‐
1 500000001
,‐
。
出所)『 工業統計表』 (各 年版)。 総務省統計局統計調査部消費統計課物価統計室『消費者物価指数年報』
注)デ フレーター 〈
消費者物価総合指数)は 2000年 基準である。
の 停 滞 か ら後 半 に 増 加 基 調 に 転 じ た が 、
1991年 の バ ブ ル 崩 壊 を 契 機 に 20年 間 に わ た っ て 減 少 を
続 けてお り、そ のなかで 2000年 代以降 における事業所数 の減少幅が従業員数 のそれよ り顕著で
あった。 つ ぎ に、 実質 出荷 額 。実質粗 付加価 値額 ・ 付 加価 値率 の推 移 につ いて 図 4で 確 認 しよ う。
-42-
:
備後地域における企業 の海外進出と地域経済の課題一高付加価値産業の創出と育成に向けて一
図 4に よ る と、 実 質 出荷 額 が
1990年 代 の停 滞 を経 て、 2000年 代 初 頭 か ら一 転 して 増 加 を続 け、
2008年 に史 上 最 高 の 3兆 5千 億 円 に達 す る勢 い をみせ て い た が、 リー マ ン 。シ ョック に よ り再
び大 き く減 少 して い った。 た だ し、 そ の水準 はなお
1990年 代 と 2000年 代初 頭 を上 回 る高 い水 準
にあ る。 産 業 活 動 を通 じて 新 た に生 み 出 した 価 値 を示 す 実 質粗 付 加 価 値 額 が
1980年 代 の 上 昇 基
調 か ら 1991年 以 降、 小刻 み な変 動 を繰 り返 しな が らも減 少 しつづ けて お り、 と りわ け 2005年 以
降 の減 少幅 が大 きか った。 一 方、 付加価値 率 (粗 付加価 値 額 /出 荷額 )は
1980年 代 か ら 2000年
にか けて上昇をつづけたにとどまらず、一貫 して全 国水準 を上回つていったが、 2000年 をピーク
に激減 してお り、そのなかで 2007年 に全 国水準 を下回 り、 また、 下回ったのを画 期 として急速
に全 国水準 との差 を広げていったのである。最後 に、 図 5で 備後地域製造業の生産性指数 の変動
を確認 しよ う。 前述 したよ うに、 2000年 代以降 の事業所数 の減少幅が従業 員数よ り大きかった こ
とか ら、 同時期 の 1事 業所 当た り従 業員数が大 き く上昇 に転 じている。ただ し、その伸び率が全
国水準 にははるか に及ばな い ものであった。 また 2000年 代以降 の従業員数 の減少 と実質 出荷額
の大幅な上昇が影響 して、 結果的に、 1従 業員 当た り実質出荷額が 2000年 代以降、全国の伸 び率
を上回るスピー ドで急増 していた。ただ し、 2002∼ 12年 において 1事 業所 当 り従 業員数 の増加
率
(14%)が 1人 当 り出荷 額 のそれ (35%)よ り低 い ことを考 えると、 雇用 の増加 を極 力抑 えて
生産性の上昇を実現 している ことがわかる。 さらに、 1従 業員当た り実質付加価値額は 1980年 代
か ら2000年 代初頭 にか けて全国の伸び率 をはるかに上 回る水準で上昇 を続けたが、2005年 をピー
クに急激 に低下 し、 2000年 代後半には 1980年 代後半 の水準 に大 きく後退 したので ある。
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図 5 生 産 性 指 数 の 変 動 (1980年 :100)
出所)『 工業統計表』 (各 年版〉
。総務省統計局統計調査部消費統計課物価統計室『消費者物価指数年報』
。
注)デ フレーター (消 費者物価総合指数)は 2000年 基準である。
-43-
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備後地域における企業の海外進出と地域経済 の課題―高付加価値産業の創出と育成に向けて一
2.2.2 備後 各都 市 の 動 向
製造 業全体 の長期 的動 向 で み た よ うに、と りわ け 2000年 代 以降、出荷額 が 上 昇 して も、事 業所 数 。
従 業 員 数 。実質 付加 価 値 額 が いず れ も減 少 して い る とい うよ うに、 地 域 経 済 が 非常 に厳 しい状 況
に直面 して いる。 以下 で は、 そ う した 状 況 をふ まえなが ら、 2000年 代 を中心 に備後 各都 市 の動 向
につ いて 図 6∼ 9に 依拠 して 考察 を続 けた い。
まず 、 図 6で 備 後
るなか で、 福 山が
4市 の 実 質 出荷 額 をみ よ う。 そ れ によ る と、 実 質 出荷 額 が 高 い水 準 で 推 移 す
2000∼ 12年 に小 さな 変動 を繰 り返 しなが らも、 一 貫 して 6割 程 度 の 高 い シ ェ
ア を 占めて お り、 中核都 市 と して 不動 の地位 を確 立 して い る。 そ のなか で、 尾道 が
13%か ら 20%
へ とシ ェア を大 き く伸ば し、 三 原 と府 中が シ ェア を大 き く低下 させ て い た。 つ ぎ に、 実 質 粗 付 加
価 値額 を図 7で み る と、 一 貫 して 最 大構 成 比 率 を 占めて い る福 山が 目立 って減 少 して お り、 そ の
地 域 内構 成 比 が
2000年 代 前 半 の 6割 強 の 水 準 か ら 2010年 代 に入 る と 5割 を切 る水 準 まで 低 下
し、 対 照 的 に尾 道 が
に、 図 8は 備 後
2000年 初 頭 の 1割 強 か ら 2010年 代 には 2割 強 へ と拡 大 して い った。 さ ら
4市 製造 業 の 付 加価 値 率 の 推 移 で あ るが、 そ れ によ る と、 全 体 的 に都 市 間 の 付加
価 値 率 格 差 が大 き く拡 大 した こ とが最 大 の 特 徴 と して指摘 で き よ う。 そ の最 大 の 要 因は、 ① 府 中
が
50%と い う高水準 を維 持 し、 また三原 ・ 尾道 が 2000年 代後 半 に復調 基 pJRを た どって い くこと、
②対照的 に、 実質出荷額・ 付加価値額 で最大規模 を誇 る福山が 2000年 代初頭か ら減少を続け、
2007年 には三原を下回 り、最下位 に転落するに至ったこと、の 2点 である。最後 に、備後 4市
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備後 4市 製造業の実質出荷額 (万 円)
。
出所)『 工業統計表』 (各 年版)。 総務省統計局統計調査部消費統計課物価統計室『消費者物価指数年報』
注)デ フレーター (消 費者物価総合指数)は 2000年 基準である。
-44-
1
備後地域 にお ける企業 の海外進出と地域経済 の課題一 高付加価値産業の創出 と育成 に向けて一
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図 7 備 後 4市 製 造 業 の 実 質 粗 付 加 価 値 額 (万 円 )
出所〉『工業統計表』 (各 年版)。 総務省統計局統計調査部消費統計課物価統計室『消費者物価指数年報』
。
注)デ フレーター 〈
消費者物価総合指数)は 2000年 基準である。
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図 8 備 後 4市 製 造 業 付 加 価 値 率 (%)
出所〉『工業統計表』〈
各年版)。 総務省統計局統計調査部消費統計課物価統計室『消費者物価指数年報』
。
注)デ フレーター (消 費者物価総合指数)は 2000年 基準である。
-45-
備後地域 における企業の海外進出 と地域経済 の課題一 高付加価値産業 の創出 と育成 に向けて一
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図 9 備後 4市 製造業 1人 当た り実質粗付加価値額
。
出所)『 工業統計表』(各 年版)。 総務省統計局統計調査部消費統計課物価統計室『消費者物価指数年報』
注)デ フレーター (消 費者物価総合指数)は 2000年 基準である。
従 業 員 当 た り実 質 粗 付 加 価 値 額 (付 加 価 値 生 産 性 )の 動 向 を 図
尾 道 と三 原 の 躍 進 が 指 摘 で き る。 尾 道 が
9で み る と、 そ の 特 徴 と して まず 、
2000年 代 に は 1,200万 円程 度 だ っ た が 、 2011年 に は
゛
1,600万 円 へ と増 加 し、 そ の 順 位 も最 下 位 か ら二 原 につ く 2位 へ と躍 進 した。 一 方 、 三 原 が 2000
年 代 後 半 の 大 き な 伸 び に よ り、 そ れ ま で の
3位 か ら最 上 位 に躍 進 し、 そ の 後 もそ の 地 位 を保 持 し
続 け て い る。 そ の 原 因 と して 、 後 述 す る 府 中 と福 山 の 後 退 の ほ か に、 三 原 と尾 道 と も に 実 質 付 加
価 値 額 の 伸 び 率 が 従 業 員 数 の そ れ よ り大 き か っ た こ とが 挙 げ られ よ う。 と りわ け尾 道 に 関 して は 、
2000年 代以降、 ほかの 3市 と異な って従 業員数が増加基調 にあるなかで、 付加価値額 の大幅な上
昇が実現 した ことが注 目す べ きである。 つぎに指摘す べ きは、福山 と府 中の大 きな後退であろう。
福山は 2000年 代半ば以降、府 中は リー マ ン・ シ ョックの 2008年 以降、それぞれ大 き く後退 し、
最下位 に転落 した。それは、従業員数 と付加価値額 ともに減少 したなかで、 付加価値額 の減少幅
が従業員数 のそれよ り大きかつたためである。
そ こで注 目す べ きは、一貫 して最大規模 の付加価値絶対額 を示す福 山の後退が備後地域 の産業
規模 ・集積規模 の縮小 に決定的な打撃 を与えて いる点 である。
2.2.3 産業別生産動向
表 10は 業種別 の生産動向を表 している。 まず、事業所数 ベー スでは、 総数が減少す るなかで、
パル プ 。化学・石油製品・非鉄・輸送用機械器具が増加 をみせて いるが、一方、比較的大 きなシェ
アを占める食料品 。繊維 。金属 ・ 機械器具 (一 般・ 電気 。輸送 の合計)が 軒並 み減少 して いる。
-46-
備後地域 にお ける企業の海外進出と地域経済の課題―高付加価値産業の創出 と育成 に向けて一
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備後地域製造業業種別の生産 動向
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表
備後地域 における企業の海外進出と地域経済 の課題―高付加価値産業 の創出と育成に向けて一
た だ し、 機 械 器 具 関連 産 業 の シ ェアが
26%か
ら 34%へ と躍 進 した こ とは 注 目す べ きで あ る。 そ
れ は、 総 数 が減 少 して い るな か で、 電 気 機械 の 堅 持 と輸 送 用機 械 の 増加 が大 き く影 響 して い るた
めで あ る。 また、 従 業 員数 ベ ー ス で は、 千 人規 模 増 加 の プ ラス チ ック・ 輸 送 用 機械 器 具・ 食料 品
を筆頭 に、電 機械 器 具・ 出版・非鉄・ ゴム も増 えて いるの に対 して、 繊 維 。鉄鋼 。一 般機械 。家具・
木材が いずれ も千人以上 も減少 した ことが影響 して、総数が 1万 人以上 も激減 した。 こうしたな
かで、事業所数 ベースと同様 に、機械器具関連産業 のシェアは電気・輸送用機械器具 の増加 もあ り、
38%か ら 42%へ と大 きく上昇 した。
実質 出荷額 では、重要な産業である鉄鋼業が 3,500億 円も増加 したにともない、全体 シェアも
22%か ら 29%へ と急増 した。 ほかにプラスチ ック、食料品 も出荷額 とシェアの増加 を示 している。
一 方、鉄鋼業 とともに、地域 内重要 な産業 の位置 づ けをもつ機械器具関連 に関 しては、輸送用機
械が増加 したが、一般機械 。電気機械が減少 した ことによ り、 出荷額 の伸びが小さく、 シェア も
37%か ら 34%へ 減少 し、苦戦を強 い られて いることが読み取れ る。
実質粗付加価値額 では、 実質 出荷額 とほぼ対照的な特徴が確認 され る。 実質出荷額 のシェアで
も増減額で も最大規模 の鉄鋼業が 2,300億 円 という最大規模 の激減 ぶ りを呈 してお り、その影響
で全体 シェアも 22%か ら 9%へ と急 落 した。それ につ ぐのは 945億 円減 の電気機械器具 である。
そ うしたなかで、プラスチ ック 。食料品 。一 般機械 は いずれ も 100億 円以 上 も増加 していること
もあ り、そ のシェアもそれぞれ大幅 に拡大 したのである。
最後 に付加価値率 をみる と、 付加価値率 が同期間を通 してほぼ半減 しているなかで、増加 して
いるのは順 に一般機械器具、本材、家具 の 3業 種 のみであつた。 一 方、重要な産業 としての鉄 鋼
と電気機械器具がそれぞれ 45%、 25%と い う全体 の平均 を上回る減少幅 を呈 している。それは大
幅な実質粗付加価値額 の減少 によるものである。
2.2.4 業種別実質 出荷額・ 実質付加価値額 の地域構成比率
表 11は 2006。 12年 業種別実質出荷額・ 実質付加価値額 の備後 4市 構成比率 である。 2006年
を統計 に整理 したのは 2003年 以降 の市町村合併 によ り統計上で把握 で きな い町村 の影響 を考慮
したためである (表 10の 注
3)。
表 11に よれば、実質出荷額で も付加価値額で も、福 山がプラス
チ ック製品や非鉄金属 を除 くほぼす べ ての業種 では 5割 以 上の高 い構成比率 を占めて いることが
わかる。た とえば、繊維・ 衣服、木材、窯業、鉄鋼、電機 。電子部品全般 である。 家具・ 装備品
では府 中と福山、 パルプでは三原・尾道・福山、印刷 と化学、金属製品、一般機械では三原・福山、
プラスチ ックでは尾道、輸送用機械器具 では尾道 と三原、非鉄金属では府 中が主要な出荷額 と付
加価値額創出 の担 い手 となっている。
2.2.5 業種別生産動向分類
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タイプ
ここで、 これ まで検討 してきた 2000年 代以降 の業種別実質 出荷額 。実質付加価値額 ・ 付加価
値率 の動向を 5タ イプ に分類 してみる ことを通 して、備後地域経済 の 問題点 を抽出 したい。 表 12
-48-
備後地域 における企 業 の海外進出と地域経済の課題―高付加価値産業の創出 と育成 に向けて一
備 後 地域 業種 別 出荷 額総 額 の地域構 成 比 率
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備後地域 における企 業 の海外進出 と地域経済の課題一 高付加価値産業 の創出と育成 に向けて一
表
1
12
出荷額上昇、付加価値額上
昇、付加価値率低下
業 種別 生産 動 向分類
食
料
品 (1,854)
パ ル プ・ 紙 製 品 (125)
出 版 ・ 印 昴1〈 410)
化
1津 〈-205)
プ ラ ス チ ッ ク (2,685)
窯
業 (-74)
,送 ]機 撃器
暴(2,0501
出荷額上昇、付
下 、付加価値率低下
3
4
出荷額低下、付
5
出荷額低下、付加価値
下、付加価値率低下
=般
尾道(31%)
三 原(39%)
三 原(36%)
三原(32%)
40%)、
三
三5票 (33%)
鋼 (2,702)
鉄 ( 131)
鉄
非
出荷額低下、付
山(50%)、
福山(56%)、
福 山(50%)、
福 山(49%)、
尾道(80%)
福 山(83%)
増F晏忌(導
(1,594)
木 材 ・ 木 製 品 (1,077)
衣 服 (-3,472)
ム ( 93)
、三原(423%)
注 )業 種のカッコ内は2000∼ 12年 の従業員数増減数、主要生産地域のカッコ内は2012年
は 2000∼ 12年 の実質出荷額 ・ 実質付加価値額 ・ 付加価値率 の動向か ら分類 した 5タ イプを表 し
ている。それ によると、 タイプ 1は 食料品 をは じめ とす る 7業 種、 タイプ 2は 鉄鋼 ・ 非鉄 ・ 金属
の 3業 種、タイプ 3は 一般機械器具 の 1業 種、タイプ 4は 木材・木製品 と家具 。装備品 の 2業 種、
タイプ 5は 繊維・ 衣服、 ゴム、 電気機械 の 3業 種 である。 出荷額 上 昇、付加価値額 上昇、付加価
値率 上昇 の業種は同時期 にはみ られなかったが、 1990∼ 2000年 には 同様 の分析結果 に依拠すれ
ば、輸送用機械器具、 プ ラスチ ック、化学 の 3業 種が あつた。 この 3業 種は いずれ も、 2000∼
12年 には付加価値額増加幅 の急激な縮小 によ り付加価値率が低下 し、タイプ 1と なった。
各タイプ の特徴 は次の通 りで ある。 タイプ 1は 出荷額 も付加価値額 も上昇 したが、 付加価値額
増加幅が小 さいことか ら、ひ とまず高付加価値化移行産業 とみなす ことができよ う。 タイプ 2は
出荷額が 上 昇 したが、付加価値額 の低下幅 が大 き い ことか ら、低価格 品量産化産業 といえよ う。
タイプ 3は 出荷額が低下 したが、付加価値額が上昇 した ことか ら、高付加価値化産業 と位置づけ
られる。 タイプ 4は 出荷額 も付加価値額 も減少す るが、付加価値額 の減少幅が出荷額 よ り小 さい
ことか ら、付加価値生産堅持産業 といえる。最後 の タイプ 5は 出荷額 も付加価値額 も低下 し、 ま
た付加価値額 の低下幅 も大き い、 いわ ゆる価格競争力 の弱 い低付加価値製品群産業 である。
地域経済全体 の高付加価値化 へ の移行 の必要性 と喫緊性 という観点 に立脚 した場合、タイプ
1、
タイプ 3、 タイプ 4が 地域経済 にとってきわめて重要であろう。タイプ 1と タイプ 4を 重視 したのは、
パルプ 。
出版印刷 。
①タイプ 1は 付加価値額 の上昇幅 の小ささ という問題 を抱えて いるが、食料品 。
プラスチ ック、輸送用機械器具 では大 幅 な従業員数増加がみ られてお り、高付加価値 製品 の創出
ができれば、付加価値額 上昇幅が拡大す る可能性のある こと、 ② タイプ 4は 従業員数 も激減 して
お り、一見、衰退産業 の様相 を呈 しているが、独 自の取 り組みによ り付加価値額 の減少幅 を食 い
止めて いる点 に、 付加価値額 が今後大幅 に上 昇 し、 新規参入者 も増加す る可能性 を感 じさせ るこ
-50-
備後地域における企業の海外進出と地域経済の課題一高付加価値産業の創出と育成に向けて一
17、
と
に主 な原 因が あ る。 また、 タイ プ 3の 一 般 機 械 器 具 は地 域 内 で 唯 一、 付加 価 値 額 と付 加 価
値 率 の上 昇 を実現 させ た産 業 で あ る点 で 評価 で き るが、 そ の 付 加 価 値 額 の 増加 幅 が な お 食 料 品 の
そ れ を下 回 る ほ ど小 さ い こ と もあ り、 従 業 員数 が 1,504人 も減 少 して い た。 さ らな る 高 付加 価 値
製 品 の創 出・ 育成 が今後 の課題 とな ろ う。
一 方、 タイ プ 2と タイ プ
5は 地 域 経 済 の付加 価 値額 維 持 また 高付加 価 値化 移行 にあ た って 大 き
な 問題 点 を抱 え る業種 で あ る といわ ざ る をえな い。 と りわ け、 タイ プ 2の 鉄鋼 とタ イ プ 5の 電 気
機 械 、 繊維 ・ 衣 服 の
3業 種 で あ る。 そ の付加価 値額 の 2000∼ 12年 にお ける減 少額 計 が 3,519億
円、 同時期減 少総額 の 64%に 達 して いる。
以 上、 備後 地 域経 済 の状 況 を考 察 して きたが、 と りわ け製造 業 で は
1990年 代 以降、事 業所 数 ・
従 業 員数 ・ 付加価 値 額 が いず れ も大 き く減 少 して い る こ とにみ られ るよ うに、 備後 地 域 が 「集 積 」
規 模 の急 速 な縮 小 局 面 に直 面 して い る こ とが わ か る。 地 域 経 済 全体 の 高 付加 価 値 化 へ の 移 行 の 必
要性 と喫 緊性 とい う観 点 に立 脚 した 場合 、 タイ プ
1、
タィ プ
3、
タイ プ 4に は一見 、 衰退産 業 とと
らえ られがちな産業 も含 まれて い るが、 いずれ も地 域経済 にとって大 いなる可能性 と希望 をもつ
産業であ り、 またその共通課題が高付加価値 製品 の創出・育成 にあると思われる。
3.提 言
本稿 では、 備後地域企業 の海外進 出と地域経済の構造 変動 を分析 して きたが、 以下では、本稿
で 明 らかにしえた点 を簡略にまとめた うえ、若千 の提言 を行 いた い。
まず、備後地域企業海外進出について は、 90年 代初頭以降、製造業では、衣服や 一般機械・ 精
密機械器具、造船、非 製造業 では、 卸売・ 小売、サー ビス、運 輸業 とい うよ うに、 多様な企業が
アセ アンと中国 を中心 に海外進 出が本格化 してお り、そのなかで もとりわけ 80年 代か ら海 外事
業展開を進めてきた早期海外進出組 の長期持続的海外事業展開が本 社 にお ける経営規模 の拡大や
経営基盤 の強化 に寄与 している。つぎに、 備後地域経済 の状況 につ いて は、 とりわ け製造業では
1990年 代以降 にお ける事業所数 。
従業員数 。
付加価値額 の大 きな減少にみ られるように、 そ の 「集
積」規模が急速 に縮小 しつつあ り、そ うした厳 しい状 況 のなかで、地域経済全体 の高付加価値化
へ の移行 の必要性 と喫緊性 とい う観点 に立脚 した場合、 タイプ
1(高 付加価値化移行産業
)、
タイ
プ 3(高 付加価値創出産業 )、 タイプ 4(付 加価値堅持産業)が 地域経済 にとって大 いなる可能性
と希望 をもつ産 業 であるが、 そ のさ らなる高 付加価値製品 の創出・ 育成 に共通課題があると思わ
れる。
以 上のよ うな分析結果 を踏 まえて備後地域 の持続的な発展 のための提 言 を、 最後 に行 ってお き
17
タィプ 4の 家具産業 の成長 と新たな胎動 については、 張 (2012a)。 張 (2012b)。
-51-
張 (2012c)。 張
(近 刊
a)。
備後地域における企業の海外進出と地域経済 の課題―高付加価値産業の創出 と育成に向けて一
た い。 まず 、 高付 加 価 値 産 業 の 創 出 を ともな う海 外 展 開が進 め られ る べ き ことで あ る。 序 章 で 述
べ た よ うに、 地 域 経 済 の 再 生 を図 りな が ら、 グ ローバ ル 化 を進 行 させ る ことの 可 能性 と重 要性 が
共 通 の 認識 とな りつ つ あ る。 そ のな か で、 具体 策 と して、産 業 材 (金 属 や 化 学 製 品 )の 輸 出 と海
外 進 出 に代 表 され るグ ローバ ル化 を進 めな が ら、 新 しいアイ デ アの創 出 また は高度 な技 術 を核 と
した 産 業 集 積 の 形 成 によ る高 付加 価 値 部 品 の 創 出、 拠 点 フ ァク トリー の確 立 が挙 げ られ て きて い
る。 そ う した 観 点 か ら備 後 地 域 の 海外 展 開 と地 域 経 済 の あ りか た をみ た場 合、備 後 地 域 にお いて
次 のよ うな 問題 点 が存在 す る と思 われ る。
そ の 指摘 に先 立 って、 本 稿 で 言 及 して こなか った 備 後 地 域 の 輸 出 につ いて 図 10と 表 13で み て
お きた い。 図 10は 、福 山港・ 尾道 糸 崎港 か らな る備 後 地 域 輸 出額 と輸 出額 比率 の推 移 で あ るが、
と りわ け
1990年 代後 半以 降 の 輸 出額 の上 昇 に ともな い、 備 後 地 域 製 造 業 名 目出荷 額 に 占め る輸
出額 比率 が
10%台 か らリー マ ン・シ ョックの 2008年 に最 高 の 25%を 突 破す るに至 ってお り、また、
こ う した 輸 出額 の上 昇 に福 山港 の 輸 出増 の 貢 献度 が きわ めて大 きか った とい え る。 つ ぎ に、 2012
年度福 山港 ・ 尾道 糸 崎港 品 目別 輸 出額 内訳 を表 13で み る と、 福 山港 と尾道 糸 崎港 の輸 出がそれぞ
れ ほぼ 「鉄鋼 Jと 「船舶 」へ の特化 に特 徴 づ け られ て いる ことがわ か る。 ちな み に、同時期 に「鉄鋼」
と 「輸 送 用 機 器 」 の 輸 出額 が備 後 地 域 の 両 品 目名 目出荷 額 に 占め る割 合 が そ れ ぞ れ
に達 して い る
51%と 58%
18。
こう した 輸 出状 況 と第 1節 で み た海 外進 出 の特 徴 をふ まえなが ら、 前掲 の表 12に 示 して い る 5
タイ プ産 業 の 地 域 内付加 価 値 額 の 維 持 また は成 長 に果 たす役 割 をみ て み よ う。 タイ プ 1の 輸 送 用
機械器 具 (造 船含 む)、 タイ プ 2の 鉄鋼 、 タイ プ 3の 一 般 機械 器 具、 タイ プ 5の 繊 維 ・ 衣服 がそ れ
ぞ れ輸 出 (鉄 鋼 と機 械 器 具 )ま た は海 外 進 出 (鉄 鋼 以 外 の産 業 )を 積 極 的 にすす めて きた地域 内
の重 要産 業 で あ るが、 それ らが地 域 内付加価 値 額 の維 持 また は成長 に果 たす 役割 が大 き く異 な る。
つ ま り、 タイ プ 1と タイ プ
3が 上 昇 幅 の大 き さで 相 違 が あ る もの の、 地 域 付 加価 値 額 の 維 持 や 上
昇 に寄 与 して い る の に対 して、 タイ プ 2と タイ プ
5が 付 加価 値 額 を大 幅 に低 下 させ た。 この よ う
に、 備後 地 域 で は、 輸 出や 海 外 進 出が 一 様 に地 域 全体 付加価 値 額 の維 持 また は成 長 を もた らす ま
で には まだ至 って い な い こ とが 伺 わ れ よ う。 そ の 原 因究 明 に は今 後 の 精 緻 な研 究 が 待 た れ るが、
現 段 階 で はそ の 主 要 な原 因 と して、 ①鉄 鋼 業 が一 貫 して地域 内最 大 規 模 の 出荷額 を 占め る と 同時
に (表
10)、
「原 材 料使用 額 Jで も最 高額 で、 またそ の 出荷額 比率 が
2000年 の 39%か ら 2012年
には 94%に 急 騰 してお り、 業 界 そ の ものが コス ト高 を吸収 で きて い な い こ と
19、
② 繊 維 。衣 服 産
業 が鉄鋼 業 と異 な って、「原 材料 使 用額 」 の 出荷 額 比率 が大 幅 な上 昇が み られず 、 また積 極 的 な海
18
名 目出荷額は 『工業統計表』 (2012年 度)に よる。
19『 工業統計表』
)。
(各 年版
-52-
備後地域 にお ける企業 の海外進 出と地域経済 の課題― 高付加価値 産業 の創出 と育成 に向けて一
‐
傘10や 奉攀幸
│││││││‐
│‐
狂鰺
轟轟
││1111111111111111:│││:│││││││
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│
111幸 ,や
│
年
一
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│
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│¶
図
10
備後地域輸 出額 と輸 出額比率の推移 (百 万円、 %)
出所)『 広島県統計年鑑』各年版。『工業統計表』各年版。
注)輸 出額比率は名 目出荷額に占める輸出額の比率である。
表
13 2012年 度 福 山港 ・ 尾 道 糸 崎港 品 目別輸 出額
(単 位
福山
価額
構成比
1食 料品
2原 料品
3鉱 物性燃料
ゴム製 品
紙類及び同製品
織物用糸及び繊維製品
非金属鉱物製品
ガラス及び同製品
鉄鋼
鉄鋼の棒・形鋼及び線
鉄鋼のフラットロール製品
非鉄金属
銅及び同合金
金属製品
6-般 機械
282
01%
5,216
11%
289
01%
尾道糸崎
価額
構成比
2
00%
19
00%
1
00%
7,525
38%
2,080
1 1%
544
0
569
23
23
92
15
30
03%
00%
03%
00%
00%
00%
00%
00%
349
48
01%
00%
8,002
856
53
16%
02%
00%
348
130
01%
00%
4,433
11,808
09%
24%
852
04%
3,030
15%
6,556
13%
11
00%
162
1
31
116
00%
00%
00%
00%
1
00%
1
鉄道用車両
自動車
自動車の部分 品
二輪 自動車類
船舶
タンカー
貨物船
9そ の他
:百 万 円)
―
―
―
― 彗難 麟 鐵 灘 鐵
-
16,155
82%
―
│
26,309
54%
218
489,679 1000%
197.935
出所)「 2012管 内支署 品別輸 出」(神 戸税関ホーム ページ
総額
)
http://www custOms gojp/kobe/boue ki/02kakutei html。
-53-
01%
1000%
備後地域 における企業の海外進出と地域経済 の課題一高付加価値産業の創出と育成に向けて一
20に
よる産 業集積 の量的縮小に
外進出が行われ ていることか ら、 海外進出組以外 の業者数 の減少
問題が潜ん でいるよ うに思われ る こと、の 2点 が挙げ られよ う。 いずれ に して も、 輸送機械機具
や 一般機械器具業 に代表 され るよ うに、地域内高付加価値産業の創 出を ともな う海外展 開 の一 層
の広が りが促進されるべ きであると指摘できよう。
つ ぎに、備後地域全体 の高付加価値化 に向けての 中小企業振興政策が即急 に実施 され るべ き点
である。 海外展開が地域経済 の高付加価値化 へ の移行 にとってきわめて重 要 であるが、「外部需要
た とぇば、前述 した新宅・
21。
を呼び込 む」仕掛 け の一つ にす ぎな い ことにも注意す べ きで ある
大木 の研究 で も指摘 されてきたよ うに、「深層 の現地化」 の進展下で 日本企業、 日本経済 の生き残
る道 の 1つ として、高齢者向けの医療や介護関連産業 を中心 とす る国内新規 事業 の創 出が挙げ ら
22。
れて いる
ほか に地 域経済研究 で 注 目され ている第 6次 産業 もある
23。
そ のなかで とりわ け第
6次 産業 の成功事例 にみ られ るよ うに、地域 内 における垂 直的ネ ッ トワー ク と水平的ネ ッ トワー
クを連動 させ る ことによ り、地域経済 の活性化や高付加価値 も可 能 である。ただ し、ネ ッ トワー
クの形成や連携が重要な課題 とな ろう。すで に序 章 で述 べ て きたよ うに、 1980年 代以降、 とり
わけバブル崩壊以降、 中小企業 を と りま く経済環境が激変 し、「産業集積 の 内部 に存在す る こと
で、 中小企業が受動的 にメ リッ トを得 られ る時代は もはや終わ りを見せて いる」 として、産 業集
積 の行方が産業集積 の量的縮小に対す る集積 自体 また中小企業 の対応 のあ り方 に強 く関係す るよ
24。
うになってきて いる
そ のなかで地域産業政策 の実施や 中小企業振興基本条例 の制定が東京都
25。
内や大阪府 内 の先駆的 自治体 を中心 に全国に広 が りつつ ある
そ こで、 国 の補助金 に依存 しな
い個別 自治体 の主導 による、地 域 の特性 を生か した独 自の政策 の実施が将来 の地域経済、地域社
会、 中小企業振興 の必要性 に関す る 自治体・ 地域 内企業・ 地域 の住民間 にお ける コンセ ンサスの
形成や議論 を呼び起す重要な契機 となるとされている。それ にあたって異な る環境 に置かれ て い
る、 多岐 に亘る中小企業 を含む地域企業 に対す る、地 域 内大学な ど研究機関 との連携 による大規
模 な実態調査 の実施が不可欠 である。そ うした基本的なデータベー スが構築 されては じめて、 業
種間 のネ ッ トワー クの形成や連携、また海外進出の促進 にむけての施策、さ らに数多 くのオンリー
26が つ
も 重要な経営資源 の地域内再投資力 の強化が可能 とな り、 また苦境
ワン・ナ ンバー ワン企業
20
表 10に よる と、繊維・衣服産業が 2000∼ 12年 には 297事 業所 も減少 してお り、備後地域製造業では最大規模
の減少幅 であつた。
21
22
│1武 郎 (2010)。
橘り
新宅・ 大木 (2012)。 ちなみに、備後地域で も医療・介護業が重要な産業 としての位置づけを確立 している。前掲
の表 9で もみたよ うに、医療・介護業 の売上高 と付加価値額が、 2011年 度備後地域全産業 にお いてそれぞれ 4位
と 3位 に位置 し、 またその付加価 値率が全産業 の最高水準 の 56%に 達 している。
23
II武 貞
商メ
「 (2010)。
右
24
植 田 (2004、 第 5章 )。 植 田編 (2004)。
25
植 田 (2007)。 植 田・ 北村 。本多 (2012)。 岡田・ 高野・渡辺・秋元・ 西尾・ 川西
26
桑原・ 玉崎・ 石原 (2013)。 張 (近 刊 b)。
-54-
(2013)。
備後地域における企業の海外進出と地域経済の課題一高付加価値産業の創出と育成に向けて一
に直 面 し、 従 来 の メ リ ッ トが 失 せ つ つ あ る産 業 集 積 の再 生 の み な らず 、 そ の 集積 を基 盤 とす る高
付加価値 産 業 の 創 出 と育成 が進展 す る と思 われ る。
こ う した 高 付 加 価 値 産 業 の 拡 大 が、 長 期 間 にわ た る事 業 所 数、 従 業 員 数、 付 加 価 値 額 の 減 少、
さ らに雇 用 者 報 酬 の 低 下 を原 因 とす る と思 わ れ る地 域 内雇 用 の減 少、 人材 の 流 出 な ど地 域 経 済疲
弊化 の悪 循環 を食 い止 め られ る と考 え られ る。
本 稿 は文 部科 学 省科 学研 究 費補 助 金基 盤研 究 (C)「 戦後 地 方 工 業 集積 の ダ イ ナ ミ ックな展 開 に 関
す る基 礎 的研 究」 (代 表者 :張 楓、 課題 番 号 :25380427)│こ よ る研 究 成果 の一 部 で あ る。
参考文献
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-55-
備後地域 における企業 の海外進 出と地域経済 の課題一 高付加価値産業 の創出 と育成 に向けて一
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-56-