HAL®福祉用導入 1 年を経過して~効果検証および今後の課題~ 奈良県総合リハビリテーションセンター リハビリテーション科 柳澤和彦 高田博史 奥山良恵 佐久間恵 Key words : HAL、頚髄損傷、脳血管障害、効果検証 1. はじめに 当センターでは、平成 24 年 6 月よりロボットス ビリテーション(以下リハ)現場にて活用してい る。ここでは、訓練内容および効果について考察 したい。 2. 対象および方法 初期 対象:HAL でのリハ目的に入院(約 1 ヶ月)された 頚髄損傷不全麻痺者(以下頚損不全)5 名(改良 FrankelC2 以上)および脳卒中片麻痺者(以下脳卒 中)6 名(屋内歩行自立以上) 。 方法:理学療法士が、必要と考える HAL 訓練等を 週 5 日、約 40∼50 分/日実施し、10m 歩行・TUG・ FBS・ROM・MMT・満足度・主観的意見などについて、 初期・中間(2 週後) ・最終および可能な者につい ては退院後 1・2・3・6 ヶ月の評価を実施した。 3. 結果(1) 頚損不全における傾向 歩行速度については、初期から最終まで短縮し、 退院後も維持される傾向があった。歩幅よりもケ イデンス向上の傾向が強かった。 60 中間 最終 n=5 ケイデンスの向上については、CPG の賦活化に必要 な荷重感覚の入力訓練で、より適正な筋肉の収縮/ 弛緩が可能になったと推察する。また、HAL に限ら ず退院後も短期集中リハによる機能向上の可能性 が示唆された。 6. 考察(2)脳卒中について 維持期では、歩容が固定されており、荷重範囲 の拡大はある程度可能であるものの、HAL を用いて も健常歩行を目指すことは非常に困難であった。 特に、高次脳機能かつ重度感覚障害では、麻痺側 荷重に注意を向けることが反って速度を低下させ たと考える。 7. 考察(3)訓練内容について これまでの報告でもみられるように HAL では① 図:頚損不全歩行速度の変化(s/10m) 50 外部観察では得られないバイオフィードバック② o 40 図:脳卒中歩行速度の変化(s/10m) o ーツ HAL®両脚型(以下 HAL)を本格導入し、リハ 60 50 40 30 20 10 0 装具では困難であった、股関節および膝関節の動 30 きを制限しない補助が可能となる。これに、田中 20 ら(1)が述べているように、従来から用いられる理 10 学療法を組み合わせることでより効果的な訓練が 0 可能と考える。例えば、HAL で下肢の安定性を確保 初期 中間 最終 1ヵ月後 2ヵ月後 3ヵ月後 6ヵ月後 n=5 (注:測定不可の場合前測定値を採用) 4. 結果(2)脳卒中における傾向 歩行速度については、向上を認めなかった。HAL した上での、体幹の機能向上、リーチ動作、荷重 範囲の拡大訓練等である。一方、HAL ではアライメ ント調節困難な対象者も経験している。 使用時および動画上での麻痺側への荷重量の向上 8. 今後の課題 は認めた。 5. 考察(1) 頚損不全について 退院後も向上した機能を維持したことは、HAL により運動学習がなされ、定着化したと推察する。 対象者に応じた訓練の検討、アライメント固定 性の向上、踵部分の強度向上等。 (1)JR 東京総合病院 田中ら 第 2 回ロボリハ研究大会抄録より
© Copyright 2024 ExpyDoc