細胞質タンパク質は選択的にリソソームへと 運ばれ、シャペロン介在性オートファジー (CMA)として知られるオートファジーにより 分解を受ける。CMA は細胞内での品質管理と ストレス応答に寄与している。CMA は加齢に より、もしくは加齢に関係しない障害時におい ても損なわれるとされている。CMA の基質は リソソーム膜と輸送複合体の間を交叉し、結果 としてリソソーム膜の特性を変化させ CMA 活 性に大きな影響を与える。今回、我々は脂質摂 取が CMA 活性に及ぼす影響の解析を行った。 我々は慢性的、急性的な高脂肪への暴露はどち らも CMA 活性を抑制することを突き止めた。 脂肪負荷マウス肝臓由来のリソソームでは、 CMA 受容体(LAMP-2A)のリソソーム膜での安 定性が失われ、著しく減少した。加齢による CMA 活性の減衰のメカニズムともされている LAMP-2A 分解の促進は、この蛋白のリソソーム膜上の脂質領域 での流動性が上昇することによる。脂質生物学的解析は脂肪負荷動物のリソソーム膜において脂質組成が定性的、 定量的に変化することを明らかにし、このことは加齢に伴い観察されるものと似ている。我々の発見は今までは 知られていなかった高脂肪食の摂取による CMA への負の影響と、加齢による CMA の機能不全において食事の 組成の重要性を明らかにした。
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