ニュージーランド 2015 年公開鉱区入札について

更新日:2015/5/7
シドニー事務所:北村 龍太、レイニー・ケリー
ニュージーランド 2015 年公開鉱区入札について
(2015 年 5 月トピックス)
要旨:
① 2015 年 3 月 30 日、ニュージーランド政府石油鉱物局は、Block Offer 2015 として陸域、海域合わ
せて約 429,000km²のエリアを対象とした公開鉱区入札に関する発表を行った。
② 対象となるエリアは、陸域が「Taranaki Basin」「West Coast Basin」に位置する計 3 エリア、海域が
「Northland – Reinga - New Caledonia Basins」「Taranaki Basin」「Pegasus and East Coast Basins」
「Great South - Canterbury Basins」の 4 エリア。
③ 応札者はそれぞれのエリアにおいて連続するブロック(陸域:62.5km²/ブロック、海域:250km²/ブ
ロック)を選択し、複数組み合わせて応札を行う。
④ 締め切りは 2015 年 9 月 30 日、その後審査を経て翌 2016 年 4 月までに探鉱ライセンスが付与さ
れる予定となっている。付与される探鉱ライセンスの期間は、陸域エリアについては 10 年間、
Taranaki Basin 海域については 12 年間、その他の海域については 15 年間となっている。
⑤ 本年は新たに、ガスハイドレートを対象とした探鉱ライセンスP(H)EPの申請が可能となっている。
なおガスハイドレートについては Pegasus Basin 海域のみが対象となっている。
1.
2015 年公開鉱区入札 (Block Offer 2015)について
2015 年 3 月 30 日、ニュージーランド政府石油鉱物局(New Zealand Petroleum & Minerals)
は、オークランドで開催された国際カンファレンス「Advantage NZ Petroleum Conference 2015」
の席上において、Block Offer 2015 として陸域・海域合わせて約 429,000km²のエリアを対象と
した公開鉱区入札に関する発表を行った。
ニュージーランドにおける公開鉱区入札は、以前は Priority-in-time(先願)方式との併用で
不定期に開催されていたが、2012 年より先願方式を廃止して代わりに公開鉱区入札を毎年開
催する現在の方式に改められ、今回が新方式での 4 回目の開催となる。
これまでの 3 回同様、事前に公開された「Proposed Area」に対して、該当エリアに関係する
地元住民、地方自治体などから提出された要望を踏まえ最終公開エリアを決定しており、探
鉱ライセンス付与に際しては落札者が改めて地元住民などとの交渉を行う必要はない。
応札の締め切りは 2015 年 9 月 30 日、その後審査を経て翌 2016 年 4 月までに探鉱ライセ
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Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデ
ータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等
に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負
いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
ンスが付与される予定となっている。
③
④
①
⑤
②
⑥
図:Block Offer 2015 全体図
(NZ Petroleum & Minerals より)
 対象エリアについて
対象となるエリアは、陸域が「Taranaki Basin」「West Coast Basin」に位置する計 3 エリア、
海域が「Northland – Reinga - New Caledonia Basins」「Taranaki Basin」「Pegasus and East
–2–
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含
まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、
何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお
願い申し上げます。
Coast Basins」「Great South - Canterbury Basins」の 4 エリア。
表:Block Offer 2015 概要一覧 (NZPetroleum & Minerals より)
陸域
Taranaki
15TAR-R2
1,039 km²
15WEC-R1
2,007 km²
West Coast
15WEC-R2
1,046 km²
海域
Northland-Reinga -New Caledonia
15NRN-R1
186,181 km²
Taranaki
15TAR-R1
53,253 km²
Pegasus-East Coast
15PEG-R1
44,015 km²
Great South-Canterbury
15GSC-R1
141,757 km²
それぞれの Basin について以下に概略を記す。
なお詳細については、石油鉱物局が発行している「New Zealand Petroleum Basins」を参
照いただきたい。下記 URL にてダウンロード可能。
http://www.nzpam.govt.nz/cms/investors/our-resource-potential/petroleum/petroleum-ba
sins/
① Taranaki Basin (陸域、海域)
NZ で唯一生産中の堆積盆。陸域海域含め、約 20
フィールドの生産フィールドが存在する。北島西部の
陸上及び沖合いに広がり、海域エリアの 75%以上は
水深 200m 以下であるが、西部の最大水深は 1,500m
を超える。これまでは陸上および浅海域を中心に探
鉱が進められており、400 を超える坑井 (探鉱井およ
び開発井)が掘削されている。最も新しい発見は 2011
年の Copper Moki と Sidewinder (いずれも陸域)であ
る。
2014年にはAnadarko によって、同Basin で初めて
となる深海エリアでの探鉱井 Romney-1 が掘削されて
いるが、結果は「Water Bearing」と発表されている。
(NZPetroleum & Minerals より)
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含
まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、
何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお
願い申し上げます。
②West Coast Basin (陸域)
南島の中部西岸の堆積盆で、地表への原油分浸
み出しなどが多数見られることから 1900 年代序盤より
注目はされているエリア。陸上においていくつかの
試掘井が掘削されるも、商業的発見には至っていな
い。
生 産 ラ イ セ ン ス と し て は Basin 内 で 唯 一
PMP-50100 が付与されている鉱区があり、石炭層か
らのガス (CSG:Coal Seam Gas)をターゲットとしてい
る。
(NZPetroleum & Minerals より)
③Reinga-Northland Basins (海域)
広大な未探鉱エリアであるが、Statoilが2013年、
2014 年の公開鉱区入札において連続して探鉱ライ
センスを取得しており、注目が高まっている。
1960 年代に約 13,000 km の 2 次元地震探鉱が
実施された他、近年では 2009 年にマルチクライア
ントサーベイとして石油鉱物局が約5,000 km の 2 次
元地震探鉱を実施している。また隣接する Taranaki
Basin との境界付近に 6 坑の試掘井が掘削されてい
るが、いずれも商業規模の発見には至っていない。
(NZPetroleum & Minerals より)
④New Caledonia Basin (海域)
Taranaki Basin に隣接しており、北西の一部には 2013 年に Shell/CNOOC によってライ
センス申請がされ政府承認待ちとなっているエリアを含んでいる。
これまでエリア内において石油ガス探鉱井の掘削実績はないが、隣接する Taranaki
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まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、
何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお
願い申し上げます。
Basin との地質的類似性が期待される大水深エリア(水深 2,000m 以上)である。
⑥ Pegasus Basin (海域)
ほぼ手つかずの未探鉱エリアであり、Basin 内に
試掘実績は な い 。 2012 年公開鉱区入札に て
Anadarko が 2 鉱区、2014 年公開鉱区入札では
Chevron/Statoil 連合が 3 鉱区について、それぞれ
探鉱ライセンスを取得している。
近年では Reinga-Northland Basins 同様マルチク
ライアントサーベイとして約 3,400 km の 2 次元地震
探鉱が実施されている。その結果から、BSR (Bottom
Simulating Reflector)の存在が認識されており、ガス
ハイドレートの存在についても指摘されている。
2014 年には Anadarko が、上述した保有鉱区内にお
いて約4,500 km の 2 次元地震探鉱を実施している。
(NZPetroleum & Minerals より)
⑦ Great South-Canterbury Basins (海域)
広大な海洋エリアであり、その大部分は未探鉱とな
っている。水深は最大1,500m。両Basin において過去
に 20 坑程度の試掘井が掘削されており、複数の坑井
において商業規模に満たない発見が報告されてい
る。
2014 年 3 月には Anadarko がオペレータを務める
探鉱鉱区にて試掘井 Caravel-1 が掘削され、結果は
「Gas Show」と発表されている。周辺では Shell を中心
とするグループが 2 鉱区を保有する他、Woodside を
中心とするグループが2013 年公開鉱区入札にて 1 鉱
区の探鉱ライセンスを取得している。
(NZPetroleum & Minerals より)
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 鉱区申請方法について
鉱区申請に際しては 2014 年同様、海域・陸域ともにそれぞれのエリアにおいて経緯線
に従って定められた小エリア(ブロック)を複数組み合わせて応札するシステムを採用して
いる。海域の 1 ブロックは最大約 250km²、陸域の 1 ブロックは最大 62.5km²であるが、
Taranaki 陸域は既存ライセンスとの関係でブロックはそれよりも格段に狭いエリアとなって
いる。
一つの申請として設定できる面積は、それぞれのエリアにおいて上限が設定されてい
る。Taranaki 陸域では 250 km² (4 ブロック相当)、West Coast 陸域では 1,000 km² (16 ブロッ
ク相当)、Taranaki 海域では 2,500 km² (10 ブロック相当)、その他の海域(Reinga –Northland
-New Caledonia、Pegasus -East Coast、Great South -Canterbury)では 10,000 km² (40 ブロ
ック相当)となっている。なお一つの申請として扱われるためには、それぞれのブロックが
お互いに隣接している必要がある。
付与される探鉱ライセンスの期間は、2013 年 5 月の法改正により 2012 年までの一律 5
年間から変更されている。今回の対象エリアのうち陸域 3 エリアについては 10 年間、
Taranaki海域については12年間、その他の海域3エリアについては15年間となっており、
いずれも一定期間内に探鉱井の掘削、および一部鉱区エリアの放棄を行うか、さもなくば
鉱区から撤退をするかを選択しなければならない。15 年間の探鉱期間が与えられる海域3
エリアを例にとると、最初の 6 年の間に試掘位置の選定を行う必要がある。試掘に値すると
判断した場合には 6 年経過時に 50%の鉱区放棄を行い、1 年以内に試掘を行うこととなる。
詳細については石油鉱物局下記 URL を参照いただきたい。
http://www.nzpam.govt.nz/cms/investors/permits/block-offers/block-offer-2015/images-a
nd-files/Block%20Offer%202015%20Invitation%20for%20Bids.pdf
 今後のスケジュール
応札の締め切りは 2015 年 9 月 30 日、その後応札内容の審査期間に入る。審査は 3 段
階で行われる。
まずは「Qualifying Bid Check」として、提出された作業計画(Work Program)について、事
前に設定されている最低義務作業などの指針をクリアしているものの選別が行われる。
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何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお
願い申し上げます。
「Qualifying Bid Check」終了後、当該エリア に対して複数の応札が残っ た場合
「Competing Bid」として扱われ、探鉱作業として最も効率的と判断される作業計画を提示し
た企業が 1 社選定される。「Qualifying Bid Check」にて当該エリアへの応札が 1 社のみであ
った場合には「Non-Competing Bid」として扱われ、作業計画に対する評価が行われる。
最後に「Capability Assessment」として、選定された企業に対して技術的、財務的に作業
計画を確実に遂行することが可能かどうかの評価が行われる。
以上のプロセスを経て、適当と認められた企業に対して探鉱ライセンスが付与されるこ
ととなる。下記イメージを参照いただきたい。
図:Block Offer 2015 審査プロセスイメージ
(NZ Petroleum & Minerals より)
陸域海域共に各ブロックを任意に組み合わせて応札する方式のため、各応札者間で
一部のブロックについてのみ重複が発生する可能性がある。その場合、Work Program の
優劣判断にて劣後した企業に対しては、重複していないブロックのみに関して再度作業計
画の再提案を求める「Alternative Offer」と呼ばれる制度が設けられている。なお同制度で
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何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお
願い申し上げます。
はこの他に、同一ブロックに対する 2 社の優れた提案に対して、改めて共同での提案を持
ちかける可能性があることも示唆されている。
上記の審査期間を経て、2016 年 4 月までには正式に探鉱ライセンスが付与される予定
となっている。
 ガスハイドレート対象ライセンス
本年は新たに、ガスハイドレートを対象とした探鉱ライセンスの申請が可能となっている。
上述の通り Pegasus Basin などにおいてその存在が確認されており、資源としての注目度
が高まっていることが背景にあるものと思われる。
これまで設定されている探鉱ライセンス「Petroleum Exploration Permit (PEP)」は、在来
型石油ガス、石炭層ガス (Coal Seam Gas)、非在来型石油ガス (シェールガス、タイトガス
など)全てを対象としてきたが、ガスハイドレート探鉱に関しては新たに「Petroleum Hydrate
Exploration Permit (P(H)EP)」が設定されることとなる。2013 年に発行されている Petroleum
Programme (Mineral Programme for Petroleum 2013)においては、P(H)EP は PEP との重複
が認められるとの記載がある。しかしながら、石油鉱物局の関係者から聴取したところでは、
今回の入札においては重複は認められず、応札において他の PEP 出願者とエリアが重複
した場合には上述の「Competing Bid」として扱われ、作業計画の優劣評価が行われること
となる、とのことであった。
なおガスハイドレート対象ライセンスについては、本年は Pegasus-East Coast Basin 海
域 (15PEG-R1)のみが対象となっているが、将来的には他のエリアにも適用する予定との
コメントが得られている。
2.
総括
2012 年より現在の形で開始された Block Offer であるが、毎年新たな試みがなされている。
2013 年からは現行のブロック組み合わせ選定方式を海域鉱区に適用、2014 年からは同方
式を陸域鉱区にも拡大しているが、今年度は新たにガスハイドレート対象ライセンスを設定し
ている。上述の通り、ハイドレート対象ライセンスと従来型のライセンスとは異なるものの、今回
の入札においてはそれぞれの重複が許されないため、応札にて申請が重複した場合には対
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含
まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、
何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお
願い申し上げます。
象の異なる作業計画の優劣判断が求められることとなり、難しい判断が求められるのではない
かと推測される。
2014 年 3 月までに、Anadarko が Taranaki Basin、Canterbury Basin において、いずれも大
水深エリアでの試掘井 2 坑の掘削を終えている。いずれも商業規模の発見には至らなかった
模様であるが、2013 年の Statoil、Woodside 参入に続き 2014 年には Chevron の新規参入もあ
り、引き続き海域未探鉱エリアへの注目度は高いと言える。
以上
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まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、
何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
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