真の「エリート」たらん!! 2015.4.30 NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」では、とうとう「安政の大獄」で吉田松陰は処刑されましたが、 この間、何回かは「松下村塾」が舞台となっていました。「松下村塾」で青年たちが、生き生きと 師(吉田松陰)や仲間と学び合う姿に、ちょっと感動して見ていました。松下村塾の「共に学ぶ」 「志を重視する」というスタンスを本校でも見習うべきだと感じています。この松下村塾から、高 杉晋作、久坂玄瑞、吉田稔麿、前原一誠、伊藤博文、山県有朋ら幕末・明治維新で活躍する人物 が多く輩出したことはご存知だと思います。 松下村塾と並び称されるのが、大阪で緒方洪庵が開いた「適塾」です。この適塾からは、福沢諭吉、 橋本左内、大村益次郎、大鳥圭介、佐野常民、高峰譲吉ら、やはり幕末・明治維新に活躍した多 くの人物が輩出しました。私は何年か前、淀屋橋での研修会の帰り、適塾を見学したことがあり ます。塾生たちが当時きわめて貴重だったズーフ辞書という蘭和辞典を奪いあって徹夜で予習し た「ズーフ部屋」という小部屋などを見ながら、後に時代を切り拓く青年たちが大きな志を持って、 情熱的に学んだ様子を思い浮かべました。福沢諭吉は後に、この適塾での青春時代を「このうえ にしようも無いほど勉強した」と述懐しています。 松下村塾も適塾も私塾です。世界トップ水準だったと言っていい江戸時代の教育は全国に15 00あったという私塾、また1万5千以上あったと言われる「寺子屋」が支えていたのです。そし て幕末の動乱期、日本を再生する人物を育成したのも私塾だったわけです。私たち私学はこの流 れにあるという矜持を持ちたいものです。 何か教育史の話のようになってきましたが、もう少し。明治以後、いわゆる官学が整備されま すが、その中で多くの人が評価するのは「旧制高校」です。私も若い?ですから旧制高校のこと は小説や映画で知るだけです。かなり前に読んだ旧制高校を舞台にした小説「北辰斜めにさすと ころ」の紹介の文章はこうです。「『天才的な馬鹿になれ、馬鹿の天才になれ!』旧制高校から帝大 に進んだかつてのエリートは、私欲に走る小賢しい秀才を軽蔑し、国家や社会のためにひたむきに 生きることを目指した。」 旧制高校と言えば、戦前の教育体系では、超エリートしか進学できません。しかし小説に出てく る高校生たちは、仲間と共に大騒ぎし、「祭り」もやる。その一方で学問も徹底的にやる。自分よ り仲間を大切にし、鼻持ちならない間違ったエリート意識を持っていません。そんな高校生が将来、 社会のために働くことを知っているから、社会もまた彼ら学生に優しい。小説に出てくる彼らの 多くは戦死しますが、生き残った者たちが、その遺志を継いで、国の再建に力を尽くしたのです。 さて、わがヴォーリズ学園の学園訓「地の塩・世の光」は、自分のことは少し我慢しても、他の 人の為に貢献する生き方を求めています。数ある高校の中には、本校よりも「偏差値」の高い高 校はあるでしょう。また所謂「進学校」と言われる高校も多いでしょう。しかし真のエリート教育 を追求しているという点で本校はトップの高校でありたいと思います。 学園祭の取り組みがスタートしました。写真は22日の「団開き」の光景です。仲間と大いに盛 り上がり、そして懸命に学んでください。それが真のエリートへの歩みとなりますし、本校の求 める高校生の姿です。
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