計算工学講演会論文集 Vol.20 (2015年6月) 計算工学会 位相(トポロジ)最適化と 構造要素法による内部荷重ベース設計 Topology Optimization and Internal Load Base Design with Structural Element Method 高岡秀年1) Hidetoshi Takaoka 1) エレメンタルデザイン&コンサルティング株式会社(URL: www.eldc.co.jp, E-mail: [email protected]) Internal load-based design with structural element method is introduced as a technique for using the appropriately designing the results of CAE. Internal load-based design is a design technique that has been used in the structural design of the aircraft. To decompose the complex shape to structural elements, to proceed with the design to understand the role of the load flow and each member. The problem of the intermediate elements of the topology optimization is clarified and Internal load-base design apply it to the topology optimization. Key Words : Internal load base design, Structural Element Method, Topology Optimization 1. はじめに CAEの結果を適切に設計に利用するための手法として 構造要素による荷重伝達のモデル化の概要を図8~1 0に示します。製品の各部位を構造要素で単純化し、荷 構造要素法による内部荷重ベース設計を紹介します。内 重伝達をモデル化することで、構造の本質を把握します。 部荷重ベース設計は、航空機の構造設計で用いられてき また、過去の製品でも、形状から荷重の流れ等の各部位 た設計手法です。複雑な形状を構造要素に分解し、荷重 の役割を解釈することができます。 の流れと各部材の役割を理解して設計を進めます。 構造の破壊モードの分析にも有益です。部材を構造要 トポロジ最適化の中間要素の問題点を明らかにし、本 素のレベルまで単純化して考えることで、設計チャート 設計手法を用いて位相(トポロジ)最適化の評価・結果解釈 や理論式に基づいて構造の挙動を理解することが可能に に用いる例を示します。 なります(図11、12参照)。 2. 会社概要 とし込んで、各部位の挙動を考察し、全体としての挙動 また、圧縮衝撃破壊においても、構造要素レベルに落 弊社は、設計受託・支援サービス、関連ソフトウェア の販売・サポートを提供しています(図1参照)。 の本質を把握するのに有益です(図13参照)。静的な 圧縮における強度は、局所的な不安定現象が起点となり、 国内メーカーにおける航空機や複合材の設計実務、及 それに全体の部材としての強度が決まります(図14参 びベンダーでのCAE活用経験を踏まえたサービスで、実 照)。フレームにおいても、各板要素単位でその強度を 戦的な結果を得ることが可能です(図2、図3参照)。 求め、全体の破壊強度を設計チャートを用いて求めるこ 3. 内部荷重ベース設計とは 構造の役割(荷重伝達)を体系的に把握して設計する 手法です(図4参照)。従来手法「外部荷重→応力」で とが可能で、構造要素レベルの挙動が全体の現象を支配 していることが分かります(図15、16参照)。 さらに、この考え方は、衝撃圧縮問題(図17)やCFRP 等の複合材(図18)でも適用可能です。 は、モーメント分布や応力コンターなどの負荷の状態は 把握できましたが、構造・部材の役割が不明確のままで した(図5参照)。 4. 位相最適化の課題と活用例 これが、内部荷重ベース設計により、「外部荷重→内 位相最適化とは、設計条件を考慮しながらFEM解析と 部荷重→応力」の順で考えると、部材の役割を踏まえた 密度分布の増減を繰り返し行い、適切な材料レイアウト 設計が出来ます。また、初歩の力学でCAEの結果解釈・ を導く手法です(図19参照)。 評価できる力が身に着けることが出来ます(図6参照)。 位相最適化は、時には当初のイメージと異なる結果が 構造要素とは、形状と分担荷重で分類したものです(図 得られることがありますが、構造要素を用いて内部荷重 7参照)。また、構造要素は、形状に応じて効率的に分 の伝達モデルを検討することで、その本質をつかむこと 担できる荷重の種類は自ずと決まってくるので、最適化 ができます(図20~22)。 結果の解釈にも役立てることが可能です。 位相最適化の課題として、中間要素が必要か不必要か 5. まとめ の判断が難しいことが挙げられます。中間要素を機械的 CAEの発展により、構造解析や構想検討を誰でも効率 に一律で削除することは誤りです(図23、24参照)。 的に行うことが出来るようになりましたが、結果の解釈 最適化結果を構造要素を用いて内部荷重の伝達の仕組 は、経験に頼るところが多かったかと存じます。構造要 みを分析すると、中間要素も曲げに伴うせん断力を伝達 素法の内部荷重ベース設計は、初歩の力学で体系的な評 するという構造上の重要な役割を果たしていることが分 価が可能です。部材の役割を理解し、形状に起因する構 かります(図25~28参照)。 造の特徴(効率的に伝達できる荷重)を踏まえた設計が 出来るようになりますので、是非ご活用いただければ幸 いです。 図1 弊社業務概要 図4 図2 図3 代表取締役 略歴 (事例)軽量化と最適設計 図5 内部荷重ベース設計とは 従来手法(外部荷重→応力)の問題点 図6 内部荷重ベース設計のメリット 図7 構造要素とは 図8 構造要素による荷重伝達のモデル化 図9 内部荷重伝達のモデル化の手順 図10 内部荷重に基づいたサイジング 図11 破壊モード分析における適用例1 図12 破壊モード分析における適用例2 図13 静的圧縮強度と衝撃圧縮強度の検討 図14 圧縮不安定崩壊の原因 図15 図19 塑性域座屈の設計チャート 図20 位相最適化とは 位相最適化における構造要素法の活用例 図16 構造要素レベルの挙動が全体の現象を支配 図17 衝撃問題の米国での事例(2013年) 図21 位相最適化結果の荷重伝達モデル化 図18 複合材の静的圧縮破壊の挙動 図22 位相最適化結果のモデル化の妥当性 図23 位相最適化における課題 図24 図25 以上 確認解析結果 最適化結果の分析 図26 初期形状の内部荷重伝達モデル1 図27 初期形状の内部荷重伝達モデル2 図28 スムージング形状の内部荷重伝達モデル
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