X 線サブピクセルシフト(SPS)法による高分解能 CT の検討

SUNBEAM Annual Report with Research Results, Part 3, Vol.4 (2014)
S-172014A5400
BL16B2
X 線サブピクセルシフト(SPS)法による高分解能 CT の検討
米山 明男、馬場 理香、隅谷 和嗣1、平井 康晴1 株式会社日立製作所 中央研究所、1九州シンクロトロン光科学研究センター X 線 CT における空間分解能の向上を目的として、X 線サブピクセルシフト(SPS)法を新たに開発した。本法は、
画像検出器を撮像素子サイズの 1/n ずつシフトして取得した複数の CT データセットから、断面像を再構成する方法で
ある。通常の測定に比べて n 倍の時間を要するが、検出器の空間分解能を超えた高精細な画像を取得することができる。
本法の試用イメージングとして,昨年度サンビームに導入された PILATUS 100 K を用い,電解コンデンサーを対象
とした観察を行った。通常の CT 測定毎に、試料回転ステージを回転軸と直交する方向に 86 mm(画素サイズの 1/2)
シフトし、計 2 周分の CT データを取得した。測定後に全 CT データからサイノグラムを合成し、FBP 法により断面像
を再生した。
図 1 に電解コンデンサーの中心部分の断面拡大像を示す。(a)
が従来の CT による像で、(b)が SPS 法による像である。この
結果から、(b)の像ではフィルムの巻き状態や、電極との接合
箇所などがより鮮明に描出され、空間分解能が大きく向上して
いることがわかる。今後,本 SPS 法と PILATUS を組み合わせる
ことによって、高空間分解能かつ高密度分解能の観察が期待さ
れる。
図 1. 電解コンデンサーの断面図
122
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S-18
2013B5110, 2013B5410, 2014A5110, 2014A5410
BL16XU, BL16B2
多次元検出器と BL16 回折計の LabVIEW、IDL による
統合制御ソフトの開発
淡路 直樹
株式会社富士通研究所
はじめに: サンビーム共同体では、2013 年度に X 線回折をはじめとする放射光測定の高度化・迅速化を目指して、
SPring-8 BL16 ビームラインに PILATUS100K と MYTHEN 多次元検出器および Anton Paar DHS1100 加熱装置を導入した。こ
れらの設備を回折計ゴニオメータに連動させ各種測定に活用するために、統合型装置制御ソフトを開発・導入した。
構成と結果: 統合ソフトは、回折計の制御および DHS1100 の制御にはシリアル通信、PILATUS100K、MYTHEN 検出器
には TCP/IP ソケット通信を利用し、LabVIEW を用いて開発した。この制御ソフトでは、利用検出器として SC、PILATUS、
MYTHEN をボタンで選ぶだけで種々のスキャンや連続測定、マクロ測定が可能であり、加熱装置の制御も簡単に行うことが
できる。一方、PILATUS 検出器からは多量の 32bit 2 次元 tiff データがワークステーションに収集されるため、その高速な処
理のために配列指向言語である IDL(Interactive Data Language)を導入した。この言語により、LabVIEW ソフトとソケット
通信を行うサーバーソフトを開発した。サーバーソフトは、収集データのモニター表示や ROI 計算、Line データ抽出などを
オンラインで行う。さらに IDL を用いたオフラインソフトとして、イメージファイルのビューア、マッピング測定マクロや
その連結ソフト、2 θへの動径積分、2 θ値の連結ソフト、2θ -Azimth 変換、2 θ温度依存性表示ソフトなどの基礎解析ソフトも
開発した。その結果、利用者は従来の回折測定と同じ手軽さで検出器を変えたり、測定データをオンラインでモニターしな
がら、迅速に基礎解析までが行えるようになった。最近では、このソフトを用いた種々の実験成果が報告されつつある。
謝辞: 本設備の立ち上げでは、小金澤様をはじめとする JASRI, SES の皆様方の技術的支援に感謝致します。
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S-19
2013B5110, 2013B5410
BL16XU, BL16B2
Sn-Bi-0.5Sb 溶融半田における凝固過程その場観察
野村 健二
株式会社富士通研究所
Sn-Bi 半田は、現行の Sn-Ag-Cu 半田と比べて融点が 80℃程度低く低温実装が可能なため、実装部品の耐熱及
び実装時の環境負荷低減の観点から期待されている。一方、Sn-Bi 半田は、衝撃に対する脆弱性のため、スマー
トフォンやノート PC 等のモバイル機器への適用は困難であった。我々が開発した Sn-Bi 半田に Sb を 0.5 wt % ドー
プした Sn-Bi-0.5Sb 半田は、Sn-Bi 半田と比べて機械的強度が向上することが明らかになっている。一方、ドー
プした Sb が機械的強度の向上にどのような役割を果たしているかは分かっていなかった。そこで、機械的強度
向上のメカニズムを解明し、Sn-Bi-0.5Sb 半田のモバイル機器適用に対する信頼性を向上させることを目的とし
て、XRD 法を用いて溶融半田の凝固過程のその場観察を行った。測定の結果、Sn-Bi-0.5Sb 半田、Sn-Bi 半田共
に、凝固過程の初期段階では Bi 相と SnBi 合金相で構成されており、降温過程で SnBi 相から Bi が排斥され室
温では Sn 相と Bi 相で構成されていることが明らかになった。ドープした Sb は、この凝固過程の中間相として
出現する SnBi 相を安定化させ、Sn 相と Bi 相に分離する温度を低温化させる効果があることが分かった。さら
に、Sn-Bi 半田と Sn-Bi-0.5Sb 半田の凝固過程における結晶粒の成長を観測した結果、より低温で分離する Sn-Bi0.5Sb 半田では、結晶粒の粗大化が抑制されていることが明らかになった。半田材料のような多結晶体の機械的
強度と結晶粒径の間には Hall-Petch の関係が成り立ち、結晶粒径が小さいほど機械的強度が増すことが知られて
いる。よって、Sn-Bi-0.5Sb 半田ではドープした Sb により SnBi 合金相が安定化され、SnBi 相から Sn 相と Bi 相
への分離温度が低下し、結晶粒の粗大化が抑制されたことが、機械的強度の向上に繋がったと考えられる。
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S-20
2013A5110, 2013B5110, 2014A5110, 2012A1735, 2013B5410, 2014A5410
BL16XU, BL16B2, BL19B2
垂直配向カーボンナノチューブ膜の評価技術開発
土井 修一、淡路 直樹、廣瀬 真一
株式会社富士通研究所
現在、富士通では、カーボンナノチューブ(CNT)の優れた熱伝導性、弾力性、機械的強度を活用し、高出
力トランジスタのような発熱密度が高い素子に対して、高効率で放熱・冷却することのできる高熱伝導性材
料(Thermal Interface Material : TIM)の開発を行っている。CNT は、Fe や Co などの金属微粒子を触媒として、
C2H2 や CH4 などの原料ガスから CVD 成長させることができる。 形成された CNT の膜としての熱伝導性は、
CNT の成長時の密集度(密度)や CNT の結晶性及び配向性など、CNT の成長状態に大きく依存する。TIM 用
途向けの CNT 膜は、膜の両面間の熱伝導性を高める必要があるため、垂直方向に配向がそろった CNT を密集
させて成長させることが重要である。所望の CNT 膜を得るためには、CNT の成長状態と熱伝導性及び CNT の
成長条件との関係を調査する必要がある。
本研究では、X 線を用いて、厚さ数 100 μm の CNT 膜の密度・結晶性・配向性等を非破壊かつ簡便に評価で
きる分析技術の開発・検討を行った。密度評価に関しては、CNT による X 線の吸収効果を利用する方法を採
用した。ビームサイズを 10 μm 程度に絞った X 線を走査することにより、CNT 膜の密度及び膜中の密度分布
を定量的に評価することが可能となった。また、新規導入した 2 次元検出器 PILATUS を併用することにより、
試料中の同一照射位置における CNT の結晶性及び配向性の迅速な評価が可能となった。報告会では、本技術
の詳細の他、本技術で評価した各種 CNT 膜の分析結果について報告する。
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S-21
2012A5430
BL16B2
水素化酸化インジウム薄膜の結晶化挙動
本谷 宗
三菱電機株式会社
はじめに: ITO(酸化インジウム・錫)よりも光透過率に優れる透明導電酸化物として水素化酸化インジウム(InOx:H)
が注目されている。 InOx:H 薄膜は、一般に低温で製膜されることから、非晶質構造をとる。この段階では導電性が得られず、
結晶化熱処理により好適な導電率が発現する。本研究では導電率向上プロセス開発の一環で、結晶化熱処理に伴う InOx:H 薄
膜の局所構造変化を調べた。
実験: ガラス基板上に、約 100 nm 厚の InOx:H 薄膜を形成し、結晶化処理中
の局所構造変化について、熱処理温度依存性(150℃ ~ 200℃:30 分)と熱処理
時間依存性(5 ~ 60 分:180℃)とを XAFS 法により評価した。XAFS 測定は、
19 素子検出器を用いた蛍光収量法により行い In-K 吸収端の吸収微細構造を測定
した。また測定時サンプルは冷凍機を用いて 15 K に冷却した。
結果: 冷凍機の使用により、k=12 Å -1 までの高次の広域微細構造を捉える事
に成功した。また XANES 領域から、結晶化に伴う吸収端シフトは生じないこと
が分かった。EXAFS 領域から、熱処理時間では結晶化以降の時間的変化は見ら
れない。一方、熱処理温度では、180℃を境界として低温域と高温域とでは、そ
の結晶化挙動が異なることが明らかになった。以上から InOx:H の結晶化処理に
伴った局所構造変化において熱処理温度の影響が大きいことが示唆された。
130
Fig. InOx:H 薄膜の動径分布関数
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S-22
BL16XU
サンビームの HAXPES 装置
吉木 昌彦
株式会社東芝 HAXPES 装置サブグループ
サンビーム共同体では、高度化かつ多様化する各社ニーズに応えるため、
BL16XU に HAXPES(硬 X 線光電子分光)装置を導入、2014A 期に基本
機能の立ち上げ作業を完了し、各社利用を開始した。
装置構成としては、共用ビームラインで実績のある仕様をベースに産業
利用に適した機能を盛り込んでおり、最大 60 × 20 mm の大型試料ホルダー
と自動測定機能による効率化、アッテネータを用いた検出器の飽和抑制に
よる高精度化、電子銃とイオン銃を併用した試料帯電中和システムによる
絶縁物試料への対応、搬送ベッセルによる真空・不活性雰囲下での試料導
入などを実現した。また装置性能としては、共用ビームラインと同等のエ
ネルギー分解能(< 250 meV)および測定感度に加え、縦横 25μm まで集
光された X 線ビームにより、特に斜入射配置での高感度測定や全反射を利
用した非破壊深さ分析で予想以上の性能が得られることを確認した。
2014B 期には各社利用を本格化して有効活用を進めるとともに、バイア
ス印加測定やスパッタエッチング等の立ち上げを行う予定である。なお、本設備の技術検討や仕様策定では、JASRI を
はじめ関係各位に多大なご協力を頂いた。
特長
■25 μmに集光されたX線により、斜入射配置での高感度測定および全反射測定が可能
■導入時間5分、60×20 mmの大型試料ホルダーと自動測定により、多数の試料を効率よく測定可能
■電子銃とイオン銃を組み合わせた帯電中和システムにより、絶縁物を含む幅広い試料に対応
■試料搬送ベッセルを用いた真空・不活性ガス雰囲気下での試料導入に対応
■アッテネータを用いた検出器の飽和抑制により、主成分から微量元素まで高い精度で測定可能
■5系統入力に対応した電圧印加試料ホルダーにより、4端子法を用いた精密な電圧印加測定が可能
サンビームHAXPES概略図
光学ハッチ
SPring-8 蓄積リング
アンジュレーター
BL16XU
真空系制御ラック
スリット
X線
チャネルカット結晶分光器
(単色化)
LN2冷却二結晶分光器
(単色化)
実験ハッチ
アッテネータ
(強度調整)
PINダイオード
(強度モニター)
ベントシリンドリカルミラー
(横集光+縦集光)
*赤文字はHAXPES用に導入した設備
ミラー収納
チャンバー
アッテネータ
シリンドリカルミラー
(横集光)
試料
光電子
アナライザー
(エネルギー分析)
電圧印加スロット
イオン銃
アナライザー
HAXPES本体
シリンドリカルミラー
HAXPES本体:試料導入室、測定室、排気室、
アナライザー(SCIENTA R4000 Lens1 10keV)
132
Si(111)チャンネル
カット結晶分光器
シリンドリカルミラー
&アッテネータ
大型試料
ホルダー
大型試料ホルダー
&電圧印加スロット
電子銃
電子・イオン併用
帯電中和システム
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性能
■測定感度
Au試料のAu4f 7/2 ピーク高さ > 300 kcps(Multiple Counting 補正後)
■エネルギー分解能
Au試料のフェルミ端幅(16-84%)= 0.24 eV
■励起X線
利用可能エネルギー: 6, 8, 10 keV
光子フラックス: 1.3×10 11 photons /s @8 keV
ビームサイズ: 水平~25 µm, 垂直~27 µm
励起エネルギー: 7944.69 eV
X線視射角 (XGA): 2.0°(指定なき場合)
12
測定時間: 2分
300
250
200
150
100
50
0
Au4f5/2
92
90
88
8
6
86
84
82
0
80
1.0
1.2
水平方向
0.8
垂直方向
0.6
各位置のSi1sピーク面積
1.0
25 µm
27 µm
0.4
0.2
0.0
-0.10
-0.05
0.00
0.05
ナイフエッジ位置 [mm]
0.5
0.0
-0.5
束縛エネルギー [eV]
12
10
0.10
0.2°でも視野からの
はみ出しは小さい
10.0°
5.0°
2.0°
1.0°
0.2°
1.0
0.8
0.6
0.4
分析視野(ライン状)の長さ ~ 3.8 mm
0.2
0.0
ナイフエッジによるビームサイズ評価
-2.0
-1.0
0.0
1.0
2.0
分析視野内の位置 [mm]
Si基板
Si基板に由来するSi2p1/2
とSi2p3/2の分裂が明瞭で
6 実験室XPSより高分解能
4
SiO2
2
0
-1.0
Si2p
測定時間: 22分
8
Au試料のフェルミ端スペクトル
Au試料のAu4f スペクトル
1.2
差分信号(規格化後)
0.24 eV
2
Au4f7/2
束縛エネルギー [eV]
測定時間: 3.5分
4
アナライザースリット: curved 0.5 mm
試料: Au, SiO2(5.5 nm)/Si
14
Fermi-edge
10
光電子強度 [kcps]
Au4f
350
光電子強度 [kcps]
光電子強度 [kcps]
400
パスエネルギー: 200 eV
光電子検出角 (TOA): 90°- X線視射角
110
105
100
95
束縛エネルギー [eV]
SiO2(5.5nm)/SiのSi2p
ピーク面積(10°で規格化)
[測定条件]
30
Si1s(Si基板)
Si1s(SiO2)
O1s
C1s
全反射条件では
検出深さが急減
25
20
15
低角になるほど
測定感度が増加
10
5
0
SiO2全反射臨界角
0.0
90
1.0
89
2.0
88
3.0
87
4.0
86
X線視射角(=90°-TOA) [°]
5.0
85
斜入射測定における感度向上
ビームスポットのX線視射角依存
1.0 nm
5.5 nm
9.4 nm
51.6 nm
Si基板の
信号を検出
1849
1844
1839
束縛エネルギー [eV]
1834
As: 2e14 atoms/cm2
Si1s
E+7
107
注入深さ ~
As注入層
10 nm
Si基板
O1s
E+6
106
E+5
105
As2p
As2s
E+4
104
Si2s
C1s Si2p
測定時間: 3分
E+3
103
2000
1500
1000
500
束縛エネルギー [eV]
SiO2
1844
1839
束縛エネルギー [eV]
0
(d-1) As注入Siのワイドスペクトル
Si置換サイト
格子間サイト
2つの結合状態
の比率が変化
5e12 (150分)
5e13 (15分)
2e14 (5分)
3e15 (1分)
1329
As2p3/2
5e12 atoms/cm2
~ 0.005 原子層
1324
束縛エネルギー [eV]
1319
(d-2) As注入量によるAsの変化
Si基板
Si1s
8 keV 励起
6 keV 励起
Si基板強度が減少
= 検出深さが小さい
SiO2
1849
1834
1844
1839
1834
束縛エネルギー [eV]
(b) Si1sのX線視射角依存
光電子強度(規格化後)
光電子強度(Log)[cps]
E+8
108
0.2°ではX線全反射に
より表面のSiO2が増大
1849
(a) Si1sのSiO2膜厚依存
10.0°
5.0°
2.0°
1.0°
0.2°
(c) Si1sの励起エネルギー依存
光電子強度(規格化後)
SiO2
Si基板
Si1s
光電子強度(規格化後)
Si基板
Si1s
光電子強度(規格化後)
光電子強度(規格化後)
測定例
Si1s
Si基板
測定時間: 各2.2分
3e15
2e14
5e13
5e12
SiO2
1847
Si格子の乱れに
よるピーク幅の
広がり
酸化膜厚
の変化
1842
束縛エネルギー [eV]
1837
(d-3) As注入量によるSiの変化
(a) SiO 2 中のSi1s光電子のλは11 nmと大きいため、膜厚50 nmでもSi基板からの信号を検出できる
(b) X線視射角< SiO 2 の全反射臨界角(0.23°)では、X線の浸入深さが減少して検出深さが小さくなる
(c) 6 keVでは光電子の運動エネルギーが8 keVより小さいため、λが減少して検出深さが小さくなる
(d) 0.001原子層レベルの極微量のAsについても数時間の測定で分析可能
As注入量が多くなると、Si格子の破壊が進んで結晶性が低下し、格子間サイトのAsが増加する
133
SUNBEAM Annual Report with Research Results, Part 3, Vol.4 (2014)
S-23
BL16XU, BL16B2
サンビームの多次元検出器 PILATUS/MYTHEN の立上げ
北原 周
株式会社神戸製鋼所 多次元検出器装置サブグループ
サンビーム共同体では回折実験の高度化のニーズに対応するため、2013
年度に 2 次元検出器と 1 次元検出器を導入した。さらに、従来各社持込み機
器であった高温装置や雰囲気制御機構も共通機器として備え、多次元検出器
の性能を有効活用できる環境を整えた。2014A 期より各社利用を開始した多
次元検出器のシステムと特徴を紹介する。
多次元検出器はエネルギーや角度分解能、測定範囲など回折実験の条件に
合わせて Dectris 製の PILATUS100K(素子厚さ 1μm)と MYTHEN1K(素子
厚さ 450μm)が選択可能であり、BL16XU と B2 の回折計の 2 θアーム上で
設置位置を変えられるようにした。また、マイクロ装置を用いた利用や自由
な実験レイアウトに対応するため、可搬式の YZ ステージ(可動域 300mm
× 300mm)架台も導入した。図は室温から 1100℃の温度範囲で回折測定が
可能な Anton Paar 製 DHS1100 と PILATUS100K を用いた in-situ 実験の様子
である。この高温 in-situ X 線回折により鉄鋼材料の表面に生成する酸化物
図 高温 in-situ XRD 実験の様子
の生成挙動などが高い時間分解能で観察可能になった。ほかに、超格子膜の逆格子マッピング、粉末や非晶質
の回折測定、SAXS-WAXS 同時測定などの活用事例を通じて、導入効果を説明する予定である。
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SUNBEAM Annual Report with Research Results, Part 3, Vol.4 (2014)
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