Quarterly Newsletter – SPRING 2015.indd - Sigma

SIGMA-ALDRICH JAPAN
QUARTERLY NEWSLETTER
APRIL 2015
シグマ アルドリッチグル―プ、2014 年第 4 四半期および通年の連結決算を発表
■ラケッシュ サッチデヴ(グループ社長兼CEO)
のコメント
「我が社の沿革において非常に重要な年となった2014年に、
売上高と利益の記録を更新した。従業員の尽力と顧客への
献身を誇りに思う。特に、調整希薄化後1株当たり利益(EPS)
の40年連続増加を報告することができ、大変喜ばしい。我々
の3つのビジネス部門(リサーチ、アプライド・マーケット、
コマーシャルSAFC)は市場をリードする製品・サービスを提
供し続けるとともに、グローバルかつ多様な顧客のニーズに
応じるという、顧客中心の戦略を高めてきた。そしてそれは、
2014年度第4四半期の既存売上成長率7%という結果につな
がった。これは、四半期のパフォーマンスとしては、この4年
間で最も高い成長率である。
2015年1月には、世界経済フォーラム(通称:ダボス会議)
において「世界で最もサステナブルな企業100(*1:Global
100 Most Sustainable Corporations in the World)」に2年連続
で選出され、第38位となった。100位のうち、米国企業は20
社だけであり、我が社がその一つであることを誇りに思う。
メルク KGaA との統合に向けて、我々は活気に満ちている。
独占禁止法の審査や規制当局の承認およびその他法的手続
きの完了を前提に、2015年の中頃に買収完了を予定してい
る。我々は、2つの会社、従業員、そして世界中に広がる顧
客基盤の組み合わせが大きな利益となり、80年来のミッショ
ンである『産業界へ高品質な製品を最も幅広いラインナップ
で供給し、科学によって生活の質を改善する』ことを実現で
きると信じている。」
■2014年 グループ第4四半期ハイライト:
(パーセンテージは前年同期比)
2014年第4四半期の売上高は、3%増の7億500万ドル(既
存売上成長率は7%増、為替の影響により5%減、買収・
分割により1%増)
ビジネスユニット毎の売上成長は、リサーチ部門4%増、
アプライド・マーケット部門8%増、コマーシャルSAFC部門
14%増
■2014年 グループ通年ハイライト:
(パーセンテージは前年通年比)
2014年通年の売上高は、3%増の27億9000万ドル(既存
売上成長率は4%増、為替の影響により1%減)
ビジネスユニット毎の売上成長は、リサーチ部門1%増、
アプライド・マーケット部門8%増、
コマーシャルSAFC部門6%
増
※数字はすべてシグマ アルドリッチグループ連結数字です。
売上比率
製品数
(2014)
296,000品目
●アメリカ 43%
●ヨーロッパ・中東・アフリカ 38%
●アジア太平洋 19%
●研究用試薬 250,000品目
●実験器具 46,000品目
Total $2.79 billion
顧客比率
●Research 51%
●Applied Market 24%
●Commercial SAFC 25%
Total 1,400,000 customers
QUARTERLY NEWSLETTER – APRIL 2015
Sigma-Aldrichユーザーインタビュー
ムペプチド、カスタム抗体を使用されました。
慶應義塾大学医学部 山本雄広講師
山本講師:シグマさんに作製をお願いしたのは、がん細胞の代
謝経路に関わる代謝酵素がCOの有り無しでメチル化修飾の変化
がん細胞が抗がん剤治療に抵抗性を示すメカニズムの1つを新た
が起こることにより、その活性の変化が起こっていることを証明
に解明し、昨年その研究成果をNature Communicationsで発表さ
するための抗体です。実際に細胞の中でこの代謝酵素にメチル
れた、慶應義塾大学医学部の山本雄広講師にお話を伺いました。
化が入っているかどうか、それがCOによってメチル化の度合い
がどう変化するかということを、抗体を作って確認しました。
■代謝物の研究が、がんの代謝制御メカニズ
ム解明につながった
生体内のガス分子(一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、硫
化水素(H2S)など)が細胞の中でどのような役割をしているか
̶今回作製された抗体はペプチド設計からすべてカスタムで
当社にて請け負いましたが、ペプチド設計・ペプチド合成・抗体
作製のいずれの段階も難易度が非常に高いものでした。
山本講師:抗体作製は、仮に抗原ペプチドができても、良い抗
を研究されている山本講師は「代謝酵素の活性がガス分子に
体ができるかどうかはまた別問題。特異性が高く・対象とするタ
よって制御され、それにより細胞内の様々な代謝酵素タンパク
ンパク質のメチル化型だけを認識できる抗体が欲しかった。実
質の翻訳後修飾(※1)に変化が生じ、結果として次の代謝系に影
際に良い抗体ができたおかげで、細胞の中でのタンパク質のメ
響を与える…このような翻訳後修飾と代謝の連動に興味を持ち、
チル化の挙動がしっかり確認できました。未発表の、さらに面白
深く調べてみることになりました」と研究スタートの経緯を話し
いこともわかってきています。この抗体がなかったら今回の成果
てくださいました。
はなかったですし、さらに深く調べることもできなかった。抗体
山本講師:代謝研究は、今でこそメタボロミクスと言われかなり
メジャーな研究分野になってきましたけど、僕がこの実験を始め
たときはまだまだで、世界中を見てもあまり良い解析例がなく、
自分たちで試行錯誤という状態が続きました。
作製の成功が大きな分岐点だったと思います。
■がん治療への期待
今回の成果から期待される展開を伺うと、ご自身が理学部のご
出身であることを添えて、以下のようにお話しくださいました。
̶同研究室の末松誠教授は、その頃から「いずれ代謝研究
が主流になる」とおっしゃっていたそうです。実際に昨今では、
山本講師:例えば、詳細な修飾メカニズムが明らかになり、代
バイオマーカーの発見や創薬に繋がる研究として、広く行われ
謝系の分岐となるスイッチを人為的に操作できれば、酸化ストレ
るようになりました。
スに脆弱ながん細胞に誘導でき、抗がん剤による治療効果を改
山本講師:細胞は通常、酵素が少ない状態になるとミトコンドリ
十分考えられますね。僕は理学部出身で学生時代、系統分類学
アでの呼吸活性が低下し、エネルギーが枯渇し正常に機能しな
をはじめ、様々な生物の生理学、生化学を学んできました。最
くなる場合があるのですが、がん細胞の場合は、酸素がなくて
近では研究技術の革新によって、今までは困難であった非モデ
善できるのではないか?というような、治療戦略への発展は今後
もあってもエネルギーを得ることができるメカニズムが備わって
ル生物などの解析が可能になり、極限環境に棲むような生物と
います。がん細胞はエネルギーを得るための代謝系が普通の細
我々を含む高等生物では、ストレス応答など環境適応の際に似
胞と異なっていて、増殖に有利に働くような代謝経路に切り替
たようなメカニズムを持っているのではないかと言われていま
わっています。このような経路の分岐メカニズムが良くわかって
す。そういった視点から物を見てみると、
これまで気付かれなかっ
いなかったのですが、僕らの実験で代謝酵素の“メチル化修飾”
たような興味深い発見が見つかるかもしれない。そこに医薬系
(※2)
の変化ががん細胞のエネルギー代謝経路のスイッチングに関
与することがわかりました。
あるいは工学系の研究者の方に興味を持ってもらってディスカッ
ションできたら、また新しい発見があるかもしれないですし、そ
ういった良い『化学反応』が起こることを日々期待して研究をお
■Sigma-Aldrichで作製したカスタム抗体が、
ブレークスルーのきっかけだった
この“メチル化”を確認するために、山本先生は当社のカスタ
こなっています。
̶最後に、先生の夢を伺いました。
山本講師:生化学の教科書を書き換えるような発見をしてみた
いですね。例えば代謝物測定のチャートを見ても分子量は分か
るけれども、構造が未知の代謝物は結構あるんです。また、研
究の過程で既知の代謝経路だけでは説明できない現象というの
もしばしば見受けられます。つまり、生化学の教科書にも載って
ないような代謝産物・代謝経路、それに起因する翻訳後修飾の
修飾様式がまだまだあるはずなんです。
当社では、このように大きな社会貢献をもたらす研究に製品を
提供できたことを、大変喜ばしく感じております。 今後も研究
者の皆様をバックアップできるような製品・サービスの提供に努
めてまいります。
※1 翻訳後修飾:DNAからmRNAに転写された核酸塩基の配列情報を
もとに、タンパク質が生合成されることを翻訳と言う。このタンパ
ク質が生合成された後に、それを構成しているアミノ酸側鎖が化
学修飾を受けることを翻訳後修飾という。翻訳後修飾は細胞内の
情報伝達のオン−オフを切り替える役目を持ち、これによりタンパ
ク質の機能や活性が調節されている。
※2 メチル化修飾:タンパク質の翻訳後修飾の1種であり、主に正電荷
をもつアミノ酸(リジン、
アルギニン)残基の側鎖にメチル基(-CH3)
プロフィール
山本 雄広 (やまもと たけひろ)
慶應義塾大学医学部 医化学教室 講師
1999年 北海道大学理学部生物科学科卒業、2004年 同大大学院理学
研究科生物科学専攻修了(理学博士)
。日本学術研究会特別研究員、慶
應義塾大学21世紀COE特別研究員を経て、07年より助教、15年より現職。
大学院時代より一貫してガスシグナルの細胞内での機能解析に従事。
が付加されること。
タンパク質の機能を解析するために
∼特異性の高い抗体はカスタム作製で。特異性の高い抗原はカスタムペプチド合成で。∼
カタログ品で販売されている“抗
体”は汎用性が高く様々な研究で
●抗原部位解析
②
①機能未知のタンパク質
●
③
●固相カスタムペプチド合成
使用できます。しかし、より高度
で専門的な領域へ研究が移行して
いくと、より特異性の高い抗原‐
抗体反応が求められ、希望に応じ
た抗原や抗体の“カスタム作製”
が必要となります。
当社では、抗原となるカスタムペ
⑦
●ウェスタンブロット
や免疫染色で
タンパク質の
機能解析
④
●任意の修飾を選択的に
導入した抗原ペプチド調製
プチド合成およびカスタム抗体作
製をすべて国内で行っており、製
造キャパシティは国内最大規模を
誇ります。抗体作製では15年の経
験があり、作製数は年間で1,000件
を優に超える実績を上げています。
(次ページへつづく)
⑥
●修飾特異的なカスタム抗体
・モノクローナル抗体(完全成功報酬制)
・ポリクローナル抗体(リーズナブル)
●
⑤SPFウサギ・マウスへ免疫
(すべて国内免疫)
QUARTERLY NEWSLETTER – APRIL 2015
■なぜ、
抗原としてカスタムペプチドを合成する?
て合成ペプチドを用いることを推奨します。合成ペプチ
一般的に、カスタムで抗体作製する際はタンパク質を抗
ドは、任意の修飾を選択的に導入すること、そして確実
原とする場合が多いとされていますが、タンパク質の機
に導入されていることを検証・評価することが可能です。
能解析を目的とする場合は、反応部位をピンポイントに
抗体作製には数か月を要するため、事前に抗原の状態
捕えるために、合成ペプチドを抗原とすることが大変有
を確認できることはリスク回避につながります。(前記事
効です。
の山本講師も、合成ペプチドから当社へオーダーいただ
き、特異的抗体を作製されました)
ヒトの体内に存在するタンパク質は、その多くが糖鎖や
リン酸化、メチル化などの修飾を受けることにより機能
当社では、独自のノウハウにより自社で開発した抗原部
を発現します。従って、このような機能を解析するため
位解析ソフトにて、お客様の用途に応じたペプチドのカ
には、修飾の部位や種類に着目することが重要であり、
スタムデザインが可能です。遺伝子名またはタンパク質
修飾特異的な抗体を作製する必要があります。そのよう
名をご指定いただければ、あとは抗体作製までの一連
な抗体を作製するためには、特定の部位に修飾を持つ
の行程をすべてお任せいただくことができます。さらに、
特異的な抗原を要し、これをタンパク質で作ろうとする
作製が困難なカスタムモノクローナル抗体は、完全成
場合には一般的に酵素処理を行います。ところが、酵
功報酬制を導入。長年の経験に基づく確かなサービス
素処理では修飾箇所の制御が難しく、部位特異的に修
で、研究者をサポートします。
飾を導入することは非常に困難です。そこで、抗原とし
Global News 3年連続で「シビック50」に選出
米国最大規模のボランティア団体であるポインツオブライト(Points of Light)が2014年12月8日に発表した「シビック50」
(Civic50)の一社に当社が選出されました。「シビック50」は、年間を通じて地域貢献を積極的に図り、その活動が最も顕著な
米国企業50社を選ぶもので、当社としては3年連続の選出となります。
このランキングでは、コミュニティ活動に対する資金や人材の投資状況、コミュニティ・エンゲージメントプログラムの企業戦
略への統合状況、プログラムの成果などの基準に基づき調査が行われました。
当社にとって、グローバル・シチズンシップ・イニシアチブは会社が掲げる使命の中でも極めて重要な要素と考えています。
今後も先進的なライフサイエンス企業としてクオリティオブライフをより向上させるために、社員一丸となって地域貢献に取り組
んでまいります。
【参考URL】http://www.civic50.org/2014-results.php 本掲載内容に関するお問い合わせ先
シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社
マーケティング コミュニケーションズ
簑島 宛 TEL:03-5796-7364
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