感染症や環境依存型疾病と地球観測・予測の統合知 - EDITORIA - 東京

感染症や環境依存型疾病と地球観測・予測の統合知
100714
医学系研究科・人類生態学・渡辺知保
第4回「データ統合・解析システム」(DIAS)フォーラム
ー地球観測と予測の統合知が拓く新たな社会づくりープログラム
健康問題の“立ち位置“
健康は,環境の様々なコンポーネントと接点を有している.
ミレニアム生態系評価
McMichel et al.
(2006)
Rockstrom et al.
(2009) Nature
課題と想定されるアウトプット
気候変動の健康影響(直接・間接〜食糧・感染症)
環境汚染の健康影響(越境汚染:大気・河川;地下水)
感染症(新興・再興,熱帯病,NTD‐睡眠病など)
気づかれていない事実・問題?
“感染症”
3つの生態学の接点としての
感染症(門司,2009)
Socio-Economic Factors
Cultural /Historical
Global,
Background
Regional,
Changes in
human behavior
and Local
and ecology
Environmental
Infectious
Changes:
Changes in
Deforestation
pathogen ecology Disease
Wet-rice cultivation
Changes in vector
Urbanization
behavior, ecology
Climate change:
Local/Regional/Global
世界的にみた場合,依然として
感染症による死亡は重要
(WHO)
Ex) マラリア
リスク人口2‐3億,
死亡>100万/年
“感染症”(続き)
Group of Earth Observation の“health task” 09‐11
• マラリア早期警戒システムの実施:
R/S データを使用,ハイリスク地域をピンポイント.
(マラリア原虫ー蚊ー人間)
• ライム病の政策決定支援ツール:
生態系ー生物多様性ー健康との関連の解明.地理
(植生)・疫学(病気の自然史)・社会科学(人間
の行動)・経済学者により,地球観測データと
フィールドデータを“ライム病モデル“として融合.
(スピロヘーターダニー人間:皮膚症状・神経・心など多彩な症状)
“感染症”(続き)
人間の活動
感染症モデル
不活動リスク
リスク環境との
接触(汚染地域・
炎天・ベクター
接触 etc.)
土地利用と住民の
活動強度の空間分布
Jiang (2009)による
“環境依存型疾病“
ー 気温と死亡率
ー 環境汚染
ー インフラ依存型疾病:
安全な水,[ヒ素の井戸のlocation]
複合的なインフラの欠如 [Nepalの事例]
“環境依存型疾病“
Curriero et al. (2002) 米国の13都市
–死亡率と気温
Hashizume et al. (2009)
バングラデシュ (死因別)
Carson et al. (2006)
ロンドン.社会・環境・行動などの変化による
温度感受性の“鈍化”.
+気象変動の予測⇒脆弱地域の予測へ
ロンドン:遡及的データ統合⇒鈍化要因
の推定 ⇒ 何が“適応策”として有効か
“環境依存型疾病“ –環境汚染と疾
病
長期にわたる大気汚染(PM2.5)
への曝露と心血管疾患死亡との
関連
米国36都市,
65,000人あまりの女性
6年間追跡
Miller et al. (2007)
“環境依存型疾病“ –インフラ依存 As
Groundwater Arsenic Concentrations Versus Depth
A ll Data
O ld M eghna Flo od Plains
( chand ina de posit s)
・井戸の深度とAs濃度の関係
が地域によって異なる.
・使用年による経年変化
・BGS=全国調査データ
(90s)
⇒ 地下水動態のモデルetc.
⇒ 安全な井戸の予測
・活動データと井戸利用.
N ort h Hills an d
Piedm ont Plains
0
200
300
400
-4
-2
0
2
4
6
8
-4
-2
0
2
4
6
-4
-2
0
2
4
6
・As濃度と健康影響の関係
(性・遺伝的多型に依存)
⇒ リスク予測.
Arsen ic Co ncen trati on s l n( pp b)
Yu et al. Watanabe et al.
(2001) 75
male
50
25
0
LOWER MIDDLE
UPPER
[As]u tertile
proportion within tertile [%]
-6
proportion within tertile [%]
Depth (meters)
100
75
female
50
25
0
LOWER MIDDLE
[As]u tertile
UPPER
“環境依存型疾病“
–インフラ依存:複合的脆弱地域の同定
ƒ
The most impoverished region in Nepal
ƒ
Situation particularly severe in higher hills and mountains in terms of basic infrastructure (roads, communication, health, education, etc)
ƒ
High prevalence of food insecurity and malnutrition
ƒ
Mountain ecosystem increasingly fragile due to growing population pressure
ƒ
Also the region most affected by the past conflict
ƒ
Problem further aggravated due to impacts of climate change
ƒ
Heightened expectations after recent political changes
Pahari (2009) による
⇒ 諸条件が複合するような地域,
気候変動の影響がより強く出る地域の発見
新たな問題への応用可能性
*複合汚染
‐ 汚染+花粉 ⇒ アレルギーの発症予測
*未知の背景因子(疾患)の同定
複合汚染・遺伝子多型(重層的マッピング)・気象・農作物関連情報 etc.
経時的な環境データが活用できれば,強力な因子発見ツールに.
*水の再利用と水質ー健康リスク予測
気候変動・土地利用変化 ⇒ 利用可能な水資源
⇒ 再利用の程度・導入 ⇒ 環境・健康インパクト
*コ・ベネフィット の効果予測
環境と健康に“同時に優しい”適応策:車→能動的移動,家庭の燃料改善
*健康の多面性を考慮した影響予測?
気候変動 ⇒ 感染症 ⇒ 人口構造変化の修飾 ⇒
総体としての疾病負荷?
生活習慣病 ⇒⇒
データ・ニーズ
※ 健康・疾病関連データ:
*経時的情報の収集(AR4)
*途上国の情報の欠落(AR4)
・情報収集手段としての活用
(参加型・経時的モニタリング=疾病・感染症〜緊急時対応・汚染物質・
指標生物?)
・情報収集のインセンティブ
・各国の情報の標準化努力・指導
※
※
環境関連データ:
空間的分解能?
時間分解能は十分.
社会科学データ(将来的): 気候ー健康 の関連に影響を及ぼす
経済成長,技術導入,予防医学の普及 などのインパクトの評価 (AR4)
ƒ ‐AR4 = IPCC AR4 Human Health 章に,気候変動と健康との関連を検証するた
めの優先的研究分野として指摘.
ご静聴ありがとうございました
第4回「データ統合・解析システム」(DIAS)フォーラム
ー地球観測と予測の統合知が拓く新たな社会づくりープログラム
有効な使用と残る問題点
*死亡率と気温・熱中症
*マラリア・デング⇒伝播予測の精緻化
*腎結石 ⇒ 地域における観察の一般拡張性
*大気汚染と急性呼吸器系症状
⇒
・
*
リスクマッピングとその予測
予測しにくいパターンの重積?ーネパール山間部のような地理的空間の出現
ー人口・栄養(食糧生産)・気候変動などで,リスク要因の時空間変化を把握す
ると,将来的に脆弱な地域が浮き彫りにできるかも知れない.
振興感染症の出現を予測できないか?
ー顧みられない熱帯病
における環境要因
ー背景となる人間活動
ー地球観測は,間接的な人間活動の観測でもある
ー 疾病と関連した人間活動の時空間変化は全て有用である.
ー町のあかり・・・・睡眠時間の分布?ー活動の時間分布を大づかみにする
*
新インフルエンザ対策の立案への有効活用
環境保健 的視点
健康は,環境の様々なコンポーネントと接点を有している.
課題の性質による類型化
*リスクマッピングとその予測
(人間活動の空間的分布と時間変化 と 疾病)
ー汚染・人口・食糧生産なども含まれる
*未知の背景因子の抽出 あるいは モデル構築
(後ろ向き)
ー疾病(感染症・慢性疾患)の出現モデル,伝播モ
デル
*公衆衛生情報収集のプラットホーム
¾ Many people have no option but to depend on food assistance ¾ Long term solution should be found
19
•
疾病頻度の環境要因による説明:
•
•
•
•
•
死亡率,熱中症発生,腎結石発症の時空間分布→日気温との関連(time lag)
大気汚染(+気温)と関連疾患発症の時空間分布における相関
探索型疫学研究 (未知因子の同定: 例えば,栄養ー疾病の関連の地域特性を,環境要因で説明するなど)
マラリア・デングのモデリング
• 蚊とヒトの行動を加味した微視的モデリング:
• 過去の大流行(ペスト・コレラ)の合理的説明
風向・風速→蚊の行動
遺伝的多型(ヒトゲノムで数万〜100万)→民族集団,疾患ー患者集団でのデータ
•
•
•
マラリアへの抵抗性遺伝子群の分布とマラリア罹患
環境因子分布パターンと多型分布,およびこれらと疾患との関連
複数の多型分布と関連する環境要因同定
•
環境汚染(化学物質)のモニタリング・評価
•
社会的健康関連要因:
生物学的モニタリング(曝露レベル・影響のbiomarkerを含む) vs 環境モニタリング情報
→
(途上国を含む)政策立案に有効か
• 疾病発生予測 + “購買行動調査”=生活圏の設定→ 適切な医療圏・医療対策インプットの設定
• eHRAF:民族誌情報を,項目別に解体し,indexをつけてまとめたもの:
ex)“結婚”=地域Aにおける制度概要を示す文書.“親族関係”・“疾病観念”“受療行動”など.
•
参加型利用の可能性(特に途上国で有用か)
•
•
health workers による疾病発生状況の報告と feed‐back →即時対策利用,蓄積して予測利用
健康関連データの問題点
•
•
•
途上国のデータ量およびその信頼度 (INDEPTHなどの活用)
死亡率・罹患率など多くのデータが行政区域依存
慢性疾患の罹患について,長期にわたるデータが少ない‐国保レセプト
1.
•
DIASへの健康分野の関与
データ投入の容易さをITでサポート:例)鷲谷:ハチの目撃情報(市民参加)を携帯で→DIAS(気温・
天候など)とカップリング→研究者による“単純な”モデリング(相関程度)→蜂の拡散予測→駆除へ.
[田所:琵琶湖のホタル目撃情報]
*蝶=携帯の写真→ITで種の同定を行う[検討中].
•
データ収集のツール(柴崎):異なる形式のDBを読み,データ構造を適合化(?),ontology を用いて概
念統制(?)を行いつつarchiveする.→各所に散在する質の異なるデータを収集して,統合・蓄積する
システム[情報のsecurityに関しては相当程度IT関連が進めている→]
*桑形さんから説明のあった農業分野でのシステムは,DIAS以前の新興調整費で農業+気候グループが
組んだもの.各DB特異的な変換プログラムを用意し,DB利用の合意も個別に用意→集まったデータが
膨大で処理できず,その意味でのみDIASを利用している.
•
•
•
•
例)アフリカ:GOSAT(CO2垂直分布),可視赤外線=森林火災情報→灌木の火災でCO2が大量に出るが,
biomassで予測される量よりは少ない=焼き尽くされるのでなく,biomassが残る.
* インドネシアの泥炭火災についても別のモデルで進行.
例)アフリカ:water table 変動の情報+物質移動のモデル→salination のモデリングと予測.
例)フエ:洪水の疾病予測(福士・古米)流量予測→水深予測→健康被害想定.
例)国交省の1km・10分毎の観測システム→ダムの情報と誤差情報を集めて,洪水予報を行う.
2.7/14シンポ(鉄門:〜5pm)
DIASの健康分野への応用.
3.9/14アジスアベバGEO(GEOSS)シンポ
水はkey.アフリカ=アクセス,水関連疾患
•
水については,アジアは洪水,アフリカは干ばつ.
→WHO関連で,アフリカ.Regional(一国でない),環境,健康 をkwで話せる人(水がはいっていてもいなくても).
→渋谷さん
GEOSS Global Earth Observation System of Systems ・全地球観測システム(衛星+地上による包括的観測システム) 60カ国以上,WMO,UNESCO,UNEP,
FAO など40以上の国際機関が参加.
・利用ニーズ主導システム: 9項目が“公共的利益分野” 災害・健康・エネルギー・気候・
水・気象・生態系・農業・せいぶつ多様性
・日本では,国家基幹技術5分野のひとつ
GEO
海洋地球観測探査システム
Group of Earth Observation 政府間地球観測作業部会
→GEOの health担当の Secretariat Expert は
が under GEOSS
GEOSSの作業部会.
Onoda Masami Key variables include airborne, marine, and water pollutants; stratospheric ozone depletion; land‐use change; persistent organic pollutants; food security and nutrition; noise levels; weather‐related stresses and disease vectors; and many others.
→GEOSS
2009.11のWS (Washington DC,USA) XXXI は,地球観測の健康分野への利用
* 参加機関のりすとに WHO はない: UNEP,FAO,UNESCO,WMOなどはある.健康関連では
WFPHA(World Federation of Public Health Association 位か?ーこれには日本では公衆衛生協会が加盟)
* 2009−2011 GEO HEALTH TASKS
• Information system for health
• Monitoring and prediction systems for health plan ‐ monitoring and prediction of aerosol impacts on health and environment
‐ air quality observation, forecasting, and public information
‐ global monitoring plan for persistent organic pollutants ‐ global monitoring plan for atmospheric mercury
• End‐to‐end projects for health
• Implementation of a malaria early‐warning system
• Decision‐support tools and research on ecosystems, biodiversity, and health
Socio-Economic Factors
Cultural /Historical
Background
Global,
Regional,
and Local
Environmental
Changes:
Deforestation
Wet-rice cultivation
Urbanization
Climate change:
Local/Regional/Global
2-8PR: Environmental Chang
Human infectious diseases are the outcome of in Tropical Asia
biological interaction among pathogens, vectors, and human beings. Infection occurs where they meet.
Changes in
human behavior
and ecology
Changes in
pathogen ecology
Infectious
Disease
Changes in vector
behavior, ecology
Environmental Changes, Interaction of Ecology of
Pathogens, Vectors, and Human beings, and Infectious
Disease Consequences