訂正 第4回(前回) 3 ページ 電荷 q と−q を同じ位置に置く場合、合計の電荷は 0 なので、電荷をどこにおいても U = 0 である。 上の電気双極子のプラスの電荷をマイナスの電荷と同じ位置(U = 0 ,基準点 )まで −d だけ移動する時に電気力がする仕事は、 W = F・(−d ) = qE・(−d ) = −E・qd = −E・p = − p・E 基準点(U = 0)に戻るときに保存力がする仕事が位置エネルギーだが、上の W は、その逆を計算した。 よって、U = −p・E である。 Q: ラジオを聴けるトンネルもあるのですが・・・ A:トンネル内に、ラジオの電波を送信する装置がついているトンネルもあります。 セントエルモの火(コロナ放電) 悪天候時に静電気などが尖った物体に発生させる、 青白いコロナ放電による発光現象。 雷による強い電界が船のマストを発光させたりする。 放電によるシューという音を伴う場合がある。 (ハミルトンのはずみ車もジジジと音がしている。) 見たこと(聞いたこと)ある人いる? ちなみに火の球(球電)を見たことある人は? ハミルトンのはずみ車(電気飛車) 問題:なぜ回る? 「夜半に霰[あられ]の過ぎた後、急に山が鳴り出して無数の羽虫が花の咲く大木のまわ りを飛びかう羽音のように聞え、近くの岩からもシュッシュッというような音が起った。そ れでコーモリ傘を背負って立ち上がると、背骨が火で焼かれるか針で刺されるような痛 みを感じて、頭の毛は猪の怒り毛のように逆立ち、機関車が蒸気を噴き出す時のように シューと音を立てた。殊に背負っている傘の先端が最もひどいように思った。」(木暮理 太郎『山の憶い出』) 「アンテナをささえている柱の四角な柱頭の各先端から、光の穂先が20ないし30センチ の長さで、青い光が上に向かってのびている。あっ、煙突のさきも、頭の髪も、手のさき も、みんな青い光を放っている。頭髪は逆立ち、その先端についている水滴、霧滴が、 ひとつひとつサファイアのように輝いている。そして、馬の背に目をやると、黒い岩の尖 頂も、白い霧氷の先端も、青い光を放っていて、角という角のすべてに、百目ローソクを 立てたように輝いている。「おう、岩がそら」と叫んで闇に手をさしのべた吉原は、「それ、 君の手が」といわれて、あわてて手を引っこめて苦笑。濃霧のなかで回転する風速計も 風向計も青く光って見える。このセントエルモの火は、約30分間で終わった。これは、た しかに まれに見る壮観なものであった。十月の最後の日に、自然は山の観測者にす ばらしい贈り物をしてくれた。」(富士測候所記録『かんてら日誌』S12,10/31) 第5回(11/10) 1 ページ 問題:バンデグラーフ発電機の電極 は、なぜ大きな球形をしているのか? 17.2 キャパシター(コンデンサー) (p207) 単体の物体に大量の電荷を蓄えるのは難しい。 2つの導体を向かい合わせにおいた装置は、大きな正負の電荷を,それぞれの導体に蓄えやすい。 平行板キャパシター +Q + ++++++++++++++++ E + 電池 d V --------------- − − −Q 電池の起電力=極板間の電圧=V [V] キャパシターの極板の面積=A [m2] 各極板の電荷の面密度=± [C/m2] 各極板の全電荷=±Q [C] 極板間の距離=d [m] 0 極板の電荷±Q ( = 電場 E も2倍、電位差 V = Ed も2倍 Q Q ↓ C = V = Ed = Q と V は比例関係にある Q = CV この比例定数 C: ) が2倍 電気容量 単位:ファラド [F][C/V] C= 0A = d d Q A 0 電気を貯める入れ物の大きさ この値が大きいほど、同じ電圧でもたくさんの電荷が(対で)たまる 0Q 0A d 問題: 極板が1辺 20 cm の正方形、極板間の隙間が、1 mm の時、 ①平行板キャパシターの電気容量を求めよ。ただし、 0 = 8.9×10−12 [F/m] とする。 C= ≒ 3.6×10−10 [F] = 360 [pF] (電気容量 1 F は大きすぎる。通常 1 F, 1 pF 等を用いる) ②上記のキャパシターに 10 V の電圧をかけて充電したとき、どれだけの電荷を蓄えることができるか? Q = CV = 3.6×10−10×10 = 3.6×10−9 [C] = 3.6 [nC] ③隙間を10分の1 の 0.1 mm したときの電気容量はいくらか? 電気容量は 10倍になる。3.6×10−9 [F] ④上のキャパシターに同じ 10 V の電圧をかけて充電したとき、 どれだけの電荷を蓄えることができるか G ギガ 109 M メガ 106 k キロ 103 m ミリ 10−3 マイクロ 10−6 n ナノ 10−9 p ピコ 10−12 Q = CV = 3.6×10−9×10 = 3.6×10−8 [C] = 36 [nC] 1 mm → 0.1 mmで 10倍蓄えることができる。 第5回(11/10) 2ページ キャパシターの接続(合成容量) 並列 直列 C1 +Q1 C1 −Q1 C2 +Q +Q −Q C2 +Q2 −Q V1 V2 −Q2 V V 蓄積される電荷の総量を Q とすると Q = Q1+ Q2 Q = C1V+ C2V Q = (C1+C2)V = CV 1と2に蓄えられる 電荷量は等しい Q = C1V1= C2V2 V = V1+V2 V= 1と2にかかる 電位差は等しい V= ( C1 + 1 全体にV[V]かけるとQ[C]たまる。Q = CV なので V= 合成容量C = C1+C2 Q = CV Q Q + C2 C1 1 C2 )Q 全体にV[V]かけると Q[C]たまる 1 Q なので C 1 1 1 = + C C C 1 2 定性的理解 同じキャパシターの場合、 極板の面積が2倍になるので 容量も2倍になる。 C= 0A Q = CV = C2+ C1 C1C2 逆数を とって d 合成容量 C = C1C2 C1+C2 あっても なくても 変わらない 定性的な理解 上の図で2つの キャパシターの 間隔を0にすると 3個以上の場合 並列: 合成容量C = C1+C2+ C3 + ・・・ 直列: 1 1 1 1 = + + C1 C2 C C3 同じキャパシターの場合、 極板間の距離が2倍になるので 容量は2分の1になる。 +・・・ C= 極板間に金属板を差し込んでも 極板間の電場(電位差も)は変化しない。 金属板の厚さが無視できるなら → 容量も変化しない。 第5回(11/10) 3 ページ 0A d 問題: キャパシター A, B, C を下の図のようにつないだときの合成容量はいくらか? 両端に 10 V の電位差を与えたとき、キャパシター A, B, C に蓄えられる電荷量と 極板間の電位差はいくらか? 合成容量: 15 F Aの電荷量: 100 C Aの電位差: 2.5 V Bの電荷量: 50 C Bの電位差: 2.5 V Cの電荷量: 150 C Cの電位差: 7.5 V 問題(孤立導体球) 半径 10 cm の導体球の電位が 10 V のとき(無限遠の電位は 0 V )、 導体球にはどれだけの電荷が帯電しているか? 導体球に帯電している電荷を Q[C] とする。 導体球の電位 V は、点電荷 Q[C] から距離 10 cm の位置の電位に等しい。(球対称) V = V(0.1) = Q=4 0×0.1×10 = 10 [V] ≒ 1.1×10−10 [C] = 110 [pC] 孤立導体球も無限遠とのキャパシターと考えれば一種のキャパシターといえる。 Q その場合の静電容量は半径を r とすると C = 4 0r となる。( Q = CV , V(r) = 4 ) 0r 同程度の大きさの平行板キャパシターにたまる電荷の量は孤立導体球の何倍か? 2ページの問題②④の値と比べてみよ。②は 第5回(11/10) 4 ページ 倍、④は 倍 17.3 電場のエネルギー p210 極板A 電位:VA E F = QE Q 極板B 極板間の電位差 V = VA−VB 電荷 Q を極板 A から極板 B に 移動させるのに必要な仕事 W = Fd = QEd = QV = Q(VA−VB) 電位:VB 1 [C] の電荷を電位が 1 [V] 高い場所に移動させるには 1 [J] のエネルギー(仕事)が必要 Q [C] の電荷を電位が V [V] 高い場所に移動させるには QV [J] のエネルギー(仕事)が必要 物体を高い位置に移動するのにエネルギー(仕事)が必要なのと同じ 極板A −q 電位:VA 極板間の電位差:v =VA−VB = 電気容量 C 極板B +q 電位:VB q C (q = Cv) 極板A、Bの電荷を−q− q、+q+ q にする 極板Aから電荷 qを極板Bに移動し、 q だけ充電するのに必要な仕事を W q q (q = Cv) C 電荷を移動して極板の電荷量を 0 から ±Q にするために必要な仕事 W は、 W = qv = 1 1 q2 Q Q2 1 Q 1 W =∫ 0 q dq = ∫ 0 q dq = [ ] 0 = 2C = 2 VQ = 1 CV 2 2 C 2 C C Q キャパシターに蓄えられるエネルギー U = Q2 1 1 = VQ = CV 2 2C 2 2 (Q = CV) 仕事Wは電気力による 位置エネルギーU として蓄えられる 0A , V = Ed なので d 1 1 1 0A U = CV 2 = (Ed)2 = E2(Ad) d 2 2 0 2 平行板の内部の体積は Ad なので、単位体積あたりのエネルギー uE は、 C= uE = 1 2 2 0E (電場のエネルギー) 平行板キャパシターのエネルギーは、電場のエネルギーとしてキャパシター内の空間に蓄えられている。 第5回(11/10) 5 ページ 問題: 2ページの②の条件において、キャパシターに蓄えられたエネルギー U を求めよ。 問題2:極板間の単位体積あたりの電場のエネルギー uE を求めよ。 問題3:極板間の空間に蓄えられている電場のエネルギー U を求めよ。 極板の大きさが同じで平行板の間隔が① 1 mm と ② 0.1 mm の2つのキャパシターがある。 この2つのキャパシターに同量の電荷 Q が蓄えられているとき、 ①のキャパシターに蓄えられたエネルギーは②のキャパシターに蓄えられたエネルギーの何倍か? 上の結論を電場のエネルギーより考察せよ。 平行板キャパシターは電場の存在する体積が小さいので電場の全エネルギーも小さい。 孤立導体球は、無限遠まで電場が広がっているので電場の全エネルギーは大きい。 電場のエネルギー=充電に必要なエネルギー(仕事)なので、孤立導体球は電荷を蓄えにくい。 (同じ電荷を蓄えるのに大きな仕事が必要) 第5回(11/10) 6 ページ 第18章 誘電体と静電場 (p214) 導体 を電場中に置くと、自由電子の移動が起こり、導体表面に電荷が現れる( 静電誘導 ) 絶縁体 を電場中に置くとどうなる?自由電子はない。 原子を電場中に置くと 原子のイメージ 電場有り 電場なし 電子の雲(−) 電子の雲(−) 電場と逆方向に 引っ張られる 電子の雲 の重心 (電気双極子) 原子核(+) E 原子核(+) 電場の方向に 引っ張られる 陽子と中性子 絶縁体を電場中に置くと 表面付近にマイナスの 電荷が現れる ( 分極電荷 ) − p:分極電荷の面密度 マイナス電荷の分布 (電子) 電荷密度は0 +と−の電荷が打ち消す プラス電荷の分布 (原子核) E このような現象を 誘電分極 という。 誘電分極が生じることによる電気的な性質を議論するとき、絶縁体(不導体)を 第5回(11/10) 7 ページ 表面付近にプラスの 電荷が現れる ( 分極電荷 ) p:分極電荷の面密度 p: polarization(分極) 誘電体 と呼ぶ。 誘電体を平行板キャパシターの隙間に入れると・・・ P215図18.1 → 極板間の電場 E : 0 − − p p 倍になる 0 − 両極板の電位差 V : ( V = Ed )なので キャパシターの電気容量 C : Q = CV 不変 p なので C は − p 倍になる − 倍になる p 倍 注)極板と誘電体の間の隙間なし 誘電体を平行板キャパシターの隙間に入れると電気容量が という r をこの誘電体の 比誘電率 比誘電率 r r 倍になったとき、 はつねに 1 より大きく、物質の種類と温度 だけで決まる定数 極板間を誘電体で満たすと・・・ 誘電体内部の電場 E : r = − p 倍, 極板間の電位差 V : r 倍 r 様々な物質の比誘電率 P215 表18.1参照 空気の比誘電率は、1.000536 ≒ 1 (真空と同じと考えてよい) 水: ∼80 (後で解説) ポリエチレン 2.3∼2.4 ポリスチレン 2.4∼2.6 石英ガラス 3.5∼4 チタン酸バリウム: ∼5000 第5回(11/10) 8 ページ セラミックキャパシター チタン酸バリウム等の 比誘電率の大きな誘電体を 電極ではさんである 学生番号: 氏名: この授業に関して何か意見や要望、感想等があったら書いて下さい。 第5回 11月10日 学生番号: 氏名: この授業に関して何か意見や要望、感想等があったら書いて下さい。 第5回 11月10日
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