KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date 地向斜におけるいわゆるフリッシュ 志岐, 常正; 木村, 春彦; 原田, 哲朗 地質学論集 (1968), 1: 13-21 1968-07 URL http://hdl.handle.net/2433/87321 Right © 1968 日本地質学会 Type Journal Article Textversion publisher Kyoto University 地質学言語集 第 1f } 1 3-21ペ ー ジ , 1968年7t~ 地向斜におけるいわゆるフリッシュキ 志岐常正料・木村春彦料*・原田哲朗料料 ( 1 9 6 8年 5月 8日 受 期 ) 地向斜を特徴づける堆積物にはいろいろあるが,いわ にくいものとなっている. ゆる“フリッシ J' 型の地屑が,地 i 句会'f~活展の l-i1 WI から, ここでは,近年日本にも導入され,発展しつつある, とくに後期を特徴づける, もっとも顕著なものであるこ 堆積岩場高学的立場から,主持層以下の段[曹について述べ とは,論をまたないところであろう. ることからはじめることとしよう. この“フリッシュ"の内容については,いろいろな限 ターピダイトについての木格的な堆積;自信石学的研究 解があり,また実際,この言葉が用いられている地域ご は,日本においては,まずその砂岩部についての鉱物組 とにその適用の実態にちがいがある. しかし,そのこと 成の検討からはじまった.泥治部については,まだほと は今関うところではない. んど何もわかっていない.イライト・モンモリロナイト I 地[勾斜におけ るいわゆ ・クロライト・カオリナイト,などの粘土鉱物からなり, るフリッシュの実態を明らかにせよ Jということであろ 時代の古いものほどイライトが,そして,その結晶度の うが,ここでは,いわゆる引 F lyscht y p ea l t e r n a t i o n s " 高いものが多いらしいことが予想され β程度である. 筆者らに与えられた主題は, a 2 n1[却こ,問者日本各地における, すなわち“ターピダイト"の累積層に焦点をしぼり,そ 古生代地向斜の砂 . 1 の日本における研究の現状と将来の課題について述べる ;おの鉱物組成を,諸家の研究より引用し,比較してなら こととしたい. べてみた. これによってみると, 同じ外帯の秩父累帯 小論を~~(するにあたり,多くのご教示・ご援助を当え の,三重県阿曽・五ヵ所地域の砂岩と,九州球磨山地の砂 られ,あるいは未公表の賞理な資料を提供された,九州 岩とはよく似た鉱物組成をもっている.これに対し,こ 大学の松本達郎教授と岡田 i 専有博士,紀州四万十団体研 れらと内需;の武儀・多治見地域のものとは,全体として 究ク・ループやはてなし"団体研究ク勺レープ,などのか 後者に長石が少ない点で異なっているようにみえる.た たがたに,厚くお礼申しあげる. だし,このようなちがいが,内帯の古生腐砂岩と外帯の それとの一般的なちがいであるとは考えられない.間じ 1 . 日本の地肉料堆積物にみられるターピ 内潜で,地帯構造上も同じ地帯に属し,地質時代もあま ダイトの堆積岩岩石学的性質 りかわらないと考えられる京都西山の古生属高概層の砂 まず,日本の古生代地向斜,四万十地向斜,その他, 岩は,武儀・多治見のそれとはかなりちがった組成をも 典型的な地向斜ではないが,やや似た性格をもった堆積 っているようである. 物が形成されている 2, 3の堆積盆のターピダイトにつ いて, 一万,九州外帯三宝 1 1 1帯の二畳系上部・三塁王系神瀬屑 現在までに知られていることを簡単にみてみよ 群の砂泊が,原著者の指摘のように,同じ球磨山地 l こ発 う.このような資料は,一見多量にあるようにみえる. 達する,より古い市生屑の砂岩と,鉱物組成の J 二で,明 摺群,累!爵,部層,単属,鉱物粒など,いろいろの段階 確なちがいがあることは興味深い. (賠層)ごとに,多様な研究が行なわれてはきた. しか 古生代地向斜の消滅期と,それにひきつづく時期にお し,これらの複数の段階にまたがる総合的な研究は,そ ける砂岩の性質の変化は,舞鶴地f l 告において追跡されて こともあってか,田中 ( 1 9 6 5 ) いる.二躍系上部(舞鶴鰭群中・上部)の砂岩,三畳系 のすぐれた研究,その他 1, 2の例を除いては意外に少 下部(夜久野層群下部)の砂岩,およびカーニアン難波 ない.同ーの対象について,ちがった研究者によって研 江層群の砂岩の鉱物組成の変化は, 究が行なわれている場合にも,それらの研究の間に,統 かなり明瞭である (志岐, 1 9 5 9a, b; 1 9 6 2 ). した問題意識や研究方法を欠き,全体として総合され 四万十累帯の日高JlI 騒群の砂岩牢料牢牢は, *1968年 4月 2日日本地質学会第75路年記念討議会で講演 神話W i 層群よ りは,むしろ秩父累帯の古生層のそれに似ているようで 料京都大学混学部地質学鉱物学教室 ***京都教育大学地学教室 材料和歌山大学教育学部地学教家 H土,比較的厚い均E 妥協状な砂忠l t 脅 材料*原著者徳間によると, ζ の誌f ある(第 2図). 泉屑群その他 同様の研究は,蝦夷地向斜の砂岩や,末n の,フリッシュ堆積物的性格をもった砂拐についても行 のみから採取されたものである. 1 3 1 4 風 M+内 M. R . - 化・運搬の過程で分解・破壊あるい . . ・ . . ・ ・ . の極類と, もとの治石 I 11の産状とに は!準j毛などをうけるが,その|探鉱~~ .. , ' . ' . . . ・ . ・ .・ エ ・ . ・ . . . ・ . ・. .・,. .. a したがって,特定の粒誌になりやす ., .・ ・ ・蝿 . t い傾向をもっている.このため,運 ・ 一・. . * . . . . . 、 2t b '1 搬過程で分級作用が働けば , iff~積物 " : ー .~ . . . Q G F は,粒度組成が異なるだけでなく, G る.つまり,堆積物の鉱物組成は, C その粒度組成によって多かれ少なか M+f / M+ね 鉱物組成も呉なる部分にわけられ ' f 組 れ規制されており,異なったあW 成の砂岩をとらえて,鉱物組成を単 純l 乙比較しても;也味がない(志 i 岐 , 前出). ・ ・ 二 重 これまでに符られている資料で, •• • 二つの油開の粒度組成のちがいを反 • Q+C F 映しているような場合もあると思わ Q +C F b ところで,今問題のいわゆるター d -i1iτ よ ぜ 1- abed 第 1図 れる. ピグイトの場合,粒度組成が単!自内 古生腐砂岩の鉱物組成 三重県阿曽・五ケ所地域の古生腐の砂岩(木村敏雄, 1 9 5 7より改変) 球磨山地の古生膳砂岩(藤井浩二, 1 9 6 2より改変) 武儀・多治見地域の古生層砂岩(水谷伸治郎, 1 9 5 7より作図) 二畳一三壁系神瀬 J 菌群砂岩(勘米良・古I J ,¥ 1965より改変) で下から j二へと,全体として粗から 細へ変化すること る.そうすれば,鉱物組成もまた, 単層内で下から上へと変化すること は当然である.このような関係は, M+R 系のターピダイトについて確められた(第 3図). 同様 の事実は,ウヱルズ地向斜のターピダイトについても, 隅田 ( 1 9 6 7a, b) によって明らかにされている. 今 こは,これ 後,地向斜の砕屑物の組成が検討される場合 l *.1. . ・ . ・ . ・ , ; . ・ らの併のような関係が,必ず念頭に置:かれなければなら o ・2 ・. ないで、あろう. しかしながら,上記舞鶴地帯の砂岩の研究は,詳細な ようで,突は大きな弱点をもっていた.それは,試料の F 第 2国 Q+C 日高 J I I J 雷群砂岩の鉱物組成(徳間, 1 9 6 6 ) . b図に似ている. 第 1d図よりも,むしろ第 1a 採取位置(薄片の作製位霞)を,単関内で下から上へ, 等間隔的に機械的にえらんだところにある. ターピダイトの“級化"が,単なる下から i 二への粒径 なわれ,すぐれた成果をあげている(藤井, 1 9 5 6,1 9 5 8 ; の一方的な減少ではなく,そこにはいろいろな地積構造 i 河 田 , 1 9 6 5 ; 中J I I,1 9 6 1 ; その f 也 ). がみられることは,よく知られている. BOUMA ( 1 9 6 2 ) 以上のような資料からみると,層群,累層,あるいは部 は,これらの堆積構造の発達のしかたに一定の法則性が 開ごとの砂岩の主成分鉱物組成型のちがいを,地向斜に あることを明らかにした(原著の第 8図参照). しかも おける堆積環境,古地理の変化,地殻変動,などと結ぴ こ同一単層内での内部堆稜構造の主主国 この法則性は,単 i つけることが,比較的容易であるようにみえる.しかし, 乙一定の願序がみとめられるということだけ却 方向の変化 l 突は上の図に示したような単純な比較には問題がある. ではなく,フリッシュ堆積援における堆積相変化や,そ 1 5 60021 , 1 5 働 571101-31 f //¥白 , 、 、 , ペ 1V ¥‘、/// ¥¥//〆 ¥¥F// ¥¥JVv ︿ (しメ J J 〆 , ハ ル ‘ Q 35 Top G 第 3a,b図 一/ 30 ,〆、、、、 25 /¥¥ノ 20 ¥‘八/ 1 5 30 J 10 Bロse ¥¥/ // O 40 20 叫 ( ¥ ャζ 人二入 1 0 ,/一弘 30 、J﹄円バいわ十// ll 40 ハ 50 ¥ ¥ 、 ‘ ¥¥一 (¥) 一¥ /J /( ¥、/ ¥/﹀ /一 5 0 ぺ¥¥ヘ 60 70 uf ¥/ ¥A/ 、 80 80 O 10 1 5 20 Base 25 30 b 35 cm Top 舞鶴層群ターピダイト層単層内の鉱物組成の変化(志岐, 1 9 6 1より) 横軸:単層内の誌料の位置,縦軸:各成分鉱物の体積パーセント のそれぞれの堆積相における層裏痕その他の外部堆積構 、 丹i の和泉層群他についての,原因他,はてなし団研ク〉レ 造のちがいなどと,結びついていることが明らかになっ 乙関するものを引用して,前 ープの研究から,堆積構造 l ている.ターピダイトの砂岩の鉱物組成や粒度組成の検 節の最後に述べた問題の具体例としよう. -Lbvk L 7 介し‘フ 討は,当然フリッシュの岩相変化,内部堆積構造,外部堆 単層内の堆積構造についての BOUMA のモデ、ノレは, 積構造などとの関係において,総合的に行なわれなけれ 四万十累帯の牟婁層群,日高川層群のターピダイトにつ ばならない.単 l 乙,単層の下底から J 二部へと等間隠的 l 乙 いてもよくあてはまる(第 4図).さらに,この構造は, 試料を採ったのでは,資料としての価値に乏しいといわ 岡田 ( 1 9 6 7a, b) によって紹介されたウエールズ地向 なければならないだろう.筆者らは,このような観点に 斜の場合と同様, おいて,舞鶴地帯や四万十累帯の砂岩の鉱物組成,粒度 ュ,正常フリッシュ,胞質フリッシュと堆積相が変化す 組成の再検討を試みつつある. 機質フリッシュから, 砂質フリッシ るにしたがって, BOUMA のモデ、 Jレの完全に近い組合せ L3D I I . 四万十累帯のターピダイトにみられる堆積構造 や,あるいはその下位部の内部構造がみとめられるもの 西潟日本外帯四万十累帯には,地向斜における,ター から,下位部を欠き,上位部の堆積構造のみをもつもの ピダイトを主体とする各額の岩相型のフリッシュ堆積物 へと変化する牢. h Z ¥ノ 。p 守ん ωJ ん にヴ 乙 ヒ が発達しており,また,それが上方 l 乙地向斜消滅期の比 単腐の}欝裏には,各種の見事な層裏痕がみられるが, 較的浅草堂性の地層へと漸移するのがみられる. これらの これもまた,堆穣相の変化にともない,内部構造の変化 地層について,とくに紀州四万十累帯のターピダイトに に対応して,種類や大きさを変えている. ついては,原田その他,四万十団体研究クツレープによっ o a dc a s t は,砂岩部が厚く, 大きな l そこでの粒径 も誼けそ れ,興味ある成果が得られつつある(原田他, も大きい“砂岩がち豆腐"によく発達する.これに対し, 9 6 7 ; HARATA,1 9 6 5 ; 紀州四万十回体研 徳間, 1 単躍の厚さも薄く全体として細かい,頁岩がちのターピ 一プ,投稿中).これらの研究,および,一部は紀 ダイトには, J 欝裏痕の細いものが多い. H elmintoidI 乙 単j 選毎の長距離の遺跡を行なったわけではない. エjZ rJ~ ・鈴*1ま,房総半島の上総腐群のターピダイトの単層につ 詳しい研究与を行ない,みごとな成果をあげている. (平山・鈴 その他). i o h i e r o g r y p h sの寄在は,単J 欝の厚 代表されるような b さの小さい,しかも砂岩がちのターピダイトについてい えば,一枚のターピダイト下底部の粒径が中粒砂の下限 1 6 第 4図 牟婁 j 菌群四村Jf!牟婁!爵のターピダイトにみられる単層内部構造 級化地積部より, _ t { ¥ ,[S!l行葉理部の一部までがみえる. (由子の浦梅序で原田撮影) ( 0 .2 5 m m土,木村の“頻転勤粒子")より細い場合に限ら 視している.浅海における三角洲は, r 箆掠の物質の一時 れる.一般に同一露頭において,題裏痕の大きさや種類 的貯蔵所の役割をはたし,そこからある種の崩壊によっ が,各単層ごとに異なっている場合が観察される.原田 a t e r a lな物質の移動がおこり,それがより深い海底 て l は,これを一枚の単層の堆積と次の単層の堆積との時間 盆へと運び込まれる. 海底盆では運搬の方向は l o n g i - 的関隙の大小によって,単属最上部の泥質部の凝固の程 こかわり, そこにターピダイトを堆積させる. t u d i n a lf 度が異なり,そのため次の混濁流 ( t u r b i d i t yc u r r e n t ) 多くのフリッシュの主要な形成場所は l o n g i t u d i n a lな に対する反応が異なることが主要な原因の一つであると 供給・運搬の行なわれる地向斜深海盆底部であり,三角 考えている. 洲からそこへ杢る途中ではない. 当然のことながら, 日高川層群と J 牟婁層群とでは堆積 ここでいう“浅海"“深海"の使い方・は,現世海洋学に 相にちがいがある.全体としてみれば,前者は後者にく おけるそれと一致しているわけで、はない.現世海洋の海 らべて,粒径の細かい堆積相がより広く発達している. 域の特徴や海底地形は,氷期における海面変動その他の 屑裏痕により示される古流向をみれば,牟婁層群の場合 歴史的産物として,地史の上で、きわめて特殊なものと考 乙平行な,東から商へあるいは には,地向斜の軸の方向 l えられる. 剖から東への l o n g i t u d i n a lsupplyの他に, 交的な,北から南へや南から北への l a t e r a lsupplyが かなり多くみられる.後者は,粗粒堆積物のとくに多い 磯質フワッシュや砂質フリッシュの発速にむすびついて いる.これに対して,日高川層群には, 1 9 5 1 ) などによる 上記原田の模式は,従来の RrCH ( これに直 l a t e r a lsupply 帆 t h r e ec r i t i c a lenvironmentso fd e p o s i t i o n "の考え方ー n o とは多少異なっている. RrcH は,彼の模式の引c1i form" に,今でいう“ダーピダイト"の主な形成場月Ffを 求めた.原著の彼の図 ( RICH,1 9 5 1,f i g . 1 )によれば, を示す f 露宴痕や,機質フリッシュの発達はみられない. この場所はあたかも三角洲の前置層地積場所や大陸棚の ただし,日高 II!菌群の砂質フリッシュには特異な,日 斜面を想わせるが,もしターピダイト・フリッシュの主 roovec a s tがみられ興味深い. 大な g な形成場所であるなら,そこには l a t e r a lsupplyの証 Yl 二のような,!J]万十累帯におけるフリッシュ・ター 拠が圧倒的にみとめられなければならない.このような Xlして,原田は三角洲の役割を j R ピダイトの形成機構に I 乙 事実は,四万十地向斜だけでなく,世界のどの地内斜 l 1 7 S c r i p p s研究所の所在地である南カルフ才ノレニアの?1ft もみとめられないところである しかし,また一方,三角洲とフワッシュの堆積場との は,世界でも最もくわしく海底調査が行なわれている場 つねに必ず、大きな無堆積の場があるというわけで 所である.ア Jレプスのターピダイトの研究から,その内 それを被覆する,浅海性で非タ一 , 部構造についてのモデルを提唱した BOUMA は 後 , が,前者は野外で観察する その この南カノレフォルニア沖の, LaJ ol 1 a海底谷の外 o u t e rf a n "の中の小溝,水深5 6 2フアゾム にひろがる " ( 1,029m) の地点から試料を採取し, それが彼のモデ ルに見事に合うような内部構造をもつことを示した.彼 が示した事実は, o u t e rf a nの堆積物が,陸上の地層の への l a t e r a ls up p l yの証拠が現われる.このことは,他 ターピダイトと同じ機構によって形成されたことを強く 乙比して地向斜堆積 の資料とともに, 日高Jfl層群堆積時 l 示している. 盆が縮少し, また全体として浅くなったという根拠の ーっとなっている. この縮少期のある時期には地向斜 内部に一種のコノレディレラが現われたであろう.野外で は , “サラシ首"と通称している特異な産状を呈する f l u x o - 1 2 0 0m のところから得たコアに, t u r b i d i t eの特徴的な合角牒泥岩層も, この時期の堆積 容されている部分〔コアの頭部から 289cmのところ,有 a t e r a lsupplyによっ 物である.このような時期には, l 孔虫殻からみて,洪積世の堆積物とみられる〉を見出し た.この堆積物もまた,もっとも古い時代の,現在陸と に露出しているターピダイトと同様な内部構造をもち, hhzuu い手引 h4 以上ニつの資料だけからみても,現在,あるいは近い 展や,地向斜での堆積作用などの研究の一環として進め 過去における,いろいろな環境の“深い海"の堆積物に, るためには,まず当のターピダイトの実態について,ネ 陸上に露出しているターピグイトと開様の水理学的機構 こいた プトンの形態・大きさなどから,堆積構造の変化 l によって堆積したものがあることは確かで、あろう. そ るまでを,総合的に検討することが必要で、あることはい の機構が,かつて KUENEN らがのべたままの意味での うまでもない. しかし,これを水理学的,あるいは堆積 " t u r b i d i t yc u r r e n t " であるか否かはまた別の問題であ して,理論的・実験的解明と 内 こ山協の考 0- r c f の 間貨物であると判 その他の諸点と合せて, 1.昆濁流による i 断されている. 定的な意見がかなりある.このような議論を地向斜の発 0. むすびつけるためには,単}欝内の各部分について,一枚 現t 止の深海砂においても, f 珪から遠くはなれた,水深 一枚の薬理の段階で,その構成物の粒度組成・鉱物組成 5000mや 6000mといった大洋底に見出されるものに関 の資料を整えなければならないだろう.この意味で, J 二 に紹介したような四万一ト累帯のターピダイトの研究は, このような検討・解明を具体化する端緒となりうる w u であると考えられる. る もとの土器:積構造が保 盆の中央部に達し,これを;埋積していったものであろう. なされてきた.日本では,その帯在についてさえも,否 万 アドリア海南部で海盆のほぼ 1 = [ こ!央部に近い水深約 乙地向斜海 て形成される三角洲の前置腐・底置騒が誼接 l いわゆる混濁流の機構,成因については多くの議論が コ u t e rf a nとは全く異なった環境においても同 一万, o 様な事実が見出されている. V A N STRAATEN ( 1 9 6 4 ) I I I . 現世海洋のターピダイト もともと“混濁流"説というものは,現世の深海砂の i t海洋において, 寄在から発想されたものであった.現i しては,それらがほとんど泥分を含まず,淘汰のよい和! 粒砂 シルト粒からなることからみても,海底の掃流に よって二次的,三次的 l 乙運搬されたものがあると考えら る.この点については,前記 2例が,あるいは小さな内 海のものであり,あるいは地によって大洋からさえぎら れて堆積物が集積するような環境のものであることが注 目される. 4in 正仏、γ£ こ 'IV “ターピグイト"といわれているものが,はたして障上 ここで,前主主で問題にした三角洲とターピダイトとの に露出しているような古い地層のターピグイトと,同じ 関係に暗示を与える資料にふれておこう.従来,三角洲 同じ機構で形成されたものであるだろうか.この # f 積物の単層内部構造についてのくわしい記載的研究 ことは,現世海洋にフリッシュ性堆積物が発達している は,少なくとも日本ではほとんどなかったように忠われ かどうか,現世の地向斜はどこにあるだろうか,などの る. 一 問題につながる可能性を秘めているという誌、味で興味あ る問題である. COLEMANe tal . (1965) の論文には,ミシシッピ一三 角洲の単摺内部構造についての,興味深い図が記されて 1 8 A:薬理をもったシルト 8 う 4 1 0 0 Edzd ヴ QO t ∞ tON EUO および粘土よりなる (BOUMA のモデルの “上位平行葉理部"ない し,一部は“無構造泥 質部"にあたるかもし れない) B:斜交薬理が発達 C: うず巻状葉理部 (普通のターピダイト の場合も,この部分に よく“うず巻状葉理部" がみられる) D:平 行 薬 理 を も っ 砂 シノレト(“上位平行葉 理部"に相当?) 矢印は水流の方向を示す. 5 0 O 2 第 6図 7 i 6; { z x ; ) { ; 6 n n n 駿河湾口の深海平坦面より採取 された砂質誠料の粒度組成 シルト粒以下の粒度が約 25%ある.粗粒シノレトは, しばしば細粒砂と向じ挙動をとるから ζ れを除外す / 6 4 m m以下が 15%近くある. ドレツヂ るとしても, 1 による話料ではあるが,採取のときの状況からみて, 最表麗に薄い泥層があったものとは思われない(志 岐・白井分析). いる(第 5図).これをみると,あたかもターピダイトに ついてのおOUMAのモデルの C 部から d部にあたる構造 が在在するようである. とくに,斜交葉理や c o n v o l u t e l a m i n a t i o n の部分がよく発達している様子は, 牟婁屑 の試料の粒度組成を調べてみると, 1/64mm' " ' '1/120mm 以下の細粒物質が 20%から 25%も含まれている(第 6 図). この事実は,この場所が,西南日本古海構(南海 群の wi 1d f l y s c hの一部にみられる単屑と酷似している. a t e r a lsupplyの出口にあたることと 舟状海盆)への l 以上にのべたところは,海底堆積物のターピダイトの 関連して,現世における地向斜堆積をさぐるという観点 地積構造と,古い地!習のターピグイトのそれとの間一性 からも興味深い. ないし類似性についてであった.ところで実は,鉱物組 I 四 PARD ら ( 1 9 6 2 ) の記載から判断 同様の事実は S 乙…致があるとは必ずしも 成についてみると,両者の閤 l すると,前記高カリフォノレニアの LaJ o l l a海底谷やそ 1 9 6 2 )によれば,位界のダー いい切れない. CUMMINS( anの堆積物の場合にもあるようである. 残 念 の沖の f ピダイトの泥質基質の量は,自亜紀以前の古いものと, ながら,筆者らは BOUMAが堆積構造を見出した資料に それより新らしいものや現世海洋のクーピグイト,ある ついて,この点がどうであるかを知らない. VAN STR- いは実験的につくられたもの,などとでは非常に異なっ AATEN のアドリア海の試料については,泥質な部分と ている.もっとも,岡田 ( 1 9 6 7a, b) は,従来“グレ そうでない部分とがあると記されている. イワッケ"であって基震が多いと{言じられてきた,古い時 今後,日本近海においても,定方位の,乱れていない 代のターピダイトの砂岩の多くが,基質に乏しいc1 ean 底質試料の採取につとめ,単層の内部構造や,さらに外 sandであり, とくに 部構造を解析するとともに,その構造をつくる一枚一枚 BOUMA のモデノレの級化部がそ うであることを指摘している. の葉理を区別して粒度組成や鉱物組成を検討することが 志!技が別に見解をのべている のぞまれる.この点は,日本沿岸の三角洲の研究につい (志岐,印刷中).要するに,泥賢・基質の量の変化は,斜 ても同様である.このような研究は,現世海洋の堆積物 面の傾斜,運搬距離,その他に関係しており,おそらく の資料を地震時代の堆積物のそれと関連づけ,水理学的 この問題については, その素因は,白亜紀以後の海洋の大きさ,深さ,形など の変化によるものがあるであろう. 乙地向斜堆積の研究という観 ・堆積岩岩石学的基礎の上 l 点で整理することを可能にすることであろう. 実際,第三紀以後のターピダイトで,泥質器質の多い ものがないわけではない.また,最近,自井・土らによっ て採取された,駿河湾口の深海平坦蕗(水深約 2 800m) 文 献 BOUMA,A . H. ( 1 9 6 2 ), S e d i m e n t o l o g yo f some f l y s c h( t φo s i t s .1 6 8p .,E l s e v i e r ,Amsterdam. 1 9 eOLEMAN,J . M. and S .I V I . 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BROUWER ( b i d i t e s,p . 142-147,E l s e v i e r,Amsterdam. 2 0 i 士出向斜におけるいわゆるフリッシュ Jに関する討論 ーフリッシュ様堆積物に関する問題点一 岡 田 博 有 木 ( 1 9 6 8年 4月初日 地向斜の砕屑堆積物として,いわゆるフリッシュは最 も魅力的な研究対象であるだけに従来のこの研究成果は 量質ともに多彩である.“フリッシュ"を中心とする地向 斜砂質堆積物に関する問題点については, すでに関田 ( 1 9 6 7 ) が論述したとおりであるが,今回の討論会にお いて志岐常正らはターピダイトとしての"フリッシュ" 乙論じた.そこで筆者はこれら の問題点をさらに包括的 l った点あるいは今後 の“フリッシュ"研究上留意すべき点を 2, 3指摘した ( 1 ) フリッシュ t ターピダイトではないこと:ターピ 1 ッシュ"堆積様 ダイトとそうでないものの認別は“フ ) 式の解明上第 ( 2 ) 1 1乙重要な点である. “フワッシュ"の堆積環境を明らかにすること: これは“フリッシュ"に関する現在の最大の問題点の一つ であろう.堆積様式の違いは当然堆積環境のそれをも反 映するので(1)とも関連してくる.“フワッシュ"堆積環境 ことは控 自民値する (例えば深海環境の場合 JERZMANSKA, 1 9 6 0 ; GEROCHe tαl .,1 9 6 7,浅海環境の場合:MAN9 6 2 ; DERAAF,1 9 6 4 ; KING, 1 9 6 5 ; DERAAF GIN,1 e ta l .,1 9 6 5 ;など). 環境解析の手段として,堆積構造の利用・古生物学的 解析(とくに微北石・超微化石について)とならんで輪 廻性堆績の把握認定が重要であろう.輪廻型式の体系イじ は今後の開題であるが, e c t o t o p eの解析 その擁立は t 上寄与するところが大きいと思われる. 受理) 文 献 DERAAF,J .F . M. 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Sedimentarys t r u c t u r e so ft h es e d i m e n t so ft h e Shimanto g e o s y n c l i n e,Southwest Japan,ranging r e fromt h el a t eMesozoict oPalaeogenei nage,a e s p e c i a l l y taken i n t oa c c o u n ta st h e t u r b i d i t e f e a t u r e s . Remarkabler e s u1 t so fr e s e a r c h e smadebyBOUMA ( 1 9 6 4 ) andVANSTRAATEN ( 1 9 6 4 ) ont h ei n t e r n a l f e a t u r e so ft h er e c e n ts e d i m e n t si nt h eSanDiego troughandt h eA d r i a t i cSea a r ea l s or e f e r r e dt o f o rc o m p a r i s o n . U s e f u li n f o r m a t i o ni ss t i l ls c a r c ei nJapanont h e r e l a t i o n s h i p s among v a r i o u s c h a r a c t e r i s t i c s o f n t e r n a l s e d i m e n t s such a ss e d i m e n t a r yf a c i e s, i r a i n s i z ed i s ande x t e r n a ls t r u c t u r e so fs t r a t a,g t r i b u t i o no f each lamina o rs e d i m e n t a t i o nu n i t ( e .g . i n t e r v a lo f BOUMA'S ( 1 9 6 2 ) model ) and m i n e r a l o g i c a lc o m p o s i t i o n .I no r d e rt oc l a r i f yt h e mechanism and t h ec o n d i t i o no fs e n d i m e n t a t i o n o ft u r b i d i t e sandF l y s c h t y p es e d i m e n t si ngeosynu r t h e rs y s t e m a t i cs t u d i e sa r e needed on c l i n e,f t h eb a s i so ft h e hydrodynamics and s e d i m e n t a r y p e t r o l o g y . D i s c u s s i o n HakuyuOKADA: Problemsc o n c e r n i n gt h ef l y s c h t y p es e d i m e n t s ToshioKIMURA: Flyschi nt h et y p ea r e aand t h e s o c a l l e df l y s c h TsunemasaS H I K I : Reply
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