× ミッション提案書 - AXELSPACE - アクセルスペース

 UNISAS
SPindle
×
AXELSPACE CUP CanSat Challenge 2014
ミッション提案書
チーム名
Keio Team Wolve’Z
大学名
慶應義塾大学
Project Manager 氏名
平澤遼
メールアドレス
[email protected]
AXELSPACE CanSat Challenge 2014 [ Keio Team Wolve’Z・慶應義塾大学 ]
目次
1
CanSat ミ ッ シ ョ ン 設 定 の 背 景 ................................................................................................... 3
1.1.
20 年後のミッションの意義と構想 ............................................................................................... 3
1.2.
国外の状況 .................................................................................................................................... 4
1.3.
注目する技術課題 ......................................................................................................................... 5
1.4.
今回の CanSat 開発における上記技術課題への貢献 ................................................................... 5
2
CanSat の ミ ッ シ ョ ン ・ ス テ ー ト メ ン ト .................................................................................... 8
3
CanSat の サ ク セ ス ク ラ イ テ リ ア ................................................................................................ 8
4
CanSat の ミ ッ シ ョ ン ・ シ ー ク エ ン ス ........................................................................................ 9
5
CanSat の シ ス テ ム 要 求 ............................................................................................................. 10
6
CanSat 設 計 ................................................................................................................................. 12
7
開 発 要 素 ....................................................................................................................................... 13
8
試 験 計 画 ・ 結 果 報 告 .................................................................................................................... 14
8.1.
試験計画 ..................................................................................................................................... 14
8.2.
試験結果報告 .............................................................................................................................. 14
9
開 発 メ ン バ ー ............................................................................................................................... 15
10
ス ケ ジ ュ ー ル ............................................................................................................................. 16
11
予 算 計 画 ・ 報 告 ......................................................................................................................... 18
参 考 文 献 ............................................................................................................................................... 20
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1
CanSat ミッション設定の背景
1.1. 20 年後のミッションの意義と構想
火山噴火は地球上に暮らす人類にとって不可避の自然災害である.たとえば日本では,1991 年に発生
した雲仙普賢岳での火砕流被害により 43 名が犠牲となった[1].また,2014 年のスマトラ島シナブン山
の噴火により 16 名が死亡している[2].噴火による災害は現在の科学技術でも克服できていない問題であ
り,
「噴火による人命リスクのない社会」の実現は人類の目指すべき将来像である.これの被害を軽減す
るため,噴火予知の研究に対する社会的需要はきわめて高く,多くの研究がなされている.従来,噴火
予知は火山に設置された観測器により取得されたデータから,経験則に基づく知見を用いて噴火予知を
行われてきた.しかし,近年は研究が進み,観測器のデータから火山モデルを構築し,マグマの動きを
推定することで,物理的法則に基づいた精度の高い噴火予知が行えるようになってきた.2000 年の三宅
島噴火では火山モデルを用いた噴火予知が実用化され,噴火や活動収束期の予測に成果を挙げている[3].
噴火予知の技術が確立されつつある一方,活火山の観測体制はいまだ十分でない.例えば,日本の観
測体制は予算と人員が削減され,老朽化した観測器の更新や火山観測施設の維持が困難な状況となって
いるところがある[4].さらに,他国では活火山に設置された観測器が不足しており,少ない観測器を用
いた目視による監視のみを行っている地域も存在する[5].この他,設置された観測器が噴火の影響によ
り故障する事例が報告されている[6].観測体制の縮小や観測器の老朽化,不足,故障といった状況下で
は発達した噴火予知技術を活用することが困難である.そこで,20 年後に「噴火による人命リスクのな
い 社 会 」 を 実 現 す る た め に , 火 山 に 観 測 器 が 設 置 さ れ て い な く て も 噴 火 予 知 が 可 能 と な る , ”Mt.
SCANNER SYSTEM” を提案する.Mt. SCANNER SYSTEM により,観測器が設置されていない場合
にも噴火予知が可能となり,かつ,観測器が設置されている場合には不足している情報を付加すること
で噴火予知の精度向上が期待できる.
STEP 1
STEP 2
STEP 3
複数の活火山の
地殻変動の計測
熱、地磁気等の山体
表面の詳細な計測
マグマの
内部状態の推定
©航空保安協会
航空機
©防災科学技術研究所
©アクセルスペース
人工衛星
火山モデルの生成
自律探査ロボット
データの収集
統合
噴火の兆候を
検知
図1
Mt. SCAMMER SYSTEM
3 / 20
©防災科学技術研究所
噴火の予測
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2014
2014以前
移動⼿手段
2034
運搬機
複数機による
データ共有
⾃自律律⼩小型ローバ
©日本惑星科学会
©読売新聞
©Illinois Tech.
地震や空震遠の
動画地殻変動
観測器
センサの小型化
高性能化
©気象庁
©気象庁
120
Wh/kg
電池(Li)エ
300
Wh/kg
700
Wh/kg
ラ
⼈人
⼯工
衛
星
ー
リモート
!
センシング
少数・
大型衛星
Mt.SCANNER SYSTEM
地
上
観
測
地上重機
小型ローバー
無人ヘリ
2024
観測衛星の増加
参
©アクセルスペース
照
噴
⽕火
に
よ
る
⼈人
命
リ
ス
ク
の
な
い
社
会
元
が
図2
火山観測体制の 20 年間ロードマップ
見
図 1 に示すように Mt.
つ SCANNER SYSTEM は人工衛星と航空機によるリモートセンシングと自律移
動を行う探査ロボットにより構成される.人工衛星は活火山における地殻変動の観測を行い,全世界的
か
に常時監視する.20 年後のリモートセンシングは,特に小型衛星によるコンステレーションによりリア
り
ルタイム性の高い観測が可能になると予想される[8].人工衛星により観測活動の兆候を観測した場合,
ま
探査ロボットによる観測を開始する.探査ロボットは航空機により上空から投下され,パラシュートに
せ
より降下する.着地後,複数台の探査ロボットが自律的に移動しながら多地点の詳細な観測を行い,画
ん
像や地震動を含むデータを取得する.また,火山活動の開始以降も探査ロボットによる観測を継続し,
。
より詳細な火山データを取得する.そして,人工衛星や探査ロボットの観測をもとに火山モデルを構築
し,噴火や活動収束期の予測を行う.図 2 に火山観測体制の 20 年間のロードマップを示す.
1.2. 国外の状況
火山研究が盛んな日本では 1974 年より火山噴火予知計画が行われている[9].計画の主な内容は定点
観測器の設置と予知技術の確立である.火山噴火予知計画の成果として,適切な観測体制が整えられた
火山では噴火時期をある程度予測可能となった.また,地震計,傾斜計,GPS,重力,火山ガスなどの
多項目観測により,噴火の前駆的な変動把握に成功した.さらにモデル化が行われた火山では,観測デ
ータから噴火に先立つマグマ移動をとらえることも可能になった.これらの噴火予知技術に加えて,人
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工衛星や航空機によるリモートセンシング技術が地殻変動観測,地磁気観測および熱やガス測定に有効
であることが示された.火山噴火予知計画によって噴火予知の技術は確立されたものとなりつつあるが,
これらの予知技術は十分な観測体制を仮定している.しかし,実際には観測体制の縮小や観測器の老朽
化,不足,故障などの問題が知られており,火山噴火予知計画を含む世界中の取り組みを合わせても,
全世界的な観測器の整備は困難である.
本提案ミッションである Mt. SCANNER SYSTEM は,人工衛星と探査ロボットによる遠隔観測と移
動観測を行うため,火山に常時固定された観測器の有無によらず火山モデルを構築可能であり,さらに
は噴火予知や活動収束期の推定が可能となる.
1.3. 注目する技術課題
Mt. SCANNER SYSTEM では衛星により観測活動の兆候を観測した場合,火山地域の詳細観測を開始
する.その際,危険な火山地域を探査する必要があるため,無人の探査ロボットが有効となる.また,
広範囲の多地点観測を行うためには,複数台の探査ロボットによる自律移動が効率的だと考えられる.
そこで,本提案書において特に開発が必要と考える技術要素を「自律探査ロボット」とする.
山岳には崖や岩,瓦礫など数多くの障害があり,また,活動期の火山には溶岩流をはじめとするロボ
ットの移動が困難な場所も存在する.自律探査ロボットはこれらの障害に対応できる必要があるが,地
上のみを走行するロボットでは障害の突破は難しい.さらに,広範囲の観測や長時間の調査を行うため
には,省電力性の高いシステムが要求される.UAV (Unmanned Aerial Vehicle) は地上の障害によらず
観測が可能であるが,移動に大電力を消費し,長時間の観測が困難である.また,実環境下で自律的な
動作を行うため,環境認識を行う機能が要求される.それに加えて,複数機による効率的な観測には,
探査ロボット間のローカルネットワークを用いた協調制御も必要となる.
障害物回避,省電力性,環境認識,協調制御が Mt. SCANNER SYSTEM の自律探査ロボットに求め
られる技術課題といえる.
1.4. 今回の CanSat 開発における上記技術課題への貢献
飛 行 機 能 と 走 行 機 能 を 兼 ね 備 え た 遠 隔 操 作 ロ ボ ッ ト と し て イ リ ノ イ 工 科 大 学 に よ り 開 発 さ れ た
HyTAQ (Hybrid Terrestrial and Aerial Quadrotor) [10]が,Mt. SCANNER SYSTEM の探査ロボット
に有用であると考えられる.そこで,本プロジェクトでは HyTAQ 型 CanSat による自律制御の実証実
験を行う.HyTAQ の概要図を図 3 に示す.
下記に挙げる 2 つのミッションにより技術課題の障害物回避と省電力性を解決する技術が実証される.

自律降下ミッション(図 4)
本ミッションは探査ロボットが航空機から投下後,着地点が崖や溶岩流などの走行不可能エリアで
あった場合を仮定し,安全な地点に着地するための実証実験である.ARLISS においてロケットから
放出後,パラシュートを展開し,降下する.着地直前期に自己位置の直下が着陸不可能であると仮定
し,自己位置から 40 m 離れた目標着地点を設定する.その後,空中にてパラシュートを分離し,探
査ロボットの飛行機能により目標着地点の上空まで飛行する.その後,降下して目標着地点に着地す
る.
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
自律走行ミッション(図 5)
本ミッションは探査ロボットが調査を開始後,所望の観測地まで移動するための実証実験である.
ARLISS において自律降下ミッションにより着地後,広いフィールド内に設定された目的地を目指し
て省電力な走行機能により移動する.溶岩流や崖を仮定した走行禁止エリアをあらかじめ仮定し,走
行禁止エリアは飛行機能により横断する.その他,砂漠に存在する轍などの影響で走行が阻害された
場合は飛行機能により障害物を回避する.
HyTAQ を本ミッションに適用するために,以下の技術が必要になる.
技術 1:小型化・拡張機構
ロケットに格納するため,クアッドロータ部分の小型化を行う.また,車輪部分を折りたたみ式に
し,ロケットから放出後に車輪径を拡張させる.
技術 2:自律性
HyTAQ は遠隔操作により動作していたが,本プロジェクトでは自律的にミッションを行う必要が
ある.
技術 3:空中でのパラシュート分離技術
自律降下ミッションでは空中でパラシュートを分離する.分離後に機体が安定飛行するために,パ
ラシュートの降下速度は低速であることが望ましい.そのため,パラシュートを 2 段展開型にする.
1段目はロケットから放出直後に展開し,風に流されにくいよう高速で降下する.2 段目はパラシ
ュートの分離直前に展開し.降下速度を低速にして分離を行う.
図3
HyTAQ [10]
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②
飛行
③
降下
①
目標着地点を設定
パラシュート分離
④
着地不可エリアを
仮定
目標着地点に
着地
図4
自律降下ミッション
①
省電力の為の
地上走行
②
飛行による
走行禁止エリアの回避
①,②を繰り返し、目的地を目指す
目的地
②
①
②
①
①
フィールド内に
走行禁止エリアを仮定
図5
自律走行ミッション
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①
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2
CanSat のミッション・ステートメント
本プロジェクトは,20 年後に探査・観測・予知の複合システムにより「噴火による人命リスク
のない社会」を実現することを目的とする.ARLISS において探査の基礎技術を確立するために,
地形にとらわれない HyTAQ 型 CanSat の自律制御を行い目標地点への到達を目指す.想定する走
行禁止エリアを回避し,降下および走行を行う.
3
CanSat のサクセスクライテリア
自律降下ミッション,自律走行ミッションのそれぞれにサクセスクライテリアを設定する.
自律降下ミッション
着地直前に直下から 40 m 離れた目標着地地点を設定し,目標着地地点から 20 m 以内に

着地する.
評価方法

記録された移動軌跡から,着地時における目標着地地点との距離を算出する.
自律走行ミッション
想定する走行禁止エリアを飛行により回避し,目的地から 20 m 以内に到達する.

評価方法

メジャーを用いて最終到達地点と目的地との距離を計測する.メジャーによる計測が
不可能な場合,記録された最終到達地点から目的地までの距離を算出する.

記録された制御履歴と移動軌跡から走行禁止エリアの飛行を確認する.
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4
CanSat のミッション・シークエンス
ミッション・シークエンスを図 6 に示す.本ミッションはミッション開始後,準備,発射・放出,降
下・着地,走行・飛行,解析の準に行う.走行・飛行では,走行禁止エリア内を飛行しながら,他の区
域を走行し,目的地を目指す.
ミッション開始
降下
着地
準備
走行
飛行
砂漠搬入
高度検知
TBD m?
No
地上局起ち上げ
走行禁止
エリア前
TBD m?
Yes
Yes
目標着地地点決定
電源ON
走行禁止エリアを
飛行により回避
No
ゴール方向に進行
パラシュート( 2段目 )
展開
No
動作確認
問題なし?
回転翼起動・姿勢調整
Yes
ロケット搭載
発射
放出
放出
パラシュート分離
機体の回収
空中静止
電源OFF
目標着地点上に移動
取得データ解析
降下
ミッション終了
パラシュート展開
放出検知・無線ON
ゴール検知
Yes
経過時間測定開始
打ち上げ開始
No
No
着地検知
Yes
図6
ミッション・シークエンス
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解析
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CanSat のシステム要求
システム要求を表 1 に示す.(R3)を達成するために電流量の多い電源を使用することが求められるが
重量も多くなる.同時に(R23),(R24)の飛行能力に関する要求を満たす必要があるため,電流量と重量
を考慮した電源の選定が必要となる.
表1
番号
システム要求
シークエンス
要求
(R1)
φ146 mm 高さ 240 mm の筒に収納可能であること
(R2)
重量が 1050g 以内であること
(R3)
(R4)
ミッション全体
ミッション遂行に十分な TBD mAh 以上の電源を有すること
500 m 以上の無線通信が可能であること
(R5)
記録媒体にデータが保存できること
(R6)
誤差半径 20 m 以内の位置情報が取得できること
(R7)
電源が入れられること
(R8)
準備
電源 ON を確認できること
(R9)
キャリア内で通信機能が停止すること
(R10)
発射時の荷重 10 G に耐えられること
(R11)
上昇時の振動 25 GRMS に耐えられること
(R12)
放出時の衝撃 25 G に耐えられること
(R13)
(R14)
発射・放出
パラシュートの開傘時に 12 G の衝撃に耐えられること
キャリアから自重で落下可能であること
(R15)
パラシュートが絡まないこと
(R16)
キャリアからの放出を検知可能であること
(R17)
放出検知の後,通信を開始すること
(R18)
(R19)
降下(分離前)
こと
分離
(R24)
(R25)
パラシュートが絡まないこと
降下速度 (パラで減速した終端速度) TBD m/s から空中で静止できる
(R22)
(R23)
機体姿勢を鉛直方向上向きに TBD deg 以内に収められること
パラシュート分離指令から TBD s 以内にパラシュートを分離できる
(R20)
(R21)
パラシュートで TBD m/s まで減速できること
こと
降下(分離後)
着地
高度を保ちながら TBD m/s の並進運動を行うこと
TBD m/s で降下できること
着地衝撃に耐えられること
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(R26)
速度 TBD m/s 以上で地上走行が可能であること
(R27)
ゴール方向へ走行できること
(R28)
走行停止できること
(R29)
(R30)
(R31)
走行
溶岩エリアを 20 m 手前から 20 m 奥まで高度 TBD m 以上の飛行によ
る回避が可能であること
轍や砂地などの障害により走行不可能な場合,飛行により障害を回避
できること
ゴール検知できること
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CanSat 設計
設計する HyTAQ 型 CanSat の概要図を図 7,8 に示す.飛行時はモータの出力を上げ,走行時はモー
タの出力を抑えたまま機体を傾ける.図中の①部分にマイコン,各種センサ,無線,記録媒体,分離機
構を搭載し,②部分に電源を搭載する.
設計する CanSat のシステムを図 9 に示す.搭載センサは GPS,デジコン,高度計,ジャイロセンサ,
加速度センサ,光センサを用いてマイコンにより処理を行う.また,自律制御によりマイコンからモー
タ,分離機構へ指令を出力し,同時に無線による地上局への通信および記録媒体への制御履歴の書き込
みを行う.
図7
HyTAQ 型 CanSat 概要図(全体図)
図9
図8
システム設計図
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HyTAQ 型 CanSat 概要図(横)
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開発要素
チームとして引き継ぎが可能な技術は以下の通りである.
•
無線
昨年度のものを完成したシステムとして保有しているため,そのまま流用が可能である.
•
GPS,デジコン,高度計,光センサ,モータ制御,記録媒体
昨年度使用した部品のため知見は持っているので,後はマイコンの変更に合わせてプログラムを改
変する.
•
分離機構
昨年,パラシュートとの分離機構として抵抗の熱によってテグスを切断する手法を用いていたが,
温度不足により切断できない,など成功率が低かったため,反省点を改善予定である.
•
地上局
CanSat の現在状況を把握する地上局のプログラムについて,昨年作成した MATLAB を用いたシス
テムが存在するため,より計算負荷が少なくリアルタイムに表示可能なシステムの構築を目指す.
•
パラシュート
去年作成したパラシュートは成功率が高く,多くの知見を持っているが,本年度の降下ミッション
に対して適切であるかを検証する予定である.
新規開発要素は以下の通りである.
•
機体
HyTAQ 型 CanSat は過去に開発経験がないため,新規開発を行う必要がある.強度と重量を考慮し,
CAD により適切に設計する.
•
制御則
クアッドロータの飛行を行う制御則は,過去に開発した CanSat の制御則と異なるため,新規開発
が必要になる.特に不安定系の安定化を行う必要があり,精度の高い制御が求められる.適切に機
体をモデリングして,チームの母体である研究室の知見を生かした制御を行う予定である.
•
ジャイロセンサ,加速度センサ(IMU)
過去の CanSat 開発では扱っていないため,新規開発を行う.制御においてこれらのセンサ情報が
高精度である必要があるため,制御に要求される精度に対して取得される情報の精度が低い場合は
フィルタリングを行い,精度の高いセンサ情報を得る.
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試験計画・結果報告
8.1. 試験計画
試験計画を表 2 に示す.気球試験と ENDtoEND 試験はローバーレビューと能代宇宙イベントで行う.
表2
番号
試験計画
試験名
予定時期
(T1)
各部品・システムの単体試験
5 月 第 2 週
(T2)
開傘試験
5 月 第 2 週
(T3)
統合試験 (BBM)
5 月 第 3 週
(T4)
振動試験 (EM)
7 月 第 3 週
(T5)
衝撃試験 (EM)
7 月 第 3 週
(T6)
走行試験 (EM)
7 月 第 3 週
(T7)
耐久試験 (EM)
7 月 第 3 週
(T8)
着地試験 (EM)
7 月 第 3 週
(T9)
気球試験
8 月 第 1 週
(ローバーレビュー,能代宇宙イベント)
(T10)
ENDtoEND 試験
8 月 第 1 週
(ローバーレビュー,能代宇宙イベント)
8.2. 試験結果報告
試験が行われ次第,追記する.
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開発メンバー
開発メンバーを表 3 にまとめる.
表3
開発メンバー
役割
氏名
学年
CanSat 経験
その他の開発や特筆すべき研究
PM
平澤 遼
M1
2013
フィルタリング技術の研究
開発員
伊豆田 修祐
M1
2013(大会不参加)
航空機の研究
榊原 和樹
M1
2013(大会不参加)
太刀川 健
M1
2013
茂木 渉
M1
2013
倒立振子型移動体(セグウェイなど)の
研究
メンター
小屋迫 優士
B4
田中 幸也
B4
谷川 あゆみ
B4
殿木 春香
B4
波多野 恭祥
B4
石崎 樹
M2
2012, 2013
石田 貴行
M2
2012, 2013
ロボットの開発
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宇宙エレベータの開発
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10 スケジュール
開発スケジュールの予定を表 4 に示す.
BBM では全てのセンサ類,無線,記録媒体,モータ,パラシュート,分離機構,電池,地上局,制御
則の単体開発を行う.また,これらを統合したプログラムが正しく動作するか試験する.この時点で機
体は制作を終えていないため,クアッドロータの骨組みとして販売されている CanSat のサイズとは異
なる既製品を用いて,飛行試験を行う.
EM では機体の制作を終えて,飛行および走行が可能な機体,制御指令を開発する.
FM では EM での不具合を改善し,すべての試験に合格した機体を開発する.
表4
開発予定
3月
開発スケジュール
試験計画
ミッション提案
外 部 審 査 ,大 会
AXELSPACE CUP ミッション提案書
概念設計
第1回 AXELSPACE CUP 審査会
4月
詳細設計
単体試験
開傘試験
5月
BBM 完成
統合試験 (BBM)
6月
AXELSPACE CUP ミッション提案書
第2回 AXELSPACE CUP 審査会
EM 完成
着地試験
7月
走行試験
AXELSPACE CUP
耐久試験
審査通過許可締め切り
衝撃試験
振動試験
技術交流会 (UNISEC 総会)
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ENDtoEND 試験
気球試験
ローバーレビュー
ローバーレビュー審査資料
8月
能代宇宙イベント
FM 完成
ARLISS
9月
10 月
AXELSPACE CUP 最終審査会
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11 予算計画・報告
本プロジェクトは AXELSPACE CUP の補助金とチームが所属する研究室の出資金により行う.
AXELSPACE CUP の補助金 15 万円と研究室の出資金を用いて,走行ミッションを行うための BBM,
EM,FM の開発およびロケット 2 回の打ち上げを行う.この場合の内訳を表 5 に示す.AXELSPACE CUP
による開発途中の増資金 10 万円が獲得可能な場合,増資金額を自律降下ミッションのための 2 段展開パ
ラシュートの開発,実験用の予備機体の開発,3 回目の打ち上げ費として用いる.この場合の内訳を表 6
に示す.
AXELSPACE CUP の補助金 25 万円と研究室の出資金を合わせた 398404 円の予算補助により,自律
降下ミッションと自律走行ミッションの両ミッションを成功させたい.
表5
予算計画 (AXELSPACE CUP の補助金が 15 万円の場合)
BBM
本体の主要部分(既成品)
EM
FM
その他
計
1800
0
0
0
1800
0
5000
2500
0
7500
3000
1000
1000
0
5000
0
2800
2800
0
5600
デジコン
3528
3528
5292
0
12348
高度計
3600
3600
3600
0
10800
0
500
0
0
500
IMU
6615
13230
6615
0
26460
無線
3150
3150
0
0
6300
回路基板
815
1630
815
0
3260
回路素子
6000
4000
1000
0
11000
0
7884
2628
0
10512
電池(モータ)
7938
15876
7938
0
31752
充電器
6426
0
0
0
6426
分離機構
1000
1000
1000
0
3000
モータ
5200
10400
5200
0
20800
プロペラ(6枚)
2800
2800
700
0
6300
パラシュート
5600
5600
0
0
11200
パラシュートひも
1050
0
0
0
1050
0
400
400
0
800
300
0
0
0
300
17640
5880
5880
0
29400
450
0
0
0
450
本体の主要部分(自主制作)
本体(ネジ等)
GPS
光センサ
電池(回路)
microSD
microSDキット
マイコン
マイコンケーブル
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AXELSPACE CanSat Challenge 2014 [ Keio Team Wolve’Z・慶應義塾大学 ]
打ち上げ費
―
―
―
90000
計
76912
88278
47368
90000
累計
76912
165190
212558
302558
表6
90000
予算計画 (AXELSPACE CUP の補助金が 25 万円の場合)
BBM
本体の主要部分(既成品)
EM
FM
その他
計
1800
0
0
0
1800
0
7500
5000
0
12500
3000
1000
1000
0
5000
0
2800
2800
0
5600
デジコン
3528
3528
5292
0
12348
高度計
3600
3600
3600
0
10800
0
500
0
0
500
IMU
6615
13230
19845
0
39690
無線
3150
3150
3150
0
9450
回路基板
815
1630
815
0
3260
回路素子
6000
5000
5000
0
16000
0
7884
5256
0
13140
電池(モータ)
7938
15876
15876
0
39690
充電器
6426
0
0
0
6426
分離機構
1000
1000
1000
0
3000
モータ
5200
10400
5200
0
20800
プロペラ
2800
2800
2800
0
8400
パラシュート
5600
11200
11200
0
28000
パラシュート ひも
1050
0
0
0
1050
0
400
400
0
800
300
0
0
0
300
17640
5880
5880
0
29400
450
0
0
0
450
130000
130000
本体の主要部分(自主制作)
本体(ネジ等)
GPS
光センサ
電池(回路)
microSD
microSDキット
マイコン
マイコンケーブル
打ち上げ費
―
―
―
計
76912
97378
94114
130000
累計
76912
174290
268404
398404
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AXELSPACE CanSat Challenge 2014 [ Keio Team Wolve’Z・慶應義塾大学 ]
参考文献
[1] 防災情報のページ, 内閣府,
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/kyoukunnokeishou/rep/1990-unzenFUNKA/,
(2014 年 3 月確認).
[2] 地震・火山の科学をもっと身近に, 東京大学地震研究所,
http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/2013-2014sinabung/, (2014 年 3 月確認).
[3] 防災科学技術研究所 ホームページ, http://www.bosai.go.jp/, (2014 年 3 月確認).
[4] 藤田英輔, “火山噴火予知研究の現状と今後の課題”, 科学技術動向, (2009).
[5] 防災科学技術研究所, “アジア・太平洋国際地震・火山観測網構築計画に関する事前調査”, (2007).
[6] 岸本博志, 儘田勉, 松尾剛人, 西真佐人, 荒井健一, 佐野寿聰, “浅間山噴火時における遠隔操作での
調査・観測と無人化施工を可能にする通信環境の整備検討”, 砂防学会研究発表会, Vol. 61, (2012),
pp. Pb-10.
[7] 成長産業・事業戦略フォーラム ホームページ,
http://sangyo.jp/ri/env/ev-battery/article/20090817.html, (2014 年 3 月確認).
[8] アクセルスペース ホームページ,
http://www.axelspace.com/solution/utilization/, (2014 年 3 月確認).
[9] 石原和弘, “火山現象の理解と火山噴火予知”, 京都大学防災研究所年報, Vol.55, No. A, (2012).
[10] A. Kalantari, M. Spenko, “Design and Experimental Validation of HyTAQ, a Hybrid Terrestrial
and Aerial Quadrotor”, IEEE International Conference on Robotics and Automation, Karlsruhe,
(2013).
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