マルチファン風洞によるアクティブ制御乱流生成法の研究 - 大分工業高等

大分工業高等専門学校紀要
第 42 号
(平成 17 年 11 月)
マルチファン風洞によるアクティブ制御乱流生成法の研究
菊川裕規 1,黒田直孝 2,山神悠太 2
1機械工学科,2機械工学科平成16年度卒業生
It is necessary to solve the characteristic of an atmospheric boundary layer or a strong wind in the case of
construction of a large-sized structure. A wind tunnel experiment as the analysis for a natural wind is popular
method. It is important to produce the flow which has the same turbulent characteristic as the natural wind in a
tunnel. This research aims at reproducing the turbulent flow of the natural wind in a wind tunnel. As an active
method, time changing the number of rotations of the fan in a wind tunnel equipment is carried out.
Furthermore, the method of arranging a fan one by one to turn reverse rotation, which called Quasi-Grid
method was used. As the current research, in addition to the conventional active control, the quasi-grid method
was introduced. The result was obtained from the combination of quasi-grid method will be effective as a
preset value at the time of reproducing arbitrary wind velocity in a wind tunnel. It turned out that the frequency
region of the inertia sub range to be generated turbulent flow by spectral analysis.
Key Words: Quasi‐grid, Active control, Multiple‐Fan Wind Tunnel
1 .は じ め に
近年,世界各地において大型建造物の建設が盛ん
に行われている.また,塔,煙突,アンテナ,クレ
ーンなども大型化されてきている.これらの構造物
は海上,海岸,平地,都市部,山間部などの様々な
地形上に建設されており,立地場所により異なる風
の影響を受けることとなる.わが国は台風の常襲国
でもあり,大型構造物の建設の際には風の影響を無
視することができない.そこで大気境界層や強風の
特性の解明を行い,高層ビルや巨大吊橋などの巨大
構造物の耐風設計などを行ために,自然風,特にそ
の乱流特性が必要となる.乱流特性の解析方法とし
て有力な手段として風洞実験がある.その際,風洞
内に自然風と同じ乱流特性を持つ気流を再現する必
要 が あ る .風 洞 内 に 乱 流 を 発 生 さ せ る 方 法 と し て は ,
障害物から発生する後流を利用するパッシブな方法
と,本研究のように駆動機により流れにエネルギー
を与えるアクティブな方法に大きく分けられる.
図 1
本研究は上記で述べたような大気境界層内におけ
るの自然風の乱流特性の再現を目標とする。アクテ
ィブな方法として,風洞装置の送風機の回転数を周
波数や電圧値により時間変化させ,それにより発生
した風の乱流特性を詳しく調べる.昨年度までの研
究では全送風機を正転させ同一制御信号により気流
を生成していたが,本年度は送風機を正転,逆転の
交互に配列し擬似的な格子により気流を生成する方
法を用いた.送風機制御により時系列的に変動する
波形を作り出すとともに,擬似的な格子状態により
後流の渦を作り出す狙いがある.アクティブ制御に
このパッシブな要素を用い乱流の生成を行う方法を
擬似格子法と名づけ,この擬似格子法の基礎的な性
能評価を行うことを本研究の目的とした.
2 .実 験 装 置
2 .1 風 洞 装 置 概 要
本風洞は送風機部に小型送風機を縦 5 列,横 3 列,
の 計 15 個 備 え ,送 風 機 部 で 発 生 し た 風 が 縮 流 部 を 通
過して観測部に入る吹出し型風洞である.観測部は
長 さ 3600m, 高 さ , 幅 と も に 540m の 風 路 断 面 を 持
つ.この風洞装置の概要を図 1 に示す.この図にお
いて流下方向に X 軸を取り,縮流部出口を原点とす
る.また風路断面における幅方向を Y 軸とし送風機
側から見て左風路壁面を原点,高さ方向を Z 軸とし
風路底面を原点とする.
2 .2 測 定 装 置
気流の測定には X 型の熱線風速計を使用している.
熱 線 風 速 計 は 直 径 5μ m の 白 金 線 を 熱 し ,気 流 に よ り
放熱されるときの電気抵抗の変化を風速値に換算す
る仕組みで,応答性がよく,気流の乱れの測定に適
している.図 2 に測定装置を示す.
熱 線 風 速 計 の 原 理 は ,直 径 5μ m の 白 金 線 を 熱 し た
プローブを気流の中に投入することで,熱が奪われ
風洞装置概要
−23−
図 4
図 2
送風機作動までの流れ
測定装置
図 5
図 3
風速測定の流れ
的に格子を作り出しているのでパッシブな要素も含
んでいる.この擬似格子パターンを図 6 に示し,以
下に擬似格子法の評価としての実験方法を示す.
熱線風速計のブロック線図
る.プローブの白金線はホイートストンブリッジの
一辺として構成されているため,熱が奪われて電気
抵抗値が変化することでブリッジの電気的なバラン
スが崩れる.このときのバランスを元に戻そうとす
る動き,起電力が生じる.起電力は風速に応じて変
化するため,これを風速値へ変化するという仕組み
で あ る . プ ロ ー ブ と CTA ア ネ モ マ ス タ ー プ ロ ー ブ と
リニアライザーユニットの関係を表したブロック線
図を図 3 に示す.
3 .2 風 路 断 面 分 布 の 測 定
風路断面についての風速と乱れ強度についての分
布状態を測定する.入力電圧を断面について高さ方
向 に 9 点 ,幅 方 向 に 5 点 ,の 45 点 を 計 測 し た .ま た ,
測定点を流下方向にずらして 2 つの断面,入り口付
近 ( x=500mm) と 出 口 付 近 ( x=3000mm) に つ い て
測定した.
断面の測定点へは,トラバーサーを用いてプロー
ブの位置を移動させる.風路長方向は,トラバーサ
ーごと移動させる.また測定条件としては各送風機
の 入 力 電 圧 5V,計 測 周 期 500μ sec,計 測 点 数 32768
点として行った.
2 .3 制 御 装 置
風洞に風が生成されるまでの一連の流れを図 4 に
示す.まずはパソコンにより制御信号を与える.パ
ソ コ ン か ら 与 え ら れ た 信 号 は D/A コ ン バ ー タ ー に よ
りデジタル信号からアナログ信号に変換される電圧
値としてインバーターに送られる.インバーターに
より電圧信号を周波数変換し送風機の制仰すること
で気流が生成される.
風速値がパソコンに保存されるまでの流れを図 5
に 示 す . 風 は 熱 線 プ ロ ー ブ に よ り 感 知 さ れ CTA ア ネ
モマスターユニットにより増幅される.その後リニ
ア ラ イ ザ ー ユ ニ ッ ト に よ り 一 次 式 に 変 換 さ れ A/D コ
ンバーターでアナログ信号からデジタル信号に変換
される.計測はパソコンの測定プログラムにより制
御する.
3 .3 流 下 方 向 分 布 の 測 定
風 洞 の 流 下 方 向 (風 路 長 方 向 )に 対 し て の 風 速 ,乱 れ
強度分布を測定する.測定点は風路断面の中心部と
す る . 流 下 方 向 に 対 し x=500mm の 地 点 か ら
x=3000mm ま で の 地 点 に 向 か っ て 500mm 間 隔 で 計 7
点測定した.
ま た 測 定 条 件 と し て は 各 送 風 機 の 入 力 電 圧 5V, 計
測 周 期 500μ sec, 計 測 点 数 32768 点 と し て 行 っ た .
3 .実 験 方 法
3 .1 擬 似 格 子 法
本風洞が持つ送風機列の回転方向の組合せにより,
擬似的に格子乱流状態を作り出す.本実験では,吹
出 し 回 転 (正 転 )と 吸 込 み 回 転 (逆 転 )を 交 互 に 配 列 す る .
正 転 ,逆 転 の 切 り 替 え は イ ン バ ー タ ー に よ っ て 行 う .
この擬似格子法はアクティブ制御ではあるが,擬似
−24−
3 .4 正 逆 転 制 御 電 圧 値 の パ タ ー ン 変 化
3.3,3.4 の 方 法 で は 正 逆 転 の 送 風 機 の 制 御 電 圧 値
を同一とした.すなわち,送風機の正転方向と逆転
方向の回転数は一致していた.そこで,制御電圧の
組合せを変化させたときの平均風速の変化を測定す
る .測 定 点 は 風 路 出 口 付 近 (x=3000mm)に お け る 風 路
断面の中心とする.
制御条件は逆転を基準とした時の正転 1 倍,2 倍,
3 倍 ,5 倍 ,10 倍 の 比 と 逆 転 を 0 と し た 場 合 に つ い て .
ま た 計 測 周 期 500μ sec,計 測 点 数 32768 点 と し て 行
った.
3 .5 周 波 数 応 答 特 性 の 測 定
送 風 機 の 入 力 電 圧 を 正 弦 波 形 で 与 え る .そ の 時 の 入
力 電 圧( Input)と 出 力 電 圧( Output)の 電 圧 値 の 波
形から追従性を測定する.測定点は風路出口付近
(x=3000mm)に お け る 風 路 断 面 の 中 心 と す る .
測 定 条 件 と し て は 送 風 機 の 周 波 数 を 0.1∼ 3Hz 範
囲 で 振 幅 を 2V と し て 測 定 し た . ま た 入 力 電 圧 5V,
計 測 周 期 500μ sec,計 測 点 数 30000 点 と し て 行 っ た .
正転:+
逆転:−
図 6
図 7
4.実験結果
4 .1 風 路 断 面 分 布 の 結 果
入り口付近と出口付近の風速分布を図 7 と図 8 に
示 す . こ の グ ラ フ よ り 風 速 は 入 り 口 付 近 (x=500mm)
で 全 体 的 な ば ら つ き が 大 き く ,出 口 付 近 (x=3000mm)
ではばらつきもそれほどなく一様化が進んでいると
いうことが分かる.入り口付近の傾向として中心部
は低い値となり,右上と左下に風速の高い地点がで
きている.また,出口付近でも風路壁付近の方がよ
り高い風速値となっている.
この結果は送風機の回転状態による影響を受けて
いることが考えられる.送風機により発生した風が
縮流部出口で外側に広がろうとする渦状流れとなっ
ているためである.
入 り 口 付 近 と 出 口 付 近 の 乱 れ 強 度 を 図 9 と 図 10 に
示す.このグラフより乱れ強度は,入り口付近
(x=500mm)で は 0.3∼ 0.45 く ら い の 高 い 値 を , 出 口
付 近 (x=3000mm)で は 0.1∼ 0.16 く ら い の 低 い 値 を
擬似格子配列
図 8
風 速 分 布 ( x=500mm)
図 10
図 9
乱 れ 強 度 分 布 ( x=500mm)
−25−
風 速 分 布 ( x=3000mm)
乱 れ 強 度 分 布 ( x=3000mm)
図 11
流下方向における風速変化
図 13
図 12
正逆転電圧値の組合せによる風速値分布
流下方向における乱れ強度変化
と っ て い る と い う こ と が 分 か る .乱 れ 強 度 は 風 速 デ ー
タ の 時 系 列 に 対 す る 標 準 偏 差( ば ら つ き )の 度 合 い と
の度合いといえるので平均風速で除すことで無次元
数 と な っ て お り ,各 点 で 比 較 で き る .出 口 付 近 で は 入
口 付 近 に 比 べ 値 が 低 く な っ て お り ,気 流 の 状 態 と し て
は時間変動の一様化が進んでいると言える.
4 .2 流 下 方 向 分 布
流 下 方 向 に お け る 風 速 変 化 を 図 11 に 示 す . こ の グ
ラフより風速は流下方向に対し一度下がって上昇す
る と い う 曲 線 を 描 い て い る と い う こ と が 分 か る .こ の
ことから入り口付近では気流の混合過程で風速値減
少 の 傾 向 を 見 せ ,出 口 付 近 に 近 づ く に つ れ 境 界 層 ( 壁
面 )の 発 達 に 伴 い 連 続 の 式 の 効 果 で 風 速 値 が や や 上 昇
す る と い う こ と が 考 え ら れ る .す な わ ち ,境 界 層 に よ
り風路断面中心部付近の断面積が狭まる.
流 下 方 向 に お け る 乱 れ 強 度 変 化 を 図 12 に 示 す .こ
のグラフより乱れ強度は流下方向に対し減少してく
曲 線 を 描 い て い る と い う こ と が 分 か る . 500mm ∼
1500mm へ の 移 行 過 程 で 特 に 大 き く 減 少 し て お り ,
気流の混合,一様化が急速に進んでいると言える.
4 .3 正 逆 転 制 御 電 圧 値 の 組 合 せ
正転送風機と逆転送風機を制御する電圧値を変え
た と き の 組 合 せ に よ る 風 速 値 の 分 布 状 態 を 図 13 に 示
す .こ の 図 の 意 義 は 正 逆 転 電 圧 の 組 合 せ に 対 す る 風 速
値 が 割 り 出 せ る こ と で あ る . 例 と し て ,3m/s の 風 速
値が得られる近似直線を求めるとその近似式は
y = 1.82x − 8.48
となった.
4 .4 ス ペ ク ト ル 解 析
時 系 列 の 変 動 波 形 で あ る 測 定 デ ー タ を , FFT 変 換
に よ っ て ス ペ ク ト ル 解 析 を 行 う . FFT 変 換 に よ り 得
ら れ た パ ワ ー ス ペ ク ト ル の 波 形 か ら ,Kolmogorov の
局所等方性理論により慣性小領域と呼ばれる周波数
域 を 割 り 出 す . 慣 性 小 領 域 , す な わ ち 周 波 数 の -5/3
乗の傾きに沿う周波数域である.
図 14 に ス ペ ク ト ル 解 析 後 の 波 形 を 示 す .図 中 の 赤
い 直 線 が 周 波 数 の -5/3 乗 の 傾 き で あ る . 送 風 機 の 回
転数が低速の場合に比べて高速の場合のほうが慣性
小 領 域 が 広 く な っ て い る こ と が わ か る .慣 性 小 領 域 の
割 り 出 し を 最 小 自 乗 法 に よ っ て 行 っ た .高 周 波 数 側 の
値を削って近似式を割り出し,式の指数値が
− 5 3 ± 0.5% = 1.66 ± 0.5% と な る 範 囲 を 採 用 し た .図 17 に
示す組合せの慣性小領域は次のようになる.
正転:逆転の組合せとして,
1V: 1V… 確 認 で き ず
2V: 2V… ∼ 54Hz
5V: 5V… ∼ 400Hz
8V: 8V… ∼ 460Hz
10V: 10V… ∼ 540Hz
送風機の回転数が低くなる制御電圧値の組合せで
は 気 流 変 動 に 与 え る エ ネ ル ギ ー が 小 さ い た め ,慣 性 小
領 域 が 現 れ な い と 考 え ら れ る .送 風 機 の 回 転 が 気 流 に
与 え る エ ネ ル ギ ー が 十 分 に 大 き い 場 合 に は ,慣 性 小 領
域が現れている.
y : 正 転 送 風 機 電 圧 [V]
x : 逆 転 送 風 機 電 圧 [V]
−26−
Power spectrum[m2/s]
Power spectrum[m2/s]
10-2
10-3
10-4
10-5
10-6
10-7
10-8
10-9
10-10
10-11 0
10
k-5/3
101
102
103
10-2
10-3
10-4
10-5
10-6
10-7 k-5/3
10-8
10-9
10-10
10-11 0
10
∼54Hz
101
k[Hz]
10-2
10-3
10-4
10-5
10-6
10-7
10-8
10-9
10-10
10-11 0
10
正 転 1V: 逆 転 1V
(b)
-5/3
k
Power spectrum[m2/s]
Power spectrum[m2/s]
(a)
∼400Hz
101
102
103
10-2
10-3
10-4
10-5
10-6
10-7
10-8
10-9
10-10
10-11 0
10
Power spectrum[m2/s]
10-2
10-3
10-4
10-5
10-6
10-7
10-8
10-9
10-10
10-11 0
10
103
正 転 2V: 逆 転 2V
k-5/3
∼460Hz
101
k[Hz]
(c)
102
k[Hz]
102
103
k[Hz]
正 転 5V: 逆 転 5V
(d)
正 転 8V: 逆 転 8V
k-5/3
∼540Hz
101
102
103
k[Hz]
(e)
正 転 10V: 逆 転 10V
図 14
4.5
スペクトル解析結果
電圧に対して気流変動の追従性が悪くなったと言える.
周波数応答
周波数応答特性の評価として,制御電圧を正弦波波形とし
周波数応答性について,各周波数における測定データの波形
て与え測定風速値の波形と比較した.図 15 に各周波数におけ
からスペクトル解析によりピークスペクトルを求め,ゲイン
る制御電圧の波形及び測定風速値の波形を示す.
曲線を作成した.得られたゲイン曲線を図 16 に示す.図 19
周波数 0.1Hz では制御電圧の波形の周期と出力波形の周期
は最も高い追従性を示した 0.1Hz 時のピークスペクトルを 1
が良く一致していることが確認できる.それ以降,周波数が
とした比で表した.図 4.11 より折点周波数は約 0.4Hz となり,
高くなるにつれて振幅が小さくなり,正弦波波形が次第に崩
0.4Hz の周波数までは制御波形に従う測定風速値の波形を得
れていくことがわかる.周波数 1.0Hz においては測定風速値
ることが期待できる.
の波形はランダムな変動を起こしている.高周波側では制御
−27−
4
4
2
2
0
0
20
30
Time [s]
Wind velocity [m/s]
(a)
40
4
4
2
2
0
0
0
10
20
Time [s]
(b)
8
6
4
4
2
2
0
30
0.5Hz
Control wave
Measurement data wave
8
6
6
4
4
2
2
0
0
10
Time [s]
(c)
6
0.1Hz
6
0
6
50
Control wave
Measurement data wave
8
Input voltage [V]
10
Wind velocity [m/s]
0
Control wave
Measurement data wave
0
0
20
2
0.7Hz
4
6
Time [s]
(d)
図 15
Input voltage[V]
6
Input voltage[V]
6
Wind velocity [m/s]
8
Input voltage[V]
Wind velocity [m/s]
Control wave
Measurement data wave
8
10
1.0Hz
周波数応答波形
101
Break frequency
: 0.4Hz
100
Gain
10-1
10-2
10-3
10-4
10-5
10-1
100
Frequency[Hz]
図 16
101
ゲイン曲線
5 .お わ り に
本 年 度 の 研 究 で は ,従 来 の ア ク テ ィ ブ 制 御 に 加 え て
擬似格子法を新しく導入し,性能評価実験を行った.
正 逆 転 制 御 電 圧 値 の 組 合 せ よ り 得 ら れ た 結 果 は ,今
後風洞内に任意の風速を再現する際の設定値として
有効である.
ス ペ ク ト ル 解 析 は ,風 洞 内 に お け る 気 流 の 乱 流 状 態
を 知 る 目 的 で 行 っ た .送 風 機 の 回 転 に よ り 気 流 に 十 分
な エ ネ ル ギ ー を 与 え た 場 合 に お い て は ,乱 流 の 生 成 過
程と言える慣性小領域の波数域が存在していること
がわかった.
周 波 数 応 答 性 の 評 価 に よ り ,本 擬 似 格 子 パ タ ー ン に
おいても低周波数領域では風洞内の気流変動が制御
電圧に対して追従することが確認された.しかし,
0.4Hz よ り 高 い 周 波 数 領 域 で は ,気 流 変 動 の 制 御 は 困
難であることが明らかとなった.
今 回 ,擬 似 格 子 法 に よ り 一 様 な 風 速 分 布 の 乱 流 特 性
が 得 ら れ た が ,今 後 ,大 気 境 界 層 分 布 を 擬 似 格 子 法 に
より再現することを課題とする.
参考文献
(1)菊 川 裕 規 : 乱 流 風 洞 の 基 礎 的 研 究 (1999).
(2)日 野 幹 雄 : ス ペ ク ト ル 解 析 ,朝 倉 書 店 (1977).
(3)塩 谷 正 雄 : 強 風 の 性 質 ,開 発 社 (1979).
(4)木 田 重 雄 ,柳 瀬 眞 一 郎:乱 流 力 学 ,朝 倉 書 店 (1999).
−28−
(2005.9.30 受 付 )