1 - 福島環境カウンセラー協会

Fukushima Environmental Counselor Society Report, Non Profit Organization 2014 年 6 月 1 日【第 5 号】
特定非営利活動法人
福島環境カウンセラー協会報
「2013 年度」
第5号
2014
6月1日
「東日本大震災特集 4」
⇒復興への道程
2013 活動報告
福島の復興と再生の期待を背に曳航される浮体式洋上風力発電設備(ふくしま未来)
(出力:2MW 小名浜港 2013.07)
Fukushima Environmental Counselor Society Report, Non Profit Organization 2014 年 6 月 1 日【第 5 号】
目
次
1.「東日本大震災から 3 年を経て・・・福島復興再生と環境カウンセラーの活動」会長長澤利枝
2.東日本大震災特集 4:復興への道程
…………………………………………………………………2
2-1.忘れないでふくしま 会長 長澤利枝
ふくしまからのメッセージ
……………………………………………………………3
………………………………………………………………………5
第 1 部<被災地の生活環境>
………………………………………………………………………5
第 2 部<災害がれきの処理状況>
第 3 部<除染の進捗状況>
…………………………………………………………………7
……………………………………………………………………8
第 4 部<復興・再生への道>相双地方地域再生創造プロジェクト
復興への かすかな兆し
…………1
………………………………10
………………………………………………………………………………11
2-2.「我社のCSR・被災地のデイサービスセンターを訪問」
=絆リンゴで笑顔と唄のプレゼント= 草野 信 …………………………12
2-3.『栃木県平石地区まちづくり協議会環境部会』様との交流会 報告
2-4.復興への取り組み活動(森林材活用と笑顔)
会長 長澤 利枝…………13
佐久間光好
……………………………………15
3. 平成 25 年度環境カウンセラー研修(東北地区)開催報告について
副会長 片平 大造………………17
4.平成 25 年度活動報告
4-1.「竹に教わること」 佐久間光好
…………………………………………………………………22
4-2.環境マネジメント講習会・HEMS 推進コンソーシアム等について副会長 片平 大造 ……………24
4-3.「平成25年度の福島県再エネコーディネーターの職務と実績の概要について」事務局長鈴木一 26
4-4.再エネふくしまをつくろう!! 事務局長 鈴木 一 ……………………………………………………27
4-5.地球環境の未来とミッション
5.平成 25 年度一般事業活動報告
青木 敏春
事務局長 鈴木 一
…………………………………………………28
…………………………………………………33
6.平成 25 年度事業計画の実施結果 事務局長 鈴木 一 …………………………………………………34
7.平成 26 年度事業計画
事務局長 鈴木 一 ………………………………………………………35
8.福島環境カウンセラー協会会員名簿
編集後記
……………………………………………………………………36
…………………………………………………………………………………………………37
Fukushima Environmental Counselor Society Report, Non Profit Organization 2014 年 6 月 1 日【第 5 号】
第5号
特定非営利活動法人
福島環境カウンセラー協会
会長 長澤 利枝
「東日本大震災から 3 年を経て・・・
福島復興再生と環境カウンセラーの活動」
会長 長澤 利枝
長澤 利枝 会長
新緑の爽やかな季節になりました。会員の皆様ご健勝でこ活躍の
ことと存じます。
過日、復興再生事業『「相双~苦難を越え“環境・生活“への創造』
…にじをつなぐ~友・有・悠PARTⅡ…を実施しました。震災翌
年から地域の仲間たちと「地域住民主体の復興再生」を実施してい
ます。南相馬市は、この 2 年間震災関連死が 500 人を超えています。
厳しい環境の中で、生きる目的を持つことがどれほど難しいか~常
に思うことです。私たちが、前を向いて生きていくことの証しにな
ることを願い、何が出来るか~考えました。
その過程で企画した事業です。3 年目の 4 月 20 日のイベントには、福島環境カウンセラーの
仲間たち、県外の環境カウンセラーの皆さん 26 人が集合されました。
「環境カウンセラー交流
コーナー」は、終日和やかでした。震災直後から支援下さっているNPO法人かながわ環境カ
ウンセラー協議会さんはじめ、多くの環境カウンセラーの方々が、時期を問わずに現地視察、
ボランティアなどでお出で下さっています。このつながりはより広く、より固くなっています。
ECUの常任理事会で、私は福島の現状とこれからの課題についての提言をしています。月
日が経つにつれ「風化されている」危機感があります。私たち福島環境カウンセラーは、自分
たちの出来うる範疇で、それぞれの形で福島の現状を発信し続けることが活動の一環と考えて
います。今年度第 5 号協会誌のテーマでもあります。
県主催『3.11 ふくしま追悼復興祈念行事』に当たり、
“県民からのメッセージ“の募集が
ありました。それに応募した亡くなった 3 人へのメッセージをお届けして、私のご挨拶
と致します。
「峻君、静空ちゃん、爺ちゃん元気ですか。今年の 1 月 11 日に、北萱浜の峻君の屋敷跡に、
花と手紙を供えました。あの日から、まもなく 3 年になります。峻君はもうすぐ高校生。静空
ちゃんは、中学 1 年生になるはずだったのに…。クロ(猫)を探している時に、大津波が 3 人を
呑み込んでしまいました。翌日、原発事故で残されたパパとママとばあちゃんは、福島あづま
運動公園の体育館に避難しました。パパは、消防団のOB のリーダーとして、毎日福島から通
って、行方不明の人達を探し続けました。 私に~静空と爺ちゃんは見つかった。峻は…どこ
さいんだべ~とげっそり痩せた顔に、涙が溢れて辛さの限界でした。かけがえのない尊い命が、
一瞬でこの世から消えました。でも、ばあちゃんと私は、3 人ともどこかで懸命に生きている
と思っています。心に生きているみんなの為に、『福島を忘れないで!』と、伝え続けていき
ます。」
FEC 協会報
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Fukushima Environmental Counselor Society Report, Non Profit Organization 2014 年 6 月 1 日【第 5 号】
2.東日本大震災特集4:復興への道程
東日本大震災の継続する復興の渦中にあって、山積する障害を抱えながら困難に
直面している人たちの、一歩を踏み出してもそれ以上動けない鉛のように重い 3 年間
が過ぎました。
今年も、再生を夢見るには十分な背景、萌え出る新緑に彩られた息吹の中にあって
も、厳然として復興への長い道程が横たわっています。
あの日から持続可能な社会を目指して資源エネルギーの無駄をしないように言い聞
かせながら、「自然エネルギーの凄まじさと、人間が創る科学技術の未熟さ」を知り、
気づくことのできた貴重な 3 年間であったと再認識しています。
忘れずにいることのむずかしさがあるけれど、「震災を風化させない」そして「原発の
被害の大きさを改めて考えるとき、守るべきものが、何んであるかははっきり見えてい
ます。」
安易な気持ちで「現状を取り繕う」ことなく、復興を見つめながら奔走した長澤利枝
会長、片平副会長、草野、佐久間会員からの真実の叫びをご覧ください。
いわき市薄磯海岸付近の基礎だけになったままの住宅跡
FEC 協会報
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Fukushima Environmental Counselor Society Report, Non Profit Organization 2014 年 6 月 1 日【第 5 号】
第 4 回環境カウンセラー全国交流会配布資料
2-1
忘れないで
ふくしま
この資料は「東日本大震災」から 2 年 6 か月を経た、
被災地の現状を記録しました。
環境カウンセラーの皆様が、この情報を共有し、
伝えていって下さることを、切に願っています。
NPO 法人福島環境カウンセラー協会
長澤 利枝
2013. 10.12 於千葉市
産経ニュース:http://topics.jp.msn.com/wadai/pouch/article.aspx?articleid=1519228 2012 年 11 月 16 日
FEC 協会報
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Fukushima Environmental Counselor Society Report, Non Profit Organization 2014 年 6 月 1 日【第 5 号】
地震と津波の被災家屋(記事写真)
2013.6.22撮影被害は軽微でも居住できない。立ち入り禁止である
・南相馬市の実状を報道しなくなったマスコミ
/ タクシー運転手「もう東京では忘れられてるでしょう」
2011 年 3 月 11 日(金曜日)14 時 46 分に発生した東北地方太平洋沖地震。それにより発生した災害は「東日本大震
災」として世界中に知られることとなった。発生から数カ月間はマスコミは被災地の実状を報道し続けた。
・マスコミは状況をわずかしか伝えていない
しかしここ最近のマスコミは、被災地の状況をわずかしか伝えていない。ガイガーカウンター片手に被災地に乗り込
んで Twitter でつぶやいて注目を集めたジャーナリストも、いまは他の話題に忙しいようで、被災地問題については
サブな扱いにしている。現状を伝えないものだから、一部の国民は「東日本大震災は過去のこと」「すでに終わったこ
と」と思っているのでは? 南相馬市でタクシーの運転手をしている男性は、以下のように心境を語ってくれた。
・もう東京では忘れられてるでしょう
「南相馬の壊滅的な状況は今も続いています。津波で壊れた建物も当時のまま残っているし、集められたガレキも
山積みになっているんです。テレビがやりませんからね。もう東京では忘れられてるでしょう。もうキレイになっている
と思ってるんじゃないですかね……」(タクシー運転手 談)
・「まだ震災は終わっていない」ことを伝えるため
地震発生後、マスコミは衝撃的な津波や被災状況を映像で流し、「そんな衝撃的な映像よりも被災地の人たちを助
けるための情報を流せ!」と批判を受けた。しかし、いまだからこそ被災地の現状を映像で流さなくてはならない。
「まだ震災は終わっていない」ということを伝えるために。
・心が痛むから近寄りたくないんですよね
タクシーの運転手は「心が痛むから近寄りたくないんですよね」と言いながらも、南相馬市の現状を伝えるためなら
と、南相馬市の避難指示解除準備区域の方面へとクルマを走らせてくれた。そこには、津波によって荒野と化した大
地、廃墟と化した民家やビルがそのまま放置されていた。これでもだいぶ片付いたほうらしく、今にも崩れそうな民家
には、さびしそうに縁側に座るぬいぐるみが置かれていた。爪痕(つめあと)はまだ消えていない。
・個々が目を向けて「気にかけること」が大切
われわれ国民は、前を向いて歩きながらも、被災地に目を向けていく必要がある。マスコミが被災地の情報を伝える
時間が減ったいま、個々が目を向けて「気にかけること」が大切になってくる。皆さんはどうお思いだろうか?
この記事は[産経デジタル様]の許可を得て、掲載しました。ご厚意を感謝いたします。(2013.10.4)
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Fukushima Environmental Counselor Society Report, Non Profit Organization 2014 年 6 月 1 日【第 5 号】
ふくしまからのメッセージ
平成 25 年 9 月 11 日「東日本大震災」から 2 年 6 か月になる。
津波、原発による被害は、今尚被災地の人々を苦しめている。
当たり前の生活が奪われ、光の見えないトンネルに佇んでいる。
日々、もたされる原発の情報は、深刻の一途をたどっている。これが、福島の現実。
第 1 部<被災地の生活環境>
☆ 被災による、県内死者・行方不明者の数 (H25.9.1)
・ 県内の震災による死者
3,279 人
<直接死 1,599 人 死亡認定者 221 人 関連死 1,459 人>
・ 南相馬市の震災による死者 1,064 人
<直接死 525 人
死亡認定者 111 人 関連死 428 人>
※ 関連死が増加している主な理由に、長期化する避難生活で疾病のストレスによる
体調不良などが考えられる
☆ 県民避難者数
148,729 人(県内、県外を含む) H25.7.4 時点
・県内避難者<仮設住宅:30,489 人 借り上げ住宅:55,862 人
公営住宅:5,744 人 親戚・知人宅:3,221 人>
・南相馬市避難者数 16,138 人(県内、県外を含む) H25.5.31 時点
※ 避難者の多くは、全国都道府県に拡散している。借り上げ住宅
23,927 戸、仮設住宅 16,800 戸に居住し、不安な生活が長期化している
☆ 子どもの避難状況(18 歳未満の避難数)
<福島県の状況> H25.4.1 現在 ・県内 12,214 人
・県外 15,816 人
(合計 29,148
人)
(震災前 H23.3.1 福島県に住む 18 歳未満数
274,322 人)
<南相馬市の状況> H25.8.26 現在
・小中生数
3,331 人
・ 幼稚園・保育園児数
977 人
(震災前 H23.3.1 小中生数 6,021 人 幼稚園・保育園児数 2,340 人)
※ 20 ㎞圏内及び放射能線量の高い地域に住む若い家族は、避難を余儀なくされている。
また 3 世代同居の家族が多いこの地域では、世代別に離れて(2、3 か所に別れる)の生活を
している
☆ この地での子どもたちの変化
・子どものいる家庭では、この地で、安心して生活しているのではない。
(例) 食事について…内部被ばくを避けるために細心の注意をする
・ 自然、生活環境の激変で、五感を刺激して育まれる機会が奪われた。
・ 大人たちの閉塞感が、子どもの心に影響を与えている。
参考
<子どものいる家庭食生活のアンケート結果の例>
① 福島県産以外の食材使用(野菜、果実)
51%
②
〃
(肉、魚)
61%
③ ミネラルウォーター使用
66%
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Fukushima Environmental Counselor Society Report, Non Profit Organization 2014 年 6 月 1 日【第 5 号】
外遊びは1日 30 分!
←除染をした園庭で元気に遊ぶ子どもたち
モリタリングポスト(放射線量測定器)
↓
0.117μ㏜/h(撮影時)
ヒノキで作った砂場で夢中で遊ぶ園児たち
☆ 仮設住宅:旧緊急避難準備区域…30 ㎞圏内…に建設。
南相馬市内仮設住宅 16 カ所
3,312 戸
入居者数 約 16,000 人
避難所の生活状況の悪さから、ともかく広い空地を選び、仮設住宅の建設を急いだため、
町はずれの不便な土地に所在している。
借り上げ住宅は、5,087 件。個人で借り上げをするので、支援からこぼれてしまう。
「災害公営住宅」の建設計画が、ようやく動き始めた。
鹿島区長沼塚合第2仮設住宅 135 戸 350 人居住 高齢者が多く住む。車なしでは暮らせない
原発事故の収束遠く、被災住民は日々不安と向き合っています。
風化しないことを望んでいます。
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第 2 部 <災害がれきの処理状況>
☆
県内の災害廃棄物の処理状況
H25.6 月現在
・ 災害廃棄物発生見込量
3,459 千トン
・ 仮置場搬入量
2,243 千トン(64.8%)
・ 処理・処分量
1,703 千トン(49.2%)
☆ 県民避難者数
148,729 人(県内、県外を含む) H25.7.4 時点
・ 災害がれき搬入(津波堆積物)
609,076/1,026,000t (進捗率 59%)
・ 災害がれきの分別(粗分別)
340,499/ 526,944t (進捗率 65%)
・ 災害がれき分別後の処理(再利用)
0/143,975t
(進捗率
0%)
・ 災害がれき分別後の処理(焼却・埋立) 953/78273t(進捗率1%)
・ 損壊家屋解体撤去
1287/1655 件
(進捗率 78%)
※ 今後の課題として
1. 警戒区域内(20 ㎞圏内)の災害がれきの処理は、環境省管轄なので震災直後のままである。
2. 放射線量の低い地区…原町区沿岸地域、小高区沿岸地域…は、がれき処理が始まってい
る。小高区村上海岸沿いに、仮置き場が設置され、搬入が進められている。他は手つか
ずの状況。
3. 放射性物質への懸念が根強く、受け入れの確保が出来ない。
4. 予算上、選別機械をすべてのがれき置き場に設置できないので、処理が遅れている。
5. がれきの量が膨大であることと、放射性物質への懸念から最終処分受け入れ先の確保が
難しい等の理由で、処分が進まない。
6. 津波で流失した家屋の浄化槽内の土砂・汚泥などは放射能の影響があり処分先が確保で
きない。
7. 膨大ながれき処理に携わる、行政担当者が少ない。
8. その他、現場での作業は厳しい。
※ 現場を視察しての感想
1. 南相馬市の災害がれき処理は、困難な状況にありながらも、仮置き場搬入の際に、徹底
した粗分別をしている。
2. 鹿島区烏崎仮置き場、原町区北萱浜仮置き場は、膨大ながれきの山が連なっている。
この後の処理ルートの即急な対応が必須である。
3. 警戒区域(20 ㎞圏内)の、災害がれき処理は震災 2 年後にようやく手を付け始めた。壊滅
した相馬郡、特に原発による双葉郡の災害がれき処理は、気が遠くなるような次元のこ
とと感じる。
4. 農地を奪われた農業従事者のために、「災害がれき撤去作業」が復興資金で行っている。
知人、友人が参加しているが、手作業のために、厳しい環境にある。
災害がれきは、被災県だけでは処理できません。
国は処分完了までの財政支援の責務があります
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南相馬市鹿島区烏崎 がれき仮置場
南相馬市原町区北萱浜地区 がれき仮置場
第 3 部<除染の進捗状況>
☆ 「汚染状況重点調査地域」に指定された 40 市町村の除染状況 H25.6 月末現在
・住宅除染計画戸数
238,864 戸
実施戸数 35,886 戸
・計画予定の完了率
17.5%
・公共施設の除染計画数 5,353 ヶ所
実施数 3,315 ヶ所
・計画予定の完了率
61.9%
・農地等の除染計画数
23,280 ha 実施数 18,282 ha
・計画予定の完了率
78.5%
・森林除染状況 環境省…住宅付近の森林除染対象を拡大方針。住宅から 20m除染で
放射線量が下がらない場合は、再除染する。森林の除染は、実証事業を続け
る。
☆ 南相馬市除染状況
H25.7 月現在
・生活圏除染状況
873,900/14,074,507 ㎡ 進捗率 6%
・避難指示区域除染状況
環境省福島環境再生事務所計画に基づいて実施
※ 今後の課題として
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
除染については、課題山積が現状。
生活圏内(市町村が事業主体)において、仮置場の住民合意が必須で、住民との協議に
時間がかかった。
住民の放射性物質の不安に加えて、中間貯蔵施設設置が不透明な状況で、仮置場設置
に理解が示されない。このために除染作業が遅れている。
今後、国による除染特別区域の除染が開始されると、国による除染作業人件費が、特
別高いことから、市が実施する除染作業員の増員・確保が厳しくなる懸念がある。
除染方法がいまだに確立されていないので、実証事業の枠を出ていない。
福島県阿武隈山脈に位置する市町村は、広大な森林面積を抱えている。しかし、具体
的な対応は先送りされている。
除染作業の事業所(企業)の、現場対応での問題があとを絶たない。ずさんな除染作業、
作業員の賃金問題等、厳しい監督が必須である。
除染にたいして住民説明が不足がちで、除染への疑問がもたれている。
※ 現場を視察しての感想
1. 県道 12 号線沿いの地域は、放射線量が高いので「避難指示区域」になっている。今年
に入りようやく除染作業が始まった。作業終了時で線量が下がっても、時間の経過でま
たあがるのでないかとの懸念。
FEC 協会報
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2.
除染作業で出た放射能物質を含む廃棄物袋が、野積みで置かれている。早急に仮置場搬
入が求められる。
3. 国による除染特別区域の除染が始められている飯舘村は、仮置場が多く設置されている
が、中間貯蔵施設設置の早急な取り組みこそ除染の進捗が図られる。
4. 住民感覚は、除染への不信感が根強くあり、除染したから帰還できるとは思っていない。
5. 国の除染関係の費用は、約 4,995 億 9,600 万。除染現場の状況と貴重な財源が不均衡に
ならないことを願っている。
現在除染中。小高小学校の校庭 表土をはぎとり、次々と校庭に野積みされる 2013.10.6 撮影
半壊の家々、立ち入り解除後、ボランティアにより片付けられた。敷地外への移動は出来ず、
家ごとに山積み
2013.6.22 撮影
除染には莫大な予算が使われます。故郷に帰還する希望を実現するための
効果のある除染の確立が何より大切です。
FEC 協会報
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