Kobe University Repository : Kernel

 Kobe
University Repository : Kernel
Title
クリ樹の耐凍性に及ぼす土壌水分並びに地温の影響
Author(s)
沢野, 稔
Citation
神戸大学農学部研究報告, 14(1): 31-35
Issue date
1980
Resource Type
Departmental Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
publisher
URL
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81006430
Create Date: 2014-11-15
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クリ樹の耐凍性に及ぼす土壌水分並びに地温の影響
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緒
言
実験材料及び方法
グリの凍害は,凍害そのものによる害のほか,二次的
供試材料は,はち栽捜した共台の銀寄く日本種〉と傍
に各種の病虫害の誘因となる場合が多く,従来より多大
土 350号(華中系中国種〉の 2品種を用いた。これらは
の関心が払われてきた。凍害は単なる寒さによる害とい
断根による水分の吸収障害を遊るため,予め 1
8
c
皿のピニ
うものではなく,気象,品種的特性,栽培及び土壌条件
ール製ポットに直はんした実生台に低接ぎした 1年生の
などの諾要因が複雑に関連している。
幼樹で,使用時まで常法により管理した。
Fリの凍害に関するこれまでの研究で,土壌条件との
土壌水分は予め埋設したテンションメーターにより測
関係について行われたものは,肥培管理など,栄養面か
定した。水分の制御には,所定の水分張力に達した時の
らのものが多く 5
.
7
.
1
5,
1
),土壌水分や地温に関するもの
総重量〈ポット重量+植物重量+乾土重量+所定水分重
4
.
1
2
.
9
)。
は比較的少ない 1
量+テンションメータ一重量〕を求め, 潅水前に秤重
この報告は,グリ樹の耐凍性に及ぼす土壌水分並びに
地温の影響について,晩秋から早春にわたって実験を行
なった結果をまとめたものである。
本果樹園芸学研究室
し上記の総重量に達するまで給水した。潅水は着菜期
間中は 1日2回,落葉後は 1日 1回の割合で行なった。
.5,2
.
5,2
.
7,3
.
0の 4区とし,乾燥によ
試験区は pF 1
る差をできるだけ少なくするため,はち全体をポリエチ
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レンの袋で包み,土袋表面からの水分の蒸発を紡いだ。
採取した枝条は約 3cmの長さに切断し,十分に水で湿
50, 1
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,1
50
,2
0
・
Cの各温
らせた後, ピユーノレ袋に入れ, 自由に温度調節ができる
度に設定した冷蔵庫又は加温器ー
を用いた。これらの器内
低温恒湿器(精度 土 0
.
2
"
C
)に入れて凍結した。 1時間
に地下部のみを入れ,その上から発泡スチロール板でふ
Cの割合で温度を下げ,所定の温度に達してから
当り 3・
地下部の温度処理には
たをし,地上部は外気にさらした。なお,器内は常時フ
3時間凍結した後, O"Cの庫内に移して融解させた。融
ァンにより 空気を撹枠 し温度が均一になるようにした。
'Cに10日間おいた後,組織のかっ変度合を肉眼又
解後 5
耐凍性の検定と枝条の含水量の測定は各区それぞれ 2
はノ
レーベで観察し,彼害緩度を判定した。耐凍性の程度
樹を用いて,地上 1
5
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mまでの部位について行なった。
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皮部と木部に分けて秤量 ピ ンに入
1
0
5
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Cで定量になるまで乾燥し,生体重 と乾物重の
差から 1
:含水量を求めた。
した。
2. 地温の影響
│耐凍性に及ぼす季節的差異を明らかにするため,実験
は晩秋,
実
験
M凍性の減少程度もやや遅れる傾向を示
られた。 また,
結
果
冬
,
F
i
g
s
.3,
早春の 3矧に分けて行な った (
4
)。
1
. 土壌水分の影.
晩秋季の耐凍性は地温の L、かんにかかわらず,気温降
耐凍性が増加す る 秋季 と減少する春季に 分けて調べ
5'
Cと2
0・
C区では,一定限度以
下につれて増大するが, 1
土壌水分が p
F 1. 5~ 2
.
7の
5
'
C以上の高地温が 1か月又はそれ
上には増加しなし、。 1
た。 自然温度下において,
範囲内では,秋の場合も春の場合も処理問で有意な差は
5
0号の両品種ともに,校条の
以上続くと,銀寄,傍士 3
0
) では, 耐凍性は前
認め られないが, 少湿区 (pF3.
含水量は皮郊で5
3%以上,木 部で47%以とで,低温区の
者よ り冬季の高まり がやや大き ,
く 春季の減少遅延が見
皮部の 47~50%,木部の 42~45% に対して高い値を示し
F
i
g
.1
)。
られる (
てい る
。
休眠期にある 1
2月と 休眠覚せい後の 2月に,植物体全
厳冬季の地上部は厳しい寒さにさらされているにもか
0
・
Cのディ ハード ニング条件下におい て,土廃水分
体を 2
5
'
C以上に保っと,や
かわ らず,長期間にわたり地温を 1
F
i
g
.2
)。高温処理の影響は, 1
2月の
の影響を調べた (
は り合水量が増加し,耐凍性の低下が見られる。
2月の場合 と比べて l
耐凍性の減少程度は緩慢
早春季では気温の上昇に伴なって耐凍性は急速に減少
6日間の処理でも 芽の動きや形成層の活動は見られな
で2
する が
, 地温の高いものは低いもの よ り速やかに低下す
場合では
かった。 しかし,
pF 1
.5
, 2
.
5
) では枝条内
多湿区 (
の含水量が増加し, i
r
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H束性の減少程度も大き L、
。 また,
1
2月 1
3日に 材料を採取した切株か ら少量 なが ら 溢 泌
(
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g
) が見られた。
2月の場合は高温により急速に耐凍性が減少し,芽や
7
区では,
形成層の活動が始まる 。 pF 1. 5 ~ 2.
始後 2
3日目で 80%以上の萌芽が見 られたが,
処理開
pF3
.
0区
では,頂芽のみが蔚芽 したに止ま り,発育の遅延が認め
る傾向を示している 。
0
'
C以下の場合 には
,
地温が 1
いずれの時期において
も,異常に高い含水量に達した樹は認められなかった。
耐凍性の程度も, 自然気概下の ものとほぼ同様の経過が
見られた。
銀寄 と傍土 3
5
0
号の比較では,傍土 3
5
0
号の方が耐凍
性は一般に高く経過する が,地温に対する反応の傾向は
近似している 。
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一般に高地温によって枝条の含水量が増加し,耐凍性
の低下をまねくが,個体によっては,低地湿のものと同
程度または,これに近い耐凍性と含水量をもつものが時
の影響は地上部への水分供給の多少と多分に関係してい
る
。
耐凍性の変化と土壌水分との関係について調べた結果
時認められた。この様な個体差の生ずる原因として,台
.
0において, 秋では, 耐凍性の増大促進効果
は
, pF3
木の遺伝的性質や樹体の生理状態の相違が考えられる
が,春では,減少遅延効果が認められる。また,冬季耐
が,原因は明らかでない。
凍性が高まった樹を高温にさらすと耐凍性は次第に減少
するが,土壌水分の多いものほどその程度が大きい。特
考
察
に,多湿状態で・は体内水分は異常に場加する。更に,冬
校条の伸長が秋季に及ぶ様な過度の生長や, 日照不足
季地温のみを高めても耐凍性は減少する。 この場合に
又は葉の障害等により樹の成熟が遅れた場合には,異常
ふ樹体内水分は増加する。新根発生の有無についての
に高い体内水分合量を示す。この様なものは低温にさら
観察は行なわなかったが,クリの根の伸長の最低限界温
しでも耐凍性の高まりは遅く,また一定限度以上には増
度は 1
1o~12'C とされており 11) ,
加しない 9)。植物体又は組織の一部を水分欠乏状態に
度と一致する。熊本県において,
おくと,低温によらないで,或る程度まで耐凍性が増加
は,冬期間にも,根の伸長と校内の樹液の動きが観察さ
することが知られている 8ふ 2
)。グリ樹におい て
,
れている 13)。
秋季
吸水量の増加が起る温
1
9
6
4
年の暖冬の年に
に土壌を乾燥させたり,秋季の適当な時期に断根を行な
これらのことは,耐凍性の減少が高温によるほか,吸
うと凍害防止効果の大きいことが実証されている 6,
9
)。
水量の増加とも関連しており,土壊水分の多少や根の活
一方,春季では,土壌の乾燥は多湿なものに比べて,同
動状態が凍害発生と密接に関係していることを示してい
一温度条件のもとで、は,樹の活動が遅れ,また,細胞浸
る
。
透庄の変化も少なく,耐凍性の長く持続されることが知
蔚芽期における地上部の耐凍性の減少程度は,芽や殻
1
4
)。この様に地上部の耐凍性に及ぼす根
られている 12,
成層の活動とも関連しており,気温に支配される程度が
3
5
クリ樹の耐凍性
大きい。リンゴ,モモ,オウトウについて,根の温度は
減少するので,地湿の影響は冬季におけるほど著しくな
凍った土壌を除いて,春の芽の発育に大きな役割を果し
.
C以上〉のものは低地温(10
.
C以下〉
いが,高地温(15
ていないことが報告されている 4
)。クリにおいて,春
のものより耐凍性の低下の早まる傾向がみられた。
0
・
C及び室温に保って,地上部を 1
5
.
C
季に地温を 2.C,1
以上のことから,クリの凍害防止に有効な冬季の土湊
以上の室温におくと,いずれも急速な耐凍性の減少と芽
条件は, pF3
.
0以上の乾燥と 1
0
.
C以下の低温と考えら
の発育が起り,地温の影響はほとんど見られない。低地
れた。
温による吸水量の低下は,蔚芽伸長する芽の割合が減少
引用文献
することによって補われる 10)。 しかし, 春季の気温が
徐々に上昇する気伎のもとでは, 地温が高い場合は,
{品、場合より,耐凍性の減少速度は早まる i
傾向がある。
従って,特定の地域又は固によっては,地温の影響が考
1
1
8
,1
9
7
3
.
.H.L
I:P
l
a
n
tP
h
y
s
i
o
,
.
l 6
2,8
3
3
2)CHEN,H.H.,P
9
7
8
.
- 8
3
5,1
慮される場合も考えられよう。
摘
1)青木秋広・松浦永一郎:栃木良試研報, 1
7
, 108-
3)CUEN,P
.,P
.H.L
I,C
.J
.WEISER:HortSci
e
n
c
e,
要
1
0,372-3
7
4,1
9
7
5
.
ク
ヲf
!
tの両H
l
主性の変化に及ぼす土壌水分並びに地湿の
影響を明らかにするため,はち栽培した 1年生樹を供試
して実験を行なった。
.X
.andS
.D
.SEELEY J
.Amer.
4)HAmroN向 島1
0
3,655-6
5
7, 1
9
7
8
.
S
o
c
.H
o
r
t
.S
c
i,1
5)桧山博也・土井憲・渡辺幸夫・足立元三:国学研
.
0の乾燥条件下で耐凍性の増大
1)土壌水分が pF3
促進効果が認められた。
2)ディハードニング条件 (
2
0
'
C
)下におくと,初冬
発表要旨(秋季),34-35
,1
9
6
8
.
6)兵藤直彦:菜栽培の梁,四万騎農園,茨城, 1
9
3
5
.
7)井上悦甫・岡田芳麿:岡山林試報, 1
0,248-2
5
8,
pF1
.5
, 2
.のでは,枝条の含水量
大きい。多湿区 (
1
9
7
0
.
7
,29-34
,1
9
5
9
.
8) 酒井昭:低温科学生物篇, 1
が増加し,耐凍性の減少は著しかった。早春季では,い
,1
97
1
.
9)沢野稔:神大農研報, 9, 15-19
ずれの処理においても,急速な耐凍性の低下と蔚芽がみ
1
0
)沢野稔:クリ樹の凍害防止に関する基礎的研究,
季では,土壌水分の多いものほど,耐凍性の減少程度は
られたが, pF3
.
0区では, 多湿なものに比べて,
それ
らの進展は多少遅延した。
3)冬季に地温を 1
5
.
C以上に 1か月ヌはそれ以上の期
1-81,神大農果研, 1
9
7
5
.
1
5
5,1
9
3
3
.
1
1
) 田中諭一郎:農及園, 8, 1
. 1- 6, 1
9
6
7
.
1
2
) 内田和馬:茨城園試報, 2
間保つと,校条の含水量が増加し,それにつれて耐凍性
9,4
0, 1
9
6
4
.
1
3
) 内 原 茂 ..農耕と園芸, 1
も減少した。
1,27-31,1
9
6
3
.
1
4
)安延義弘:神奈川園試研報, 1
1
5
)安延義弘:神奈川国試研報, 1
8
. 75-81, 1
9
7
0
.
4)蔚芽期では,気温の上昇により, i
f
吋凍性は急激に