第160回NRIメディアフォーラム 新局面を迎える インド消費市場の展望と戦略 2011年9月27日 株式会社野村総合研究所 自動車・ハイテク産業コンサルティング部 上級コンサルタント 岩垂 好彦 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビル (ご参考)インド地図 州および大都市位置図 Jammu and Kashmir Himachal Pradesh Punjab Uttaranchal Haryana Rajasthan Sikkim Uttar Pradesh Bihar Gujarat Orissa Maharashtra Andhra Pradesh Goa Copyright(C) 2010 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. Tamil Nadu Nagaland Manipur Mi Mizoram Tripura Chhattisgarh K l Kerala Assam Meghalaya Jharkhand Madhya Pradesh Karnataka Arunachal Pradesh West Bengal 目次 1.インド事業成長の壁 2.大都市市場における消耗戦 3.大都市近郊の新興都市 4.地方の集客市場都市 5.日本企業の戦略はどうあるべきか Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2 1.インド事業成長の壁 2.大都市市場における消耗戦 3.大都市近郊の新興都市 4.地方の集客市場都市 5.日本企業の戦略はどうあるべきか Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 3 インド市場には参入したものの、成長軌道に乗らない企業が多 い 「当社も代理店を通じて販売のテコ入れをしているが、それに見合った 「当社も代理店を通じて販売のテコ入れをしているが それに見合 た 売上を実現できていない。経済成長の速度ほど、売上が伸びていな い」(産業機械メ カ ) い」(産業機械メーカー) 「代理店の中に、当社製品だけを扱う営業部隊を置いて販路開拓にあ た ているのだが 売上が思うように伸びていない たっているのだが、売上が思うように伸びていない」 (日用品 食品 (日用品・食品 メーカー) 「業界で名の通ったデリーの代理店をアポイントした。南部の卸売りな どにも一応、アクセスできているようだが、価格を下げろ、広告宣伝を しろとしか言わない」(日用品・食品メーカー) ろと か言わな ( 用品 食品メ カ ) 成長の壁に直面している可能性がある Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 4 とりあえずは大都市に「参入」したが、その後の「展開」で苦労し ているケ スが多い ているケースが多い 売上が伸び悩んでいる企業の典型的なタイプ 7大都市中心の落下傘的事業展開 ▪ 世界中の競合は、既に何十年も前から事業展開 代理店を通じた販路開拓 ▪ 州を越えた販売力に限界 プレミアム・セグメントに後発参入 ▪ 聞いたこともないのに、値段ばかり高いブランド 大都市の激しい競争で消耗し、伸び悩んでいる Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 5 「先入観」という事業成長を阻む壁。中国や東南アジアとは異な るインド市場 中国や東南アジアでの経験 インド市場の実情 経済と富は、首都などを中心に大 都市に集中 大都市の富裕層市場は、底が浅 い 地方・農村の世帯は、土地も所有 せず 所得も低い せず、所得も低い 国の富の6割は地方・農村。世帯 の6割は土地持ち 政策により高 の6割は土地持ち。政策により高 収入が約束されている 品質の高い日本製品は、プレミア ム・ブランドとして受け入れられる ム ブランドとして受け入れられる 現地及び欧米企業がつくりあげた 品質・ブランド・価格バランスとの 厳しい競争 経済発展、所得、購買行動、インド人の価値観の関係な ど どを理解した戦略策定・展開が必要 解し 戦略策定 開が必 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 6 1.インド事業成長の壁 2.大都市市場における消耗戦 3.大都市近郊の新興都市 4.地方の集客市場都市 5.日本企業の戦略はどうあるべきか Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 7 底の浅い大都市富裕層市場。しかも競争は激烈(現地・欧米企 業の長い歴史) 「優れた品質の外国製品であれば値段が高くても買ってくれる人」という幻想から一 優れた品質の外国製品であれば値段が高くても買ってくれる人」という幻想から 刻も早く脱しないと、市場を見誤る 有望富裕層 インドの所得別世帯分布(世帯年収 2010年) 100万Rs以上 3.4% 50~100万Rs未満 20~50万Rs未満 11.5% 9~20万Rs未満 9万Rs未満 35.2% 49.9% 770万世帯 2,600万世帯 7,900万世帯 1億1,200万世帯 外国との接点があったり、新しいものに 対する受容性の高い富裕層 富裕層の中でも難しいタイプ 保守的で新しいもの、外国のものを積 極的には取り入れない富裕層 全ての富裕層が大都市に集中している わけでもない。 二級都市や地方にも存在している 出所)National Council of Applied Economic Research (NCAER), Indiaのデータを元に推計 (注)1Rs=2.18円(2010年10月1日TTSレート)、2001年価格 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 8 デリー市内の高級住宅地に住む富裕層: 「夕食は家族そろって 必ずインド料理を食べます 「夕食は家族そろって、必ずインド料理を食べます」 西デリーPunjabi j Baghの富裕層住宅では、家の中にエレベータがあり、滝が流れる。複合家 g 族 近くのバニヤ(商人=よろず屋)が日に1、2回、食品などを配達 ピザなどはスナックでは食べるが ピザなどはスナックでは食べるが、三食は必ず家族そろってインド料理。使用人には作らせ 三食は必ず家族そろってインド料理 使用人には作らせ ず、家に代々伝わるレシピで女性陣が作る 「古いインド」 見栄えは立派だが、伝統 的な価値観や行動。 的な価値観や行動 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 9 「人口12億人の上位3%だけ対象にしても3,500万人市場」とい う幻想 富裕層は各地 富裕層は各地に分散しており、7大都市だけで上位3%の3,500万人はカバーできな 分散しており、 大都市だけで 位 の , 万人はカ できな い。インドは20~25州への全面展開が基本戦略 インドTier1 Tier2都市の分布 インドTier1、Tier2都市の分布 中国における地域展開戦略 北京 西安 南京 成都 上海 重慶 15 広州 Tier1 Tier2 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所)2001年インド国勢調査(India Census 2001)の人口規模 をもとに作成 10 広範囲に販売網を構築したLG電子インド。全国を8地域に分け、 傘下に47支社 140の地域オフィス 傘下に47支社、140の地域オフィス LG電子インドの販売体制 コーポレートオフィス(Greater Noida) Sales Department Head COO Sales planning Sales Administration Product Division – A/C Business Group Marketing Product Division – Kitchen appliances P d t Di Product Division i i – IT Regional Offices (東西南北2ヵ所、 東 南 計8ヵ所) Regional Manager SCM Manager Regional Sales Coordinator Regional Marketing Manager Branches and Area Offices Major Branch Offices (全国47ヵ所) Area Offices (約140ヵ所) Branch Manager Marketing Manager Retail Marketing Manager (7大都市のみ) 出所)ヒアリングなどより作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 11 代理店任せの限界:1つの代理店が深くリーチできる地理的な範 囲は限られている 商人(Bania)の世界は、地縁・カースト縁の世界 商人( )の世界は、地縁 カ ト縁の世界 「100km離れたら違う国」・・・少なくとも州ごとの販路開拓体制が望ましい 西部 地域公用語 主要 産業 識字率 祭り 東西南北ごとの地域特性 マラーティー語 北部 地域 公用語 金融(銀行、証券、造幣局) 娯楽産業(映画:Bollywood) 製造業 主要 産業 ムンバイ:76.9% アーメダバード:69.1% 識字率 デ ワリ (秋) ディワリ 祭り 英語、ヒンディー語、パンジャブ 語、ウルドゥー語 行政(首都圏機能) 製造業(自動車、電機など) チャンディーガル:81.9% インドール:63.7% デ ワリ (秋) ディワリ 南部 東部 地域公用語 タミル語、カンナダ語 地域公用語 主要 産業 製造業(自動車など) IT、バイオ 主要 産業 識字率 チェンナイ:73.5% バンガロール:66.6% コチ:90.9% 祭り ポンガル (1月) Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. それぞれの色の違いは 各州の言語の違い 識字率 祭り ベンガル語 農業(米、紅茶、タバコな ど) コルカタ:68.6% パトナ:47.0% プージャ 出所)各種資料より作成(識字率は2001年国勢調査結果) (注)識字率は州ごとの数字。都市は州の州都を記載 12 大都市は参入しやすいが消耗しやすい。 もう 歩 駒を進めて事業を「展開 する必要がある もう一歩、駒を進めて事業を「展開」する必要がある 地域戦略の考え方 7大都市はブランド構築の場 • 大都市で見かける商品であること=ブランド力 大都市で見かける商品であること ブランド力 どの都市・地域で収益を上げるか? Option 1 基本戦略は全国20か所ぐらいに販売支店を設置 O ti 2 一気呵成の全国展開が難しい場合は、空白地帯(ホワイトスペース)に Option 気呵成の全国展開が難しい場合は 空白地帯(ホワイトスペ ス)に 集中投資 空白地帯(ホワイトスペース)はどこにあるのだろうか? 空白地帯(ホワイトスペ ス)はどこにあるのだろうか? Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 13 2つのホワイトスペース: 大都市外縁部の新興都市と地方の集客市場都市 大都市外縁部の新興都市 • 第2、第3のバンガロール、グルガオン(IT、金融など近代産業を中心とした 新興の街)の出現 • 全国規模の販売体制を持つ企業ですらまだ手薄な地区 地方の集客市場都市-周辺から人が集まる都市 • 豊かな農村の消費市場を後背地に持つ • 産業の地方展開、インフラ整備などで消費が伸びている Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 14 ( 参考) (ご参考)インドにおける都市の階層構造 ド おける都市の階層構造 Tier1 ( (7大都市)、Tier2 大都市)、 ((Tier1以外の州都を中心とした大都市)、Tier3 以外 州都を中 大都市)、 ((地方の中規模都市) 方 中規模都市) 最近では、地方の「町」のうち、近隣の農村などから買い物客が集まるような都市をTier4都市と呼ぶこと もある。(呼称は慣習的なものであり、厳密・正確な定義は確立していない) チェンナイ、バンガロール近郊の都市階層構造 Tier 1 Metro Ti M t Bangalore デリー近郊の都市階層構造 NH1 Tier 1 Metro Chennai Meerut Ghaziabad B Bangalore l NH4 Kanchipuram Chennai Tier 1 Metro Delhi Hosur Delhi Gurgaon Salem Tier 2 Puducherry Tier 2 Tier 2 Madurai Neemurana Tier 3 Comibatore NH8 NH7 Tier 3 Manesar Bawal Noida Faridabad Agra NH2 Jaipur NH45 出所)各種資料より作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 15 1.インド事業成長の壁 2.大都市市場における消耗戦 3.大都市近郊の新興都市 4.地方の集客市場都市 5.日本企業の戦略はどうあるべきか Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 16 高層住宅に住む新興富裕層: 「夫婦で外資IT企業勤務。 買い物は週末にまとめてハイパ マ ケットで 買い物は週末にまとめてハイパーマーケットで」 バンガロールVishma バンガロ ルVishma Viharの中上級マンション(80㎡程度)。夫はIT企業のコンサル タント、妻は別のIT企業財務部門の副社長 買い物は週末にまとめてハイパーマーケットで。近所のよろず屋は使わない。食事 は使用人(コ ク)が作る は使用人(コック)が作る リビングにはSonyの液晶テレビ。車は夫がHonda Civic、妻はMaruti A-starを自分 で運転する 「新しいインド」 長期休暇は海外旅行。住宅などはまだ豪奢ではないが、生 活スタイルは近代的・西洋的 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 17 大都市中心部は高コストかつ開発規制もあり、都市外縁部に新 興都市が生まれている 都市部への人口流入の高い圧力※ 州別の合計特殊出生率 • 都市部は日本並みに低い出生率 Jammu and Kashmir • 出生率が高いのは、貧しい地方州 (BIMARU)中心 • 生活インフラの整った居住地は慢性 的に不足 ※インドの人口は日本の9.5倍、国土面積は8.7倍 海外のインド人(印僑)が帰国に向 けて不動産投資 4~5億人が都市部に流入する Himachal Pradesh Punjab Uttaranchal Haryana Rajasthan j Uttar Pradesh Bihar Gujarat Madhya Pradesh Maharashtra Assam Jharkhand West Bengal Chhattisgarh Orissa Andhra Pradesh Goa Karnataka K l Kerala Tamil Nadu 3.0以上 2.1以上 2.1未満 出所)Registrar General of India, Statistical Report (2008) Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 18 拡張する大都市: 大都市外縁部に人口やビジネスが勃興 ムンバイ郊外の開発 チェンナイ市の拡張 Bhiwandi Mira Bhayandar Kalyan チェンナイ市 Bandra Navi Mumbai Panvel 市中心部 出所)各種資料より作成 (注)左図は http://www.chennaicorporation.gov.in/images/COC_City_Map.pdf を参考にした Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 19 ITなど新産業はバンガロールの外縁部で発展。 デリ も外縁部で新興都市開発が進展 デリーも外縁部で新興都市開発が進展 バンガロールのIT産業拠点など NH 7 デリー近郊の開発地区 国際空港 NH 1 NH 4 NH 4 NH 48 30km NH 10 Connaught Place 20km 30km バンガロール 中心部 10km Toyota Kirloskar NH 209 NH Greater 91 Noida Gurgaon NH 207 NH 8 NH 7 Noida Jasola Vihar Asola野生 Kalindi 自然保護区 野鳥保護区 Saket NH 207 Electronics City NH 24 10km デリー 空港 Whitefield Bangalore – Mysore Infrastructure Corridor 20km Ghaziabad Faridabad NH 2 Hosur 出所)各種資料より作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 20 新興都市の開発: 第2 第3のバンガロ ル グルガオンの誕生 第2、第3のバンガロール、グルガオンの誕生 Gujarat International Finance Tec-City 【GIFT】 (金融) http://giftgujarat.in/index.aspx Mahindra World City(工業 City(工業・設計) 設計) Lavasa(学園都市) http://www.lavasa.com/high/discover_lavasa.aspx Godrej Garden City Ahmadabad(住宅) http://www.pravahainternational.com/ Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 21 1.インド事業成長の壁 2.大都市市場における消耗戦 3.大都市近郊の新興都市 4.地方の集客市場都市 5.日本企業の戦略はどうあるべきか Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 22 ムンバイから350km内陸のオーランガバードで、メルセデス史上 初めて 1オ ダ で150台の注文が入った 初めて、1オーダーで150台の注文が入った オーランガバード(Aurangabad オ ランガ ド( g マハラシュトラ州、120万人都市、ムンバイから約 ラシ トラ州、 万人都市、 ン イから約 350km北東)でメルセデスベンツ150台の注文。1回の注文としてメルセデス 史上初の 大量受注 メルセデスは現地にサービス拠点も設置した メルセデスは現地にサ ビス拠点も設置した 車種別内訳 • • • • • Sクラス Eクラス Cクラス GLクラス MLクラス 13台 74台 39台 6台 18台 ※インドの車(CBU:完成車)の輸入関税は100%、総額14.4億円 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 23 プレミアム・セグメント市場としてのインドにおける地方の集客 市場都市 「この2年で市場構造が大きく変わっている。Tier の 年で市場構造が大きく変わ て る。 1の大都市から地方まで市場の広がり の大都市から地方まで市場の広がり があるが、Tier3の都市がもっとも成長率が高い」(日系自動車メーカー) 「Tier 3都市など地方の市場は確かに伸びている。伸び率は大都市よりも高い」(日系 電機メーカー) Rural市場で液晶テレビやSide by Sideの冷蔵庫などが良く売れている」 (韓国系 「Rural市場で液晶テレビやSide 電機メーカー) 地方キャラ 地方キャラバンに出る際には、数日前に宣伝を入れる。すると、最新機種に多数の ンに出る際には、数日前に宣伝を入れる。すると、最新機種に多数の 事前オーダーが入る(インド系電機メーカー) Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 24 中国の貧しい農村、インドの豊かな地方・農村。 インドの所得の5割は地方にあり 土地所有者も多い インドの所得の5割は地方にあり、土地所有者も多い。 中国では農民は土地を持たず 中国では農民は土地を持たず、概して所得は低い 概して所得は低い インドでは地方世帯の6割は土地を所有している。土地価格高騰がTier3や、それ 以下の地方都市、農村にまで波及している インドの所得の分布(2004年) 地方 56.1% インドの地方部土地所有割合(2004年) 上位20都市 30.8% 38.3% その他都市 13.1% 出所)Rajesh Shukla (2010), “How India Earns, Spends and Saves” Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 61.7%は 土地を所有 出所)Rajesh Shukla (2010), “How India Earns, Spends and Saves” 25 インドの地方部は、必ずしも「BoP」ではない。買い物は近くの集 客都市まで出かけることが多い 地主、換金作物農家、複合家族の多層収入構造(IT産業)、政府による雇用保証 制度※など地方にも富が蓄積される仕組みがある 親は農業をしていても、子は近隣の Tier3都市に働きに行っていることもあ る 南部におけるIT産業(Wipro)立地都市と買い 物集客のイメージ Pune Secunderabad 買い物は近隣の町まで買出しに出か ける Belgaum ※NREGS(National Rural Employment Guarantee Scheme) Hubli Hyderabad Raichur 国家地方雇用保証制度 地方の1世帯に き 人が年間100日は雇用 国家地方雇用保証制度:地方の1世帯につき一人が年間100日は雇用 されることを保障する制度、2005年~施行 Bangalore Mangalore Chennai Hosur Mysore Salem Puducherry Coimbatore Kochi Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. Thiruvananthapuram Madurai 26 海外からの投資の行先は、IT、通信関連、サービスに加えて不動 産 土地価格の上昇が消費を活発化させている 産。土地価格の上昇が消費を活発化させている 分野別直接投資額 million USD 20,000 18,000 , 石油 天然ガス 石油・天然ガス 化学 金属(冶金) 電力 16,000 自動車 コンピュータ 14,000 12 000 12,000 建設業 10,000 通信関連 8,000 6 000 6,000 住宅・不動産 4,000 サービス 2,000 0 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 サービス業(金融・非金融) 住宅・不動産 通信関連 建設業(高速道路含む) コンピュータ(S/W、H/W) ゚ タ( ) 自動車 電力 金属(冶金) 化学(肥料を除く) 石油・天然ガス Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 注)インドの年度は日本と同様に4月~3月 出所)Ministry of Commerce and Industry 27 土地不足を背景に、土地価格は高騰を続けている。それが地方 部にまで波及し 消費を活発にしている 部にまで波及し、消費を活発にしている 日本政府は、2006年時点で既にデリ 日本政府は、2006年時点で既にデリーから国道8号線沿いに から国道8号線沿いに 120km近く離れたニムラナまで土地を確保できなかった 国道8号線と沿道状況 New Delhi Jhajjar パナソニック工場 予定地 20km Gurgaon NH 71 IT都市 40k 40km M Manesar 60km Bawal NH 8 マルチ・スズキ他工場 NH 2 NH 71B 80km ホンダ他工場 100km Neemrana 日本企業向け工業団地 120km 至Jaipur Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 28 IT企業の地方展開: 地方のTier 3都市やさらにその下の「町」にまで展開 IT有数企業Wiproの立地は、カルナタカ州のTier3以下の都市や大都市の郊外部 有数企業 p の立地は、カルナタカ州の 以下の都市や大都市の郊外部 (Secunderabad、Navi Mumbai、Panvelなど)にも積極的に展開 Wipro Limited及びWipro Infotechの立地都市と拠点数 州 Karnataka Tamil Nadu Kerala Andhra A dh Pradesh Maharashtra 都市 Bangalore Mysore Mangalore Belgaum Hubli Raichur Chennai Coimbatore Kochi Thiruvananthapuram H d b d Hyderabad Secunderabad Vijayawada Mumbai Navi Mumbai Panvel Pune Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 拠点数 17 1 1 1 1 1 6 1 2 1 2 3 1 5 1 1 4 州 Rajasthan Gujarat Goa Delhi Haryana Madhya Pradesh Uttar Pradesh Uttarakhand Chhattisgarh W t Bengal West B l Assam Orissa Bihar 直轄領 都市 Jaipur Ahmedabad Baroda Goa Delhi Gurgaon Bhopal Lucknow Kotdwar Rajipur K lk t Kolkata Guwahati Bhubaneshwar Patna Pondicherry Chandigarh 拠点数 1 1 1 1 5 2 1 1 1 1 5 1 1 1 3 1 出所)Wiproホームページより作成 29 1.インド事業成長の壁 2.大都市市場における消耗戦 3.大都市近郊の新興都市 4.地方の集客市場都市 5.日本企業の戦略はどうあるべきか Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 30 大都市 参入した後の 展開」のための地域戦略 大都市に参入した後の「展開」のための地域戦略 大都市から参入することは自然な展開順序 • 大都市で商品やブランドを目にすることは重要である • 大都市はある程度、近代化も進みビジネスも国際的に開かれている しかし、大都市市場だけで大きく成功するのは難しい し し、大都市市場 大き 成功す は難し • 7大都市をはじめとして、「点」をつなぐ地域展開は収益があがりにくい可能性 がある • 先行する韓 先行する韓国企業のような全国をカバーする一大販売網の構築には時間も 企業 うな全 をカバ する 大販売網 構築 は時間も 資金もかかる 大都市近郊の新興都市や地方の 集客市場都市をタ ゲ トにした「面 での展開 集客市場都市をターゲットにした「面」での展開 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 31 大都市近郊の「ホワイトスペース」である新興都市を対象とした 外濠戦略 (Hot Food Strategy) 「熱いピザの真ん中は食べにくいので 「熱いピザの真ん中は食べにくいので、端から食べるように、事業もまず周辺で市 端から食べるように 事業もまず周辺で市 場をつかむことが大切」 (日系企業の現法社長) 大都市近郊の新興都市は、まさにこれから都市が 形成されるところ Mira Bhayandar 全国に大規模な販売網を持っている先行企業も手 薄な地域 bhiwandi 例えばムンバイ地域であれば、ムンバイを拠点とし つつ周辺に展開 Kalyan Mumbai Navi Mumbai Panvel Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 32 人口1億人のマハラシュトラ州の集客都市をターゲットとした 地域ドミナント戦略 例えば、 例えば、ムンバイに拠点を置いて、周辺のTier2、Tier3都市を面で取りこむことも ン イに拠点を置 て、周辺の 、 都市を面で取り む とも 一つの戦略オプションになる マハラシュトラ州北部 ラシ トラ州北部 District(県)別の人口 (県)別の人口 Jalgaon Amarvati 280万人 420万人 Dhule 200万人 Buldana 250万人 Aurangabad Nasik 610万人 Thane 1100万人 Mumbai Mumbai (郊外) 310万人 930万人 280万人 Chandrapur Yavatmal 220万人 370万人 Nanded Ahmadnagar 330万人 450万人 Pune 260万人 940万人 Raigarh Satra 300万人 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. Nagpur 460万人 Latur 240万人 Solapur 430万人 出所)出所)2011年インド国勢調査(India Census 2011)の人 Data: 2011 census 口規模をもとに作成 33 地方で地歩を固めて全国展開したケース:Cavin Kare チェンナイから始めてインド全国に展開した日用品ブランド 1983年にシャンプー(Chikブランド)でチェンナイからスタート 年にシャン ( ランド)でチ ンナイから タ ト 1993年に南部以外にも販売網を拡大。1997年に製品レンジを広げてマス向け製 品を投入 広告宣伝に力を入れつつ、食品や飲料などの会社を買収することで、違うエリア のディストリビュータを傘下に収めた Cavin Kare社の概要 創業 沿革 1983年Chik 983年C Indiaとして創業 d aとして創業 1998年に現在の社名に改名 売上規模 約200億円(2010年度) 従業員数 1 780人 1,780人 販売網 1,300のstockistsから250万店の小売に販売 主な扱い製品 日用品 食品 日用品、食品 出所) Cavin Kare社ホームページより Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 34 インド市場は今後のグローバル戦略の試金石となる。 インドのコンテクストを理解した上での戦略策定が必要 インド市場にはインドのコンテクスト(文化、慣習、価値観、歴史など)が インド市場にはインドのコンテクスト(文化 慣習 価値観 歴史など)が ある。中国や東南アジアとは文化・文脈があまりにも違う 中東的 中東的「商人」文化(ペルシャ、トルコ、モンゴル等の歴史的影響) 商人」文化(ペルシャ、トルコ、モンゴル等の歴史的影響) 英国統治による英国文化(法体系、学問など) フルセットの産業構造と一通りの価値観(品質、価格、ブランド) グローバルでの戦線拡大で、兵站戦は伸びていく 文化的にも、距離的にも遠い市場での戦いが展開される 兵站戦が伸びると、リソースの投入、人材の育成などにも時間がかかる 中長期的な視点に立った戦略と それを実現するロ ドマップが必要になる それを実現するロードマップが必要になる Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 35 日々のオペレーションは現地に任せても、中長期の戦略には日 本の本社がコミットすべき 現場任せには限界がある 現地スタッフはインドのことは理解していても、中国、東南アジアなどとの比較感 には乏しい 日本人の現地赴任者は、毎日、戦線の最前線で攻防を繰り広げており、全体感 の把握や中長期的な視点での戦略立案の余裕がない。(中にはインドのコンテク ストを理解していない人も・・・) 「戦力の逐次投入」で負け続けてきた轍を踏まない 現地の情報を理解した上で、3~5年の中期戦略を立案し、それを毎年ローリング しながら、計画的な資源投入、人材育成などを本社としてサポートする必要があ る 遠い異国の地で、兵站が途切れて討ち死にしないための本社 のコミットメントが不可欠 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 36 「インドは中国の7、8年遅れ、経済成長の速度も7%前後。まだま だゆっくり取り組めば良い という誤解 だゆっくり取り組めば良い」という誤解 品質、価格、サービスに対する価値観が出来上がっている 品質 価格 サービスに対する価値観が出来上がっている 組むべきパートナーは限られている 流通は上位3ブランド程度しか扱わない傾向がある 人材育成には時間がかかる 日本本社の役割 中長期の視点を持ちつつ、早期に戦略のロードマップ (目標設定とアクションプラン)を描くこと • 「50点」の出来でもまず参入し、展開の方策を検討すべき • 時間のかかるプロセスを一気に駆け抜ける覚悟が必要 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 37
© Copyright 2024 ExpyDoc