サンプリングカルチャー、DJカルチャー以降の音楽家のための実践的な

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タイトル:「サンプリングカルチャー、DJ カルチャー以降の音楽家のための実
践的な音楽理論書」である自著『TRADITIONAL MUSIC THEORY FOR CONTEMPORARY
MUSICIANS』執筆の動機と特徴の紹介
発 表 者 : N ERALT ( ネ ラ ル ト ) / M USIC T HEORY W ORKSHOP J APAN
Neralt (ネラルト)
キーボーディスト/DJ/トラックメーカー/音楽理論研究家。10 代よりビッグバンドにてピアニストとして活動。
00 年代後半よりクラブシーンに接近し、西麻布の伝説のクラブ Yellow にてライブテクノバンド NEXT の一員
としてメインステージを飾る。2013 年にはアイドルいずこねこのワンマンライブのバックバンドでキーボー
ディストを務める。(DVD: 2nd one-man LIVE 「猫と煙と赤いカーテン」収録)
連絡先
Site: Neralt.com
Email:[email protected]
Twitter: @musictheorynera
現状: 課題: 解決策: • ポピュラーミュージックシー
ンにおいて作曲のためのツー
ルとして必要とされている
が…難解であるため理解され
ていない。 理解されないのは… 本書は… • 読者の視点にたったテキ
ストが少ない。 • 基礎的な項目の情報が
不足している。等々 • 多くの人がつまずく「音
程」に100頁以上をさいて
いる…分析の対象を実際
のヒットソングにしてい
る…等々 2
1
挨拶 ............................................................................................................................3
2
音楽理論受容の現状:音楽理論はどう思われ ているのか? ..................................................5
2.1
本発表に置けるポピュラーミュージックの定義 ...............................................................5
2.2
音楽理論は作曲のために必要とされている .....................................................................5
2.3
音楽理論は難解で理解するのが難しいと思われている ......................................................6
2.4
音楽理論は必要ない=役に立たないと思われている ..........................................................7
3
『挫折する箇所』ー 何故、音楽理論は理解されないのか ....................................................8
3.1
楽譜が読めることが前提となっている箇所 .....................................................................8
3.2
音程(そして音程がわからないと、必然的にその後の項目がほとんど全て理解できない。) ..8
3.3
例示が読者にとって馴染みがない箇所 ...........................................................................9
4
本書ではどのような対策をとったか ............................................................................... 10
1.
「音程」に 100 頁をさき、100 以上の練習問題を用意し、完全に理解できるよう説明した。 ... 10
2.
楽譜を説明から廃した。図を多用しています。(音程を完全に理解した読者には、楽譜を用いな
くて説明できる。) .......................................................................................................... 10
3.
実際のヒットソング(特にクラブミュージック)を例示とし、実際に使われているテクニックの
みを解説した。 ................................................................................................................ 10
4.1
「音程」に 100 頁をさき、100 以上の練習問題を用意し、完全に理解できるよう説明した。 . 11
4.2
楽譜を説明から廃した。図を多用しています。(音程を完全に理解した読者には、楽譜を用い
なくて説明できる。) ....................................................................................................... 19
4.3
実際のヒットソング(特にクラブミュージック)を例示とし、実際に使われているテクニック
のみを解説した。 ............................................................................................................. 23
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1 挨拶
僭越ながら 2014/11/1 日に音楽理論のテキストを PDF 形式で販売開始しました。おかげさまで良い反応を
いただいており、既に 40 名以上の方が購入し、わかりやすい・実践的という推薦のコメントを 5 名以上の方
からいただきました。「音楽家のための実践的な音楽理論書」というのが本書第一のコンセプトですので、こ
の反応を見る限りは、どうやら目的を果たせたようです。とても嬉しいです。
現状: 課題: 解決策: • ポピュラーミュージックシー
ンにおいて作曲のためのツー
ルとして必要とされている
が…難解であるため理解され
ていない。 理解されないのは… 本書は… • 読者の視点にたったテキ
ストが少ない。 • 基礎的な項目の情報が
不足している。等々 • 多くの人がつまずく「音
程」に100頁以上をさいて
いる…分析の対象を実際
のヒットソングにしてい
る…等々 さて、本日の発表は「本書執筆の動機及び特徴」というタイトルですが、動機に関連しまして、ポピュラー
ミュージックシーンにおいて音楽理論がどのように受容されているのかという「現状」が最初のテーマ、そし
て実際にはうまく浸透していないと私は考えているのですが、その「課題」を明確にするというのが 2 番目、
そして最後に課題に対してどのような対策を本書がとったのか、という解決策を 3 番目にご説明致します。
現状→課題→解決
第一に現状、第二に課題、そして第三に解決策という順番です。執筆動機というのが、この発表の一番目現状と二番目-課題に対応します。つまり何故本を書く必要があったのかということです。
端的に申し上げまして、音楽理論は必要とされているにもかかわらず、その難しさ故にユーザーにうまく届
いていない、理解されていないという現状があると私は考えています。ポピュラーミュージックシーンにおい
て音楽理論を必要としている人はたくさんいます。それは主に作曲のためです。けれどほとんどの人が理解で
きていません。必要な人がいるのに理解できない現状があるのであれば、わかるような本を書いてわかっても
らおう、そう思いました。非常にシンプルな執筆動機です。
そして本書の特徴についてですが、これは 2 番の課題と 3 番目の解決策に対応します。つまり、課題にたい
してどのような解決策を本の中で盛り込んだのか、という部分が本書の特徴ということになります。具体的に
は、レッスンやミュージシャンに説明する中で、わからないところを徹底的にあぶりだして、読者と対話をし
ながらテキストを大幅にブラッシュアップするというプロセスを何度も行ってテキスト書き上げています。今
も常に改善を行っています。
なぜ伝わらないのか
その中で明確になってきたのは、以下のようなことです。
1.
多くのミュージシャンは楽譜が読めないもしくは苦手な方が多いので、読譜を前提としている本はほと
んど理解できないのです。それに対して多くの本は対策をとっていない、読譜を前提としています。そ
のため理解されていないという現状があると考えています。
2.
また 2 つめですが、音程=インターバルですね、これは非常に大事な項目ですけれども、この説明が一般
的な書籍においては非常に少ないのですね。だからみんな理解できていないのです。音程という非常に
大事な項目が理解できないと、そのあとのコードや調性といった概念もほとんど正確に理解できません。
音程がわからないために、その後の項目でつまずいているわけです。ほとんどの本で音程は 4、5 頁しか
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さかれていないと思います。それに大体 C メジャースケール内の音程の説明しかしてないんですよね。
これでは理解できなくとも仕方がないでしょう。
3.
3 つめですが、例としてあげられる曲がポピュラーミュージックではない本がほとんどなので、説得力と
いうか、具体的なイメージが読者にわいていないと思います。その結果、例えばセカンダリードミナン
トとかモーダルインターチェンジというテクニックが、いったいいつ使うのか?なんのためのなのか、
というのが腑に落ちていないのだと思います。
本書がとった解決策
それに対してどうするかといえば、簡単で、楽譜が読めない人がわかるように図や鍵盤を多用して説明する、
とか、インターバルに本書は実に 100 頁と練習問題 50 問ほどを使って徹底的に理解してもらいます。あとは、
スティービーワンダーとかジャミロクワイといった実際のヒット曲を分析して、テクニックを説明しています。
例えばスティービーワンダーのイズントシーラブリは、Ⅵm から始まってⅡ7→Ⅴですので、このⅡ7 がセカ
ンダリードミナントですよ(正確にはダブルドミナントですが)という風に実際の曲を通して理論の項目を説
明しています。権利に関しては JASRAC 等の判断でもコードまでは OK ということなので、その範囲に限って
います。今後は楽譜も入れていきたいので申請をする準備をしています。
こういったことが本書の特徴ということになります。詳しくは後述致します。
音楽理論を必要としている方に、最適な形で情報を提供する
繰り返しになりますが、音楽理論が作曲のために必要とされているという現状がありますが、実際にはうま
く浸透していない、課題があるということです。そしてそれがなぜかというと、読者の視点に立って書かれて
いない、具体的には読譜を前提としているとか、みんながつまずく箇所を理解していない説明が少ないという
ことですね、そして最後に具体例が読者の必要としているものと異なっている、という課題があるということ
です。それに体する解決策を本書に盛り込みました。これが本書の特徴だということになります。こういった
順番で本日の発表をさせていただきます。よろしくお願いします。
音楽理論は 必要とされている しかし読者は 理解できていない • 作曲のため • 評論のため • 本を買ったけどわから
ない… • どう使えば良いかわか
らない… 音楽理論が抱える
問題とは? • 基礎的項目の説明不足 • 読譜を前提としている • 分析の対象が実際的で
ない 『本書の特徴』 • 読者とのフィードバッ
クを通して、理解でき
るまでリテイク • つまづくポイント「音
程」に100Pをさく。 • 等々 Neralt.com
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2 音楽理論受容の現状:音楽理論はどう思われているのか?
ではまず、ポピュラーミュージックシーンにおける「音楽理論」をとりまく現状について説明します。簡潔
にいって音楽理論はポピュラーミュージックシーンから作曲のためのツールとして必要とされていますが、し
かし同時に難解で理解できないもの、として捉えられています。学習したいと思っている人はたくさんいるの
ですが、難しくてどうやって始めればいいかわからない、もしくは本を買ったけれど、理解できなかった、こ
ういった方が非常に多いと思いと思います。統計を取ったわけではありませんが、皆様も実感としてはご理解
いただけるのではないでしょうか。また全く役に立たないと思っている人も、もちろんいます。
音楽理論は、作曲のために必要とされているが、難しくて理解されていない、届いていない、というのが現
状です。では詳しく説明してまいります。
2.1
本発表に置けるポピュラーミュージックの定義
ポピュラーミュージックシーンとは一般的に、クラシック以外の全ての音楽(ロック、JPOP、テクノ、ヒ
ップホップ、ジャズ、等々かなり広い領域)を漠然とさす言葉ですが、本発表においてはポピュラーミュージ
ックを「作曲者と演奏者が同じであることが期待されている音楽領域」と便宜上定義します。あまりにこの言
葉が漠然としていますので、今回はこの定義でお話をしますよ、ということです。
図 1 本発表に置けるポピュラーミュージックの定義
演奏家が作曲者であることを…
期待されて「いる」
期待されて「いない」
ポピュラーミュージック
クラシック
もう少し説明します。ポピュラーミュージックにおいて「演奏者」は多くの場合「作曲者」を兼任していま
す。そしてそうであることが「期待」されています。例えば、ロックバンドにおいては、そのバンドが演奏す
る曲は、そのバンドが作っていてほしいと聴衆は思っているわけですよね。演奏者と作曲者が違うことも実際
にはよくありますが「期待」されているといえます。この点がクラシックとの明確な違いではないでしょうか。
使われている楽器や曲のつくり、技法で音楽を分けることは非常に難しいのですが、この観点から見ていくと
うまくポピュラーミュージックを定義することが出来そうですし、さしあたって本発表においてはうまく機能
します。
つまりクラシックにおいては「バイオリニストが自分自身の曲を演奏しない」からといってがっかりされる
ことはほとんどありませんし、「ピアニストがショパンの曲を演奏した」からといって「他人の曲だ」と後ろ
指をさされることはありません。しかしポピュラーミュージックにおいては一般的に「自分が作曲した=オリ
ジナルの曲を演奏すること」が期待されていますし、「オリジナル曲」を持っていることがアーティストの証
である、という風潮さえあります。つまりポピュラーミュージックにおいては全ての人が作曲者であることを
期待されているのです。この差に注目し「ポピュラーミュージック」を定義することとします。
2.2
音楽理論は作曲のために必要とされている
さて、ポピュラーミュージックにおいては「作曲」することが全ての人に当然のタスクとして課せられてい
るため「音楽理論」はそのためのツールとして「必要とされて」います。
実際、紀伊国屋さんやジュンク堂さんの音楽のコーナーにいくと、作曲のための音楽理論とか、絶対分かる
音楽理論という本や、DTM/パソコンで音楽制作をする本が、固まっておかれていますよね。つまり多くの
人が作曲のためのツールとして音楽理論を必要としているといえるでしょう。こういった本は本当にたくさん
ありますし、後から後から新しい本がたくさん出てきます。ということは、これは、必要とされているという
とう事実であるとともに、実はみんな理解できていないという現状の反映でもあるわけですね。例えばダイエ
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ットとか英語の本も同じように、絶対分かると始めるという本が後から後から出てきています。こういうビジ
ネススタイルが成立するのは、よくいわれることですが、実際には痩せることができない人がたくさんいるか
らですよね。同様に、実際には英語が理解できない人がいるから成立してるんです。音楽理論も同じようにな
ってしまっているわけです。繰り返しになりますが、必要とされているが、理解されていないという現状があ
ります。
これは私がバンドや DJ で活動を通して感じたことでもあります。(音楽理論が「作曲のためのツールなの
かどうか」という議論はここではいたしません。一般的に「音楽理論」が「作曲するための諸知識」としてと
らえられていることは事実であり、本発表が扱う「音楽理論」はその領域のことだからです。「音楽理論の定
義」という形而上学的議論は、本発表の問題ではありません。)
これにたいする想定される質問を前もって上げました。みてください。
理論の知識などなくても作曲できるのでは?
できるかどうか、という話をここでしているわけではありません。私が強調したいのは「作曲のための諸知
識」が必要とされており、それが「音楽理論」とよばれているという「事実」です。コードやスケール、ダイ
アトニックといった概念は「事実として」ポピュラーミュージックのミュージシャンから必要とされています。
そして「作曲のために使いたい」と考えられています。その期待に応えるべきです。(実際、役に立つと私は
思います。)
次は、クラシックとの対比ですね。
クラシックの作曲家は音楽理論をあまり必要としてない。ポピュラーの作曲者は何故必要とする
のか?
これはですね、クラシックの音楽家のほぼ全員が、調や和音といった基礎的な音楽理論の教育を既に受けて
いるためではないでしょうか?こういった知識を改めて学ぼうってことがないわけですよね。皆さんある程度
音楽理論の知識を既に持っている方が多い。
それに対して、ポピュラーの人はほとんど知らないのですね。だから必要になるのではないでしょうか。
私の考えでは、作曲のために必要不可欠な音楽理論というのは音楽大学に入るまでに習うような基礎的な内容
であって、それ以上の知識についてはあまり価値がありません。基礎的な音楽理論をクラシックの音楽家は既
に身に付けているため、必要だと思う機会がないのだと考えています。ポピュラーミュージックがまず必要と
している音楽理論の知識は「キー、コード、スケール」といった非常に基本的なものですが、義務教育におい
て指導される機会がないので、多くの人は知りません。
では次にいきましょう。
2.3
音楽理論は難解で理解するのが難しいと思われている
多くの人が必要としているにも関わらず、多くの人が音楽理論にチャレンジしては挫折しています。それは
書店の音楽理論のコーナーをみれば明白です。つまり「絶対わかる音楽理論」「初心者でもわかる音楽理論」
「一番わかりやすい音楽理論」とったタイトルの書籍が、山ほどあります。つまりこれはほとんどの人が音楽
理論を学びたかったけれど、挫折している事実の反映だといえます。
とくに理解するのが難しいと感じているユーザーは「ギタリストやベーシスト」「DAW やサンプラーを使
うトラックメーカー」つまり「楽譜が読めない・もしくは得意でない音楽家」だと思います。何故なら多くの
音楽理論書は楽譜が読めることを前提としているため、楽譜が読めないとかなり困難だからです。また難しい
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というのもありますが、楽譜を読む教育を受けた人はそもそも、基礎的な音楽理論について教育されているの
で、困難さが下がります。一番大変なのは、楽譜が苦手な人達と言えるでしょう。
図 2 音 楽 家 の 技 術 に よ る 分 類:音 楽 理 論 が 苦 手 な 層 と 、楽 譜 が 苦 手 な 層 は
ほぼ一致する。
音楽家 楽譜が読めな
い・得意でな
い バンドマン
(ロック) DJ DAW/サンプ
ラーユーザー 楽譜が読め
る・得意 ジャズ クラシック畑
出身者 吹奏楽畑出身
者 ピアノ出身者 つまり、楽譜が苦手な音楽家に音楽理論は難解だと思われているという現状があります。
2.4
音 楽 理 論 は 必 要 な い =役 に 立 た な い と 思 わ れ て い る
音楽理論は必要とされていますが、もちろん役にたたない必要のないものと考える人もいます。「音楽理論
は作曲に必要か必要ではないか」という議論がインターネットの掲示板や SNS で頻繁にされています。そし
ておおっぴらに「音楽理論は不必要であるか、もしくは弊害すらある」と考えている人がいます。しかしこれ
はコンプレックスの裏返しであることが多く、まともな音楽家の多くは音楽理論の有用性を感じています。
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3 『挫折する箇所』ー 何故、音楽理論は理解されないのか
音楽理論が難しい・理解できないと思われているということを説明しましたが、では何故理解されないのか、
この課題についてみていきます。
本書は「楽譜が読めない・得意ではない音楽家[図 2]」に読んでもらい、つまずくポイントを執拗にヒアリ
ングしました。そして理解できるようになるまで、内容を書き換えました。この過程で明らかになった読者が
挫折するポイントについてリストアップします。
1.
楽譜が読めることが前提となっている箇所
2.
音程(そして音程がわからないと、必然的にその後の項目がほとんど全て理解できない。)
3.
例示が読者にとって馴染みがない箇所
本書の特徴にもなっていますが、PDF というデジタルデータでの販売、そして自前のサイトを使った販売を
おこなっていますので、読者の方と密接にコミュニケーションを取ることが可能になっています。そのコミュ
ニケーションを通して、読者の意見を内容にフィードバックしています。こういったやり方は、従来の出版形
態では不可能でした。市場に流通させた後に、内容を変えるというのは当然不可能ですし、購入した人の顔も
みえません。それはシステム上仕方が無いことでした。しかし現在は、テクノロジーを使ってこの関係を密に
することができます。それを最大限活用している、という点も本書の特徴に上げることが出来ます。
ではこの過程を通して明確になった課題の詳細についてです。
3.1
楽譜が読めることが前提となっている箇所
「楽譜が読めない・得意ではない音楽家」は当然ですが、楽譜が読めることが前提に鳴っている箇所は理解
できません。ポピュラーミュージックの作曲と演奏において楽譜は必須ではないため、読譜ができない音楽家
は多くいます。サンプラーや DAW を使った音楽制作が一般化するにつれてこの傾向は顕著です。
サンプラーや DAW について説明します。どちらも音楽制作をするための機材です。
3.2
音 程( そ し て 音 程 が わ か ら な い と 、必 然 的 に そ の 後 の 項 目 が ほ と ん ど 全 て 理 解 で
きない。)
これは声を大にして主張したいのですが、一般に流通している音楽理論の本で「音程を理解するために必要
な情報が十分に書かれている」本はほとんどありません。つまりその本を隅から隅まで理解しても、音程が正
確に答えられるようにならない本がたくさん売られています。しかもそういった本には「初心者の」とか「一
番簡単な」といったタイトルがついています。しかし、実際はその本では初心者は理解できません。音程が理
解できない人が多いのは、読者の問題というよりも、テキストの問題が多いと思っています。実際に、自分の
本では徹底的に説明をしていますので、わからなかったという人はいません。しっかり説明を割けば、読者は
理解してくれるということです。テキストに問題があったのです。
「音程」は音楽理論の領域ではなく「楽典」の領域では?
音程がわかるような情報が掲載されている「楽典」もほとんどありません。「ほとんど」とは一体どれくらい
のなのか、正確に示すべきだと思われるかもしれませんが、私が実際に教える中で直面した事実を示せば、そ
れでいいように思います。つまり「何冊も音楽理論や楽典を持っている読者で、音楽理論に挫折した人全員が、
音程を理解していない。」
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3.3
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例示が読者にとって馴染みがない箇所
多くの音楽理論の本が、例示にクラシックやジャズといった実際の読者に馴染みのない音楽をあげています。
馴染みの無い箇所は、意図が理解されず、結果として伝えたい知識も理解されません。ポピュラーミュージッ
クの読者が望んでいる情報は、やはりポピュラーミュージックを例にして説明した方がわかりやすいわけです。
また、結局のところ、音楽を学ぶには自分が目指す音楽と同じ様式も音楽を学ばないと役に立たないのです。
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4 本書ではどのような対策をとったか
では、このような課題に対して本書がどのような対策をとったのか、ということを説明していきます。これが
本書の特徴です。
1.
「 音 程 」 に 100 頁 を さ き 、 100 以 上 の 練 習 問 題 を 用 意 し 、 完 全 に 理 解 で き る よ う
説明した。
2.
楽 譜 を 説 明 か ら 廃 し た 。図 を 多 用 し て い ま す 。
(音程を完全に理解した読者には、
楽譜を用いなくて説明できる。)
3.
実際のヒットソング(特にクラブミュージック)を例示とし、実際に使われてい
るテクニックのみを解説した。
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4.1
「 音 程 」 に 100 頁 を さ き 、 100 以 上 の 練 習 問 題 を 用 意 し 、 完 全 に 理 解 で き る よ う
説明した。
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4.2
楽 譜 を 説 明 か ら 廃 し た 。図 を 多 用 し て い ま す 。
(音程を完全に理解した読者には、
楽譜を用いなくて説明できる。)
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4.3
実 際 の ヒ ッ ト ソ ン グ( 特 に ク ラ ブ ミ ュ ー ジ ッ ク )を 例 示 と し 、実 際 に 使 わ れ て い
るテクニックのみを解説した。
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発 表 者 : N ERALT ( ネ ラ ル ト ) / M USIC T HEORY W ORKSHOP J APAN
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キーボーディスト/DJ/トラックメーカー/音楽理論研究家。10 代よりビッグバンドにてピアニストとして活動。
00 年代後半よりクラブシーンに接近し、西麻布の伝説のクラブ Yellow にてライブテクノバンド NEXT の一員
としてメインステージを飾る。2013 年にはアイドルいずこねこのワンマンライブのバックバンドでキーボー
ディストを務める。(DVD: 2nd one-man LIVE 「猫と煙と赤いカーテン」収録)
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