使い易さをさらに追求した情報 KIOSK 端末 MEDIASTAFF TM/TS モデル Information KIOSK Terminal MEDIASTAFF TM/TS Model Developed by Pursuing Further Usability 中谷文伸 * 大久保 正 ** 米田 豊 * 渋谷竜平 ** 小野祐介 * Fuminobu Nakaya Tadashi Ookubo Yutaka Yoneda Ryuhei Shibuya Yusuke Ono 出島康宏 ** 岡下敏之 ** Yasuhiro Dejima Toshiyuki Okashita * ProDeS グループ 情報 KIOSK 事業部 第一技術部 ** ProDeS グループ 情報 KIOSK 事業部 第二技術部 情報 KIOSK 端末 MEDIASTAFF の今回の開発は,ラインナップの拡充と基本性能の強化を図った. MEDIASTAFF TM モデルは,従来モデル(EV/ST モデル)のデザインを一新し,モデル統合に加え使い易さ の追求のために開発した.MEDIASTAFF TS モデルは市場の裾野拡大に向けたラインナップ強化のために開発 した. For this development period we aimed to increase the model lineup and enhance the basic performance of the Information KIOSK terminal MEDIASTAFF. We developed the MEDIASTAFF TM model to renew the design of the conventional models (EV/ST model), pursue usability as well as integrate the models. The MEDIASTAFF TS model was developed to increase the lineup aiming for an expansion of our market. 1 まえがき 2 開発の背景と狙い 情報 KIOSK 端末は,不特定多数の人が,タッチパネ 近年,情報 KIOSK 端末は従来の用途以外での利用 ル操作などによって, 必要な情報にアクセスしたり, 様々 が増え,用途が多様化している.これに伴い,卓上型 なサービスを利用したりするための情報端末である.主 の小型端末を求めるお客様が多くなった.PFU の情報 に,病院の再診時の受付,店舗でのポイント・クーポン KIOSK 端末 MEDIASTAFF(以降,本製品)は,設 発券,公共施設での予約,チケット発券などの用途に活 置場所の拡大に向けて小型化と機種バリエーションの拡 用されている. 充を図った参1). PFU は,1995 年から情報 KIOSK 端末の販売を開 始し,累計 8 万台超の出荷実績を持つ国内トップシェ また, 本製品を導入していただいているお客様(企業) の「顧客満足度」の向上に貢献できるよう,様々なサー 注1) ビス実現を支える基本性能の強化,豊富な I/O デバイ 今回,多様な市場ニーズに応えるべく新たに 2 モデ スをサポートすることによる多機能化などの対応を実施 ルを開発した.本稿では,新製品の開発の背景と狙い, した.また,従来モデル参2)から新モデルへの移行を円 製品概要,技術的な取組み,今後の展開について述べる. 滑にできるよう,互換性維持を前提とした. ア ベンダーである. 中日社「2013-2014 セルフサービス情報端末(KIOSK 市場)」 注1) による. 18 PFU Tech. Rev., 25, 2,pp.18-26 (11,2014) 使い易さをさらに追求した情報 KIOSK 端末 MEDIASTAFF TM/TS モデル 3 (3) TM モデル/ TS モデル共通 製品の特長と仕様 1) 「 かざす」操作の集約 今回, MEDIASTAFF TM モデル(以降, TM モデル) NFC リーダライタ注4)と二次元バーコードリーダ と MEDIASTAFF TS モデル(以降,TS モデル)の の機能を 1 箇所に集約することで, 「かざす」操作も 2 モデルの製品化を実施した.以下に特長と仕様を記載 1 箇所となり,お客様を迷わせない. する. 2) 2 インチロール紙対応 従来の 3 インチロール紙に加え,2 インチロール 3.1 特長 紙にも対応. (1) TM モデル 3) I/O デバイスの高密度搭載 従来モデル(EV/ST モデル)の後継であり,車いす TM モデルの「拡張スタンドタイプ」は,本体側 の方や高齢者に配慮したユニバーサル設計を継承してい と合わせて最大六つの I/O デバイスを,TS モデルは 注2) る.デザイン的にも美しいとされる白銀比 を採用す 四つの I/O デバイスが搭載可能なため,幅広い用途 ることで,お客様が触ってみたくなる情報 KIOSK 端末 に対応できる. とした. 4) KIOSK SERVICE PLATFORM 5.0 搭載参3) 1) 利用形態に合わせた 3 タイプの筐体デザイン 新モデルでは,KIOSK SERVICE PLATFORM サービスカウンタなどに設置可能な卓上タイプ,ス (以降,KSP)5.0 を搭載している.お客様の KIOSK タイリッシュな自立型のスリムスタンドタイプ,多 アプリケーションの開発負担を低減し,利用者への短 彩なオプションを搭載可能な拡張スタンドタイプの 3 期間でのサービス提供を可能にする. タイプがある. 2) 多彩なカラーバリエーション 本体カラーは,バリエーションを 5 色に拡大し, お客様の選択の幅を広げた.これまでの「ミディアム ブルー」 , 「グレイッシュホワイト」に加え,医療分野 での要望が多い「パステルピンク」 ,落ち着いた色の 3.2 仕様 新製品の各モデルと,参考用に従来モデル(EV/SC モデル)の仕様を表 - 1,表 - 2に示す. また,TM モデルと TS モデルのバリエーションを 図 - 1,図 - 2に示す. 「コスミックブルー」 ,高級感のある「ワインレッドメ タリック」 をラインナップする. 多彩なカラーバリエー ションとすることで,設置場所や用途の拡大に対応で きるようにした. 3) 19 インチ画面モデルの追加 「19 インチ LCD モデル」を新たに追加し,より高 い操作性や視認性を求める医療分野などへの対応を強 化した. TS モデル (2) 情報 KIOSK 端末の基本機能を国内最小のコンパクト サイズ注3)に凝縮することで,設置シーンの拡大を図る. また,容易に移設できるため,イベントの参加者受付な ど,新たな利用方法が考えられる. 1) コンパクトな筐体デザイン 従来モデル(SC モデル)と比較して,設置面積を 約 33% 削減した. 注2)欧米人が好む黄金比に対して日本人が好む比率のこと.大和 比とも呼ばれる. 注3)2014 年 2 月現在.本体・I/O 一体型の情報 KIOSK 端末にお いて.中日社調べ. PFU Tech. Rev., 25, 2, (11,2014) 注4)ソニーと NXP Semiconductors が共同開発した近距離無線 通信の国際標準の一つ. 電子マネー,入退室管理などの用途で広く使われている, 非 接 触 IC カ ー ド の 標 準 規 格 ISO/IEC 14443(Type-A, Type-B),及び JIS X 6319-4(FeliCa)と上位互換がある. 19 使い易さをさらに追求した情報 KIOSK 端末 MEDIASTAFF TM/TS モデル ◆表 - 1 MEDIASTAFF TM モデル仕様と EV モデル仕様(従来モデル)との比較◆ モデル OS MEDIASTAFF TM モデル MEDIASTAFF EV モデル(従来モデル) Windows® ※1 7 Professional SP1(32bit) Windows 7 Professional(32bit) 2GB or 4GB 標準 1GB(最大 2GB) 内蔵メモリ 内蔵ハードディスク 画面チルト 500GB 以上 160GB 以上 60°~ 85°の範囲で無段階にチルト 50°~ 90°の範囲で 10°刻みにチルト タッチパネル アナログ抵抗膜方式 表示機能 ・15 インチ TFT カラー LCD(XGA)(15inch) 15 インチ TFT カラー LCD(XGA) ・19 インチ TFT カラー LCD(SXGA)(19inch) 音声 ステレオスピーカー 外部インター フェース USB USB2.0 × 3(保守ポート含む) LAN 外形寸法(W × D × Hmm) オプション (突起物及び設置板含まず) 磁気カードリーダ USB2.0 × 4(保守ポート含む) 1000Base-T/100Base-TX/10Base-T × 1 400 × 372 × 1,249 ~ 1,272(15 インチスリムスタンド) 400 × 570 × 1,217 ~ 1,287 400 × 553 × 1,251 ~ 1,274(15 インチ拡張スタンド) JIS Ⅰ型(第 1,2 トラック)/ JIS Ⅱ型,取り忘れカード保存機能,誤挿入防止用シャッター装備 FeliCa ※2,※3用非接触 FeliCa 規格準拠,モバイル FeliCa IC(モバイル FeliCa OS Version 2.0) IC カードリーダライタ/ NFC リーダライタ 二次元バーコードリーダ JAN,EAN,UPC,NW-7,ITF,CODE39,CODE128,EAN-128(GS1-128),RSS(GS1DataBar),QR コード※ 4, マイクロ QR コード,PDF417,マイクロ PDF417,Data Matrix サーマルプリンタ 対人センサー 感熱ラインドット方式 ロール紙(2 インチ,3 インチ)/ジャンボロール紙/折畳み帳票 ロール紙(3 インチ)/ジャンボロール紙/折畳み帳票 赤外線反射方式,検出距離を変更可能 赤外線反射方式 ピンパッド クレジットカードなどの暗証番号入力用 UPS 保持時間:約 5 分 瞬時停電対応電源 保持時間:約 2 秒 自動運転タイマー カラーバリエーション - 自動電源制御,週間設定/祝休日設定/指定日設定 コスミックブルー,ミディアムブルー,グレイッシュホワイト, ミディアムブルー,グレイッシュホワイト, パステルピンク,ワインレッドメタリック シルバーメタリック,シックブラック ※1 Windows は,米国 Microsoft Corporation の,米国,日本およびその他の国における登録商標または商標である. ※2 FeliCa は,ソニー株式会社が開発した非接触 IC カードの技術方式である. ※3 FeliCa は,ソニー株式会社の登録商標である. ※4 QR コードは,株式会社デンソーウェーブの登録商標である. ◆図 - 1 TM モデルのバリエーション◆ (Fig.1-TM model variations) 20 PFU Tech. Rev., 25, 2, (11,2014) 使い易さをさらに追求した情報 KIOSK 端末 MEDIASTAFF TM/TS モデル ◆表 - 2 MEDIASTAFF TS モデル仕様と SC モデル仕様(従来モデル)との比較◆ モデル OS MEDIASTAFF TS モデル MEDIASTAFF SC モデル(従来モデル) Windows 7 Professional SP1(32bit) Windows 7 Professional(32bit) 2GB 標準 1GB(最大 2GB) 内蔵メモリ 内蔵ハードディスク 画面チルト 500GB 以上 160GB 以上 60°固定 50°~ 90°の範囲で 10°刻みにチルト タッチパネル アナログ抵抗膜方式 表示機能 10.4 インチ TFT カラー LCD(XGA) 音声 外部インター フェース USB 15 インチ TFT カラー LCD(XGA) モノラルスピーカー ステレオスピーカー USB2.0 × 3 USB2.0 × 4(保守ポート含む) LAN 1000Base-T/100Base-TX/10Base-T × 1 外形寸法(W × D × Hmm) 318 × 348 × 326 (突起物及び設置板含まず) 360 × 457 × 467 ~ 529 (磁気カードリーダ搭載時) オプション 磁気カードリーダ JIS Ⅰ型(第 2 トラック)/ JIS Ⅱ型,手動式 JIS Ⅰ型(第 1,2 トラック)/ JIS Ⅱ型, 取り忘れカード保存機能,誤挿入防止用シャッター装備 FeliCa 規格準拠,モバイル FeliCa IC(モバイル FeliCa OS Version 2.0) FeliCa 用非接触 IC カードリーダライタ/ NFC リーダライタ 二次元バーコードリーダ JAN,EAN,UPC,NW-7,QR コード, JAN,EAN,UPC,NW-7,ITF,CODE39,CODE128, マイクロ QR コード EAN-128(GS1-128),RSS(GS1DataBar),QR コード, マイクロ QR コード,PDF417,マイクロ PDF417,Data Matrix サーマルプリンタ 感熱ラインドット方式 対人センサー ロール紙(2 インチ,3 インチ) ロール紙(3 インチ) - 赤外線反射方式 自動運転タイマー カラーバリエーション 自動電源制御,週間設定/祝休日設定/指定日設定 コスミックブルー,グレイッシュホワイト,シックブラック ミディアムブルー,パステルピンク ◆図 - 2 TS モデルのバリエーション◆ (Fig.2-TS model variations) 4 製品開発のポイント 4.1 操作を明確にするコンボユニットの実現 従来モデルでは,図 - 3に示すとおり FeliCa 対応 カードなどをかざす非接触 IC カードリーダライタユ リーダライタと二次元バーコードリーダの機能(ユニッ ト)を同じ位置に集約するコンボユニットを開発し,利 用者がかざす操作をする箇所を一つにした.これにより, 操作を分かりやすくし,利便性を向上させた. ニットと,クーポン券や会員証などのバーコードをかざ コンボユニットは独自に内製化し,コンパクト設計と す二次元バーコードリーダユニットが別々に配置されて した(図 - 5参照) .市販品と比較してユニット高さで いた.携帯電話などはこれらの機能が 1 台に搭載され 40% ダウン,容積比としても半減したことで,搭載ス ているため,どちらにかざせば良いか迷う利用者もいた. ペースの自由度を上げ,有効利用することができた. TM モデル/ TS モデルでは,図 - 4のとおり NFC PFU Tech. Rev., 25, 2, (11,2014) 21 使い易さをさらに追求した情報 KIOSK 端末 MEDIASTAFF TM/TS モデル 4.2 画面チルト機構の変更(TM モデル) MEDIASTAFF の多くのモデルは,背景の映り込み や光の反射などにより画面表示が見え難くなるのを解消 するため,設置場所に応じて端末管理者が画面角度を容 易に調整できる機構(チルト機構)を備えている. 従来モデルでは,一定の間隔に溝が刻まれたギアと操 作レバーを噛み合わせることで画面角度を調整する構造 を採用し,タッチ操作による揺れや,意図しない角度変 化を防止していた. しかし,その構造では角度を固定することはできるが 二次元バーコードリーダ 非接触ICカードリーダライタ ◆図 - 3 従来モデル(EV モデル)のかざす操作位置◆ (Fig.3-Wave position for the conventional model (EV model)) 細かな角度調整ができないという課題があった. 細かな角度調整ができる角度調整機構としては,トル クヒンジを用いる構造が一般的である.しかし, 構造上, 画面サイズに合わせて 15 インチ用と 19 インチ用の 2 種類のヒンジユニットを用意する必要があった.また, 揺れなどにより設定した角度からずれることがあるた め,タッチ操作をする画面の角度調整機構には適さない と判断した. そこで TM モデルでは,回転軸を回すと,回転軸に 連結されたパンタグラフ機構の伸縮により画面角度が 調節できる機構を採用した(図 - 6参照) .これにより, 画面サイズの違いに関係なく,細かな角度調整ができる ようになった. コンボユニット 画面側 ◆図 - 4 TM モデルのかざす操作位置◆ (Fig.4-Wave position for the TM model) 回転軸 NFCリーダライタ用アンテナ パンタグラフ機構 二次元バーコードリーダ 22 ◆図 - 5 内製化したコンボユニット◆ ◆図 - 6 新しい画面チルト機構◆ (Fig.5-Self-manufactured combo unit) (Fig.6-New screen tilt feature) PFU Tech. Rev., 25, 2, (11,2014) 使い易さをさらに追求した情報 KIOSK 端末 MEDIASTAFF TM/TS モデル 4.3 折畳み帳票スタッカの容量アップ(TM モデ ル) 折畳み帳票スタッカは,コピー機の排紙トレイにあ 4.4 操作ミス防止を目的とした誘導ランプの追加 (TM モデル) 利用者へ操作方法を案内する操作指示ランプに加え, たる部分である.従来モデル(EV モデル)では折畳み 操作誘導ランプを新規に追加した.3 列に並んだランプ 帳票スタッカを装置内部に格納し,用紙詰まりなどの が,滑走路の誘導灯のように流れるように点灯し,操作 不具合を解消した上に一体感あるデザインとしていた の場所だけでなく,操作方向を示すことができる.例え (図 - 7参照) .しかし,製品内部の構造やスペースの都 ば磁気カードを挿入する操作では,ランプが利用者側か 合で,連続積載可能枚数を 30 枚までとなっていたため, ら端末方向へ流れるように点灯し,カード挿入を促す. お客様から大容量化を要望されていた. レシートを受け取る操作では,ランプが端末から利用者 TM モデルでは,コンボユニットの採用によりテーブ 側へ流れるように点灯し,レシート出力があることを知 ル部に搭載する I/O デバイスが一つ減った.装置内部 らせる.これら点灯の制御パターンは 8 種類準備して のスペースに余裕ができ,折畳み帳票の連続搭載可能枚 おり,その中から選択することで,従来の操作指示ラン 数を 50 枚までに増やすことができた. 図 - 8に示すとおり,折畳み帳票出口天面をアクリル 部材にすることで,用紙が排出されていることを確認し やすくした. また, 従来モデル(EV モデル)では, サイドキャビネッ トを追加することによって,ロール紙でレシート印刷, 折畳み帳票でチケット印刷するダブル印刷を可能として いたが,TM モデルでは折畳み帳票出口をテーブル部 に設けたことで,サイドキャビネットを追加しなくても 本体とテーブル部の 2 箇所でダブル印刷を可能にした (図 - 9参照) .これにより, 追加不要となったサイドキャ ビネット分,設置面積を約 20% 縮小させ,省スペース 化を実現した. ◆図 - 8 TM モデル折畳み帳票出口◆ (Fig.8-Folded form dispenser port of the TM model) ロール紙 帳票出口 折畳み帳票 サイドキャビネット ◆図 - 7 EV モデル折畳み帳票出口(発光部)◆ (Fig.7-Folded form dispenser port of the EV model (light emitting portion)) PFU Tech. Rev., 25, 2, (11,2014) 従来モデル(EVモデル) TMモデル ◆図 - 9 プリント用紙排出口の比較◆ (Fig.9-Comparison of the paper dispenser ports) 23 使い易さをさらに追求した情報 KIOSK 端末 MEDIASTAFF TM/TS モデル プ同様に発光させることもできる(図 - 10,図 - 11 参照) . そして,TM モデルと共通に開発したコンボユニット により内蔵ユニットをコンパクトにした.これを装置の 右側手前に配置し,カードの操作性の向上も実現した. 4.5 設置場所を選ばない小型モデルの開発(TS モデル) また,サーマルプリンタの用紙交換及び用紙詰まり発 生時の用紙除去をしやすくするために,サーマルプリン 従来は設置できなかった狭小スペースにも設置でき タをスライドさせる従来のような構造ではなく,構造的 るよう, 「一人でも移設可能な重さ」 , 「設置面積は従来 にシンプルで部品点数も少ない上部開閉構造を採用した モデル(SC モデル)の 2/3」を目標に開発した.また (図 - 14参照) .これにより小型化と軽量化を実現した. I/O デバイスは TM モデルと共通化を行い,従来モデ ルとのアプリケーション互換を重視した. 図 - 12,図 - 13にユニットのレイアウトを示す. まずは小型化のために,電源の小型化を検討した.試作 サーマルプリンタ HDD I/O制御基盤 機での運用実験を行い,最適な消費電流値を見極め,電 源の小型化を実現した. 電源 ◆図 - 10 ランプが一つずつ順に点灯するパターン◆ (Fig.10-A pattern that turns the lamps on one by コンボユニット one) ◆図 - 13 ユニットの配置(装置内部)◆ (Fig.13-Unit locations(device internal view)) ◆図 - 11 点灯しているランプが増えるパターン◆ (Fig.11-A pattern that increases the number of lit lamps) 画面(PCユニット) サーマルプリンタ 用紙出口 コンボユニット 24 ◆図 - 12 ユニットの配置(装置外観)◆ ◆図 - 14 上部ユニットを開けた状態◆ (Fig.12-Unit locations(device external view)) (Fig.14-Device with the top unit opened) PFU Tech. Rev., 25, 2, (11,2014) 使い易さをさらに追求した情報 KIOSK 端末 MEDIASTAFF TM/TS モデル これらの取組みによって操作性を向上させた国内最小 クラスの情報 KIOSK 端末を実現した. カードリーダでも自動式磁気カードリーダと同じカード 媒体の制御を行えるようになったため,ソフトウェアイ ンターフェースを統一できた. 4.6 ソフトウェアの互換性維持開発 新モデルでは,ハードウェアの変更に伴い,多くのデ 対人センサーの機能改善 (3) 従来モデルの対人センサーは,固定の反応距離 バイスドライバとその制御方法が変更となった.一方で, (80cm)で反応するため,装置の前に商品棚が設置さ 従来モデルから新モデルへの移行を円滑に行えるように れているなど, 「人がいない」場合にも「人がいる」と するため,ソフトウェアレベルでの互換性を維持する必 誤って反応することがあった. そのためTMモデルでは, 要があった.そのため,アプリケーションから参照でき 装置の前に立った人との距離を測定できる測距センサー る MEDIASTAFF 基本ソフトウェアや KSP にてハー を採用し,MEDIASTAFF 基本ソフトウェアにて定期 ドウェアによる制御方法の差異を吸収し,従来のユー 的にセンサーの値を測定するようにした.また,反応距 ザーインターフェース互換を確保した. 離を 20cm から 140cm まで 10cm 刻みで設定できる 差異の吸収にあたって,以下の対応を実施した. (1) サーマルプリンタの従来モデル互換 サーマルプリンタは,クーポンや受付票の発券などを 目的に,多くのお客様が採用する重要な I/O デバイスの 機能を追加し,設定距離より近くの場合に「人がいる」 と反応するようにした.これにより,装置の設置環境に 合わせて対人センサーの反応距離を変更できるように改 善した. 一つである.従来モデルでは用紙交換の手順が煩雑なた め,用紙交換が容易なプリンタへの変更を求められてい 4.7 KSP 5.0 の改善 た.また,3 インチ幅ロール紙に加えて,レシートなど KSP 5.0 では,従来バージョンに対する市場要望を の 2 インチ幅ロール紙にも対応してほしいという声が 取り入れ,さらに使いやすいミドルウェアとなるよう, あった.そこで,新モデルでは,それらの要望に応える 以下のポイントで改善を実施した. サーマルプリンタを新規に採用した.しかし,プリンタ 4.7.1 セキュリティ機能の操作簡易化 機構の違いから,従来モデルにない設定の追加や,従来 アプリケーション TOP 画面から管理者画面に遷移す モデルにあったプリンタコマンドの削減など,プリンタ るための従来の操作では,お客様から「操作方法が煩わ ドライバに課題が発生した.そこで,MEDIASTAFF しい」 「隠し操作や暗証番号を忘れて困る」といった声 基本ソフトウェアにてプリンタコマンドや設定の差異を があった.これに対し,磁気カードやバーコードの印刷 吸収した.また,用紙交換や用紙詰まりの解除など,お された社員カードをかざすだけでログインできる機能を 客様の日常運用手順や,プリンタの様々な状態に対する 実装し,操作を簡易にするだけでなく,合わせてセキュ 数多くの互換検証を実施し,従来モデルとの互換を実現 リティも確保した. した.さらに,用紙幅の設定を容易に変更する設定プロ 4.7.2「縮退運転」機能の追加 グラムを開発した. (2) 別方式の磁気カードリーダの操作互換 従来のバージョンでは,サーマルプリンタ用紙が無 くなると,図 - 15に示すようにアプリケーションがエ 磁気カードリーダは従来モデルや TM モデルでは自 ド媒体の取り込み,排出を行うのに対し,手動式磁気 カードリーダは,カード媒体をスリットに通すだけであ る.自動式磁気カードリーダで行っていたカード媒体 の制御が,手動式磁気カードでは行えないため,ソフ トウェアインターフェースの統一が課題となった.そこ で,手動式磁気カードリーダでデータを読み取った後, MEDIASTAFF 基本ソフトウェアで,読み取ったデー タをカード媒体に見立て,カード媒体の取り込み及び排 出を仮想的に行うことにした.これにより,手動式磁気 PFU Tech. Rev., 25, 2, (11,2014) ポイント 発券 新バージョン ら手動式を採用した.自動式磁気カードリーダは,カー 従来バージョン 動式を採用したが,TS モデルでは装置小型化の観点か ポイント 発券 ポイント 照会 ただいま停止中 係員をお呼びください 機会損失 エラー発生 ポイント 照会 ポイント 発券 ポイント 照会 サービス継続 エラー発生 ◆図 - 15 KSP5.0 での「縮退運転」機能の追加◆ (Fig.15-The "degraded operation" function of KSP5.0) 25 使い易さをさらに追求した情報 KIOSK 端末 MEDIASTAFF TM/TS モデル ラー画面で停止し,係員が気付くまでの間,利用者は 機スペースに設置することで,情報 KIOSK 端末の利用 端末のどの機能も使用できなかった.お客様が開発した 機会を拡大し,手軽にμ star ポイントの manaca へ KIOSK アプリケーションが,ポイント照会やチケット のチャージ,μ 's Card での manaca へのクレジット 発券のように二つの機能を持つ場合,サーマルプリンタ チャージができる環境を実現している. を使用しない機能まで停止することを防ぐため,サーマ (2) 病院向け再来受付機 ルプリンタのエラーの場合は,エラー画面を自動復旧さ タッチパネルで受診科や診療内容を患者自身が選択 せる機能を追加した.これにより,特定の機能のみを有 し,受付を行うことにより,受付業務の負荷軽減や患者 効にする「縮退運転」を可能とし,利用者の機会損失を の待ち時間短縮を実現している.高齢者向けに大画面 防ぐことで,お客様のサービス継続性を高めた. 19 インチモデルを新たにサポートし,患者にさらなる 4.7.3 TOP 画面初期化処理の改善 見やすさを提供する. 病院の再来受付や来店ポイント付与サービスでは,利 用者が列になることが多い.先の利用者の操作終了画面 から TOP 画面に戻る画面切り替えが遅いと,次の利用 5.2 TS モデル (1) イベント参加受付サービス 者がすぐに操作できないため,利用者の待ち時間が長く 小型,軽量であるためイベント会場への設置も容易で なってしまう.そこで,KSP の TOP 画面表示の処理 あり,事前申込みで発行されたバーコードによる受付な にかかる時間を測定し,読み込む画像サイズの見直しや, どを可能とする. 処理待ち時間の適正な値への修正をした.これにより, TOP 画面表示までの時間を短縮し,次の利用者の操作 6 を待たせないよう改善した. むすび 今後は,新たなサービス提供を実現するデバイスオプ 5 利用例 5.1 TM モデル (1) 名古屋鉄道株式会社様向け manaca 専用のクレ ジット・ポイントチャージ端末 拡張スタンドタイプの自立型筐体と,券売機スペー スへの組み込みのためにカスタマイズした筐体を採用し た.設置スペースに合わせながらも,二つの筐体で同一 の機能の提供を実現した.利用者の目に付きやすい券売 26 ションの拡充,及び製品ラインナップ強化を進めていき, お客様のビジネス発展に貢献するより進化した KIOSK 端末開発にまい進していく. 参考文献 参1)PFU 情報 KIOSK 端末ホームページ http://www.pfu.fujitsu.com/kiosk/ 参2)和久井ほか:もっと便利に,もっと手軽に,新 MEDIASTAFF, PFU Tech. Rev.,19,2,pp.1-14(2008) 参3)KIOSK SERVICE PLATFORM(キオスクサービスプラット フォーム)紹介ページ http://www.pfu.fujitsu.com/kiosk/application/platform.html PFU Tech. Rev., 25, 2, (11,2014)
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