RA FT JEM XXXX (家) 日本電機工業会規格(案) JEM XXXX _D 家庭用及びそれに類する電気機器の 部品・部材から発生する 揮発性有機化合物(VOC)及びカルボニル化合物 放散量測定方法― サンプリングバッグ法 Measuring method of volatile organic compounds (VOC) and carbonyl compounds emissions for parts and materials of household and similar electrical appliances- Sampling bag method 案 201x 年(平成 2x 年) M月 D 日 制定 RA FT JEM XXXX:20xx 紙 案 _D 白 RA FT JEM XXXX:20xx 目 次 ページ 1 適用範囲 ······················································································································· 1 2 引用規格 ······················································································································· 1 3 用語及び定義 ················································································································· 2 4 サンプリングバッグ法 ····································································································· 4 一般事項 ······················································································································ 4 4.2 測定装置 ······················································································································ 4 4.3 サンプリングバッグ ······································································································· 4 4.4 窒素ガス ······················································································································ 5 4.5 恒温槽························································································································· 5 4.6 ポンプ類 ······················································································································ 5 4.7 積算流量計 ··················································································································· 5 4.8 分析装置 ······················································································································ 5 4.9 サンプラ ······················································································································ 5 5 _D 4.1 測定条件 ······················································································································· 6 5.1 一般事項 ······················································································································ 6 5.2 試料サイズ ··················································································································· 6 5.3 試料の養生条件(保管期間及び保管状態) ············································································ 6 5.4 加熱温度 ······················································································································ 6 5.5 加熱時間 ······················································································································ 6 6 測定方法 ······················································································································· 6 測定の準備 ··················································································································· 6 6.2 放散量測定 ··················································································································· 6 案 6.1 6.3 7 ガス捕集 ······················································································································ 6 分析方法 ······················································································································· 7 7.1 VOCの分析 ·················································································································· 7 7.2 カルボニル化合物の分析 ································································································· 7 8 サンプリングバッグ値の算出 ···························································································· 7 9 報告書 ·························································································································· 7 附属書A (規定) 試料の採取及び保存などに関する手順概要 ························································· 10 附属書B (規定) 回収率 ········································································································ 11 解説 ································································································································· 12 RA FT JEM XXXX:20xx まえがき この規格は,家電機器技術委員会,製品VOC対応WG及び標準化委員会の審議を経て,総合技術政策委 員会が制定した日本電機工業会規格である。 この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登録出願 に抵触する可能性があることに注意を喚起する。一般社団法人日本電機工業会は,このような特許権,出 願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責任を 案 _D もたない。 日本電機工業会規格は,少なくとも5 年を経過する日までに総合技術政策委員会の審議に付され,速やかに, 確認,改正又は廃止されます。 RA FT 日本電機工業会規格 JEM XXXX:20xx 家庭用及びそれに類する電気機器の部品・部材から 発生する揮発性有機化合物(VOC)及びカルボニル化合物 放散量測定方法―サンプリングバッグ法 Measuring method of volatile organic compounds (VOC) and carbonyl compounds emissions for parts and materials of household and similar electrical appliances- Sampling bag method 1 適用範囲 この規格は,サンプリングバッグを用いた家電機器の部品・部材から空気中へ放散する揮発性有機化合 物(Volatile Organic Compounds 以下,“VOC”という。)及びカルボニル化合物の放散量測定方法につい て規定する。 なお,この測定方法は,きょう(筐)体樹脂類,モータ類,発泡スチロール類などのVOC放散量測定に適 用する。 この規格は,生活環境・冷暖空調関連機器(例えば,扇風機,電気ストーブ,除湿機など),調理厨房関 _D 連機器(例えば,電気冷蔵庫,電気炊飯器など),ホームランドリー関連機器(例えば電気洗濯機など),理 美容関連機器(例えば,電気かみそり,ヘアドライヤーなど)などの室内で使用する家庭用及びそれに類す る電気機器(以下,家電機器という)に用いる部品・部材に適用する。 電子計算機及び関連装置(例えば,パーソナルコンピュータ),音声機器(例えば,デジタルオーディオ ディスクプレーヤ),映像機器(例えば,テレビ受像機)などの機器,照明器具(例えば,シーリングライ ト)及び電球・光源類などに用いる部品・部材を除く。 サンプリングバッグ法は,新しく製造された家電機器の部品・部材に適用する。 この規格の測定対象物質は表 1に示す7物質とする。 表 1-測定対象物質 種類 案 物質名 2 家電機器における主な用途 トルエン VOC 接着剤,塗料 キシレン VOC 接着剤,塗料 スチレン VOC 断熱材,固定用樹脂 エチルベンゼン VOC 接着剤,塗料 テトラデカン VOC 塗料 ホルムアルデヒド カルボニル化合物 接着剤 アセトアルデヒド カルボニル化合物 接着剤 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの 引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 JIS A 1962 室内空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の定量-ポンプサンプリ ング JIS A 1965 室内及び放散試験チャンバー内空気中揮発性有機化合物の Tenax TA®吸着剤を用い JEM XXXX:20xx RA FT 2 たポンプサンプリング,加熱脱離及びMS/FID を用いたガスクロマトグラフィー による定量 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集/加熱脱離/キャピラリーガスク JIS A 1966 ロマトグラフ法によるサンプリング及び分析-ポンプサンプリング JIS K 0123 ガスクロマトグラフィー質量分析通則 JIS K 0214 分析化学用語(ガスクロマトグラフィー部門) ISO16000-3 Indoor air-Part 3: Determination of formaldehyde and other carbonyl compounds in indoor air and test chamber air-Active sampling method ISO16000-6 Indoor air-Part 6: Determination of volatile organic compounds in indoor and test chamber air by active sampling on Tenax TA sorbent, thermal desorption and gas chromatography using MS or MS-FID World Health Organization, 1989. "Indoor air quality: organic pollutants." Report on a WHO Meeting, Berlin, 23-27 August 1987. EURO Reports and Studies 111. Copenhagen, World Health Organization Regional Office for Europe. アメリカ合衆国環境保護庁(EPA), "An Introduction to Indoor Air Quality (IAQ)-Volatile Organic 用語及び定義 3 _D Compounds (VOCs)" この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 3.1 揮発性有機化合物,Volatile Organic Compounds(VOC) 揮発性をもつ有機化合物の総称。 3.2 総揮発性有機化合物,Total Volatile Organic Compounds(TVOC) ガスクロマトグラフによって分析した,n-ヘキサンからn-ヘキサデカンまでの範囲で検出されたVOCの 総量値。この規格では,ピーク面積の総和を用いてトルエンに換算して求めた値を示す。 案 3.3 カルボニル化合物 カルボニル基(> CO)をもつ有機化合物の総称。 3.4 家電機器の部品・部材 測定の対象となる家電機器に用いる部品及び部材。附属品を含む。 3.5 サンプリングバッグ 試料から放散するVOC及びカルボニル化合物を測定するための袋。 3.6 測定開始 サンプリングバッグを恒温槽に入れた時点。 3.7 測定濃度 RA FT 3 JEM XXXX:20xx 試料を入れて一定時間加熱したサンプリングバッグ内の測定対象物質の濃度。 3.8 ブランク濃度 試料を入れないで一定時間加熱したサンプリングバッグ内の測定対象物質の濃度。 3.9 回収率 サンプリングバッグから捕集した測定対象物質の総量を,サンプリングバッグに供給した既知の測定対 象物質の総量で除した数値。 3.10 サンプリングバッグ値 試料1個当たりから放散する測定対象物質によって上昇したサンプリングバッグ内の測定対象物質の濃 度に,サンプリングバッグへのガス封入量を乗じた値。 3.11 ブランク値 ブランク濃度に,サンプリングバッグへのガス封入量を乗じた値。 3.12 _D 試料 測定対象となる家電機器の部品・部材から測定を行うために採取した一部分。 3.13 サンプラ VOCの捕集に用いる捕集管,及びカルボニル化合物の捕集に用いるDNPHカートリッジ。 3.14 捕集管 管径4 mm程度の硬質ガラス製又はステンレス製の管に,Tenax TA®,Tenax GC®,カーボンモレキュ ラ・シーブなどの粒状の吸着剤を充填した管。 これに測定対象空気を通気させることによって,当該空気中の揮発性有機化合物を吸着・濃縮した後, 案 管にヘリウムなどの不活性ガスを通気させながら急加熱することによって,吸着物質を定量的に脱着し, ガスクロマトグラフ質量分析装置などの分析装置に導入することに使用する。 3.15 DNPHカートリッジ DNPHを含浸させた吸着剤を充填したカートリッジ。 DNPHは,2,4-dinitrophenylhydrazine(ジニトロフェニルヒドラジン)の略。このカートリッジに空気を通す ことで,アルデヒド類をヒドラゾン誘導体として捕集する。 3.16 カルボニル化合物DNPH誘導体 DNPH化合物にヒドラゾン誘導体化されたアルデヒド類。 カルボニル化合物DNPH誘導体を高速液体クロマトグラフ装置によって分離分析を行う。 3.17 加熱脱離装置 捕集管を急速に加熱することによって吸着剤に吸着している物質を気化させ,吸着している物質を吸着 JEM XXXX:20xx RA FT 4 剤の吸着界面から脱離(脱着)させる装置。 3.18 ガスクロマトグラフ質量分析装置 低沸点有機化合物を対象に分離法としてのガスクロマトグラフに,定性法・定量法として質量分析計を 組み合わせた分析装置。 加熱気化した物質を,ガスクロマトグラフによって各成分に分離し,質量分析計に導入する。質量分析 計内で成分分子がイオン化されると同時に開裂を起こし,フラグメントイオンが生成する。このとき分子 特有の分子イオン及びフラグメントイオンが生じるため,成分分子を定性・定量分析できる。 この規格では,VOCの分析に用いる。 3.19 高速液体クロマトグラフ装置 送液ポンプで送られている溶離液(移動相)に注入した試料中の各成分を,カラム(分離管)内の充填剤 (固定相)を通過する間に相互に分離し,これをカラム出口に接続した検出器によって検出し定量する装置。 溶媒に溶けた有機物が主な測定対象であり,アミノ酸など生体物質の分離同定に多用されている。充填 剤には多孔質のシリカゲル,アルミナ,ポリスチレンなどが用いられ,検出器として紫外可視分光光度計, 蛍光検出器などが用いられる。 4 _D この規格では,カルボニル化合物の分析に用いる。 サンプリングバッグ法 4.1 一般事項 この測定方法は,測定対象となる家電機器の部品・部材から放散する測定対象物質のサンプリングバッ グ値を算出する方法である。 サンプリングバッグ内に入れた試料を一定の温度で加熱し,サンプリングバッグ内のガスを採取して求 めた測定濃度及びブランク濃度を知ることによって,試料1個当たりから放散する測定対象物質のサンプ リングバッグ値を算出する(箇条8参照)。 4.2 測定装置 案 図 1 に測定装置の概要を示す。 P 捕集管 ふっ素樹脂チューブ サンプリングバッグ 試料 恒温槽 図 1-測定装置概要 4.3 サンプリングバッグ サンプリングバッグは,次による。 ポンプ RA FT 5 JEM XXXX:20xx a) 材質 サンプリングバッグの材質は,特に規定しないが,ふっ素系樹脂(フッ化ビニル(PVF),4フ ッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体(FEP)など)が望ましい。 b) 容積 c) 気密性 サンプリングバッグの容積は10 Lとする。 サンプリングバッグは,制御されていない外気と換気することがないよう,放散量測定への 影響が少ないテープなどのシール材又はヒートシールによって気密性を確保する。 d) ブランク濃度 サンプリングバッグを加熱することによって発生するブランク濃度は,放散量測定に 影響を及ぼさない程度の低さとする。例えば,VOCについてバッグごとに0.05 µg以下,ホルムアル デヒド及び他のカルボニル化合物について,バッグごとに0.075 µg以下とする。 e) 回収率 回収率は,測定対象物質の標準ガスなどを用いて測定する。サンプリングバッグの性能は, カルボニル化合物について60 %以上,トルエンについて70 %以上の平均回収率を確保できるものと する。回収率は,受渡当事者間で定めてもよい(附属書B参照)。 注記 シンク効果若しくは漏れがある場合,又は校正精度が低い場合には,測定で最低限度必要な 精度を満たすことが困難となる。シンク効果及び吸着特性は,放散した測定対象物質の種類 と密接にかかわってくる。これらによる影響を把握するために,異なる分子量又は極性をも つVOC及びカルボニル化合物を用いて追加の回収率測定を行うことができる。 4.4 窒素ガス _D サンプリングバッグに封入する窒素ガスは,含有する測定対象物質の濃度が,放散量測定に影響を及ぼ さない程度の低さとする。 4.5 恒温槽 温度の制御は,均一な温度制御のできる恒温槽で行う。 サンプリングバッグを入れる恒温槽は,±1.0 ℃の範囲内で温度の制御が可能なものとする。 4.6 ポンプ類 真空ポンプ又はサンプリングバッグ内部のガスを十分に排気できる機器を用いる。 4.7 積算流量計 ガス捕集量などの測定は,積算流量計又は積算流量計と同等以上の性能をもつ装置によって行う。 4.8 分析装置 案 VOCの分析には,加熱脱離装置及びガスクロマトグラフ質量分析装置を用いる。カルボニル化合物の分 析には,高速液体クロマトグラフ装置を用いる。 分析装置は,JIS A 1962,JIS A 1966及びISO 16000-6によるが,これらと同等以上の精度をもつ装置 を用いてもよい。 ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いる場合は,全イオンモニタリング(Total ion monitoring,TIM) で測定し(JIS K 0214参照),全イオンクロマトグラム(Total ion chromatogram,TIC)から算出したVOCの 値を用いる(JIS K 0123参照)。 4.9 サンプラ VOCの捕集・分析にはTenax TA®,Tenax GR®などの捕集管を用いる。カルボニル化合物の捕集・分析に はDNPHカートリッジを用いる。 サンプラは, JIS A 1966,ISO 16000-6及びJIS A 1962による。 JEM XXXX:20xx 5 測定条件 5.1 一般事項 RA FT 6 測定条件は,5.2~5.5による。測定室は,バックグラウンドの影響が出ないよう十分換気されていなけ ればならない。 5.2 試料サイズ 試料は,通常,表面積 100 cm2(例えば,10 cm×10 cm)とする。試料の厚みは,規定しない。 試料の小口は,シールしない。 5.3 試料の養生条件(保管期間及び保管状態) 試料は,化学物質による汚染,熱,湿気などに影響されないように,試料1品ごとに適切な包装を施し て保管する。 試料の保管期間は,試料作成後2週間以内とする。 試料の保管期間及び保管状態の詳細条件は,受渡当事者間で定めてもよい。 試料の採取及び保存などの詳細を,附属書Aに示す。 5.4 加熱温度 サンプリングバッグを加熱する温度は,65±1 ℃とする。他の加熱温度を受渡当事者間で定めてもよい。 加熱温度は,モニタリングして記録する。 5.5 加熱時間 _D 測定器の温度精度は,±0.5 ℃とする。 サンプリングバッグを加熱する時間は2 h±5 minとする。 6 測定方法 6.1 測定の準備 6.1.1 サンプリングバッグの洗浄 測定を開始する前に,サンプリングバッグの洗浄を行う。サンプリングバッグのスリーブにふっ素樹脂 (例えば,ポリテトラフルオロエチレンなど)チューブを取り付け,窒素ガスを封入した後,ポンプによっ てガス抜きを行う。この操作を3回繰り返す。 案 ブランク濃度を低減するため,事前にサンプリングバッグの加熱処理を行ってもよい。 6.1.2 サンプリングバッグの準備 洗浄を終えたサンプリングバッグの一端を切断し,試料を入れる。サンプリングバッグの一端を折って, シール材(テープ)によって密封する。ヒートシールによる密封を行ってもよい。サンプリングバッグに窒 素ガスを封入し,ポンプによってガス抜きを行う。その後,5 Lの窒素ガスをサンプリングバッグに封入 する。同様の操作を,試料を入れないサンプリングバッグでも行い,これをブランクとする。 6.2 放散量測定 試料を入れたサンプリングバッグを5.4に規定する加熱温度に設定した恒温槽内に入れ,スリーブに取 り付けたふっ素樹脂チューブを恒温槽の開口部から外に出す。ブランクも同様に恒温槽に入れ,5.5に規 定する時間,加熱を行う。 6.3 ガス捕集 加熱時間が経過した恒温槽の温度が,定常状態であることを確認した後,4.9に規定する捕集管を接続 してガス捕集を行う。同様にブランクもガス捕集を行う。捕集量は捕集時と分析時の温度差による体積変 化を考慮した補正を行ったものとし,VOCは1 L,カルボニル化合物は3 Lとする。必要に応じて予備の RA FT 7 JEM XXXX:20xx VOC捕集を行ってもよい。 分析方法 7 7.1 VOCの分析 VOC捕集管を加熱脱離装置に取り付け,加熱によってVOCを脱離させる。VOCをガスクロマトグラフ 質量分析装置を用い,JIS A 1966及びISO 16000-6によって分析し,測定濃度及びブランク濃度を求める。 7.2 カルボニル化合物の分析 DNPHカートリッジ内のカルボニル化合物DNPH誘導体は,アセトニトリルを用いて溶解して抽出する。 カルボニル化合物を高速液体クロマトグラフ装置を用い,JIS A 1962によって分析し,測定濃度及びブラ ンク濃度を求める。 サンプリングバッグ値の算出 8 試料からのサンプリングバッグ値は,次の式によって求める。 (Cs - Cb ) Vs u _D W ここに,Cs:測定濃度(μg/m3) Cb:ブランク濃度(μg/m3) Vs:ガス封入量(m3) W:サンプリングバッグ値(μg/個) u:試料の個数(個) 報告書 9 報告書には,通常,次の内容を記載する(図 2及び附属書B参照)。記載内容については受渡し当事者間 で定めてもよい。 試験機関 案 a) ― この規格への準拠 ― 試験機関の名称及び住所 ― 試験責任者名 ― 報告書の識別番号 家電機器の部品・部材 b) ― 家電機器の部品・部材の種類(可能な場合は,商品名) ― 試料の選択プロセス(抜取方法など) ― 家電機器の部品・部材のトレーサビリティ(製造年月日,バッチ番号,試験機関到着日,包装から 取り出した日時,保管条件及び試料を準備した日時など) 測定結果 c) ― 測定対象物質のサンプリングバッグ値及びブランク値 測定条件 d) ― 測定日 JEM XXXX:20xx ― サンプリングバッグ条件(温度,時間及び窒素ガス量) ― 試料のサイズ ― 測定対象物質のガス捕集に関する情報(用いた捕集管,ガス捕集量など) ― この規格から逸脱した場合,その内容及び理由 測定装置 e) ― 測定装置に関する情報(サンプリングバッグ,シール材,恒温槽,ポンプ類,分析装置など) 品質管理・品質保証に関するデータ f) g) RA FT 8 ― 測定対象物質の測定濃度及びブランク濃度 ― 測定対象物質のシンク効果を評価するための回収率データ ― 測定回数 ― 温度の精度 その他 案 _D 報告書の書式例を図 2に示す。 RA FT 9 JEM XXXX:20xx 案 _D 報告書No. ○-○○○ 準拠規格 JEM XXXX a) 試験機関 試験機関名 株式会社○○○○ 所在地 東京都○○区△△町○-○ 試験責任者 規格一郎 b) 家電機器の部品・部材 AB1234 製品の種類(商品名) 前面ガード 製品番号 試料作成方法 本体から10 cm×10 cmに切り出し 試料形状 厚み5 mm,網目状 試験機関到着日 包装から取り出した日時 試料を準備した日時 製造年月日 ○○○○年○月○日 ○○○○年○月○日 ○○○○年○月○日 ○○○○年○月○日 測定日 その他 ○○○○年○月○日 c) 測定結果 サンプリングバッグ値(μg/個) ブランク値(μg/個) 対象物質 N.D.(≦0.○○○○) N.D.(≦0.○○○○) ホルムアルデヒド 1.0 N.D.(≦0.○○○○) アセトアルデヒド 2.0 N.D.(≦0.○○○○) トルエン 3.0 N.D.(≦0.○○○○) キシレン 4.0 N.D.(≦0.○○○○) エチルベンゼン 5.0 N.D.(≦0.○○○○) スチレン 6.0 N.D.(≦0.○○○○) テトラデカン d) 測定条件 加熱時間(h) 窒素ガス量(L) 加熱温度(℃) 試料表面積(cm2 ) 65 2 5 100 VOC捕集条件 カルボニル化合物捕集条件 空気捕集量(L) 空気捕集量(L) サンプラ サンプラ Tenax TA®捕集管 1 L×2 DNPHカートリッジ 3L 測定場所の温度(℃) 測定場所の湿度(RH%) その他の特記事項 28 50 e) 測定装置 恒温槽 ○○製××× シール方法 ふっ素樹脂シールテープ 空気捕集装置 ○○製サンプリングポンプ VOC 分析装置 加熱脱離装置 ガスクロマトグラフ質量分析装置 カルボニル化合物 高速液体クロマトグラフ装置 f) 品質管理・品質保証 対象物質 測定濃度(μg/m3 ) ブランク濃度(μg/m3 ) N.D.(≦0.○○○○) N.D.(≦0.○○○○) ホルムアルデヒド N.D.(≦0.○○○○) アセトアルデヒド × N.D.(≦0.○○○○) トルエン ×× N.D.(≦0.○○○○) キシレン ××× N.D.(≦0.○○○○) エチルベンゼン △ N.D.(≦0.○○○○) スチレン △△ N.D.(≦0.○○○○) テトラデカン △△△ 測定回数 回収率データ 温度の精度 1回 85 %(トルエン) ±0.5 ℃ g) データ分析 試料からのサンプリングバッグ値は,次の式による。 測定濃度C sは,一定温度で一定時間加熱した試料から放散したVOC及びカルボニル化合物の濃 度を示し,C bは試料を入れずに同一条件で加熱したサンプリングバッグのブランク濃度を表 す。V sは,ガス封入量(m3 ),u は試料の個数を表す。 W = [(C s-C b)×V s]/u h) 備考 : 準拠規格から逸脱した内容・理由など,他 特になし 図 2-報告書書式例 JEM XXXX:20xx RA FT 10 附属書A (規定) 試料の採取及び保存などに関する手順概要 A.1 A.1.1 家電機器の部品・部材のサンプリング方法並びに試料の運搬及び保存 家電機器の部品・部材のサンプリング方法 測定対象となる家電機器の部品・部材は,通常の手段によって製造,包装及び使用する。この測定対象 家電機器用部品・部材の中から任意に抽出した部品・部材から作成した試料は,直ちに包装し,速やかに 試験機関に送付する。 A.1.2 試料の包装及び運搬 試料は,保存,運搬などの時に,化学物質による汚染がなく,熱,湿気などに影響されないように,試 料ごとにアルミはく(箔)で包み,更に,包んだ試料をポリエチレンフィルムとアルミはく(箔)とをラミネ ートしたフィルムから成る袋に入れ,保存及び運搬する。 袋材は試料を入れる前に90 ℃で8時間以上の熱処理を行ない,試料を入れた後は,開口部をヒートシー ルで密閉する。 A.1.3 測定を開始するまでの試料の保存 _D 試料の放散量測定は,試験機関に送付されてから直ちに開始することを条件とする。測定の開始まで試 験機関で試料を保存する場合,劣化を防ぐため保存する期間中“通常,2週間以内”は,上記の包装材料 で密閉状態に保つ。 A.2 その他 試料の採取及び保存などに関する手順は通常,A.1のとおりとするが,試料の材料種,製造工程などを 案 考慮して,受渡当事者間で定めてもよい。 RA FT 11 JEM XXXX:20xx 附属書B (規定) 回収率 B.1 回収率 回収率は次の手順で測定する。 サンプリングバッグを3枚用意し,清浄な窒素ガス又は空気でサンプリングバッグ内の置換洗浄を a) 各々3回実施する。サンプリングバッグを加熱し,洗浄してもよい。 サンプリングバッグ内のガスを抜き,マイクロシリンジを使用して,濃度既知の標準混合液(例えば, b) 濃度1 000 µg/mLのVOCを混合した溶液1 µL)を注入する。濃度既知の標準混合ガスを用いてもよい。 c) 窒素ガス又は空気5 Lをサンプリングバッグ内に入れて,直ちに封止する。 d) サンプリングバッグを65 ℃に設定した恒温槽に入れ,2時間放置する。 e) 2時間後,サンプリングバッグ内のガス捕集(Tenax TA®は1 L×2回を250 mL/min以下で,DNPHは3 L×1回を800 mL/min以下で)を行う。ガス捕集はサンプリングバッグを加熱した状態で行う。 B.2 算出方法 _D ブランク濃度は,試薬を注入せずに,上記a)~e)と同様の操作を行う。 f) 回収率は,加熱脱離装置及びガスクロマトグラフ質量分析装置によるVOCの定量結果,及び高速液体ク ロマトグラフ装置によるカルボニル化合物の定量結果から,次の式によって算出する。 R = (Cs-Cb)/Cstd×100 ここに,R :回収率(%) Cstd :サンプリングバッグに注入した標準ガスの各成分の濃度(μg/m3) :定量された測定濃度(μg/m3) 案 Cs Cb 参考文献 :ブランク濃度(μg/m3) JASO M 902 自動車部品-内装材-揮発性有機化合物(VOC)放散測定方法 RA FT 12 JEM XXXX:20xx 家庭用及びそれに類する電気機器の部品・部材から 発生する揮発性有機化合物(VOC)及びカルボニル化合物 放散量測定方法―サンプリングバッグ法 解説 この解説は,本体及び附属書に規定・記載した事柄,並びにこれらに関連した事柄を説明するもので, 規格の一部ではない。 1 制定・改正の趣旨及び経緯 VOCとは,常温で揮発しやすい有機化合物のことで,ホルムアルデヒド,トルエンなどがよく知られて いる。これらは乾燥しやすい,油汚れを落としやすいなどの特徴をいかし,塗料及び接着剤などの溶剤, 又は洗浄剤として家電機器業界で広く利用されている。近年,住宅の高気密化及び化学物質を放散する建 _D 材・内装材の使用などによって,新築又は改装直後の住宅・ビルなどに入ったときに鼻・のどに刺激を感 じるなどの体調不良が生じるいわゆるシックハウス症候群が注目され,厚生労働省及び産業界はその一要 因であるVOCの対策に取り組んでいる。 家電機器の関連工業会では,より安心して家電機器を使用することを目的に,家電機器からのVOC放散 速度の測定方法の研究,実態調査などを進めてきた。 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)で,“パソコンに関するVOCガイドライン”を2005年にま とめ,その後一般財団法人家電製品協会(AEHA)で議論された内容を基に,2011年にはJEITAで“AV機器 からのVOC放散速度の指針値”,一般社団法人日本照明工業会(JLMA)で“照明器具に関するVOCガイド ライン”が制定された。併せて,2011年2月から独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)で,“製品か らのVOC等放散事故原因究明技術強化委員会”が発足した。 案 一般社団法人日本電機工業会(JEMA)は家電機器の部品・部材からのVOC放散量測定に必要な測定方法 について,公益社団法人自動車技術会(JSAE)で制定された団体規格JASO M902を参照し,この規格を策 定し,VOC低減に関する自主的な取組みを開始した。 2 審議中に特に問題となった事項など 今回のJEM XXXXの制定審議で問題となった主な事項は,次のとおりである。 2.1 測定対象物質の設定 この規格における測定対象物質は,厚生労働省の“シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中 間報告書-第8回~第9回のまとめについて”に記載されている濃度指針値の13物質の中から,家電機器と して使用していない農薬系物質,及び測定方法として確立されていない準揮発性有機化合物(SVOC)を対 象外としている。また,暫定目標値だけが策定されている総揮発性有機化合物(TVOC)も代替が困難であ るため,対象外としている。しかしながら,TVOCには,環状シロキサン,フェノール,BHT(ジブチル ヒドロキシトルエン)など家電機器から比較的多く放散される物質が含まれる。これらは,この規格の測 定対象7物質に加え定量することが望ましい。 RA FT 13 JEM XXXX:20xx 2.2 試料の保管期間 試料の保存期間は,実際に家電機器が製造され,使用者が購入する期間などを考慮し,2週間以内とし 案 _D た。
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