東大炉「弥生」のエイジング評価と保全計画(∼2015年)(注) (保安規定

東大炉「弥生」のエイジング評価と保全計画(∼2015年)(注)
(保安規定第65条適用事項)
(1/5)
2005年1月12日
原子炉管理運営委員会決定事項
(基本的考え方)
東大炉は、以下の設備的な特徴を有している。
①水炉ではなく、空冷の原子炉であり、使用圧は大気圧である。この点からの水腐食や応力問題は、基本的に生じないといえる。
②炉出力が極低出力であり、燃料体の燃焼による組成変化は微であり、被覆材の繰返し応力疲労も問題とはならない。
③燃料交換を必要とせず、初期装荷済みの燃料体を供用期間を通じて使い切る形態である。
(使用済燃料貯蔵施設や燃料取扱施設は当初より有していない。
)
④炉からの液体廃棄物の発生はなく、固体廃棄物の発生も低レベルのものが年間にしてドラム缶1本に満たない程度(フィルターを除く。
)である。サイト内では一時保
管のみを専用の保管庫で行い、後処理は原研東海研に委託しているので、廃棄物処理施設は有していない。
これら基本的な特徴から、エイジング評価と保全計画対象は、計測制御系統施設や放射線管理施設に該当する設備が中心であり、有効と考えている。設備改修・更新におい
ては、計画性をもってその時点における最新の技術的知見を考慮して設計・製作を行っており、今後もこの方針を維持することにより問題はないと考える。
施設名 設備名
炉
心
集
合
体
装置名
設備更新等履歴
1984年B燃料体修復、側部ブランケット加工。
炉心部(中核燃料体)
(制御材燃料)
(ブランケット燃料、A反射体)
(実験孔)
1992年HC遮へいブロック更新。
2003年一部台車の更新。
前部遮蔽体
1988年サイクロ減速機及びトルクリミッター更
新。
定期保守点検等において、点検を
継続する。
中性子レベルを核計装設備にて確認しており、特 点検や運転時において、異常がな
に問題はない。
いことの確認を継続する。
特に変形等は認められず、問題はない。
定期保守点検等において、点検を
継続する。
現在は変形等もなく、グラインダー加工は行ってお 定期保守点検等において、点検を
らず、問題はない。
継続する。
駆動に異常は認められず、問題はない。
定期保守点検において、点検を継
続する。
クサビ受け更新済。
作動状況等に問題はない。
中性子源
機械室
移動用通路案内枠
炉
心
集
合
体
駆
動
設
備
駆動装置
固定装置
HC遮へいブロックの一部に変形が認められ、更新 定期保守点検等において、点検を
を実施した。しかし、以降の変形等異常はなく問題 継続する。
ない。また、核燃料物質に係る国際保障措置用封
印の取付けの為、一部の台車等の構造変更をした
が、特に遮へい性能に問題はない。
特に変形等は認められず、問題はない。
後部遮蔽体
原
子
炉
本
体
評価
保全計画等
燃料交換の必要は全くなく、燃料体修復以降、定 2008年に燃料体検査を計画してい
期的に非破壊検査等を実施しており、異常は認め る。
られず問題はない。
1988年機械室枠更新。
経年変形のためクラインダ加工を実施。
通路遮蔽体
位置指示計
(注)品質保証計画指針上の第3次文書に定める「弥生施設10ヶ年保全計画書」を兼ねる。
外観目視にて問題はない。
指示計としては問題ないが、製造より30年を経過
しているため予備品を含め更新すべきと考える。
定期保守点検等において、点検を
継続する。
定期保守点検等において、点検を
継続する。
定期保守点検等において、指示状
況の確認を継続する。また、指示計
の更新を計画する。
施設名 設備名
ー
重
コ
ン
ク
リ
原
子
炉
本
体
ト
生
体
遮
蔽
体
中
子速
柱中
性
貯
蔵
施
設
設備更新等履歴
重コンクリート遮蔽体
B反射体
高速中性子柱設備
評価
保全計画等
設備としては問題はないが、塗装面が剥離してお 定期検査時に合わせ、塗装工事を
り、再塗装をするべきと考える。
計画する。
設備として問題ない。
実験の準備等の際に外観目視を行
い、異常の有無の確認を継続する。
経年変形のため、アタリ面に対してクラインダ加 現在もアタリ面が確認された場合、グラインダー加 定期保守点検等において、駆動状
工を実施。
工を実施しているが、駆動状況に問題はない。
況の確認を継続する。
熱中性子柱設備
1996年B上部コラム更新。
実験孔、コラム類
設備としては問題はないが、塗装面が剥離してお 定期検査時に合わせ、塗装工事を
り、再塗装をするべきと考える。
計画する。
現在、使用が特にない状況である。
使用時に、開閉状況を確認する。
鉛体
実験孔、コラム類
外観目視において問題はない。
B反射体
外観目視において問題はない。
架台
核燃料貯蔵庫
(濃縮ウラン燃料保管庫)
(天然ウラン燃料保管庫)
(劣化ウラン燃料保管庫)
排風機(ルーツブロワー)
(安全弁)
主要な実験孔やコラムについては、更新及びグラ 定期保守点検等において、開閉状
インダー加工を実施しており、開閉については問 況等の確認を継続し、必要に応じて
題ない。ただし、使用頻度により開閉しづらいもの グラインダー加工等を行う。
もある。
外観目視において問題はない。
定期検査時に、外観目視点検を継
続する。
定期検査時に、外観目視点検を継
続する。
定期検査時に、外観目視点検を継
続する。
フ
入口フィルター
排風機の作動状況等に問題はない。また、予備品 定期保守点検等において、点検を
は購入済みである。
継続する。
塗装面の剥離等が認められた時に塗装工事を 外観目視において問題はない。
定期検査時に、外観目視点検を継
実施。
続する。
1979年逆止弁更新。
安全弁は外観目視及び作動状況、逆止弁は分解 定期保守点検時に、外観目視また
の各点検において問題はない。
は分解点検を継続する。
捕集性能等において問題はない。
定期検査時に、外観目視及び捕集
フィルターは定期的に交換。
性能検査を継続する。
設
ル
備
出口フィルター
フィルターは定期的に交換。
一
次
冷
却
設
備
ィ
ー
冷
却
系
統
施
設
D
置
運
設
転
備
位
蔵新
庫燃
料
貯
装置名
タ
配管類
弁類
1978年排風機更新。
(2/5)
施設名 設備名
核
計
装
設
備
計
測
制
御
系
統
設
備
計プ
装ロ
設セ
備ス
安
全
保
護
回
路
制
御
設
備
制非
備御常
設用
停後
止備
系炉
装置名
起動系(2系統)
対数系(2系統)
線形出力系(2系統)
設備更新等履歴
1985年レンジ切替器更新。
1988年スケーラー2台更新。
1987年試験器更新。
1989年高圧電源更新。
1993年起動系及び対数系記録計更新。
1995年線形出力系記録計更新。
1999年スケーラー駆動タイマー更新。
評価
現在、計装としての問題はない。ただし、計装の高
圧電源や計装基盤は更新したが、計装本体(検出
器は予備品あり)が製造より30年を経過しており、
新技術を反映しての計装自体の更新をすべきと考
える。
保全計画等
定期点検時に、校正等を行い計装
の保全を継続する。また、オーバー
ホールに合わせ、計装の更新を検
討する。
試験器
炉心部温度測定系(4系統) 1984年∼2001年で、伝送器や記録計等の更新。 計装計装としての問題はない。ただし、更新した機 定期点検時に、校正等を行い計装
器でも15年を経過したものもあり、予備品(伝送器 の保全を継続する。また、予備品の
冷却系温度測定系(2系統)
等)を補充しておくべきと考える。
補充を計画する。
冷却系流量測定系(2系統)
冷却系圧力測定系(2系統)
制御盤全体として、問題はない。しかし、更新した 定期点検時に、点検を継続し、併せ
2004年DC48Vリレー電源更新。
電源設備以外にも、老朽化した電源トランス等ある て機器の更新を検討する。
原子炉制御盤全体
ため、機器の更新をすべきと考える。
リレー類は定期的に交換。
ロジック系として異常は認められず問題はない。し 定期検査時に、点検を継続する。ま
インターロック系統
かし、リードリレー系や配線ケーブル、地震計など た、リードリレー系や配線ケーブル、
スクラム系統(42条件)
の設備は老朽化しており、更新を検討すべきと考 地震計(2台)の更新を検討する。
える。
アラーム系統(30条件)
駆動状況に異常は認められず問題はない。しか 定期保守検査時等に、駆動状況の
1988年駆動機構ユニット更新。
制御棒駆動機構
し、指示計は機能的には問題ないが、製造より30 確認を継続する。また、指示計の更
1997年調整棒サーボアンプ更新。
年を経過しているため予備品を含め更新すべきと 新を検討する。
中性子源駆動設備
考える。駆動機構については予備品あり。
後備炉停止装置
(炉心集合体駆動装置)
駆動状況に問題はない。
プレサイクルチェック時に異常のな
いことの確認を継続する。
(3/5)
施設名 設備名
廃
棄
施
設
放
射
線
管
理
施
設
気
施体
設廃
棄
棄液
施体
設廃
棄固
施体
設廃
モ
環
ニ
境
タ
エ
リ
ア
モ
ニ
タ
ガ
ス
モ
・
ニ
ダ
タ
ス
ト
モ
汚
ニ
染
タ
格
納
施
設
原
子
炉
実
験
室
装置名
管理区域排気系統設備
(排風機、配管)
(フィルター)
廃液貯溜槽
設備更新等履歴
評価
排風機用電動機のベアリングは定期的に交換。 排風機の稼働状況に問題はない。
フィルターは定期的に交換。
タンク内部ライニング塗装の実施あり。タンク周 漏水等の異常も無く問題ない。
りの塗装面の剥離等が認められた時に、塗装工
事を実施。
天井に穴が開いた為、補修工事を実施。
外観目視にて問題はない。
廃棄物一時保管庫
1991年更新。
モニタリングポスト(2系統)
ガンマ線モニタ(4系統)
速中性子モニタ(3系統)
記録計は更新済。
2000年γ-4を更新。
2001年γ-1,2,3を更新。
記録計は更新済。
熱中性子モニタ(3系統)
ガスモニタ(2系統)
燃料破損検出器
ダストモニタ(2系統)
保全計画等
定期保守点検時に、稼働状況に異
常がないか確認を継続する。
記録計は更新済。
2000年計数率計及び電源更新。
記録計は更新済。
記録計は更新済。
2000年計数率計及び電源更新。
1990年更新。
ハンドフットクロスモニタ
遮へい壁(外壁、天井、補機 1994年屋上防水工事実施。
室)
水ペネトレーションの水及びガラス蓋は定期的
ペネトレーション
に交換。
気密扉(パーソナル扉、2m 1990年ゴムパッキン交換。
大扉)
スライド扉
1994年無線制御装置更新。
天井クレーン
定期点検時に、異常の有無の確認
を継続する。
定期的に外観目視点検を継続す
る。
計装として問題はない。
定期保守点検時等に、校正点検を
行い異常の有無の確認を継続す
る。
計装として問題はない。半導体検出器に変更した 定期保守点検時等に、校正点検を
ため保守もしやすい。
行い異常の有無の確認を継続す
る。
計装として問題はない。しかし、機器が製造より30 定期保守点検時等に、校正点検を
年が経過して老朽化しており、また、現行の単位系 行い異常の有無の確認を継続す
(Sv)へ対応を含め、更新を検討すべきと考える。 る。また、オーバーホールに合わ
せ、計装設備(検出器も含め)の更
新を検討する。
定期保守点検時等に、校正点検を
計装としての問題はない。ただし、ダストサンプ
ラーの老朽化、燃料破損検出器計装においては製 行い異常の有無の確認を継続す
造から15年を経過しており更新を検討すべきと考 る。また、オーバーホールに合わ
せ、ダストサンプラー、燃料破損検
える。
出器計装の更新を検討する。
計装として問題はない。
定期保守点検時等に、校正点検を
行い異常の有無の確認を継続す
る。
遮へい性能と気密性に問題はない。しかし、屋上 定期検査時の漏洩機密検査及び負
の防水シートの亀裂が目立つ為、補修工事すべき 圧検査により、異常の有無の確認を
と考える。天井クレーンについては、定期点検にお 継続する。また、屋上防水シートの
部分的な補修工事を検討する。天
いて問題はない。
井クレーンについては、定期点検に
より異常の有無の確認を継続する。
(4/5)
施設名 設備名
格
納
施
設
気炉
測室
定給
系排
実
験
準
備
室
加
速
室
装
置
附
属
施
設
附
属
建
家
装置名
負圧制御装置
(技術盤の温湿度計を含む)
遮へい壁(外壁、天井、核燃 1994年屋上及び外壁側面防水工事実施。
料貯蔵庫、RI庫、測定室)
水ペネトレーションの水及びガラス蓋は定期的
ペネトレーション
に交換。
気密扉
1990年ゴムパッキン交換。
1984年走行方向電源電線を絶縁電線に更新。
天井クレーン
遮へい壁
気密扉
1994年屋上防水工事実施。
1990年ゴムパッキン交換。
非常用電源
(無停電電源設備)
(ディーゼル発電機)
火災警報装置
通信設備
監視テレビ
附属実験設備
評価
保全計画等
負圧制御に問題はない。しかし、制御装置(含他系 定期保守点検において異常の有無
統)が製造より30年が経過して老朽化しおり、更新 の確認を継続する。また、制御装置
の更新を検討する。
をすべきと考える。
遮へい性能と気密性に問題はない。しかし、一部 定期検査時の負圧検査により、異
外壁より室内へ漏水(雨水)が確認される箇所があ 常の有無の確認を継続する。また、
り、補修工事すべきと考える。天井クレーンについ 屋上防水シートまたは外壁の漏水
箇所の部分的な補修工事を検討す
ては、定期点検において問題はない。
る。天井クレーンについては、定期
点検により異常の有無の確認を継
続する。
遮へい性能と気密性に問題はない。しかし、屋上 定期検査時の負圧検査により、異
の防水シートの亀裂が目立つ為、補修工事すべき 常の有無の確認を継続する。また、
屋上防水シートの部分的な補修工
と考える。
事を検討する。
壁にできた亀裂の補修工事を実施。
経年変化と思われる亀裂が確認されるが、特に強 定期的な建家検査時に異常の有無
度上の問題はない。
の確認を継続する。また、新たな亀
裂箇所があれば補修工事を計画す
る。
1983年遮断器更新。
1993変圧器等一部更新。
1991年無停電電源設備更新、1997年ディーゼ
ル発電機更新。
電源の供給に異常はなく問題はない。無停電電源 定期保守点検時に異常のないこと
設備の蓄電池寿命はメーカー値では約15年である の確認を継続する。また、無停電電
源装置の蓄電池に異常が認められ
が、現在とくに異常は認められない。
た場合には交換を計画する。
1993年更新。
2004年管理区域内拡声器の更新。
定期的に保守を行っており問題はない。
定期的な保守(メーカー)を継続する。
拡声器やインターホン等は正常稼働し、問題はな 運転や保守時に確認を継続する。
い。
監視映像に問題はない。予備品もあり。
運転や保守時に確認を継続する。
該当なし。
研究棟
受変電設備
電
気
設
備
設備更新等履歴
1990年炉室系バタフライ弁更新。
1994年制御表示盤更新。
2000年補機室系比例弁更新。
2003年までに更新。
1983年までに撤去。(パイルオシレーター等)
(5/5)