第3章 事業者ヒアリング

第3章 事業者ヒアリング
3.1 調査概要
3.1.1 目的
船橋市内の事業者を対象に、事業系一般廃棄物に対する現状の認知状況、ごみ減量やリサイク
ルへの取組み状況等について、ヒアリング調査を実施しました。
このヒアリング調査は、事業系ごみに関する課題の抽出及び将来の施策展開の方向性について
把握することを目的として実施しました。
3.1.2 調査対象
調査対象事業者は、船橋市と協議の上、以下の観点から 16 社(7月 13 日以降追加調査分含む)
を抽出し、各事業者に対して直接訪問してヒアリング調査を実施しました。
【調査対象事業所の抽出方針】
①事業系一般廃棄物を多く排出し、船橋市の一般廃棄物処理事業に影響が大きい。
(産業廃棄物は原則対象外とする。
)
②ごみ種類の何が多く排出されるかをベースに、業種(日本標準産業分類)より
も、
「事業形態」に着目して検討。
③対象とする廃棄物は以下の通り。
・紙類(梱包材、オフィス用紙、雑紙、紙製容器包装など)
・厨芥類(食べ残し、調理くずなど)
・プラスチック類
(産業廃棄物は原則として対象外。市の施設で事業系一廃として受けている場
合は対象)
調査の実施状況は表 3-1に示すとおりで、調査対象とした 16 事業者すべてに協力をいただ
き、実施率 100%となっています。
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表 3-1 調査対象事業者と実施状況
形態
NO
事業所名
実施日
1
小規模小売業者
(飲食店、サービス等)
稲荷屋
6月27日
2
小規模小売業者
(飲食店、サービス等)
右島薬局
6月27日
3
小規模小売業者
(飲食店、サービス等)
半田電気
6月28日
4
小規模小売業者
(飲食店、サービス等)
東魁楼
6月28日
5
小規模小売業者
(飲食店、サービス等)
ファミリーマート
6月30日
6
大規模小売業者
(百貨店・スーパー)
ケーヨーデイツー 新船橋店
7月7日
7
大規模小売業者
(百貨店・スーパー)
株式会社ヨークマート夏見台店
7月20日
8
大規模小売業者
(百貨店・スーパー)
三井不動産商業マネジメント株式会社
(ららぽーとTOKYO-BAY)
7月21日
9
大規模小売業者
(百貨店・スーパー)
株式会社そごう・西武 西武船橋店
7月25日
10
大規模小売業者
(百貨店・スーパー)
イオンリテール株式会社
7月25日
11
大規模小売業者
(百貨店・スーパー)
明治安田ビルマネジメント株式会社
(船橋スクエア21)
7月25日
12 競馬場
株式会社よみうりランド 船橋競馬事業部
(船橋競馬場)
7月19日
13 介護施設
船橋百寿苑
7月26日
14 ホテル
船橋グランドホテル株式会社
7月26日
15
小規模小売業者
(飲食店、サービス等)
五十番(ゴジュウバン)
8月1日
16
小規模小売業者
(飲食店、サービス等)
よし乃
8月1日
40
3.1.3 ヒアリング内容
具体的な調査内容を事前に事業者に送付し、その上で直接訪問して内容をヒアリングしました。
項目については、業態ごとに設定しています。
(1) 基礎情報
①事業所の名称、所在地、担当、清掃管理担当者
②建物の名称、所有形態
③本社、支店等の区分
④建物の使用形態(占有、複合など)
⑤住居の有無
⑥従業者規模(常勤従業者、臨時従業者、アルバイトなど)
⑦来場者(顧客数、来場者数など)
⑧床面積(事務所、工場、売り場、店舗などの区分ごと)
⑨ごみの保管場所と分別保管の有無
⑩ごみの分別区分及びごみ量
⑪ごみの排出方法(市の施設、民間処理、再資源化業者、自己処理)
(2) 事業者自身が排出するごみの減量施策
① 発生抑制、リサイクルへの取組み状況
・生ごみ、梱包材、紙ごみなど
② ごみの減量のために困っていること
・保管場所の有無、委託業者の選定など、委託費用など
③ ごみの減量のために今後できること
・ごみの減量のために今後できること、取り組むべきことなど
④ 近隣事業者などとの協働での処理・資源化
・古紙回収リサイクルシステムの導入
⇒オフィス町内会などでの古紙回収リサイクルシステムを導入した場合、参加可能か。
・商店街・ショッピングモール単位などの共同の生ごみ処理機の導入
⇒共同で、生ごみ処理機の導入を行った場合、参加可能か。
・近郊農業と連携可能な船橋市独自の有機循環システムの導入
⇒単一の店舗単位では量が少なくて不可能な堆肥循環システムを共同で実施可能か。
⇒市から発生したロス食品を使った有機野菜栽培(市の特産品である、小松菜、にんじん
など)が実施可能か。
・これらを船橋有機ブランドとして、再び飲食店等で循環利用することが可能か。
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(3) 事業所を利用する市民・顧客が排出するごみの減量施策
①マイバッグ・マイボトルなどのエコ活動やポイント制度の導入
⇒単独事業所ではなく、商店街、ショッピングモール単位で減量のポイント制などの実施
が可能か。
②食べ残しの減量のためにできること
⇒量り売り、小ライス・半ライスなどの割引制度は適用可能か。
⇒余った食品の持ち帰りが食品衛生上可能か。
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3.2 調査結果
ヒアリング調査を実施した 16 事業所の業態と事業所数は表 3-2に示すとおりです。
(1) 基礎情報
表 3-2 基礎情報について
①保管場所・分別
規模・業態
事業
所数
小規模事業者 計
保管場所
可燃、資
源等分別
②ごみ排出方法
生ごみ・廃
油の分別
許可業者
と契約
家庭ごみ
混合排出
一部家庭ご
みに排出
8
8
8
1
5
2
1
飲食店
4
4
4
1
2
2
0
小売店
3
3
3
0
2
0
1
福祉
1
1
1
0
1
0
0
8
8
8
5
8
0
0
百貨店・スーパー
6
6
6
4
6
0
0
宿泊業
1
1
1
1
1
0
0
娯楽業
1
1
1
0
1
0
0
16
16
16
0
13
2
1
大規模事業者 計
合計
ア) ごみの保管場所と分別について
ごみの保管場所と分別について 16 事業者全て、
「ある」との回答がありました。
対象とした商店街は店舗面積も小さな事業者が多い中で、ごみについては注意を払った対応を行
っていることが確認されました。
事業所別の分別数は、事業者によって差がみられ、2分別から 21 分別でした。最も多かったの
は4分別の6事業者でした。また、生ごみ・廃油を分別して資源化している事業所は5事業所、1
事業所が堆肥化(自家処理)と回答しました。
【個別の具体的な実施内容等】
・各テナントが決められた分別にしたがい、保管場所で計量した結果がバーコー
ド管理によって記録され、処理経費とともに報告される。
(1大型複合施設)
・各部署ごと、ごみの種類ごとに保管場所で計量している。
(1大規模宿泊業)
【個別の意見等】
・保管面積の都合で、分別の品目数が限られてしまう。
(1大型複合施設)
イ) ごみの排出方法について
ごみの排出は 13 事業者で許可業者と契約していました。小規模事業所においては、発生量も少
なく、事業所単位での委託は困難であるとの回答が3事業所から得られました。
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【個別の具体的な実施内容等】
・分別を含むごみの管理はビルの管理会社が実施している。(1大型複合施設)
・ごみ処理はビル管理の事業者が一括して行っているが、廃油処理のみ別契約し
ている飲食店もある。
(1大型複合施設)
【個別の意見等】
・事業所からのごみが少なく、許可業者に収集を委託するほどの量が出ない(3
小規模小売店)
ウ) ごみの処理方法について
許可業者と契約している事業者はそのほとんどが許可業者に収集後の処理まで任せていました。
また、不適切な処理をされる可能性があることを心配して、同じ許可業者と継続契約をしている事
業所もありました。
【個別の具体的な実施内容等】
・定期的に処分先の現地確認を実施している。
(2大規模小売店)
【個別の意見等】
・信頼できる許可業者と継続して契約している。
(2小規模小売店)
(2) 事業者が行っているごみ減量施策など
ア) 発生抑制、リサイクルへの取組み状況
① 生ごみ等の減量策について(飲食店、小売店、宿泊業、福祉)
調理くずの減量策の実施状況は表 3-3に示すとおりです。対象とした事業所は 12 事業所で
す。
また、堆肥化などの資源化について、3事業所で試験実施を含めて以前行っていましたが、発
生量や維持費、臭気や手間などの問題によりいずれも中止しています。
ヒアリングした事業者のうち、5事業者が生ごみの資源化を実施していますが、いずれも資源
化業者への委託となっています。
表 3-3 生ごみ等の減量策の実施状況
減量策
調理くずの削減
加工品・半加工品使用
セントラルキッチン方式
その他
生ごみ・廃油の資源化
その他
44
事業所数
2
1
5
2
【個別の具体的な実施内容等】
・調理くずの一部や廃油を資源化している。
・半加工品の納入などを行うことにより、適切な在庫管理、調理くずの減量を図
っている。
・厨房の管理を業者に委託しており、複数の厨房で効率よく食材を使う工夫をし
ている。
・賞味期限の近い食品は値段を下げて販売し、廃棄分を減らしている。
・余った食材や食品を、社員のまかないとして提供している。
② ダンボールや梱包材などの減量
16 事業所のうち、4事業所が商品の納入に際して通い箱を利用していました(表 3-4)
。
また、納品業者による梱包材の引き取り、梱包材の再利用、重量計量による梱包材の減量促進
の取組みを実施している事業所がそれぞれ2事業所ありました。
また、その他としては、商品の購入者に対する梱包材の引き取りサービス、納品業者に対する
搬入回数削減指示、梱包材の分別の徹底、ハンガーによる納品といった減量策を個別店舗独自に
実施していました。
表 3-4 ダンボールや梱包材等の減量策の実施状況
減量策
通い箱の利用
納品業者による引き取り
梱包材の再利用
重量計量による減量促進
その他
事業所数
4
2
2
2
4
【個別の具体的な実施内容等】
・ダンボールを希望者に提供している。
・購入者に対して、ダンボール等の梱包材を引取るサービスを実施している。
・商品の納品に通い箱を利用している。
・衣料品のハンガーによる納品などを実施している。
・テナント間で統一した納品を行っている。
・計量器の導入により、ごみの減量やリサイクル意識の向上を図っている。
・梱包材を配送業者に引き取ってもらっている。
【個別の意見等】
・海外で製造される場合や、国内でも製造・流通業者で梱包される場合、精密機
械を取扱う場合など、対応の難しい事例がある。
45
③ オフィス用紙、その他の紙類
16 事業所のうち、4事業所が裏紙を利用するように努めていました(表 3-5)
。
また、2事業所では、連絡手段として、紙媒体ではなく電子媒体を利用するような取組みを実
施していました。その他、ごみの計量による減量への意識向上、リサイクルボックスの利用、分
別の徹底等が行われていました。
表 3-5 オフィス紙、その他紙類等の減量策の実施状況
減量策
事業所数
裏紙の利用
4
電子媒体の利用
2
重量計量による減量促進
2
その他
4
【個別の具体的な実施内容等】
・分別の徹底、裏紙、リサイクルボックスを利用している。
・計量器を導入してごみ量を意識してもらい、リサイクルの協力に繋げている。
・電子媒体の利用による、ペーパーレス化を実施している。
・店舗から出る紙ごみをリサイクルしたトイレットペーパーを、店舗で使用して
いる。
【個別の意見等】
・顧客情報などの機密書類はリサイクルが難しい。
④ その他
各事業所では、上記のほか、以下のような取組みを実施していました。
【個別の具体的な実施内容等】
・店長会での呼びかけやテナントの本社への働きかけを実施。
・可燃物については透明袋を使い分別の徹底に努めている。
・ごみ保管場所などの、清掃を常に心がけている。
・ペットボトルのキャップを回収して引き取ってもらっている。
・入居者が使い古した衣類は、リサイクル業者に引き取ってもらうか、別の人が
再び使うようにしている。
・子供靴の下取りを行い、海外に寄付している。
・テナントの入居時に委託業者が分別区分などを説明している。
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イ) ごみの減量のために困っていること
ごみの減量のために困っていることとしては、一時保管場所からのごみの持ち去り、保管場所の
スペース不足、家庭ごみの持込みに関する意見がそれぞれ2件ずつありました(表 3-6)
。
その他、商品納品後の梱包材の引き取り、テナントから排出される多量のごみ、家庭での不要品
の引取り依頼、顧客に対する分別の呼びかけ、堆肥化可能物と不適物の分別といった点が上げられ
ました。困っていることは特にないという事業所も7件ありました。
表 3-6 ごみ減量のために困っていること
ごみの減量のために困っていること
ごみの持ち去り
保管場所のスペース不足
家庭ごみの持込み
その他
特になし
事業所数
2
2
2
5
7
【個別の意見等】
・顧客にごみの分別を強制することは難しい。
・テナントのごみが大量に排出されていることがある。また、分別を守らないで
排出される場合もある。
・堆肥化可能物と不適物の分別が困難で手間がかかる。
・家庭ごみを持ち込まれることがある。
ウ) ごみの減量のために今後できること
ごみ減量のために今後できることとして、飲食店では繰り返し使える箸の利用を上げた事業所が
2件ありました(表 3-7)
。
事業所が現在実施している減量施策と比較すると(表 3-3~表 3-5参照)、今後できること
の回答数は少ない結果となりました。
表 3-7 ごみ減量のために今後できること
ごみの減量のために今後できること
繰り返し使える箸の利用
紙媒体から電子媒体への移行
紙ごみの分別の徹底
性能の良い製品(おむつ)を選ぶ
食べ残しの発生防止
47
事業所数
2
2
1
1
1
【個別の具体的な実施内容等】
・食べ残しなどの生ごみを極力発生させないように、食事の提供量に注意してい
る。
・可燃ごみから雑がみを分別し、リサイクル率を上げていきたい。
・電子決済など電子媒体の利用により紙ごみを減らし、ペーパーレス化に取り組
んでいる。
・日々進歩する紙おむつ製品をこまめに研究し、ごみが少ない(=手間がかから
ない、省力化が可能)商品の採用に努めている。
【個別の意見等】
・顧客サービス優先のため、これ以上の減量は難しい。
・使い捨て容器の削減に対する、理解を高める必要がある。
エ) 近隣事業所などとの協働での処理・資源化
① 古紙回収リサイクルシステムの導入
古紙回収リサイクルシステムの導入に対しては、否定的な意見が多く見受けられました。理由
としては、紙ごみの発生量が少ないこと、すでにリサイクルをしていること、情報漏洩の恐れな
どが挙がりました。
(表 3-8)
表 3-8 古紙回収リサイクルシステムの導入に対する意見
意見
紙ごみの発生量が少ないため必要ない
すでにリサイクルできているため必要ない
裏紙を利用しているため必要ない
形態が異なる他店舗との協力は難しい
情報漏洩の恐れから協力は難しい
紙媒体ではなく、電子媒体を用いるようにしているため必要ない
事業所数
2
2
2
2
1
1
【個別の意見等】
・現在の体制でもほぼ古紙のリサイクルができている。
・排出、分別形態の異なる他店舗との協力は難しい。
・情報が漏洩する恐れがあるため協力は難しい。
② 生ごみ処理機の導入、船橋市における有機循環システムの導入
生ごみ処理機の導入、船橋市における有機循環システムの導入に対しては、肯定的な意見と否
定的な意見がともに見受けられました。肯定的な意見としては、市が主体となるのであれば協力
するという意見がありました。一方、否定的な意見としては、生ごみの発生量が少ない、前処理
の手間がかかるなどという意見がありました。
(表 3-9)
48
表 3-9 生ごみ処理機の導入、船橋市における有機循環システムの導入に対する意見
肯定
否定
中立
意見
市が主体となって行うのであれば協力する
堆肥化の動きがあれば協力する
生ごみの発生量が少ない
協力できない
前処理の手間が大きいため協力できない
すでに堆肥化している
本部の判断を仰ぐ必要がある
店舗によっては導入を検討している
事業所数
2
1
2
1
1
1
1
1
【個別の意見等】
・小規模な飲食店が多いため、生ごみの発生量が少なく、各自で収集業者に委託
するのは費用的に難しい。
・生ごみを堆肥化するような取組みがあれば、分別することは可能である。
・市が生ごみを収集するのであれば可能かもしれないが、自ら施設へ搬入するこ
とは難しい。
・生ごみ処理機の維持費や前処理の手間、臭気や出来た堆肥の利用の問題から、
堆肥化を断念した。
・店舗の特性上、ごみの量も少なく置き場も無く導入は難しい。
(3) 店舗、飲食店等を利用する市民・顧客が排出するごみの減量施策など
ア) マイバッグ・マイボトルなどのエコ活動や店頭回収、ポイント制度の導入
事業所で、
お客様が排出するごみを減量するために実施している事項は表 3-10 のとおりです。
レジ袋については、直接有料化するケースと不要な方に対する割引としている事業所がそれぞれ1
事業所ずつありました。また、お中元などについて簡易包装の実施や声かけを行っているケースが
あり、おおむね理解をいただいていますが、商品の特性上やむを得ない場合もあります。
表 3-10 マイバッグ・マイボトルなどのエコ活動や店頭回収、ポイント制度の導入状況
減量策
マイ箸の持参奨励
レジ袋不要の呼びかけ
レジ袋不要者に対する割引
レジ袋有料化
ポスターによる啓発
ペットボトル・紙パックなどの店頭回収
お中元などを含む包装の簡易化
エコバッグの利用等に対するポイント制導入
店頭回収量に応じたポイントの付与
49
事業所数
1
1
1
2
1
2
2
1
1
【個別の具体的な実施内容等】
・レジ袋不要の呼びかけや、有料化(3円/枚)を行っている。
・レジ袋を断った人に対して値引きサービス(2円)をしている。
・お中元やお歳暮などの進物について、簡易包装を声がけしており、9割ほどの
顧客からは理解を得ている。
・白色トレイ、ペットボトルの店頭回収を実施している。
・ペットボトルの店頭回収に対して、電子マネーのポイントを付与している。
【個別の意見等】
・人数としては少ないが、マイ箸を持参する人もいる。
・ポイント制度を導入する場合には協力する。
イ) 食べ残しの減量
食べ残しを減らすために実施している事項は、客の状況に応じて調理量や製造量を調整するなど
の対策を行っている事業所が、飲食店で2件、小売店舗で2件ありました。
食べ残しの持ち帰りについては、品目を限定して「可」としている事業所が1件ありました。
表 3-11 食べ残しの減量施策の実施状況
減量策
食事の量を調整して提供
食品の量を減らした少量販売を実施
量り売りを実施
客の状況に応じた調理
商品の販売量に応じた製造を実施
食べ残しの持ち帰りの許可
事業所数
2
2
2
2
1
1
【個別の具体的な実施内容等】
・食品ロスの減量のために販売量に応じた調理を実施している。
・食べ残しなど食事の持ち帰りを、生もの以外であれば可能としている。
・希望する顧客に対しては、食事の量を減らして提供している。
・食料品(総菜)の量り売り、一部少量パックなどでの販売を行っている。
・調理前に顧客の食べ物の好みを聞くようにし、食べ残しの削減を図っている。
【個別の意見等】
・衛生上の問題から量り売りの実施は難しい。
・顧客の摂取カロリーが決まっている施設の場合、食べ残しの削減のために食事
の提供量を減らすことはできない。
50
③その他
各事業所では、上記のほか、以下のような取組みや意見がありました。
【個別の具体的な実施内容等】
・小売店において、箸、スプーン等は、その要・不要を聞くようにしている。
・エコ月間を設けてごみの減量に取り組んでいる。
【個別の意見等】
・宴会では特に持ち込みごみが多く、禁止することは難しい。
(宿泊施設)
・ひげそり、使い切りシャンプーなどの配布については、利用者の理解が必要で
ある。
(宿泊施設)
(4) ごみの減量、資源化に関する行政に対する要望
ごみの減量、資源化に関する行政に対する要望としては、優良事業者の認定・表彰制度を導入
してほしいとの意見が2件ありました。また、少量の事業系ごみであれば家庭ごみとして排出で
きるような仕組み作りの要望や、市民へのごみの減量、資源化の意識付けを積極的に行ってほし
いとの意見も見受けられました。
表 3-12 ごみの減量、資源化に関する行政に対する要望
行政に対する要望等
優良事業者の認定・表彰制度の導入
少量の事業系ごみの家庭ごみとしての排出の許可
市民へのごみ減量化・資源化の意識付け
優良収集運搬委託業者の情報提供
ごみ分別等の情報提供
レジ袋削減ステッカーの活用
職員不足の改善
事業所数
2
1
1
1
1
1
1
【個別の意見等】
・店舗兼住居のため、家庭系と事業系のごみを区分することが難しい。少量の場
合、家庭ごみとして排出できても良いのではないか。
・優良事業者に対する認定制度、表彰などを行ってほしい。
・収集運搬委託業者に関する優良事業者の情報や認証システムがあると良い。
・市民に対するごみの減量、資源化の意識付けをしてほしい。
・ごみの分別に関する情報提供を積極的に行ってほしい。
・市が配布したレジ袋削減ステッカーを活用してほしい。
51
(5) まとめ
・船橋市ではその地域特性から小規模の飲食店や店舗が多く、個別店舗では対応や施策の実
施には限度があると考えられます。
・契約している許可業者とは、過去の経緯から良好な関係を築いていることがうかがえます。
・食べ残し等の食品残渣については、特に小さな飲食店ではごみの置き場も無く飲食店単独
での対応は困難です。手間がかかりますが、大規模店舗ではすでに実施している事例もあ
ります。
・食べ残しを減らすため、小盛りサービスなど簡単に実施できることもあります。
・食品廃棄物の資源化については、適用可能な廃棄物が限られており、飼料化、堆肥化など
リサイクルのための分別作業が必要となり、すべての事業所での適用は困難であると考え
られます。
・店舗間を超えた地域ぐるみでの有機系廃棄物のリサイクルシステムなどについても、それ
ぞれの営業形態が異なることから、実行は困難であるといえます。
・大手チェーンストアについては、本部からの意向により取組みが決定されるため、店舗独
自の取組みについては限りがあります。
・機械式生ごみ処理機については、性能や維持管理面で課題が多く普及には至っていません。
・紙おむつについては、商品の改良によるところが大きいですが、事業者の努力、研究によ
ってごみが少なくなる商品を積極的に採用するなどによる効果はあるといえます。
・大規模小売店や百貨店については、詳細な分別項目ごとの分別保管を実施しています。
・大規模な事業者ではダンボールの縮減に積極的に取り組んでいます。
・オフィス町内会制度のような複数の事業者による共同古紙再生システム等については、積
極的に利用したいといった意見は見受けられませんでした。
52
3.3 事業系ごみの課題と今後の施策への展開
本調査で得られた課題を抽出して、それぞれの課題に対して今後船橋市の事業系ごみ減量のため
に、すべきことや検討の必要があることを以下に示します。
① 紙類対策
・オフィス機密文書のリサイクルについては、文書の特性から現時点でほとんど行われていな
いが発生量はオフィス事務所を中心に多いと想定される。
⇒機密性が保持できるリサイクルシステムがあれば対応可能である。また、そのためには普及
啓発が必要となる。
・ダンボールについては、流通系を中心に使用量そのものを縮減することがある程度進んでい
る。
⇒今後は、さらなる減量の推進のため、通い箱のより一層の推進や事業系古紙のリサイクルシ
ステムの構築が求められる。
② 生ごみ等の有機系廃棄物
・有機系廃棄物の資源化については、実施している事業所では効果は認められるが、直ちに小
規模事業所まで広げることは困難である。
⇒小規模事業所においては、今後とも発生抑制に努めていく。
・生ごみ処理機については、実際に使用した結果の意見として課題や不具合が多く、普及は望
めない。
⇒生ごみ処理機における有機系廃棄物の資源化は、効果が望まれる大規模事業所を中心に普及
の可能性を検討していく。
・飲食店や食品販売店舗からの発生量が多いため、今後減量を進めるためには何らかの方策が
望ましい。
⇒現在、小規模事業所についても、家庭ごみへの排出は認められていない。今後は、家庭ごみ
へ混入する小規模事業系ごみの対策を検討する必要がある。
・小盛りサービスや量り売りなど、工夫によって実現可能である。
⇒簡単に実施可能な対応は普及に努めて有機系廃棄物の減量を推進する。
③ 紙おむつ
・紙おむつの縮減については、商品の研究開発により発生量の縮減が望まれる。
⇒今後は商品の情報などを普及させていくことが望ましい。また、紙おむつのリサイクルシス
テムについては、先行事例を調査し動向を確認していくことが望ましい。
④ 優良な処理事業者の活用
・優良な収集運搬許可業者と、その後の処理を含めて継続契約しているケースが多い。
⇒今後は優良処理事業者の情報提供などが効果的である。一方で、優良かどうかをどのように
判定するかなどの課題がある。
・店舗で独自に行っている優良な取組みについては、行政がバックアップするなどの対策が望
ましい。
⇒今後は、より積極的な情報発信を行い、優良な取組みを紹介し、減量を推進していく。
53
・テナントなどへの指導、普及啓発は廃棄物の管理が適切に行うことにより実施が可能である。
また、個別のテナントなどへは行政からの指導があった方が、管理者としてより徹底した指
導が行いやすい。
⇒小規模事業者に対する普及啓発を行政指導で進めていく必要がある。
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