EU Indicators 欧州経済指標コメント:7月英国小売統計 発表日:2016年8月18日(金) ~ポンド安、さあ英国へ旅行に行こう~ 第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 田中 理 03-5221-4527 ・ 国民投票後の英国景気を占ううえで注目された7月の英国の小売売上数量(ガソリンスタンド含む) は前月比+1.4%と予想を上回る大幅増を記録(市場コンセンサスは同+0.1%)。内訳は、食料品店 (6月:前月比▲1.1%→7月:同+0.7%)、百貨店・スーパー(同▲1.6%→同+3.8%)、衣料品 店(同▲1.5%→同+3.6%)、家庭用品店(同▲0.8%→同+0.3%)、ガソリンスタンド(同▲0.6% →同+0.6%)など各種店舗形態が押し並べて増加。前月の落ち込みの反動増、夏季商戦時期の温暖な 天候、国民投票後のポンド安加速による海外からの旅行客増加が上振れの主因とみられる。 ・ ポンド安に支えられた“英国版インバウンド”は今後も消費を下支えするものの、フランスでのテロ 事件多発で代替旅行先に選ばれたことや、夏季休暇時期と重なったことで、今月の計数は嵩上げされ た面もある。ポンド下落による輸入物価上昇で、家計の実質購買力が損なわれるマイナス影響も顕在 化するとみられ、消費活動にも徐々にブレーキが掛かる公算が大きい。ただ、投票直後の各種マイン ド統計の悪化度合いと比べ、実体経済の冷え込みは限定的。マインド指標の落ち込みは過去の景気後 退局面に匹敵するが、さらなる悪化に歯止めが掛かる兆しもあり、景気後退を回避すると予想。 ■英国:小売売上数量と消費者信頼感 (%) 8 7 6 5 4 3 2 1 0 -1 -2 12 ■英国の小売売上数量と実質個人消費 小売売上数量(前年比、右) 20 (%) 小売売上数量(左) (%) 12 実質個人消費(右) 6 消費者信頼感(左) 10 4 0 13 14 15 4 -10 0 -20 -4 -30 -8 -40 -12 3 2 1 0 -1 -2 12 16 注:小売売上数量はガソリンスタンドを除く、3ヶ月移動平均 出所:英統計局、GfK 5 8 13 14 15 16 注:小売売上数量は3ヶ月移動平均、3ヶ月前比年率 個人消費は前期比年率 出所:英統計局 ■英国の小売売上数量(季節調整済み、前期<月>比、%) 小売売上数量・合計 除くガソリンスタンド 食料品店 非食料品店 百貨店・スーパー 衣料品店 家庭用品店 その他 非店舗型小売 ガソリンスタンド 小売売上高・合計 2015 2016 2015 2016 3Q 4Q 1Q 2Q 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 0.8 0.8 1.2 1.2 -1.4 2.2 -0.4 -0.5 1.7 1.0 -0.9 1.4 0.9 0.8 0.7 1.2 -1.4 2.0 -0.2 -0.6 1.8 1.0 -0.9 1.5 0.5 0.5 1.2 1.3 1.0 0.5 0.1 -0.3 0.1 1.5 -1.1 0.7 1.0 0.5 0.1 1.1 -3.4 3.6 -0.3 -1.2 3.0 0.3 -1.0 2.4 0.5 2.4 2.0 2.2 -0.3 2.6 -1.1 -1.1 2.6 1.1 -1.6 3.8 2.7 -1.5 -2.2 -2.0 -5.9 2.5 -1.3 -1.3 1.3 2.2 -1.5 3.6 1.3 2.3 0.6 0.8 -5.5 3.7 1.9 -4.0 1.3 1.4 -0.8 0.3 -0.2 -0.2 0.5 3.6 -1.9 5.2 -0.2 0.6 6.0 -2.6 -0.1 1.7 2.0 4.2 2.1 0.9 -1.9 1.8 -1.0 0.7 4.1 2.5 0.1 1.2 0.1 1.4 5.3 1.1 -1.1 2.8 -2.7 0.9 0.8 0.6 -0.6 0.6 0.5 0.1 0.2 0.7 -1.8 2.3 -0.7 -0.8 1.2 1.3 -1.0 1.7 出所:英統計局 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 1
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