保険医療機関の指定の取消及び保険医の登録の取消

保険医療機関の指定の取消及び保険医の登録の取消
厚生労働省九州厚生局は、平成29年3月6日付けで、保険医療機関に対する指定の
取消処分及び保険医に対する登録の取消処分を行いました。
この処分は、自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、保険でも
請求するなど、診療報酬を不正に請求したことによるものです。
(不正・不当請求額 約145万円)
なお、今回の処分にあたっては、平成28年10月19日に開催された九州地方社会
保険医療協議会に諮問を行い、諮問のとおりの答申がなされています。
記
1.保険医療機関の指定の取消処分及び保険医の登録の取消処分
(1)
指定取消となる保険医療機関
① 名
称
豊島歯科医院
② 所 在 地
大分県別府市亀川中央町5-38
③ 開 設 者
豊 島 達 也(とよしま たつや)
④ 指定取消日
平成29年3月6日
(2)
登録取消となる保険医
① 氏
名
豊 島 達 也(とよしま
② 登録取消日
平成29年3月6日
たつや)
40歳
2.根拠条文
(1)
保険医療機関の指定取消
・ 健康保険法第80条第1号、第2号、第3号及び第6号
(2)
保険医の登録取消
・ 健康保険法第81条第1号及び第3号
3.診療報酬の不正及び不当請求
監査において確認した不正・不当請求に係るレセプト件数及び金額
(平成26年10月~平成27年7月)
・不正請求
27名分
レセプト
45件
1,393,615円
・不当請求
29名分
レセプト
67件
59,758円
56名分
レセプト
112件
1,453,373円
合
計
(31名分)
※(
(69件)
)内は、患者実人数及びレセプト実件数である。
(注) 上記の件数及び金額は、監査で確認したもののみを計上しており、最終的な
不正・不当請求の件数及び金額は、今後精査していくこととしているので、現
時点では確定していない。
4.取消処分の主な理由
(1)
不正請求
①
付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して診療報酬を不正
に請求していた。
《 具体的事例 》
・ 実際には行っていない歯周病検査、歯周基本治療(スケーリング)
、歯周基
本治療処置等を、行ったものとして請求していた。
② 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて診療報酬を不
正に請求していた。
《 具体的事例 》
・ 支台歯が全部金属冠である前歯を含まないブリッジを、レジン前装金属冠
を支台歯とした前歯を含むブリッジとして請求していた。
③ 二重請求
自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、同診療を保険
診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
・ 保険適用外の材料であるセラミックを使用したブリッジ又は歯冠補綴物を、
保険適用のブリッジ又は歯冠補綴物として請求していた。
④ その他の請求
実際には保険適用外である診療を保険適用である診療を行ったものとして、
診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
・ 実際にはホワイトニング(自費診療)を行っているものについて、一連の
保険診療をしたものとして請求していた。
(2)
不当請求
・ 算定要件を満たさない医学管理等、処置、手術、歯冠修復及び欠損補綴に係る
診療報酬を不当に請求していた。
5.監査を行うに至った経緯等
(1)
平成27年5月、九州厚生局大分事務所に「自費診療分(セラミック)で治療
に来た患者について、自費診療分(セラミック)で治療したものを、他の治療を
したようにして保険請求も行われている。」との情報提供があった。
(2)
平成27年9月、当該保険医療機関に対し個別指導を実施したところ、豊島歯
科医師から、実際には自費診療を行い、患者から自費診療分の支払いを受けてい
たにもかかわらず、これら患者に係る保険請求を行った旨の回答がなされた。
しかしながら、指導当日に持参するよう依頼していた資料の一部が未持参であ
ったことから、個別指導を中断した。
(3)
患者調査を実施したところ、口腔内診査所見と診療報酬明細書の記載内容とに
相違する点がみられた。
(4)
平成27年12月、個別指導を再開したところ、豊島歯科医師が、自費診療を
行った患者について、保険診療を行ったものとして診療報酬も請求していたこと
を改めて認めたことから不正請求が疑われ、個別指導を中止した。