「井上円了哲学塾において得たもの」 塾生登録番号

「井上円了哲学塾において得たもの」
塾生登録番号 7700160015
東洋大学文学部日本文学文化学科
勝又 栄政
1.私の得たもの
この半年間、井上円了哲学塾において学んだことは、言い表すことが出来ないほど多く
ある。円了塾がスタートしてから、多くの人と出逢い、知り得ない分野の知識と出逢い、
各々が持つ様々な価値観や考えに触れることができた。そんな、多くの事に触れあった円
了塾での学びを通し、得たもの、それは、「私自身」であるのだと、私は思う。
2.入塾のきっかけ
私が今回、円了塾に応募したきっかけは、そこまで深いものではない。第2回井上円了
哲学塾に入っていた頃、あまりにも人と話すことが出来ず、チャンスを逃してしまったと
いう後悔と、議論中心でプレゼンの方法も学べ、今後の何かの役に立ちそうだと思い、2
次募集のぎりぎりに駆け込んで応募し、円了塾に入塾することができた。
3.議論を通して学んだこと
円了塾は講義が1時間、ディスカッション(ワーク)が1時間の計2時間で行われる。
そもそも議論とはどんなスタイルなのかも曖昧でいた私は、正直不安も大きかった。案の
定、議論の時間になってもうまく進めない。というか進め方が分からない。どうしたら議
論として成立しているのかが分からない。でもその不安は、周りも同じなんだと議論をし
ていく中で感じた。
「これであっているのかな」、「どうなんだろ、わからないね」、拙い会
話の中で、しどろもどろになりながら、時間だけが経過する、そんな事も多かった。しか
し、回を重ねる毎に、自分はどう思うのかを話せるようになっていったように思う。それ
は、周りも自分がどう思うのかを話してくれて、そして同じように自分がどう思うのかを
聞いてくれたからだと思う。
「たったそれだけ?」と思われる人もいるかもしれないが、こ
の「相手の考えは何か、自分の考えは何か」を繰り返すという事を、私は普段意識してや
っていなかったのだと、この機会を通して自覚することができたのである。相手の考えは
自分にとっての新しい発見につながり、自分の考えは自分自身が普段何を考え、何に興味
があり、相手にどう映るのかを教えてくれた。「議論」という場は、私に新しい価値観と、
私自身の考えを自覚する大きな学びの場であった。
4.講義を通して学んだこと
大きな学びを実感する「議論」に至る前の「講義」では、先生方、講演してくださる方々
の知識や経験を聞くことで、自分が普段全く触れることのできない扉をその度に開けられ
ていくような感覚であった。どの講義も勉強になることばかりであったが、私が特に印象
に残っている講義は2つある。
第8回講義、趙さんの「東アジアの連携―日本と韓国、それぞれの役割」と、第10回、
金坂さんの「アジアを中心としたグローバル展開―チャンスのつかみ方と成功の鍵」だ。
趙さんの「東アジアの連携―日本と韓国、それぞれの役割」では、良いものを追及する
ことと視野を広く持つことを学んだ。趙さん自身が、自分の突き詰めたいものが一番手に
入る場所はどこなのかを考え、日本で学ぶことを選ぶという行動力を持っており、調べた
ことを利用して、この組み立てで進めていったら、一体何が証明されるのか。証明された
ことを今度はどのように地域に生かすのか。国を超えて特徴を捉え、どちらが良いか悪い
のかではなく、より良い解決策を探していくにはどんなことが必要なのか、と物事を追及
する工程と姿勢は、今後生きる自分の中で大切にしていきたいと思える講義であった。
金坂さんの「アジアを中心としたグローバル展開―チャンスのつかみ方と成功の鍵」で
は、軸を持つことの大切さを感じた。
「驚きと感動」を届ける。という軸を元に、いいもの
を提供するための努力することで、その結果が業績や社会での活躍に繋がるというプロセ
スを学び取ることができた。
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この2つの講義の共通点は、私が「話を聞くまで興味がない」と思っていた分野だった
ことだ。建築なんて関係ない。梱包なんて関係ない。そう考えていた私にとって、この2
つの講義は、内容自体の学びと、興味の持てなさそうな分野にも大きな発見や学び、感動
があることを教えてくれた。
5.円了塾を通して学んだこと
まず、塾生間で行われた議論を通じて、多くの人の考え・自分自身の考え・話の進め方・
まとめ方、プレゼンの方法、人前で話す度胸などを学ぶことができた。
つぎに、講演を通じて、①基軸・哲学・迷悟・グローバル・地域・アジア・経済・国際
協力などについての専門の知識、②パワポ・レジュメ・動画・格言・例・ワーク・問いか
けなどプレゼンテーションに関すること、③話し方・机の配置・ジェスチャー・表情・声
のトーンなど講師のプレゼンテーションの姿勢を学ぶことができ、また、上記すべての組
み合わせにから見える人それぞれの価値観や文化を知ることで、知識に加え、学び方・自
分の活かし方・生き方のモデルの発見もできた。
さらに、円了塾終了後、円了の思想・ロジカルシンキング・クリティカルシンキング・
ディスカッション・世界情勢・創造力・プレゼン方法・リーダーシップ論・思考法・梱包
業界・
「考えよう、そして行動せよ」
、これらの講義で扱われた本、講義内で使われたワー
ドを含む本、本を読む中で、興味が沸いて読むようになった本を読んでみた。また、スマ
ホで講義中分からなかったワードを検索することで、調べることによる知識の修得を習慣
化できた。くわえて、こんな風に議論や発表すれば良かった、あの人の考えの方が何倍も
良かった、なんで自分はこのくらいの事しか考えられないのかという後悔も味わった。こ
れらのことを通じて無知を実感し、また、他の人と自分を比べることで、より自分の特徴
や、できること・出来ないことを、前よりもはっきりと認識することができた。
上記にまとめただけでも、私が円了塾に入ったからこそ、起こすことができた行動や考
え方は、私に大きく影響を及ぼしているといえるだろう。さらに、私が自覚をしていなく
とも、私に自然と組み込まれた学びもきっとあるに違いない。それを含め、大きな影響が
この「円了塾」という存在によって生み出されていたのだと感じる。
5.まとめ
冒頭にも書いたように、私はこの哲学塾に入って、年齢も職業も超えた多くの人と出逢
い、多くの知識や経験に触れることができた。その出逢いと交流を通じ、人それぞれが持
つ、多くの文化と価値観、それに影響され、比較して見られるようになった自分自身の価
値観を、前よりもずっと感じ取れるようになったように思う。新しい出逢いや発見は、そ
の人や物事を認知するだけでなく、認知することで視点を知り、視点を知ることで、その
視点で自分を測れるようになって、自分を測るようになって、初めて本当の自分を自覚す
ることができた。
「私」はこんな事を知りたくて、こんな世界に住んでみたくて、こんな人と出逢い生き
ていきたい。聞いたことに対して、それが「私」にとって何なのか。あの人はこう捉えて
いたが、
「私」はどう捉えたのか。そんなことを今は考えるようになった。
それが「私」の考える「私自身」の実感だ。これは、この円了塾において得られた最高の
ものだと考えている。私はこの半年間で、少しだけ強くなれたような気がする。それは、
自分がこう思っている。という事に「自信」を持てたような気がするからである。自信と
いう文字通り、自分を信じることができるようになったこと。それがこの半年間で得た「私
自身」である。
それを実感している今、私は、未来に向けて、自分の考えで進みたいと思うようになっ
た。自分の好きな感覚や大事にしたい考えはどんなもので、それはどの場所に行けば手に
入るのか、また、その自分の大切にしたいものは誰の役に立つことに活かせるのか。具体
的にすべてが見えているわけではないが、それもまた「哲学」をし続けることで、考え、
追及し、時間をかけて導きだしていきたいと思う。
以上、
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