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理学研究科
物理学専攻
F I E L D O F S T U DY
◆
専 攻 の ポイント
現代物理学の幅広い分野を研究
具体的な研究分野は素粒子・宇宙論、原子核物理、原
Physics
PICK UP
研 究 室 体 制 に よ る 研 究・教 育
子・分子物理、宇宙・太陽物理、宇宙線・宇宙空間物理、
地球・惑星超高層大気物理の理論・実験・観測に及び
未解決の問題解明に迫る
学外の大学・研究所との連携
理化学研究所や国立がん研究センターなど学外の大
学・研究所と連携し、基礎から応用まで広範な分野に
おいて、教育・研究活動の一層の充実を図ります。
極小の素粒子から極大の宇宙まで、
幅広い対象に関して現代物理学の最先端をいく研究を行い、
幅広い物理現象の中でも、いたずらに応用に走らず、
より基礎的な課題を
主な研究テーマとして取り組んでいます。
付属の先端科学計測研究センターでは、最先端の計測技術を開発し、
それを基礎研究に適用するプロジェクト研究が推進されており、
大学院生はこのプロジェクトに参加することも可能です。
「がんプロフェッショナル養成基盤
推進プラン」の実施
原子核・放射線分野の教育を受けた人材を医学物理士
として養成する「医学物理士養成プログラム」(博士
課程前期課程対象)と、最先端の放射線計測技術を学
び、その成果を臨床現場で活用できる能力を有する医
学物理士および医学物理研究者を養成する「医学物理
が行われています。以下では、各研究室における研究の概要を紹介します。
[理論物理学研究室]
[宇宙地球系物理学研究室]
原子核・放射線物理学研究室では、原子核
宇宙地球系物理学研究室では、気球や人工
物理学の理論的研究を行っています。物質の
から原子、クラスター、結晶にいたるミクロな
衛星などの飛翔体を利用し、宇宙空間や地上
ミクロな構造を探る素粒子論と宇宙の現象を
世界の物理を実験的に研究しています。研究
からのさまざまな観測手法により、オーロラ、
取り扱う宇宙物理学の分野とは一見すると対
領域は、原子・分子物理、原子核物理、放射線
太陽、惑星、月・小惑星などの太陽系構成天
極にあるように思えるかもしれません。しか
物理、放射線計測、表面物理などにまたがっ
体、星や銀河、ブラックホールや中性子星、超
し、現代物理学では物質の由来を宇宙創生や
ており、扱う現象のエネルギーも meV から
新星残骸等の高エネルギー天体の研究を進め
星の誕生と終焉に求め、宇宙の成り立ちは物
100GeV までと大きな幅があります。このよ
ています。また、これらの観測に利用される
質構造の知識抜きでは知り得ないことを教え
うに研究対象は大きく広がっていますが、計
装置の開発・試験にも同時に取り組んでいま
てくれます。つまり、自然界の成り立ちと構
測手法や研究の進め方に共通するところも多
す。本研究室の観測や装置の開発・試験の多
造を知るためにはこの 2 つの分野は不可欠な
いので、各グループは独自の研究テーマをも
くは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)
、国立
役割を担っているのです。
ちつつ協力しています。学外の大型研究施設
極地研究所および国内外研究機関との共同研
の利用や国内・外の研究者との共同実験も積
究プロジェクトとして展開されています。
研究コース」(博士課程後期課程対象)を開設してい
極的に行っています。
ます。2017 年度からはこの 2 つを発展的に統合し、
「医
学物理学副専攻」をスタートさせる予定です。
物 理 学 専 攻 専 任 教 員 / 研 究テーマ
[理論物理学]
[宇宙地球系物理学]
江口徹 特任教授(2017 年 3 月 退職予定)
中山優 准教授
栗田和好 教授
北本俊二 教授
KHANGULYAN, Dmitry 特任准教授
素粒子物理学の理論的研究、特に超弦理論を研究
テーマとする。超弦理論を用いたブラックホールや
宇宙初期の謎の解明、また超対称ゲージ理論の厳密
解などを中心に研究を進めている。現在は、特にブ
ラックホールを構成するミクロ状態のもつ対称性を
研究している。また、超弦理論に現れる多くの数理
物理学的な問題に関心をもっている。
場の量子論や超弦理論で生まれてきた最新の理論物
理学の道具を使って、理論物理学の普遍的な枠組み
を理解し、その理論的応用を考えることを研究テー
マとする。具体的には、共形ブートストラップ法を
用いた臨界現象の研究、ゲージ・重力対応に基づく
量子重力理論と繰り込み群の研究など、ミクロな世
界からマクロな世界まで統一的に理解したいと考え
ている。
原子核・ハドロン物理の実験的研究を「究極の物質」
をキーワードに行っている。①通常の原子核を超高
温または超高密度にした時の振る舞いを調べて宇宙
創成初期(ビッグバン)の物質状態に迫る。②核子
のスピンの担い手を探る。③通常核より中性子を多
く含んだ不安定核の内部構造を探る、などがテーマ。
これらの実験に必要な検出器の開発にも力を入れて
いる。
X 線観測衛星のデータ解析を行うことにより、中性
子星や、ブラックホールに関連する物理現象の観測
的研究を進めている。同時に、宇宙 X 線天体を観測
するための装置開発を行っている。衛星搭載用 X 線
検出器の開発は、JAXA 宇宙科学研究本部等との共
同で進めている。独自の研究として超高精度 X 線望
遠鏡の開発をめざして、X 線結像光学の研究と X 線
撮像技術の研究を進めている。
High energy astrophysics for different sources:
pulsars, binary systems, active galactic nuclei
and others. My work includes phenomenological
studies and numerical modeling of hydrodynamical
and magnetohydrodynamical interactions, lying
behind the high energy non-thermal radiation.
◆
田中秀和 教授
素粒子物理学、高エネルギー物理学を研究テーマと
する。高エネルギー電子─陽電子散乱や陽子─電子
散乱における素粒子生成過程の理論的研究を行って
いる。現在の主要なテーマは、場の量子論における
高次摂動項の計算手法の研究である。また、素粒子
反応における電弱相互作用や強い相互作用の高次効
果を調べている。
原田知広 教授
一般相対論・宇宙論・相対論的宇宙物理学の理論的
な研究を行っている。特に、宇宙論・宇宙物理学に
おいて相対論的重力が重要となる現象、および一般
相対論における基礎的問題に興味をもって研究を進
めている。現在の主要なテーマは、
回転ブラックホー
ル・原始ブラックホール・重力崩壊である。
小林努 准教授
宇宙論・一般相対論・宇宙物理学の理論的研究を
行っている。特に、初期宇宙・インフレーション、密
度揺らぎや重力波の生成と進化、ダークエネルギー、
拡張された重力理論とその実験的・観測的検証可能
性などのテーマを中心に研究を進めている。
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[ 原 子 核・放 射 線 物 理 学 研 究 室 ]
理論物理学研究室では、素粒子理論と宇宙
物理学専攻
未解決の問題解明に迫ります。
物理学専攻では、大学院生が研究室に所属することにより、隣接分野のスタッフや大学院生とも充分にコミュニケーションの取れる環境の下で研究・教育
理学研究科
極小の素粒子から極大の宇宙まで
ます。
[ 原 子 核・放 射 線 物 理 学 ]
家城和夫 教授
原子核物理学の実験的研究を研究テーマとする。主
に自然界には安定に存在しない原子核を二次ビーム
として使う技術を利用した中性子過剰核の構造・反
応機構やその天体核物理への応用などを研究し、理
化学研究所などで中性子過剰核のクローン分解反応
などの実験を行っている。
小泉哲夫 教授(2017 年 3 月 退職予定)
原子・分子物理学、特に、原子衝突の実験的研究を
テーマとする。主に低エネルギー領域(数 keV 以下)
のイオンと原子・分子の衝突反応過程に少数多体系
という観点から関心をもっている。また、この分野
は化学との境界領域で、クラスターイオンの生成な
どの化学反応素過程の研究も行っている。
平山孝人 教授
表面物理・原子分子物理学。希ガス原子の集合体の
2 つの相である固体(構成原子数:無限個)とクラ
スター(構成原子数:有限個)における電子的励起
過程とその後に起こる崩壊(緩和)過程を観測し、
原子・クラスター・固体の 3 つの状態を「電子的励
起過程」というひとつのキーワードで統一的に理解
することを目的とした実験的研究を行う。
村田次郎 教授
田口真 教授
ミリメートル以下の距離での重力の精密測定によ
る、
三次元を超える余剰次元の探索を進めると共に、
原子核のβ崩壊の精密観測による、時間反転対称性
の破れの探索をカナダの TRIUMF 研究所において
世界をリードする形で立教大学の学生を中心にした
チームで進めている。実験の精度を向上させるため
の新たな実験技術の開発研究も常に行っている。
地上及び飛翔体からの分光・撮像観測手法を用い
て地球及び惑星超高層大気ダイナミクスを研究して
いる。現在進めている主な研究課題は共役点イメー
ジャーによるオーロラ共役性の研究、惑星大気・プ
ラズマ観測用気球搭載望遠鏡の開発、金星探査機搭
載赤外カメラによる金星大気ダイナミクスの研究、
火星探査機搭載光学センサーの開発である。
洞口拓磨 特任准教授
内山泰伸 教授
医療や環境などの社会的な問題に対し、素粒子・原
子核物理学を起点とした分野横断的な研究をめざし
ている。低線量下における短・長期的な視点からの
放射線生物学の研究や放射線治療における原子核反
応データの整備・測定などの課題に対し、理論・実
験両面から取り組んでいる。近年、特定の専門分野
にとどまらず他分野との連携から新しい学問領域を
創出する動きが非常に盛んであり、医学物理学もそ
の一翼を担う分野として注目を集めている。特に、
立教大学理学研究科ではこのような基礎物理学の素
養を広い学問的視点から社会へ還元することを一つ
の目標とし、がんプロフェッショナル養成プランの
下、医療分野で活躍する医学物理士および医学物理
研究者育成を行っている。
X 線/ガンマ線衛星を用いた観測的手法によって高
エネルギー宇宙物理学の様々な研究テーマに取り組
んでいる。特に超新星残骸の無衝突衝撃波における
粒子加速現象を、観測的研究と理論的研究を融合さ
せながら解明することを主要テーマとしている。ま
たブラックホールのジェットやパルサー風のような
相対論的天体も研究対象としている。次世代の宇宙
X線/ガンマ線観測検出器の基礎研究も進めている。
亀田真吾 准教授
惑星探査機に観測機器を搭載し新たな観測データを
得るための機器開発を中心に研究を進めている。ま
た、地上望遠鏡を使った惑星大気光の観測にも取り
組んでいる。はやぶさ 2 やプロキオンに搭載した装
置のデータ解析を進めながら、系外惑星大気光観測
装置、月惑星着陸機搭載用元素分析器の開発に力を
入れている。
前期課程授業科目/単位
必修科目
輪講1∼4
………………………………………
各1単位
選択必修科目
[理論物理学]
特別研究(理論)…………………………………… 3単位
修士論文指導演習(理論) …………………… 3単位
[原子核・放射線物理学]
特別研究1∼3(実験)…………………… 各3単位
修士論文指導演習(実験) …………………… 3単位
[宇宙地球系物理学]
特別研究1∼3(実験)…………………… 各3単位
修士論文指導演習(実験) …………………… 3単位
選択科目
重力特論 ………………………………………………… 2単位
素粒子特論1・2 …………………………… 各2単位
量子場理論 …………………………………………… 2単位
量子場特論 …………………………………………… 2単位
天体物理学 …………………………………………… 2単位
天体物理特論 ………………………………………… 2単位
宇宙物理特論1・2 ………………………… 各2単位
数理物理特論1・2 ………………………… 各2単位
原子核特論 …………………………………………… 2単位
原子・分子物理特論 ……………………………… 2単位
電子工学特論 ………………………………………… 2単位
放射線計測特論 ……………………………………… 2単位
宇宙放射線特論 ……………………………………… 2単位
高エネルギー宇宙物理学特論 ……………… 2単位
惑星大気物理学 ……………………………………… 2単位
惑星物理学 …………………………………………… 2単位
惑星物理特論 ………………………………………… 2単位
惑星大気物理特論 ………………………………… 2単位
現代物理学特別講義1∼4……………… 各2単位
相対論 …………………………………………………… 2単位
素粒子論 ………………………………………………… 2単位
宇宙物理学 …………………………………………… 2単位
数理物理学 …………………………………………… 2単位
統計物理学 …………………………………………… 2単位
原子核物理学 ………………………………………… 2単位
天体核物理学 ………………………………………… 2単位
原子・分子物理学 ………………………………… 2単位
放射線物理学 ………………………………………… 2単位
ハドロン物理学 ……………………………………… 2単位
宇宙放射線物理学 ………………………………… 2単位
高エネルギー宇宙物理学 ……………………… 2単位
放射線計測演習 ……………………………………… 1単位
[医学物理士養成プログラム関連科目]
放射線生物学特論 ………………………………… 2単位
情報処理学 …………………………………………… 2単位
放射線治療物理学 ………………………………… 2単位
インターンシップ(医学物理士)
…………………………………………… 1単位(随意科目)
医学概論 …………………………… 2単位(随意科目)
修了に必要な単位
[理論物理学]
必修科目 ………………………………………………… 4単位
選択必修科目 ………………………………………… 6単位
選択科目 ……………………………………… 20 単位以上
合計 ……………………………………………… 30 単位以上
[原子核・放射線物理学]
[宇宙地球系物理学]
必修科目 ………………………………………………… 4単位
選択必修科目 ……………………………………… 12 単位
選択科目 ……………………………………… 14 単位以上
合計 ……………………………………………… 30 単位以上
※授業科目の詳細は、シラバス検索をご利用ください。https://sy.rikkyo.ac.jp/timetable/
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