早稲田大学 政治経済学部 英語 講評

早稲田大学 政治経済学部 英語 講評
出題形式
マーク・記述併用
試験時間
90分
特徴・その他
大問は昨年と変わらず5題。読解問題3題、会話文問題1題、自由英作文問題1題で
あった。全体的に見ると、分量は昨年よりやや増えたが、レベルは昨年並みという印
象だ。合格ラインは最低でも7割というところだろう。理工学部の合格ラインは3割
台という可能性もあるので、学部によってかなり違うというのがわかる。例年、文整
序問題が差のつくポイントだと思われるが、非常に難しい年もあれば、結構簡単な年
もあった。今年度の文整序問題は、英語のしっかりした知識に加えて、文と文の有機
的なつながりをつかめるかという意味で、本当に良問だと思われる。しっかり勉強し
てきた受験生なら解けるという感じだ。もう一つ差がつく設問の自由英作文問題は
「日本でゲイの結婚は合法とされるべきか?」がテーマであった。
〔大問別講評〕
番号
Ⅰ
出題内容
読解問題
コメント
難易度
文量はかなり増えたが、レベルは昨年並みか。リード文のある内容一致
標準
問題は結構該当箇所も素直に書いてあった印象だ。いろいろなところを
見ないと解けないような複雑なものではなかったということだ。語整序
問題はすべての選択肢を使うとは限らないことに留意せよ。ここも7単
語中6単語を使う。7単語すべてを使って並べようとすると永遠に解け
なくなってしまう。政治経済学部の語整序問題はすべてを使わないほう
が多いことも頭に入れておこう。この大問はやはり3の文整序問題が最
大のポイント。空所の前の文に might がある。「譲歩→主張」構文で使
える語だ。それを受けてまず(b)の However 以下が続く。contentious
は少し難しい語だが、「議論を呼び起こす」の意味。では、どう議論を
呼び起こすのか? For a start は理由の列挙の一つ目を表すことが可能
だ。(a)と続く。(a)の「何が一つの種と見なされるか必ずしもはっき
りしない」の部分をどうはっきりしないのかを具体的に説明しているの
が(d)、そして Likewise「同様に」で始まる(c)と続く。Likewise の
前後は同じような関係になることも押さえる。diversified into a large
group of closely related species = be split into two or more が同じような
関係だ。とにかく、文と文のつながりを示す手がかりは何でも貪欲に覚
えていくことが肝心だ。
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番号
Ⅱ
出題内容
読解問題
コメント
難易度
分量は昨年より増えたが。レベルは昨年並みだろう。ケネディ大統領の
標準
演説が題材だ。リード文のある内容一致問題は、今年度に関してのみか
もしれないが、正解・不正解がずいぶんはっきりしていた印象がある。
選択肢を読んだ瞬間、まったく迷いなく正解がわかるという感じだ。語
整序問題はおもしろい。ここは文になっていないとわかるかがポイン
ト。前の文が What kind of peace do we seek?であることと、後ろが Not
the peace of the grave or the security of the slave.と名詞で成り立ってい
ることを押さえる。空所の前後から文になっていないことを類推させる
のがポイントであった。この大問もやはり文整序問題が大きい。(d)
以外の選択肢には And、But、therefore があるので、最初ではないと考
える(But で始まるようなこともよくあるが)。(d)の内容は、大金をか
けた武器が平和を維持するのに不可欠だという趣旨。当然これはおかし
いので、(b)の But 以下とつながる。(d)の acquired を(b)の文頭近
くの acquisition で言い換えているのもヒント。文末のほうで述べられた
未知情報を次の文の文頭で既知情報として出すのは論理展開の重要な
流れの一つだ。次に(b)の not the only という表現が手がかり。「唯一
ではない」ということは他に何があるのかと考える。それが(c)だ。最
後は(a)の And。(c)の2つ目の文と(a)の文が順接の And でつなが
ることを確認してみてほしい。
Ⅲ
読解問題
分量、難易度とも昨年並みか。ここは語整序問題が2つ出題されている。
正解を書くと、ranked by the happiness of their citizens と suggest moving
away from the emphasis だ。前者は特にポイントがないのが特徴だ。5
は一般の誤った考えとの対比で解ける。
an individualistic approach being considered more important than the social
( D ) isn’t enough anymore. We’re all ( E ) now.
7のリード文のある内容一致問題は誤り選択肢が一般常識で落とせそ
うだ。センター試験ややさしめな私立大学ではよくあることだが…。こ
の大問も文整序問題がある。空所の前で単純化した解決策を肯定する趣
旨のことを述べているので、ここは(a)の But から入る。次に(a)の
some subjects~approach を(c)の Some subjects~convenience で具体化
する。次に(d)の such a subject は(c)に出てくる subjects のことだと
判断する。主語の位置に人称代名詞があれば前文の主語を受ける可能性
が高いので、(b)の It は(d)の主語の human happiness となる。こちら
もいろいろな手がかりを探してどうにか並べていくことになりそうだ。
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標準
番号
出題内容
コメント
難易度
Ⅳ
会話文問題
分量は昨年並みだが、少し簡単になった感じだ。1と3の語整序問題は
やや易
making him do what I say と give the opposite approach a chance が正解。
1は使役動詞の make がポイントのようだ。余る選択肢に to があるの
で、make O (do)なのか to が入るのかを見ているのかもしれない。ただ、
政治経済学部としてはずいぶん簡単だが…。3は give O1 O2の O1に「人」
ではなく the opposite approach が入るのが少し難しいか。2は make
sense「意味を成す、理にかなっている」の熟語がポイントだが、4は
英語にどれだけ触れているかによって、パッと正解が出る人とそうでな
い人の差が生じるかもしれない。He has what it takes to lead the country.
「彼は国を導くのに必要な資質を持っている」のように have what it
takes to (do)「~するのに必要とするものを持っている」という表現が
ある。take のような動詞は前後の何かをヒントにして意味を特定してい
くのだ。
Ⅴ
自由英作文
今回は “Gay marriage should be made legal in Japan.”であった。昨年が
“Smoking should be made illegal in Japan.”であったので、偶然の一致なの
かどうか? 似ている文だ。例年通り社会的問題がテーマであったが、
受験生があまり考えたことがないテーマであったと思われる。2つの理
由が書けるかどうか?
今後はどういうテーマになっていくのであろ
うか? a paragraph や giving at least two reasons, you agree or disagree
with it の部分をしっかり押さえて、まずは指示された通りに書くことが
重要だ。100語程度で書くようにと指摘する問題集などもあろうが、早
稲田大学が指示したことをしっかり守ればいいので、多く書く必要はな
い。他の大問との関係もあるので、指示さえ守ることができるのなら50
語程度で十分だ。厳しいことを言うが、理由の2つ目が出てこない可能
性がある。その場合にはあきらめるのも一つの手だ。
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標準