ヒューマンストーリー フォトジャーナリスト 安田 菜津紀

月のない夜にも
過ごし方はきっとある
「 家 族 と は 何 か 」を 自 ら に 問い 続 け た 一 七 歳 の 少 女 は 、一 人 で は 抱 え き れ ない 苦 し みの 答 え を 求 め
て カンボ ジ ア を 訪 れ た 。そ こ で「 大 き な 声 に か き 消 さ れ て し ま う 小 さ な 声 を 伝 え る 」という 自 身 の
枚が、ここで再び輝こうとしている
けたいと 思っています 。その一枚一
町で、少しでもシャッターを切り 続
き合うことでした。だからこそこの
ることは、命 を 見つめ、とことん 向
「じいちゃんの営みにカメラを向け
う記している。
かったと思います」と安田さんは断
け れ ば 、今 の 仕 事 には 就いていな
材 させるプログラムで、
「 あれがな
に日 本の子 どもたちを 派 遣 して取
ター」に選ばれたのだ。アジアの国々
もたち」が主 催する「 友 情のレポー
一〇日間だ。NPO「 国 境なき子ど
年のときに過ごしたカンボジアでの
助けるということに、特 別 高い意 識
「そもそも海外に行くことや、人を
つ
宝 物を少しでも 多 くの人と分かち
し
言する。
え
んだろう〟ということを考えざるを
をもっていたわけではありませんで
安 田さんには、フォトジャーナリ
ストという 職 業に自 分 を 導いてく
得ない状況だったんです」
した。ただ、当 時の私は
〝 家 族ってな
れた明 確なきっかけがある。高 校二
「心が壊死する」
合いたいという、願いそのものです」
使 命 と 出 会い 、フォト ジャー ナ リ ス ト に なった 。何 を 伝 え る の か 、何 の た め に 伝 え る の か 。安 田 さ ん
安田 菜津紀
の信 念 を 支 え る 原 点 と は 。
その本は、書店の児童書コーナー
に置 かれていた 。
『 それでも 、海へ』
と題された写真絵本だ。主人公は、
かん の
陸 前 高田市で漁 師を営む菅 野 修一
しゅうせい
さんと孫の修 生 君 。東 日 本 大 震 災
の津 波で変わり 果てた 町の姿 を 見
て、海に出ることをやめてしまった
菅 野さんが、修 生 少 年の「じいちゃ
んがとってきた白いお魚が、もう一
回 食べたい」と言った言 葉で再び海
へと向かう再出発の物語だ。
初めて写 真 絵 本を手 掛けたとい
き
つ
な
だ
す
や
う 安 田 菜 津 紀 さんが 、この絵 本 を
通して子どもたちに伝えたかったこ
とは何か。安田さんはあとがきにこ
フォトジャーナリスト
スト ー リ ー
ヒュー マン
誠
取材・文/ 編集部 撮影/ 下村
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理念と経営 03 / 2017