Data Sheet IC16002 イオンクロマトグラフィーの基礎 イオン交換分離の原理 イオン交換分離は、イオン交換基と電解質溶液との間で、イ オン成分が吸着と脱離を繰り返すことによって起こります。陰 イオン交換分離の場合、たとえば、第4級アンモニウム基が 修飾されたイオン交 換体が 充 填されたカラムと、 炭酸ナト リウムなどのアルカリ性溶液の溶離液を用いるとします。カ ラム内で は、 溶 離 液 中 の炭 酸 イオン(CO32 − ) がイオン 交 換 基 上で 吸 着と 脱 離 を 繰り返しています( 図 1- ①)。 そこ 2 CO3 2䠉 䠇 CO3 䠉 䠇 䠇 CO32䠉 䠇 2 CO3 䠉 䜲䜸䞁 䠇 CO32䠉 2 CO3 䠉 య 䠇 䠇 2䠉 䠇 CO3 䠇 䠇 CO32䠉 CO32䠉 䠇 Cl䠉,Cl䠉 䠇 CO32䠉 䠇 䠇 CO32䠉 䠇 䠇 2 CO3 䠉 䠇 CO32䠉 SO4 2䠉 䠇 2䠉 䠇 CO3 䠇 䠇 CO32䠉 2 CO3 䠉 䠇 䐟㻌 図 1:陰イオン交換原理図 CO32䠉 2 䠇 CO3 䠉 䠇 䠇 Cl䠉 Cl䠉,Cl䠉 䠇 Cl䠉 䠇 2 CO3 䠉 CO32䠉 䠇 䠇 2䠉 䠇 SO4 䠇 䠇 CO32䠉 2 SO4 䠉 䠇 䐡㻌 䐠㻌 へ、 測 定イオン、 たとえば、 塩化物イオン(Cl − ) と硫 酸イ オ ン(SO42 − ) が 導 入 さ れる と、CO32 − に 代 わ って Cl − と SO42 − がイオン 交 換 基 と吸 着します( 図 1- ②)。 溶 離 液 が 連 続 的に流 れているので、 いった ん 吸 着した Cl − と SO42 − は順次 CO32 −に置き換えられます(図 1- ③)。脱離した Cl −と SO42 −は次のイオン交換基に吸着し、また CO32 −に置き換えら れ、また吸着し…と吸着と脱離を繰り返して、最後にはカラム から溶出されます。 吸着と脱離を繰り返す際に分離が起こります。分離は、Cl −と SO42 −のイオン交換基や溶離液との親和性の違いによって起こ ります。分離のイメージを図 2 に示します。一般に、電荷数の 大きいイオンほどイオン交換基との静電的相互作用が大きいた め、強く吸着します。また、イオンの疎水性の影響も大きく、 疎水性が高い場合は保持が強くなります。イオン半径の大きい イオンは、半径の小さいイオンに比べイオン交換基に強く吸着 します。このため、1 価の陰イオンのイオン交換体への吸着は、 の順で強く保持されます。イオン交換分離では、いくつかの作 用が同時に働きますが、ある程度は分離の推測が可能で、コン ピューターでシミュレーションすることもできます。しかし、実 際は用いるカラム、溶離液、温度などにより分離は大きく変わ ります。 Conductivity F − <Cl − <Br − <I −、1 価 の 陽イオンは Li+<Na+<K+<Rb+<Cs+ SO42- Cl- Retention time Time(min) ศ㞳䛥䜜䛯 㻞 ᡂศ䛾䜽䝻䝬䝖䜾䝷䝮㻌 図 2:カラム内での分離の模式図 © 2016 Thermo Fisher Scientific K.K. 無断複写・転写を禁じます。 ここに記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。 ここに記載されている内容は予告なく変更することがあります。 サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 分析機器に関するお問い合わせはこちら TEL:0120-753-670 FAX:0120-753-671 [email protected] facebook.com/ThermoFisherJapan www.thermofisher.com @ThermoFisherJP IC147_A1612CE
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