大容量導入 - Thermo Fisher Scientific

イオンクロマトグラフ データシート アプリケーション
No.0016A_0906HL
過塩素酸の測定 1
イオンクロマトグラフ法(大容量導入)
過塩素酸は主にロケット燃料や爆薬、酸化剤として使われており、甲状腺におけるよう素の取り込み
を抑制することにより乳幼児の発育障害を誘引すると言われています。近年我が国の水道水からも検
出されており、WHO(世界保健機関)飲料水水質ガイドラインにも採用が検討されていることから、「水質
基準に関する省令の一部改正等における留意事項について」(平成2 1年3月6日)に記載されているよう
に、過塩素酸は要検討項目になりました。しかし、暫定基準値と検査方法は、現時点では決まっていま
せん。
イオンクロマトグラフ(IC)法でも過塩素酸を測定できますが、問題になるのは無機陰イオン類との分離
と検出感度です。水道試料には無機陰イオン(塩化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン)がmg/L (ppm)
レベルで含まれているのに対し、過塩素酸は含まれているとしてもµg/L (ppb) レベルで、通常のIC法で
は測定が困難です。そこで、微量の過塩素酸を測定するための方法を検討しましたので、1) IC法を用い
て大容量導入した場合、2) IC法を用いて試料濃縮した場合、3) IC-MS(質量分析計)を用いた場合、の3
回に分けてデータシートでご紹介します。
本データシートでは、試料を1000 µL導入することで微量の過塩素酸をIC法で簡便に測定できる例を
紹介します。カラムには、交換容量が高く、過塩素酸を比較的早く溶出できるIonPac AS20を使用しまし
た。図1に示すように、µg/Lレベルの過塩素酸が十分に検出できました。本条件における定量下限値(変
動係数が10%のときの濃度)は0.2 µg/Lでした。無機イオン類の濃度が高くなると定量下限が高くなる可
能性はありますが、IC法だけで測定できるため簡便であるという利点があります。
試料
① 5 μg/L 過塩素酸(ClO4)標準
② 水道水*注
③ 水道水に 5 μg/L ClO4 添加*注
Cl, CO3, NO3, SO4
ClO4
添加回収率 = 104%
定量下限値 = 0.2 μg/L
②
CO3
ClO4
①
0
5
10
Retention time (min)
0.2 µS/cm
③
*注 :塩化物(Cl)、硫酸(SO4)、硝酸(NO3 )イオン
の濃度はそれぞれ 16, 22, 5 mg/L
15
0.03
図1
IC 法により過塩素酸を直接測定した例
測定条件
カラム:
IonPac AG20/AS20 (4 mm I.D.)
カラム温度: 30℃
溶離液:
65 mmol/L KOH
溶離液流量: 1.0 mL/min
検出器:
電気伝導度(サプレッサー/ 炭酸除
去デバイス使用)
試料導入量: 1000 µL
面積値
R2 = 0.9983
0.02
0.01
0.00
0
5
濃度 (μg/L)
図 2 過塩素酸の検量線
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