昨年7月、新社長就任に伴い社名も変更、 業界専門の設計・施工会社

[注目企業・システムレポート]
<設計・施工>
昨年7月、新社長就任に伴い社名も変更、
業界専門の設計・施工会社として新たなスタート
㈱ケンエイ(旧:㈱建栄工務店)
㈱ケンエイ
代表取締役
三浦元裕氏
1980 年の設立以降、レジャー・ラ
いう仕事の “ 下積み修行 ” として、い
――現在の厳しい市場環境下で、改装
ブホテル専門の設計・施工会社として、
ま思い返すととても良い経験を積ませ
時の重視ポイントは。
関東中心に数多くの新築・改装を手掛
てもらったと思っています。
三浦 現在の市場環境を考えると、工
けてきた㈱建栄工務店が、昨年7月、
――レジャー・ラブホテルの建築に関
費を抑えることは重要だと思います。
二代目となる三浦元裕氏が新社長に就
わって感じたことは。
ただし、低コストでも短期間で再改装
任し、同時に社名を㈱ケンエイに変更
三浦 最初に感じたのが、とても奥が
が必要となるのでは意味がないと考え
した。長年にわたり蓄積された業界の
深く面白い仕事だということです。と
ます。建材の選択などもコストと耐久
専門ノウハウをベースに、今後、どの
くに外部からは見えない、背後に隠れ
性の両面から判断するなど、中長期的
ような取り組みを見せるのか。三浦元
た部分。お客様の行動と心理を考慮し
視点から費用対効果を見極めることが
裕新社長に伺った。
て、スムーズにストレスなく利用して
大切です。
いただくためにどうすればよいか。バ
そして、競合店も含めた周辺環境や
ックヤードもつくり方次第で従業員の
経営者の考え方、財務状況等を総合的
負担が大きく変わる。これは奥が深い
に検討して、その経営者、ホテルにと
――社名変更、社長就任の経緯からお
仕事だと思いました。
って最良の改装内容を提案する。です
聞かせください。
――貴社は、設計から施行まで一貫し
からホテルごとに、最良の改装内容と
三浦 当社は、1980 年に現・取締役
て行なえるのが大きな特徴。
いうのは異なることになると思いま
会長の父(三浦栄氏)が設立。以降、
三浦 設計・施工の一貫体制は、施工
す。
レジャー・ラブホテルに特化した設計・
の監理やコスト面などで大きなメリッ
ただ、共通しているのは、現在のカ
施工会社として関東中心に新築・改装
トがあるといえます。さらにその延長
ップルは、遊び場所の選択肢が増える
等に携わってきました。ただ、
“建栄
線上として補修・メンテナンスにも迅
なかで遊びに使うお金は増えていない
工務店”という社名から、施工会社と
速に対応できるメリットもあります。
ということ。そういった状況のカップ
思われることも少なくなかったのです。
改装の目的はもちろん売上アップで
ルを呼び込むためには、清潔で使い勝
もちろん、施工だけを受注するケース
すが、補修・メンテナンスへの対応も
手がよく、しかもリーズナブルでコス
もありますが、設計から施工まで一貫
重視した取組みをしてきましたので、
トパフォーマンスが高いホテルという
して対応できることが当社の大きな特
改装工事の際も、常に設備の変更・追
のが前提条件。同時に、やはりプライ
徴です。そのため、社名変更は以前か
加の工事のしやすさも考慮しています。
バシーの確保は、現在も重要なポイン
ら検討しており、昨年7月、私の社長
例えば、弱電関連の設備などは将来、
トです。とくにファサードは重要です。
就任に合わせて実行に至りました。
確実に入替や追加が発生する。その際
出入り時のプライバシーが確保され、
の動きのなかで、タオルやガウンをど
するという取組み方です。
思って設計・施工に臨み、細部の補修
――三浦新社長の経歴は。
に、天井裏などに配線用の空配管を入
同時に目立つアイキャッチ力も必要。
こに備えれば最適かといったことも分
――最後に、新社長としての抱負と貴
やメンテナンスも含めホテルが困った
三浦 大学の建築学科を卒業後、ゼネ
れておくだけで、次の工事がやりやす
ただし、どぎつい派手さではなく、お
かるはずです。お洒落な洗面を備えて
社の今後の方向を伺わせてください。
ときにはすぐに駆けつける。そういっ
コン勤務を経て、2003 年に当社に入
くなり工期短縮・コスト抑制にもつな
洒落でセンスのよさをアピールするデ
も、使用時に水が周りに撥ねてしまう
三浦 レジャー・ラブホテルの集客力、
た姿勢を基本に、経営者が儲かるホテ
社。現場監督等を行ないながら、一級
がるわけです。建物全般に関して中長
ザイン性が必要です。
ようでは、お客様も使いにくいし清掃・
収益力は、細かな要素1つ1つの積み
ルづくりに邁進していきます。
建築士と宅地建物取引士の資格も取得
期的な視点から経営者をサポートして
――客室内に関しては。
メンテの負担も大きくなってしまいま
重ねの結果だと思っています。前社長
しました。ゼネコン勤務の2年間は、
いく。そういった取組み方が重要だと
三浦 まずは機能性、使い勝手が重要
す。見栄えに加え、そういった細かな
が、長年にわたり細部まで経営者の視
主にマンション建設の現場監督。若手
考えています。
だと考えています。ソファ・テーブル・
使い勝手を考慮することが、居心地の
点に立って取り組んできたことが当社
ベッド・テレビの位置関係は基本。客
よい客室空間づくりには不可欠といえ
の評価と信頼につながっていると思い
室内でのお客様の動きを想定してレイ
ます。そのうえで、周辺ホテルとの差
ます。私もこの方向をさらに進めてい
アウトを考えれば、浴室からベッドへ
別化になるデザインを施し設備を追加
きます。改装時には自分のホテルだと
設計・施工の一貫体制で
経営者をサポートする取り組み
の現場監督は、職人さんの補助仕事か
らハツリやガラ運びまで行ないます。
当時は辛かったですが、いわば建築と
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LH-NEXT 2017 ● vol.31
市場環境の変化を
捉えた改装への取組み
■㈱ケンエイの設計・施工の実績例
ファサード
客室
共有スペース
設計・施工の一貫体制で、 経営者の視
点で“儲かる”ホテルづくりを推し進める。
施工力も定評があり、 次の
改装や設備の追加・変更も
考慮した施工が特徴。 細部
の補修やメンテナンスの迅
速な対応も評価が高い。
[問合せ]
㈱ケンエイ
東京都台東区根岸 2-8-6
TEL.03-3876-7210
FAX.03-3876-3998
http://www.kenei-web.co.jp
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