10-12月期ユーロ圏GDP改定値 ~1-3月期への不安要素

EU Indicators
欧州経済指標コメント:10-12月期ユーロ圏GDP改定値
発表日:2017年2月14日(火)
~1-3月期への不安要素~
第一生命経済研究所 経済調査部
主席エコノミスト 田中 理
03-5221-4527
・ 昨年10-12月期のユーロ圏の実質GDP成長率は、速報値:前期比+0.5%(同年率+2.0%)→改定
値:同+0.4%(同年率+1.6%)に下方修正。2016年通年の成長率は+1.7%と速報から不変。新たに
公表された国別の成長率は、ドイツ(7-9月期:同+0.1%→10-12月期:同+0.4%)、フランス(同
+0.2%→同+0.4%)などで前期から成長が加速した一方、イタリア(同+0.3%→同+0.2%)、オ
ランダ(同+0.8%→同+0.5%)、ポルトガル(同+0.8%→同+0.6%)で減速、ギリシャ(同+
0.9%→同▲0.4%)、フィンランド(同+0.3%→同▲0.5%)でマイナス成長に再転落した。
・ 需要項目別の内訳は3月7日の再改定値で明らかとなるが、公表済みの統計から判断して、個人消費、
設備投資、輸出が成長を牽引した一方、輸入増加と在庫減少が成長を下押しした模様で、成長ミック
スは悪くない。PMIの推移などから1-3月期入り後の成長も堅調な拡大が示唆されるが、幾つか懸念
材料もある。同日発表された12月のユーロ圏の鉱工業生産が前月比▲1.6%と急ブレーキ。一時的な下
振れとみられるが、1-3月期の生産は“マイナスのゲタ”を履いている。同じく同日発表されたドイツ
のZEW指数(市場参加者の半年先の景況感)は1月:+16.6→2月:+10.4とプラス幅が縮小。ト
ランプ政権によるユーロ安牽制やドイツの自動車メーカー批判が心理面で重石となった可能性がある。
また、エネルギー価格を中心に物価上昇率が加速しており、家計の実質購買力の目減りが予想される。
■ユーロ圏:実質GDP成長率(前期比年率、%)
■2016年10-12月期の実質GDP成長率(前期比、%)
純 輸出
在 庫投資
固 定資本 形成
政 府消費
個 人消費
実 質GDP成長 率
5
4
3
2
リトアニア
スロバキア
ラトビア
スペイン
ポルトガル
オーストリア
キプロス
オランダ
ユーロ圏
ドイツ
ベルギー
フランス
イタリア
ギリシャ
フィンランド
1
0
-1
-2
-3
-4
12
13
14
15
-1.0
16
出所:Eurostat
1.3
0.8
0.8
0.7
0.6
0.6
0.5
0.5
0.4
0.4
0.4
0.4
0.2
-0.4
-0.5
-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
出所:Eurostat
■ユーロ圏GDP(前期比年率<%>、括弧内は寄与度<%ポイント>)
名目
GDP
15/1-3月期
15/4-6月期
15/7-9月期
15/10-12月期
16/1-3月期
16/4-6月期
16/7-9月期
16/10-12月期
4.5
2.7
1.9
4.0
2.7
1.7
2.3
-
実質
GDP
3.3
1.5
1.1
2.0
2.0
1.2
1.8
1.6
内需
(2.3)
(0.6)
(2.7)
(3.2)
(1.7)
(1.0)
(0.8)
-
外需
個人消費 政府支出 固定資本
投資
1.8
1.4
7.3
1.8
1.6
▲ 0.0
1.7
1.7
3.2
1.6
2.4
5.2
2.8
2.3
1.5
1.0
1.5
4.6
1.4
1.7
▲ 2.1
-
-
-
在庫
(▲ 0.4)
(▲ 0.7)
(0.7)
(0.7)
(▲ 0.6)
(▲ 0.7)
(0.1)
-
輸出
1.0
0.9
▲ 1.5
▲ 1.1
0.4
0.2
0.9
-
11.1
4.7
1.0
3.3
0.6
4.7
0.6
-
輸入
9.7
3.1
4.8
6.4
▲ 0.2
4.6
▲ 1.4
-
出所:Eurostat
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1