八幡平市汚水処理施設整備計画（案） 平成２９年２月 八 幡 平 市 （１）汚水処理施設とは・・・・・ 汚水処理施設の処理方法には、「集合処理」と「個別処理」の２種類があります。 集合処理 家庭の台所、水洗トイレ、事業所等から排水される汚水を排除する「管渠」と汚水を処理する「処理場」等から構 成されるもので、八幡平市では、公共下水道・農業集落排水・集合浄化槽の各汚水処理事業を実施しています。 個別処理 家庭の台所、水洗トイレ、事業所から排水される汚水を、各家庭や事業所に設置された「浄化槽」で処理を行うも のです。八幡平市では、市が浄化槽本体を設置する「市設置型浄化槽事業」及び浄化槽を設置する方に対し補助 金を交付する「個人設置型浄化槽事業」を実施しています。 図-1 汚水処理施設の種類の概念図 （２）汚水処理施設に関する国の動き 我が国の汚水処理施設は、市町村が、下水道、農業集落排水、浄化槽等それぞれの汚水処理施設の有する特 性、経済性等を総合的に勘案し、地域の実情に応じた効率的かつ適正な整備手法を選定した上で、都道府県が主 体となり、市町村と連携して作成している都道府県構想に基づき、適切に事業を実施しています。 わが国では、汚水処理人口普及率が 90％近くに達し、汚水処理施設に関する整備も成熟しつつあります。しかしな がら、汚水処理が未整備の地域については早急に汚水処理施設を整備する必要があります。一方、既整備区域の増 大した汚水処理施設は、今後老朽化が進み、処理施設の改築・更新が必要となり、多額の事業費が必要になってき ます。 そこで、より効率的な汚水処理施設の整備・運営管理を適切な役割分担の下、計画的に実施していくため、汚水処 理を所管する３省（国土交通省、農林水産省、環境省）が連携し、「都道府県構想策定マニュアル検討委員会」を設 置し、『持続的な汚水処理システム構築に向けた都道府県構想策定マニュアル』をとりまとめました。 このマニュアルは、各自治体が汚水処理施設を今後どのように整備し、事業の成熟を目指すか、それに対する検討 方法が記載されたものです。 （３）八幡平市汚水処理施設整備計画の見直し 八幡平市では、岩手県と連携を図り、汚水処理施設整備計画の見直しを行い、中期計画により汚水処理施設の早 期概成を、長期計画により安定的な汚水処理事業の推進を図っていきます。 見直しにあたっては、経済比較を基本としつつ、今後 10 年程度を目標に、「地域のニーズ及び周辺環境への影響 を踏まえ、各種汚水処理施設の整備が概ね完了すること」（概成）を目指し、都市計画や農業振興地域整備計画等と の整合を図りつつ、地域特性や地域住民の意向、人口減少等の社会情勢の変化を考慮し、効率的かつ適正な処理 区域の設定及び整備・運営管理手法の選定を行っていきます。 図-2 時間軸を考慮した汚水処理施設整備・運営管理手法の概念図 （１）汚水処理施設の状況 八幡平市では、公共下水道、農業集落排水、集合浄化槽、個別浄化槽の各汚水処理事業を実施してきました。 図-3 に示す汚水処理人口普及率では、平成 27 年度末現在、八幡平市の汚水処理人口普及率は、79.9％となっ ています。 89.9％ 79.0％ 79.9％ 図-3 汚水処理人口普及率の比較 これは、全国平均 89.9％に対し 10％下回っていますが、岩手県の 79.0％及び岩手県内の人口規模が同等の市と 比較しても上回っています。また、八幡平市の汚水処理の特徴として、農業集落排水による汚水処理人口普及率が 高くなっています。 なお、公共下水道の安代処理区及び農業集落排水並びに集合浄化槽は整備が完了しています。 （２）八幡平市の汚水処理施設の課題 遅れる汚水処理施設の整備 現状の公共下水道計画は、計画当初の事業規模をそのまま継承している部分が多く、近年の財政事情及び人 口減少等の社会情勢が充分には反映されていない計画となっています。このため、現計画のまま全ての計画区域 を整備することは事業の長期化や遅れにつながってしまいます。 増大する汚水処理施設の維持管理費 八幡平市の汚水処理人口普及率の多くを占める農業集落排水では、供用開始が早い地区もあり処理施設の 老朽化が懸念されるとともに、管渠施設も多いことから、今後は処理施設の改築・更新のため、多額の事業費が必 要になります。 伸び悩む水洗化 下水道の供用が開始された地区においては、排水区域内の土地の所有者等は、遅滞なく排水設備を設置し、 下水道に接続していただく必要があります。整備が可能となった方々には、随時水洗化をお願いしておりますが、家 族人数の減少や排水設備工事に係る経費の面などからなかなか進まない状況となっています。 （３）汚水処理施設整備事業の概要 八幡平市における汚水処理施設整備事業別の概要を以下に示します。 下水道法に基づく集合処理 国土交通省 所 管 公共下水道施設 主として市街地の下水を排除、処理するもの （計画処理人口は制限がない） 公共下水道事業（西根処理区）【整備中】 特定環境保全公共下水道施設 市街化区域以外の地域で生活環境の改善を目的とするもの （計画処理人口は概ね 1,000 人∼10,000 人） 特定環境保全公共下水道事業（安代処理区）【整備済み】 下水道法以外の集合処理 農林水産省 所 管 農業集落排水施設 農業振興地域における農業用用排水路の水質保全、機能維持を目的 とするもの（処理対象人口は概ね 1,000 人以下） 西根地域 寺田地区農業集落排水施設【整備済み】 平舘・寺田南地区農業集落排水施設【整備済み】 田頭・平笠地区農業集落排水施設【整備済み】 松尾地域 野駄地区農業集落排水施設【整備済み】 松尾地区農業集落排水施設【整備済み】 寄木地区農業集落排水施設【整備済み】 北寄木地区農業集落排水施設【整備済み】 時森地区農業集落排水施設【整備済み】 安代地域 細野地区農業集落排水施設【整備済み】 田山地区農業集落排水施設【整備済み】 集合浄化槽施設 団地等でし尿と生活雑排水をあわせて処理する共同浄化槽のうち、地 方公共団体が実施するもの 松尾地域 柏台北区集合浄化槽施設【整備済み】 柏台中区集合浄化槽施設【整備済み】 柏台南区集合浄化槽施設【整備済み】 時森団地集合浄化槽施設（時森地区農業集落排水施設に切替） 個別処理 環境省所管 浄化槽市町村整備推進事業 市町村が自ら設置管理主体となって浄化槽の整備を行い、生活環境 の保全や公共用水域の水質保全に寄与するもの 浄化槽設置整備事業 集合処理区域において、７年以上整備される見込みのない区域及び 八幡平温泉郷地区、松川温泉地区、安比地区を対象として浄化槽設 置に対し補助金を交付するもの 図-4 本市における汚水処理施設整備事業別の概要 （１）計画目標年次 八幡平市では、汚水処理施設整備の概成を目指す『中期計画』の目標年次を平成 37 年度とし、整備中である公 共下水道（西根処理区）の整備完了をもって、集合処理区域の整備概成を目指します。 さらに、安定した汚水処理事業の運営を目指す『長期計画』の目標年次を平成 52 年度とします。 表-1 八幡平市汚水処理基本計画の目標年次 計 画 目標年次 中期計画 平成 37 年度 長期計画 平成 52 年度 計画の概要 集合処理区域の整備概成 （整備中である公共下水道（西根処理区）の整備完了） 安定した汚水処理事業の運営を目指す （２）集合処理の整備方針 公共下水道 公共下水道については、浄化槽整備との経済性比較検討により、下水道整備が有利な区域に見直し、『中期計 画』において、整備中である西根処理区の整備完了を目指します。 農業集落排水 農業集落排水については、処理施設の改築・更新時期を見据え、この費用の軽減を図るべく、『長期計画』にお いて、経済性比較検討により、処理区の統合または公共下水道への接続を検討・実施します。 集合浄化槽 集合浄化槽については、当面は現状の施設のまま、汚水処理を遂行します。 （３）個別処理の整備方針 市設置型浄化槽事業 浄化槽整備事業は、現在、平成 31 年度末までの「整備 5 か年計画」を遂行中です。 しかしながら、市管理浄化槽が年々増加するにつれて、これに要する維持管理費用も増加する傾向にあり、この まま事業が進めば、適正な維持管理を行う上で財政的な圧迫が生じてくることが懸念されます。今後はこの事業制 度そのものの在り方を見直す必要があります。 個人設置型浄化槽事業 浄化槽設置に対し、補助金を交付する「個人設置型浄化槽事業」は、「中期計画」以降の汚水処理人口普及率 の向上に欠かせない重要な事業となりますので、事業推進の強化を図っていきます。 （４）年度別汚水処理人口普及率の推移 項目 普及人口 人( ) 普及率 ％( ) 行政人口（推計） 公共下水道 農業集落排水 市設置型浄化槽 個人設置型浄化槽 集合浄化槽等 計 下水道 農集 市町村設置浄化槽 個人設置浄化槽 その他（単独・民間） 計 2015 H27 末 26,978 8,225 9,155 1,215 1,511 1,442 21,548 30.5 33.9 4.5 5.6 5.3 79.9 2020 H32 末 24,402 7,714 8,327 1,100 1,371 1,224 19,736 31.6 34.1 4.5 5.6 5.0 80.9 2025 H37 末 22,302 8,262 7,611 991 939 1,003 18,806 37.0 34.1 4.4 4.2 4.5 84.3 2030 H42 末 20,251 9,509 4,942 900 998 874 17,223 47.0 24.4 4.4 4.9 4.3 85.0 2035 H47 末 18,329 8,609 4,472 814 1,048 790 15,733 47.0 24.4 4.4 5.7 4.3 85.8 2040 H52 末 16,465 7,735 4,017 732 1,089 709 14,282 47.0 24.4 4.4 6.6 4.3 86.7 （５）汚水処理施設整備区域図
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