エコ生活の実践率高く、5割がエコに積極的な企業を評価

平成 22 年 2 月
財団法人 地域流通経済研究所
∼「エコに関する意識と行動」アンケート調査結果(概要)∼
エコ生活の実践率高く、5割がエコに積極的な企業を評価
∼一方で、家庭での取り組みによる環境保護効果に懐疑的な面も!∼
【調査結果の概要】
1.エコに「かなり関心がある」は 21.4%、「やや関心がある」は 67.9%となっており、全体
の 50.4%が「エコへの取り組みに積極的な企業は高く評価する」と回答している。
2.生活でいつも実践しているエコは、
「ゴミの分別」が 75.4%と最も高く、次いで「エコバッ
グの利用」、「詰め替え商品の購入」、「節電」、「節水」などとなっている。エコへの関心度
が高いほど、エコ生活の実践率は高く、エコ関連商品の購入率や購入意欲も高い。
3.「現在の家庭でのエコへの取り組みが、環境保護にどれだけ効果的なのか疑問である」と
の回答は、36.2%となっている。
4.エコ生活による家計への影響は、「あまり変わらない」が 76.3%、「家計負担が減った」が
13.6%、「家計負担が増えた」が 5.6%となっている。
5.エコに関心が高い層は、「エコ生活を送ることは楽しい」との回答率が高く、一方、エコに
関心が低い層ほど、「エコ生活を送ることは手間がかかり面倒である」との回答率が高い。
6.今後のエコ生活について、「お金や手間がかかっても積極的に取り組みたい」は 6.5%にと
どまっており、できるだけお金や手間がかからない方法が望まれている。
【調査概要】
回答者の属性
年代
20代
30代
40代
50代
60代
合計
対象:熊本市在住の 20 代から 60 代の
女性モニター500 人
有効回答数:448 人
(有効回答率 89.6%)
調査時期:平成 21 年 10 月 20 日∼11 月 2 日
実数
61
104
90
95
98
448
%
13.6
23.2
20.1
21.2
21.9
100
調査方法:郵送法
1.エコへの関心
まず、エコに関心があるかを尋ねたところ、全体の 21.4%が「かなり関心がある」と回答、「や
や関心がある」も 67.9%となっており、生活者の約 9 割が関心をもっていることが明らかとなっ
た(次頁図表1)。「あまり関心がない」は 6.7%で、「まったく関心がない」との回答は 0%だった。
年代別にみると、「かなり関心がある」との回答は、60 代が 28.6%で最も高く、次いで 20 代が
23.0%となっている。一方、「あまり関心がない」は、20 代が 11.5%、30 代が 10.6%と1割を超
えている。
また、全体の 50.4%が、「エコへの取り組みに積極的な企業は高く評価する」と回答している。
これをエコへの関心度別にみると、「かなり関心がある」層が 67.7%、「あまり関心がない」層が
10.0%となっており、大きく差がみられる(次頁図表2)
。
1
図表1
0%
全体
20代
エコへの関心度【年代別】
20%
40%
60%
図表2
80%
100%
21.4
67.9
6.7
4.0
23.0
63.9
11.5
1.6
30代
18.3
69.2
10.6
1.9
40代
18.9
70.0
6.7
4.4
50代
18.9
0
3.1
かなり関心がある
やや関心がある
あまり関心がない
まったく関心がない
60
100
%
67.7
50.3
あまり関心がない
(n=30)
不明
80
50.4
やや関心がある
(n=304)
6.1
62.2
28.6
40
かなり関心がある
(n=96)
5.3
72.6
20
全体
(n=448)
3.2
60代
エコへの取り組みに積極的な企業は
高く評価する
【エコへの関心度別】
10.0
2.生活で実践しているエコ
生活の中で実践しているエコについて尋ねたところ、「ゴミの分別」は、「いつもしている」が
75.4%、「だいたいしている」が 21.2%となっており、ほとんどの生活者が実践しているようであ
る(図表3)。熊本市では昨年 10 月より分別ゴミ袋の有料化がスタートしたが、自由回答をみると、
「有料化でゴミを出す量が減るのはいいこと」
、「もっと早くから実施するべきだった」と賛成の声
が多い一方で、「ゴミ袋の値段が高すぎる」との意見もみられた。
また、レジ袋削減に向けてレジ袋有料化の取り組みも進んでおり、「エコバッグの利用」は、
「い
つもしている」が 57.4%、「だいたいしている」が 30.8%となっている。「詰め替え商品の購入
(シャンプー、洗剤など)」については、生活者の間ではすでに詰め替え商品を買うことが定着し
図表3
生活で実践しているエコ
0%
20%
40%
60%
75.4
ゴミの分別
54.2
詰め替え商品の購入
39.5
節電
29.2
節水
42.6
21.0
使う分だけを購入
100%
21.2
57.4
エコバッグの利用
80%
1.6
1.8 0.0
7.6 1.8
30.8
2.5
5.4 1.6
38.4
0.4
47.5
10.7 1.8
0.4
17.0
50.9
2.7
0.2
1.6
32.8
2.0
マイ箸、マイ水筒
などの利用
18.5
15.6
使えなくなるまで
修理して使う
1.6
32.1
46.2
16.3
3.8
自動車・バイク利用
を減らす
長寿命電球や充電型電池
などに替える
39.5
37.5
14.1
リサイクルにまわす
エコ活動への募金
・ボランティア
2.2
28.3
35.3
10.7
24.1
8.0
28.1
15.0
7.1 1.8
50.0
44.9
45.8
34.6
8.9
6.3
17.4
1.6
1.8
2.9
いつもしている
まったくしていない
だいたいしている
不明
2
あまりしていない
ているようで、「いつもしている」が 54.2%、「だいたいしている」が 38.4%となっている。また、
節約志向もあり、「節電」、「節水」、
「使う分だけを購入する」などの実践率も高い。
年代別にみると、未婚で親と同居している人の割合が高い 20 代は、全体的に他の年代より実践
率が低めとなっている。また、「エコ活動への募金やボランティア参加」は、年代が高くなるほど
実践率は上がり、「いつもしている」と「だいたいしている」の合計が、20 代は 4.9%であるのに
対し、60 代は 29.5%となっている。
エコへの関心度でみると、「かなり関心がある」層の実践率が高い一方で、「あまり関心がない」
層は全体的に低くなっており、エコへの関心度とエコ生活の実践率は比例していることがうかがえ
る。
3.今後、積極的に(新たに)取り組もうと思うもの
今後、積極的にまたは新たに取り組もうと思うものは、「エコバッグの利用」が 19.6%と最も高
く、「長寿命電球や充電型電池などに替える」(17.2%)、「節電」(17.0%)などが続いている(図
表4)。
また、「マイ箸、マイ水筒などの利用」や「長寿命電球や充電型電池などに替える」といった項目
は、エコへの関心が高い層ほど取り組みへの意欲が高く、関心が低い層と大きな差がみられる(図
表5)。つまり、このようなエコ商品の購入について、エコへの関心が高い層は、 最終的に環境保
護や家計節約に結びつくのであれば初期投資をしてもよい
と考える傾向があるように思われる。
一方、エコへの関心度によってさほど大きな差がみられない項目は、「エコバッグの利用」や「節
電」、「使えそうなものはリサイクルにまわす」などとなっている。
図表4
今後、積極的に(新たに)取り組もうと思うもの
0
5
10
15
20
図表5
今後、積極的に(新たに)取り組もうと思うもの
【エコへの関心度別】−抜粋−
25
%
0
19.6
エコバッグの利用
長寿命電球や充電型電池などに替える
17.2
節電
17.0
使えそうなものはリサイクルにまわす
16.7
15.2
節水
14.7
マイ箸、マイ水筒などの利用
マイ箸、マイ水筒
などの利用
長寿命電球や
充電型電池など
に替える
10
20
30
24.0
12.8
3.3
19.8
17.8
3.3
20.8
19.1
エコバッグの利用
16.7
12.5
ゴミの分別
13.3
10.9
自動車・バイク利用を減らす
10.3
使えなくなるまで修理して使う
使えそうなものは
リサイクルにまわす
9.6
詰め替え商品の購入
エコ活動への募金・ボランティア
17.7
17.1
節電
11.6
使う分だけを購入
6.3
3
16.7
16.8
13.3
かなり関心がある
やや関心がある
あまり関心がない
40 %
4.家電エコポイント制度やエコカー減税・補助金制度等の活用
ここでは、主な高額エコ関連商品の購入状況や購入意向をみてみよう。
まず、政府が昨年 5 月から実施している『エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事
業』の対象となるエアコン、テレビ、冷蔵庫をみると、テレビは、地デジ対応型への買い替え需要
もあり、「エコポイント制度より前に購入した」が 27.7%、「エコポイント制度期間中に購入し
た」が 9.8%、「エコポイント制度期間中に購入する予定」が 14.1%となっており、合わせると 5
割を超える(図表6)。エアコンと冷蔵庫は、「エコポイント制度より前に購入した」がそれぞれ
28.6%、23.9%、エコポイント制度の活用は、購入済・購入予定を合わせて 9.4%、8.7%となっ
ている。「今のところ購入の予定なし」は、59.6%、65.0%となっている。
また、昨年 4 月から実施されている減税・補助金の対象となる環境対応車(エコカー)について
も、「今のところ購入の予定なし」が 71.7%となっており、「減税・補助金制度より前に購入し
た」が 14.1%、減税・補助金制度の活用は、購入済・購入予定を合わせて 10.3%となっている。
同様に、補助金制度の対象となるエコ住宅関連商品(エコキュートや太陽光発電システムなど)は、
「今のところ購入の予定なし」が 81.5%となっており、「補助金制度より前に購入した」が 10.3%、
補助金制度の活用は、購入済・購入予定を合わせて 4.4%となっている。
このように、高額エコ関連商品は、さすがに初期投資の負担が大きいため、地デジ放送への完全
移行期限が迫っているテレビを除けば、現段階では購入を考えていない人の方が多い。しかし、政
府等による購入支援策は、約 1 年という短期間ながら確実に効果を出していることも明らかである。
省エネ家電のエコポイント制度やエコカー補助金制度は、4月以降の期間延長が決定し、さらに住
宅版エコポイント制度も導入されるため、その動向に注目したい。
エコへの関心度でみると、関心が高い層は低い層より、高額なエコ商品についても購入意欲が高
く、購入支援制度を積極的に活用する割合も高いようである(図表7)。例えば、エアコンのエコ
ポイント制度の活用は、エコに「かなり関心がある」層が、購入済・購入予定を合わせて 16.7%、
「あまり関心がない」層は 3.3%となっている。
図表6
主な高額エコ関連商品の購入状況
0%
20%
40%
60%
80%
図表7
エアコンの購入【エコへの関心度別】
100%
0%
テレビ
27.7
9.8
エアコン
28.6
6.9
45.5
14.1
かなり関心がある
59.6
65.0
14.1
71.7
6.5
あまり関心がない
4.0
81.5
10.3
制度期間中に購入
制度期間中に購入予定
購入予定なし
100%
50.0
14.6
28.3
5.3
63.2
23.3
3.3
0.0
エコポイント制度より前に購入した
エコポイント制度の期間中に買う予定
不明
3.8
3.3 1.1
制度前に購入
80%
1.0
0.3
3.0
3.8
エコ住宅関連
32.3
2.5
4.2 4.5
エコカー
60%
2.1
やや関心がある
23.9
40%
2.5
2.5
冷蔵庫
20%
2.9
不明
4
66.7
エコポイント制度の期間中に購入した
今のところ購入の予定なし
6.7
5.エコ生活による環境保護効果への疑問
また、現在の家庭におけるエコへの取り組みについて、全体の 36.2%が「実際に環境保護(C
O2削減など)にどれだけ効果的なのか疑問である」と回答している(図表8)。特に、エコに
「あまり関心がない」層の回答率が高く、実に 70.0%に上っている。
自由回答をみると、「一人一人のエコ生活がどれほどの効果があるのか今ひとつピンとこない」、
「回収前の牛乳パックやペットボトルを洗い流すのは、逆に水の無駄使いではないか」といった意
見がみられた。このように、疑問や矛盾を感じながら取り組んでいる生活者もいるため、今後、エ
コ学習や情報交換の場を増やし、その声を拾って改善点を見つけていくことも必要であろう。
図表8
現在の家庭でのエコへの取り組みが、環境保護にどれだけ効果的なのか疑問である
【エコへの関心度別】
0
20
40
60
80
100
%
36.2
全体
28.1
かなり関心がある
36.8
やや関心がある
70.0
あまり関心がない
6.エコ生活による家計への影響
現在実践しているエコ生活によって家計がどう変わったかについては、全体の 76.3%が「あま
り変わらない」としており、さほど大きな変化はないようである。また、「家計の負担が減った」
が 13.6%、「家計の負担が増えた」は 5.6%となっている(図表9)。
エコへの関心度で比較すると、「家計の負担が減った」は、エコに「かなり関心がある」層が
27.1%となっており、エコに「あまり関心がない」層は 3.3%にとどまっている。反対に、「家計
の負担が増えた」は、エコに「あまり関心がない」層が 13.3%、エコに「かなり関心がある」層
は 4.2%となっている。エコに関心が高い層は、エコ商品の購入率が高く、そのぶん家計に負担が
かかっているのではないかとも思われたが、エコ商品の有効活用とこまめなエコ生活の実践によっ
て節約効果がもたらされていることがうかがえる。逆にエコへの関心が低い層の方が、家計負担を
より感じているようである。
図表9
0%
全体
エコ生活による家計への影響
【エコへの関心度別】
20%
5.6
40%
60%
80%
76.3
100%
2.5
13.6
2.0
かなり関心がある 4.2
0.0
27.1
68.8
0.0
やや関心がある 5.6
83.2
0.7
9.5
1.0
あまり関心がない
13.3
20.0
60.0
3.3
家計の負担が増えた
家計の負担が減った
不明
あまり変わらない
エコ生活はまったく実践していない
5
3.3
また、エコに「かなり関心がある」層の 49.0%が「エコ生活を送ることは楽しい」としており、
楽しみながら取り組んでいる様子もうかがえる(図表 10)。一方、エコに「あまり関心がない」層
で
楽しい
と回答した人は1人もおらず、反対に「エコ生活を送ることは手間がかかり面倒であ
る」との回答が 40.0%に上っている(図表 11)。
図表 10
0
エコ生活を送ることは楽しい
【エコへの関心度別】
10
全体
20
30
40
50
%
エコ生活を送ることは手間がかかり面倒
【エコへの関心度別】
0
17.9
10
全体
かなり関心がある
やや関心がある
図表 11
49.0
かなり関心がある
40
50
%
3.1
9.2
40.0
あまり関心がない
あまり関心がない 0.0
30
10.0
やや関心がある
10.2
20
7.今後のエコ生活への取り組み方
今後のエコ生活への取り組み方について尋ねたところ、全体の 37.5%が「できるだけお金も手
間もかけずに取り組みたい」としており、「できるだけお金をかけずに取り組みたい」が 35.5%、
「できるだけ手間をかけずに取り組みたい」が 17.4%となっている。
「お金や手間がかかっても積
極的に取り組みたい」はわずか 6.5%であった(図表 12)。
エコに「あまり関心がない」層は、「できるだけ手間をかけずに取り組みたい」との回答が
43.3%と他の層よりかなり高く、お金がかかること以上に手間がかかることに対する抵抗感が強い
様子が見受けられる。
以上
図表 12
0%
全体 6.5
かなり関心がある
20%
17.4
11.5 10.4
やや関心がある 5.9
あまり関心がない
0.0
今後のエコ生活の取り組み方
【エコへの関心度別】
16.8
40%
60%
37.5
35.5
43.8
32.3
34.2
43.3
80%
39.1
16.7
お金や手間がかかっても積極的に
できるだけお金をかけずに
不明
40.0
100%
3.1
2.1
3.9
0.0
できるだけ手間をかけずに
できるだけお金も手間もかけずに
6