将 来 キ ャ ッ シ ュ・フ ロ ー の 見 積 期 間

特集 実務のギモンが氷解
耐用年数の延長が見込まれる場合は?
で あ る と 考 え ら れ る( 意 見 書 四 2 ⑵
野村 奈穂
プの主要な資産の経済的残存使用年
② )。 こ れ に 対 し て、 使 用 価 値 の 算
において行われる。
通常、
将来キャッ
プおよび減損損失の測定のステップ
ち、減損損失の認識の判定のステッ
は、減損会計の4つのステップのう
将来キャッシュ・フローの見積り
するものであるが、主要な資産をい
る際に企業がその実態に応じて決定
3)
)
、資産のグルーピングを決定す
成資産であり(減損会計基準注解(注
ロー生成能力にとって最も重要な構
資産グループの将来キャッシュ・フ
項)。
ら れ る た め で あ る( 減 損 適 用 指 針
積期間を制限する必要はないと考え
価値として算定されるため、その見
値が将来キャッシュ・フローの現在
定められていない。これは、使用価
定のために将来キャッシュ・フロー
シュ・フローの見積期間が長いほう
ずれの資産にするかによって、将来
項⑴・⑵)。主要な資産とは、
が将来キャッシュ・フローは大きく
キャッシュ・フローの見積期間が異
用指針
数 を 基 礎 と し て 決 定 さ れ る( 減 損 適
新日本有限責任監査法人
公認会計士
将来キャッシュ
・フローの
見積期間
概 要
なると考えられ、将来キャッシュ・
なることになる。
を見積る場合は、 年という上限が
フローの見積期間の長短が、減損損
失の認識要否の判定結果や減損損失
の計上額に影響する。
な お、 長 期 に わ た る 将 来 キ ャ ッ
減損損失の認識の判定のために割
定のために将来キャッシュ・フロー
高くなる点については、使用価値算
シュ・フローの見積りの不確実性が
引前将来キャッシュ・フローを見積
価値の算定のために資産グループの
減損損失の認識の判定および使用
要があったこと、また一般的に長期
とから、その見積期間を制限する必
いては使用期間が無限になり得るこ
れているのは、少なくとも土地につ
キャッシュ・フローの見積りまたは
が見積値から乖離するリスクを将来
1のように、将来キャッシュ・フロー
シュ・フローを見積る場合は、図表
使用価値算定のために将来キャッ
陳腐化の危険の程度等といった、減
のほか、使用上の環境、技術の革新、
材質・構造・用途等の物理的な要因
可 能 と 予 測 さ れ る 年 数 と 考 え ら れ、
は、当該資産が今後、経済的に使用
主要な資産の経済的残存使用年数
⑵ 主要な資産の経済的残存
使用年数と減価償却計算上
の残存耐用年数の関係
る。
有無に相違が生じていると考えられ
ていることから、見積期間の上限の
(注)
主要な資産の経済的残存使用年数が20年を超える場合は、21年目以降に見込まれ
る将来C/Fに基づいて算定された20年経過時点における回収可能価額を、20年目まで
の割引前将来C/Fに加算する
(減損適用指針18項⑵)
。
にわたる将来キャッシュ・フローの
を見積る場合も同様である。しかし、
見積値から乖離するリスク
の取扱い
減損損失の認識の 資産グループの主要な 将来C/Fの見積りにリスクを
(減損適用指針
判定時
資産の経済的残存使用 反映しない
(割 引 前 将 来C/F 年数と20年のいずれか 19項)
の見積り)
短い年数(注)
使用価値の算定時 資産グループの主要な 将来C/Fの見積りと割引率
(割 引 後 将 来C/F 資産の経済的残存使用 のいずれかにリスクを反映す
の見積り)
年数
る
(減損適用指針39項)
将来キャッシュ・フローを見積る期
年の上限が設けら
将来C/Fの見積期間
価償却計算上の耐用年数を見積る際
る場合について
(図表1)
将来キャッシュ・フロー(将来C/F)の見積期間と見積値か
ら乖離するリスクの取扱い
割引率のいずれかに反映するとされ
⑴ 将来キャッシュ・フローの
見積期間
119
20
見積りは不確実性が高くなるため
20
間は、図表1のように、資産グルー
経理情報●2017.2.1(No.1469)
17
37
Ⅱ
減損会計の重要論点Q&A