2-2-2 栃木県自主防災組織育成方針 1 趣 旨 大規模災害が発生した場合には、道路や橋梁の損壊、建物の倒壊、火災、電気施設や水道管が 寸断するなど、防災関係機関による災害対策活動の機能が著しく減退するおそれがある。 このため、災害による被害の防止又は軽減を図るためには、地域住民及び施設の関係者による 組織的な防災活動に期待するところが大きい。 災害に強い地域づくりを推進するためには、防災関係機関による体制整備はもとより、地域住 民一人ひとりが「自分たちの地域は自分たちで守る」という、地域的な連帯意識に基づいた自発 的な防災活動体制の整備・充実が必要である。 県では、東日本大震災等の過去に発生した災害を踏まえ平成26年4月に「災害に強いとちぎづ くり条例」を制定し、その中で自主防災組織の責務について定めたところである。 このような状況に鑑み、地域住民による自主的な防災組織の結成及び育成を積極的に推進する ものとする。 2 自主防災組織の定義 自主防災組織とは、次の2要件を満たす組織である。 (1) 「自分たちの地域は自分たちで守る」という住民の連帯意識に基づき、自主的に結成された 防災組織 (2) 災害による被害を防止し、軽減するために必要な資機材を利用し、実際に何らかの防災活動 を行う組織 なお、自主防災組織は必ずしも規約の制定を要件としていないが、組織の活動等について規 約を作成し、明文化しておくことが望ましい。 3 自主防災組織育成の推進機関 市町長は、災害対策基本法第5条第2項の規定に基づき、自主防災組織の結成及び育成を推進 するものとする。 なお、県及び防災関係機関は、密接な連携のもとに自主防災組織の結成及び育成に積極的に協 力するものとする。 4 自主防災組織の育成 (1) 自主防災組織の育成推進重点地区 全県的に結成及び育成を推進するが、特に次の地域では早期に結成するものとする。 ① 消防力の基準(昭和36年消防庁告示第2号)第2条に規定する市街地の区域 ② 消防水利の不足している地域 ③ 道路事情等により消防活動が制約されるような地域 ④ 急傾斜地等防災上注意すべき箇所に近接する地域 (2) 自主防災組織の規模 地域の自主防災組織は、次の事項に留意して住民が防災活動を行うために適正な規模の設置 を推進するものとする。 ① 住民相互に「自分たちの地域は自分たちで守る」という連帯感がわき、地域の防災活動を 効果的に行うことができる規模であること。 ② 地理的状況、生活環境等からみて、住民の日常生活の基盤となる地域として一体性を有す る規模であること。 (3) 自主防災組織の組織づくり 既存の町内会、自治会等の組織を積極的に活用し、自主防災組織として育成することを基本 として、次の方法等により組織づくりをするものとする。 ① 自治会等の組織活動として、既に防災に関する活動が盛り込まれている場合は、その活動 内容の充実、強化を図り、自主防災体制を整備する。 ② 自治会等はあるが、特に防災活動を行っていない場合は、自治会等の活動の一環として防 災活動を組み入れることにより、自主防災組織として育成する。 ③ 小学校区単位等の規模で地域活動をしている組織がある場合は、それをいくつかの地区編 成をするなどし、自主防災組織として育成する。 ④ 自治会等の組織がない場合は、その地域で活動している何らかの団体、グループ等の協力 を得るなどして、自主防災体制の整備を推進する。 5 自主防災組織の連絡機関 市町内に自主防災組織が複数整備されたときは、これらの組織の活動を調整するため連絡機関 を設けることが望ましい。 6 自主防災組織の育成推進活動 市町は、県及び防災関係機関との連携を図りながら、地域の実情に応じた次のような活動を実 施し、組織の結成及び既存組織の活性化を推進する。 (1) 広報活動 隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織の必要性を認識させ、併せて防災意識の高揚を図 るため積極的に広報活動を実施する。 (2) 育成指導者の養成等 ① 自治会長等の地域のリーダーを対象に、自主防災組織づくりを指導するとともに、防災に 関する知識の普及を図るための防災教育を実施する。 ② 地域防災活動推進員等の防災指導者を対象に、災害に関する知識、技術の取得及び災害時 の対応に関する研修等を実施することにより、地域住民による防災組織づくり運動の推進者 となるリーダーとして養成する。 (3) 各種団体等との協調 ① 婦人防火クラブ等の民間防災組織や地域の諸団体及び防災関係機関との連携を緊密にし、 自主防災組織の活動が実効あるものとなるよう指導する。 ② 地域防災活動推進員等の防災指導者を活用し、自主防災組織が有効に機能するよう指導す る。 (4) 既存組織の活性化 既存組織に対しては、リーダーの研修や各種防災訓練への参加等を促し、その活性化を図る。 (5) 防災資機材の整備 県等の助成制度を活用するなどして、必要な防災資機材の整備に努める。 7 自主防災組織に対する支援 (1) 市町 自主防災組織の運営全般に対する積極的な指導、支援に努めるものとする。特に、次の3点 については重点的に実施するものとする。 ① 自主防災組織が実施する防災資機材整備に対する支援 ② 自主防災組織が実施する防災訓練に対する指導 ③ 自主防災組織リーダーの養成 (2) 県 市町が行う自主防災組織の育成推進活動の基盤を整備するため、県民に対する防災思想の普 及・啓発及びリーダーの養成等を推進するとともに、市町の活動に対する積極的な指導、支援 に努めるものとする。 (3) その他の防災関係機関 防災関係機関は、市町等が実施する自主防災組織育成推進活動に対し、積極的に協力するも のとする。
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