H28 男子新体操全国指導者選手合同合宿(青森会場) 報告 1 月 8 日~9 日の2日間、青森山田学園国際卓球センターにおいて東北地区の合同合宿(青 森)を開催した。青森会場は参加者総数約 160 名ということでやや手狭な感はあったが、 単独会場としては過去最高の参加者数となった。 【1日目】 開講式(菊地司会・中田挨拶)に引き続き、全員で講習①、BULE TOKYO kids の川 戸先生によるコーディネーショントレーニングを行った。様々な種類のグループを作り、 多様なエクササイズを実施した。身体だけでなく脳を使いながら、楽しく、幅広い世代の 選手達が一緒になって体を動かしコミュニケーションを取ることができた。このトレーニ ングは、ストレスの発散や気分転換にもなるだけでなく、神経伝達回路のトレーニングも 含めており、体をイメージ通りに動かす技術の向上も望むことが出来る。身体を動かすこ との楽しさを入り口に、イメージ通り体をコントロールするために必要なトレーニングを 伝えることができた。 引き続き講習②、青森大学の中田先生による、徒手の講習が行われた。指導者・選手と も、徒手の基本となるラジオ体操の習得を通じて、動きのポイント、男子新体操における 動きとの関連性について、実際に動きながら習得していった。ラジオ体操は我々にとって 小学校時代から学校教育の現場でなじみ深いものであるが、正しい形や実施方法について 間違った知識を持っている者が多かった。体のどの部分に着目して運動が作られ、実施さ れているかを理解した上でラジオ体操を行うことで、徒手体操の重要性を学ぶことができ たと感じる。その後、青森大学が実際に行っている演技構成に含まれる基本徒手の中で、 「質」 を高めるために気をつけたり、留意している観点を聞くことにより徒手の奥深さを知るこ とができた。 1/5 講習③は、指導者と選手とに分かれて講習を行った。指導者コースはまず、「男子新体操 を通した組織作り」をテーマにして、青森山田高校監督の荒川先生に講話をしていただい た。競技人口のさほど多くない男子新体操が今後どの様な取り組みを行って、裾野を広げ ていくか。また、選手のセカンドキャリアをどの様に構築していくかなどを、実際に荒川 先生が行っている取り組みを交えながらお話しいただいた。これまでは学校教育現場(特 に中高)の関係者が男子新体操を支えてきている面は否めないところがあったが、今後は 一般社団法人やNPOなどの法人格や民間企業という形でも男子新体操の底辺拡大につな げていく必要性に迫られてくることが話され、指導者としても、技術指導のみならず、男 子新体操の価値を高めていく活動に、これまで以上に興味関心を持っていかなければなら ないということを熱く伝えていただいた。 講習④は、2015 年版ルールの改定と今年度の大会における運用について、男子新体操委 員会の菊地が講習を行った。今年度、2015 年版採点規則が本格運用され、各種大会におい てさまざまな課題がでてきた。それに対する見解と、来年度変更予定の内容について、短 時間であったが、伝達講習をおこなった。現役の大学生も多く参加し、自分の演技がどの 様に審判サイドから評価されているかを直接聞くことが出来た。このような機会はあまり ないので、講習で学んだ内容を今後の演技構成作りや練習に反映させていくことができる のではないだろうか。 2/5 指導者の講義中、アリーナでは全員が参加しての合同練習が行われた。今回は初心者・ 中学生・高校生の 3 班に分け、大学生が指導補助として一緒に練習する形を取った。普段 一緒に練習する機会のない選手同士がタンブリングや手具操作、演技の指導を同じ空間で 行うことで、他のチームの選手を目の当たりにして刺激を受けていた。これにより、技術 の向上につながるヒントが得られ、今後の練習に対するモチベーションアップにもつなが ったのではないかと感じる。 1 日目の最後、講習⑤として、 「新体操における栄養指導」というテーマで、 (株)エフア シストの藤倉修一講師にお話しいただいた。親しみの持てる話し口調とわかりやすい映像 を用いて、体作りやコンディショニング、試合でのパフォーマンス向上において、栄養補 給がいかに重要であるかを伝えていただいた。本来であれば普段の食事を管理している保 護者に聞いて欲しい部分も多かったが、自らの体に必要な栄養素を理解し、食事を適切に 摂るためにも、選手自身が栄養の基礎知識を持つことが大事であることが話された。食事 の方法(回数や時間)や食事だけでは難しい場合に必要な栄養素を摂取する方法も取り上 げてもらい、正しい知識に基づいた栄養補給を自ら考え実践していくことが、競技成績を 上げることにつながるということを伝えていただいた。故障しにくい体をつくり、結局は パフォーマンス向上につながるのだと言うことを選手たちも理解できたのではないだろう か。 3/5 【2 日目】 2 日目は講習⑥として、ビジョントレーニングから講習がはじまった。近年、プロ野球の 球団でも取り入れられているトレーニングであるが、視覚を強化することで、指導者が教 えている内容の理解度が高まったり、運動のパフォーマンスが向上したりすることが期待 できるということだった。また、様々な視覚テストを通じて、選手の視覚面での弱点を知 ることができ、苦手な動きや視野の拡大に役立つ場合もあるとのことだった。短時間の講 習だったので、予定していた全てのエクササイズを行うことは出来なかったが、身体のト レーニングと一緒で、目もトレーニングをすることで視野が広がったり、距離感が適切に 保てるようになったりと競技力の向上に結びつくとのことだった。ただ、やり過ぎには注 意して欲しいとのことで、練習の中に少しでも取り入れることで選手の能力アップにつな がるということだった。 続いて講習⑦、鈴木ラーソン先生によるダンス講習が行われた。東京のダンスシーンで 活躍されている現役ダンサーの先生による指導ということで、大学生も含め、意欲的に取 り組んでいた。自分の感情を表すという面では新体操に通じるものが多くあり、何よりも 参加者が楽しく踊り、様々な表現にチャレンジしている様子が見られ、選手にとって貴重 な体験ができた。講習内容はリズムの取り方の基本からスタートし、実際に講師が考えた 振り付けをその場で真似し、動いていく流れだった。ダンスは 30 秒程度の動きだったが、 数パートに分けながら、動きをトレースし、曲に合わせていく作業を繰り返して、動きを 習得していった。最後は 3 つのグループに分けて前に出て動きを見合う形で終わったが、 講師に追随するような切れのあるダンスをする選手もいた。講師の方からは、ダンスに限 4/5 らずいろいろなことを経験していくことが自らの引き出しを増やし、それが踊りをより深 いものにしていくということが話された。男子新体操においても、様々なジャンルを学べ るこの合同合宿の意義は大きいのではないかと感じた。 最後に、2 日間の講習を締めくくる形で、青森大と青森山田高校の 4 名の選手による模範 演技が行われた。アップ時間が多く取れない中で選手には苦労をかけたが、トップレベル の選手の演技を間近に感じる機会は参加者にとって貴重な経験として今後の練習へのモチ ベーションになったのではないだろうか。 今回、東北会場を 2 会場に分けて実施して 2 回目の合宿となったが、男子新体操の盛ん な地域だけあって、多くの参加者が集まり、盛会のうちに無事終了することができた。来 年度に向けさらに多様なプログラムを用意し、選手指導者の技術向上に寄与していきたい。 最後に合宿の会場を提供していただいた青森大学、講師を引き受けていただいた講師の 皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。来年度に向けて参加した選手・指導者の皆さん が合宿の内容を少しでも取り入れて、日々の練習に活かしていただければ幸いです。 男子新体操委員会 5/5 菊地伸宏
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