1 社会・治安情勢 (1)ホンジュラス国立自治大学暴力研究所によると,2016年中の,当国にお ける殺人死者数は5,154人(前年同期比+6人),人口10万人あたりの 殺人死者数は59人(同-1人)で,3年連続で減少していた殺人死者数が増 加に転じた。 各地で犯罪組織間の抗争と見られる殺人事件が発生しており,銃撃の末,一 度に4人が殺害される事件も発生するなど,都市部において殺戮事件が散発し ているほか,職務執行中の警察官が銃撃を受け殉職した事件も発生している。 (2)コカイン,マリファナが大量押収されるケースは続いており,薬物精製所, 密輸用滑走路も発見されていることから,当国が,薬物の中継地及び精製拠点 として位置付けられている状況は変わっていないと考えられる。こうした情勢 を受け,当国,グアテマラ,エルサルバドルの国境地域の薬物密輸対策等を目 的とした「中米北部3か国共同部隊」が発足した。 (3)バス,タクシーなど公共交通機関関係者に対する殺人,銃撃,放火事件が多 発している。多くは,みかじめ料の支払いを拒否したことによる犯罪組織から の報復と考えられるが,無関係の通行人が流れ弾で巻き添えとなり死亡する事 件も発生している。 (4)保健省によると,ジカウイルス感染者数の累計は全国で32,000人を超 え,テグシガルパ市とサン・ペドロ・スーラ市における感染者数が,全体の半 数以上を占めている。 2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向及び対策 (1)銃器を使用した強盗事件は,首都圏の至る所で発生している。徒歩での移動 は,リスクが大変高く,また,「ラピディート」と呼ばれるマイクロバスに対 する放火事件等が相次いでいることから,安全な交通手段(ラジオタクシー等) での移動を勧めている。また,在留邦人が被害に遭った窃盗事件も発生し,短 時間でも貴重品等から目を離さないように勧めている。 (2)過去に,在留邦人が銀行で現金を引き出した後,その後の動向を監視され現 金を奪う事案が発生している。よって,在留邦人に対しては,銀行本店の利用 はできるだけ避け,ショッピングモール店内のATMの利用を勧めている。 3 邦人及び邦人以外の被害事案 (1)邦人の被害事案 特になし。 (2)邦人以外の被害事件 ア 10月6日,テグシガルパ市内アト・デ・エンメディオ地区において,男性 4人が銃で殺害された。 イ 10月12日,テグシガルパ市内ミラ・フローレス地区において,女性が運 転する車が銃撃された。 ウ 10月20日,テグシガルパ市内検察庁前において,学生が投石等を伴う抗 議活動を行い,治安部隊が放水,催涙ガスを使用するなどして鎮圧した。 エ 11月5日,バイア諸島ロアタン島において,男性が銃で殺害された。 オ 11月20日,テグシガルパ市内ロス・プロセレス地区において,男性が銃 で殺害された。 カ 11月29日,テグシガルパ市内国立競技場付近において,治安部隊とマラ 18との間で,銃撃戦を伴う車両追跡事案が発生した・ キ 12月11日,サン・ペドロ・スーラ市内において,12時間の間に,5名 が殺害された。 ク 12月21日,バイア諸島ロアタン島において,男性2名が銃で殺害された。 ケ 12月22日,サン・ペドロ・スーラ市内において,捜査官2名が銃で殺害 された。 4 テロ・爆弾事件発生状況 特になし。 5 誘拐・脅迫事案 日本人に対する被害はなし。 6 日本企業の安全対策に対する諸問題 (1)一般的にホンジュラス人の対日感情は大変良好であり,日系企業をターゲッ トとしたテロ等の発生可能性は低い。しかし,日本人起業家を対象とした恐 喝・強盗等は過去にも発生しており,一般・凶悪犯罪に対しては十分な注意が 必要である。 (2)犯罪被害に遭わないためには危険地域を十分に把握し,そのエリアには近づ かないことが肝要である。当該地域での業務予定がある場合は,現地治安機関 及び日本大使館から十分な治安情報を収集することが重要である。
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