1 社会・治安情勢 (1)殺人事件の発生件数は,今年に入っても引き続き

1 社会・治安情勢
(1)殺人事件の発生件数は,今年に入っても引き続き減少傾向にある。しかし,各地で
犯罪組織間の抗争が発生しており,銃撃戦の末,一度に5人が殺害される事件も発生
するなど,都市部において殺戮事件が散発している。
(2)治安当局のオペレーションにより,コカイン,マリファナが大量押収され,薬物精
製所,密輸用滑走路も発見されていることから,薬物の中継地及び精製拠点としての
位置付けは変わっていないと考えられる。
(3)バス,タクシーなど公共交通機関関係者に対する殺人事件が多発している。多くは
みかじめ料の支払いを拒否したことによる犯罪組織からの報復と考えられるが,無関
係の通行人が,流れ弾で巻き添えとなり死亡する事件も発生している。
(4)6月29日に,保健省が発表した資料によると,ジカウイルス感染者数の累計は全
国で25,000人を超え,サン・ペドロ・スーラ市とテグシガルパ市における感染
者数が,全体の半数以上を占めている。
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向及び対策
(1)殺人事件発生件数は減少傾向にあるものの,銃器を使用した強盗事件は,首都圏の
至る所で発生している。徒歩での移動は,リスクが大変高いことから,安全な交通手
段(ラジオタクシー等)での移動を勧めている。また,在留邦人が被害に遭った窃盗
事件も発生し,短時間でも貴重品等から目を離さないように勧めている。
(2)銀行で大金を下ろした後,その動向を監視され襲撃される事件が発生し,過去には
在留邦人も被害に遭っている。よって,在留邦人に対しては,銀行本店の利用はでき
るだけ避け,ショッピングモール店内のATMの利用を勧めている。
3 邦人及び邦人以外の被害事案
(1)邦人の被害事案
5月27日,在留邦人が,自己の勤務先において訪問客を装った男性の応対中,同
男性から目を離した隙に,机の上に置いていた腕時計等を窃取された。
(2)邦人以外の被害事案
ア 4月2日,テグシガルパ市内サン・ミゲル地区において,男性が銃撃され殺害さ
れた。
イ 4月18日,テグシガルパ市内マンチェン地区において,男性が銃撃され殺害さ
れた。
ウ 4月19日,サン・ペドロ・スーラ市内において,少年がマラスに銃撃され殺害
された。
エ 5月1日,サン・ペドロ・スーラ市内において,対立する2つのグループ間で銃
撃戦が発生し,男性5人が殺害された。
オ 5月16日,テグシガルパ市内サン・ミゲル地区において,男性が銃撃され殺害
された。
カ 5月26日,テグシガルパ市内ミラ・フローレス地区において,男性が銃撃され
殺害された。
キ 6月5日,テグシガルパ市内キンセ・デ・セプティエンブレ地区に所在するガソ
リンスタンドに強盗が現れ,売上金を強取した後,店員が銃撃され殺害された。
ク 6月7日,アトランディダ県ラ・セイバ市内において,バスが銃撃を受けた上,
放火され,その後,警察との間で銃撃戦となり,付近を通行していた女性が流れ弾
に被弾し死亡した。
ケ 6月7日,コルテス県プエルト・コルテス市内において,覆面をした男性がバス
に乗り込み,車内で銃を乱射し,乗客3名が殺害された。
4 テロ・爆弾事件発生状況
特になし。
5 誘拐・脅迫事案
6月30日,アトランディダ県において米国籍男性等が誘拐され,家族に身の代金が
要求される事案が発生した(被害者は無事救出)
。
日本人に対する被害はなし。
6 日本企業の安全対策に対する諸問題。
(1)一般的にホンジュラス人の対日感情は大変良好であり,日系企業がターゲットとな
る可能性は低いと考えられる。しかし,一般的に裕福なイメージのある日本人企業家
を対象とした恐喝・強盗事件は過去に発生していることから,一般犯罪に対しては十
分な警戒が必要である。
(2)犯罪被害に遭わないためには,危険地域を十分に把握することが重要である。当該
地域での業務予定がある場合は,現地治安機関及び日本大使館から十分な治安情報を
収集することが必要である。