Economic Indicators 定例経済指標レポート

Market Flash
酉年も日銀は騒ぐまい
2017年1月13日(金)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】
・新規失業保険申請件数は24.7万件と、異例の低水準から僅かに増加したものの、今次局面の最低水準付近
を維持。4週平均も25.7万件と労働市場の量的改善を示す値となった。失業保険申請件数の減少ペースは
鈍化しているものの、息の長い回復が続いている。
新規失業保険申請件数
(千件)
(前年比、%)
雇用者数・新規失業保険申請件数
6
410
4
380
350
2
320
0
290
-2
260
-4
(前年比、%)
-50
失業保険(右)
-30
-10
NFP
10
30
230
12
13
14
15
16
50
70
-6
17
80
85
90
95
00
05
10
(備考)Thomson Reutersにより作成 3ヶ月平均の前年比
(備考)Thomson Reutersにより作成。太線:4週移動平均
90
15
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株は反落。11日のトランプ次期大統領の記者会見で具体的な経済政策について言及がなかった
ことなどから利益確定売りが優勢となり、NYダウは一時180㌦超下落する場面があったが、米景気に対す
る楽観的な見方が残存するなか、下値では押し目買いが入り結局は小幅安に留まった。欧州株はやや軟調。
WTI原油は53.01㌦(+0.76㌦)で引け。主要通貨に対するUSD安が追い風。
・前日のG10 通貨はGBPが最弱でそれにUSDが続いた。その反面、アジア株の下落などリスクオフの流れが強
まるなかでJPYの強さが目立ち、欧州時間にUSD/JPYは一時114を割れた。その後の米国時間は米国株がやや
持ち直すのを横目に下落が一服。114を回復して日本時間を迎えた。
・前日の米10年金利は2.363%(▲0.9bp)で引け。株式市場と同様に日中値幅は大きくなっているが、一日
を通してみると小幅な金利低下で引けている。欧州債市場(10年)は総じてコア堅調、周縁国まちまち。
ドイツ(0.316%、▲1.2bp)、スペイン(1.403%、▲1.1bp)が金利低下となった反面、イタリア
(1.893%、+2.7bp)が小幅に金利上昇。周縁国加重平均の対独スプレッドは小幅にワイドニング。
【国内株式市場・アジアオセアニア経済指標・注目点】
・日本株は米国株下落の流れを断ち切り反発(10:30)。12日に大幅下落した反動もあり買戻しが優勢とな
っている。
・12日発表の12月景気ウォッチャー調査によると現況判断DIは51.4と11月から横ばい、先行き判断DIは
50.9へと0.4pt軟化した(季節調整値)。円安・株高といった金融市場要因に加え、在庫調整の進展等によ
る増産傾向を背景に企業関連でDIが上向いた一方、家計関連のDIは野菜価格の高騰などから下落。先
行き判断DIは小幅に軟化したが3ヶ月連続で節目の50を上回っていることは好感される。なお、内閣府
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1
は11月分より季節調整値をヘッドラインとして公表。従来のヘッドラインであった原数値は「参考」とし
ている。
景気ウォッチャー調査
65
60
先行き
55
50
45
40
現状
35
30
25
10
11
12
13
(備考)Thomson Reutersにより作成
<#名目GDP>長期金利 #日銀
14
15
16
>
・一般に長期金利は実質金利+予想インフレ率の合計とされ、それはつまるところ長期金利が名目GDP成
長率に近い値となることを意味する(ここではリスクプレミアムは無視)。従って、理論上の長期金利は
名目GDP成長率を僅かに上回る(ここでは差分をリスクプレミアとする)。実際、日本の名目GDP成
長率と10年金利は概ねそうした関係が成立してきた。
・例外はここ数年とバブル期。1980年代後半は複合的要因による金利低下を背景に、長期金利が複数年にわ
たって名目GDPを下回っていたため、それが不動産開発を中心とする過剰投資に繋がり、バブルの一因
となったとされている。「名目GDP>長期金利」の関係は財政の健全化を議論する上では前向きなもの
だが、あまりに長期間その状態にあると過度なリスクテイクを誘発することが指摘されている。実際、
2000年代半ばの欧米の住宅バブル期においてもこの関係は成立していたので、やはりバブルの一因になる
との指摘は説得力がある。
・そこで最近の日本経済に目を転じると、「名目GDP>長期金利」の関係が顕著になっている。2013年以
降、名目GDPが平均的に2%近傍で増加する下、長期金利は日銀の金融政策によって名目GDP以下に
抑制されており、現在は80年代後半よりも緩和的な金融環境にある。そして、こうした状況はイールド・
カーブ・コントロール(YCC)、オーバーシュートコミットメントによって更なる長期化の可能性が高
まっている。このことは、日銀が多少の過剰投資は黙認し、景気回復を優先するシグナルと理解される。
日銀は2000年代半ばの拙速な金融緩和解除という苦い経験を持っていることもあり、よほどのインフレ、
明からなバブルが来ない限り、YCCを貫くだろう。米大統領選後の円安・株高で金利の操作目標引き上
げが俄かに意識されたようだが、当分の間、政策変更は見込まれない。
(前年比、%)
名目GDP・10年金利
10
8
6
4
名目GDP
2
0
-2
10年金利
-4
-6
-8
-10
85
90
95
00
05
10
(備考)Thomson Reutersにより作成 4四半期平均
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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