立川市シティプロモーション基本指針(改訂版)

立川市シティプロモーション基本指針(改訂版)
~立川がちょうどいい~
平成 26 年5月
立川市
目
次
1.シティプロモーション基本指針の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(1)シティプロモーションとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(2)立川市を取り巻く状況(基本指針策定の背景)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
①人口の減少・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
②財政状況の悪化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
③地域への愛着心・誇り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
④他団体における取り組みの状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(3)立川市におけるシティプロモーションの必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(4)本指針の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2.シティプロモーションの視点からみた立川市の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(1)各種調査からみた立川市の強み・弱み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①立川市市民意向調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
②立川市来街者調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
③第4次長期総合計画検討市民会議・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(2)プロジェクトからみた立川市の強み・弱み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
(3)立川市の強み・弱みの整理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
(4)立川市の目指す将来像(目指すべきシナリオ)
・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
3.シティプロモーションの推進戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
(1)基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
(2)キーコンセプトの設定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
(3)推進戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
4.立川市のシティプロモーションの展望・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
(1)シティプロモーションの推進スケジュール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
(2)第4次長期総合計画への「シティプロモーション」の位置づけ・・・・・・・・・・26
(3)推進体制の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
①庁内組織の体制・役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
②観光協会等関係団体との連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
③情報発信のしくみ(市広報・市ホームページ・SNS等)
・・・・・・・・・・・・ 27
(4)
「(仮称)立川市シティプロモーション計画」の策定・・・・・・・・・・・・・・・27
(5)
「
(仮称)立川市シティプロモーション計画」に盛り込む内容・・・・・・・・・・・28
(6)計画の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
5.おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
1.シティプロモーション基本指針の趣旨
(1)シティプロモーションとは
シティプロモーションとは、従来の行政が行う広報や観光プロモーションとは異なり、
行政と市民が協力し、まちの魅力を高めて内外にアピールすることで、企業や住民の誘致
や定着を図り、来街者や市民の交流を増やすことにより、将来にわたるまちの活力の源を
得ることにつなげる活動を言います。
(2)立川市を取り巻く状況(基本指針策定の背景)
①人口の減少
現在、我が国は人口減少社会を迎えています。国勢調査によると全国の人口増加率は、
ほぼ横ばいとなっており、東京都など大都市圏の人口は増加が見られるものの、その他
では既に人口が減少しています。更に、年齢別では、15 歳未満人口は減少し、65 歳以
上人口は増加しており少子高齢化が確実に進行しています。
市では、「立川市第4次長期総合計画」を策定するための基礎資料、「立川市長期総合
計画策定のための将来人口推計調査報告書」
(平成 25 年 10 月)の中で、人口の現状分
析と将来見通しを行っています。
報告書によると、立川市の人口の現状については、「H22(2010)年ごろから人口増
加が鈍化し、H24(2012)~H25(2013)年にかけて微減に転じた。H25(2013)年1
月1日現在の立川市の総人口は 178,407 人となっている。」としています。
また、将来見通しについては、
「H26(2014)年に 178,559 人(現況より 152 人増加)、
H27(2015)年に 178,557 人(現況より 150 人増加)とピーク時期を迎える。以後、
減少を続け、立川市第 4 次長期総合計画の目標年次である H37(2025)年には 174,592
人(現況より 3,815 人減少)、20 年後の H45(2033)年には 167,909 人(現況より 10,500
人減少)、30 年後の H55 年(2043 年)には 156,686 人(現況より 21,721 人減少)と
なる見通しである。」としており、立川市においても人口の減少見込みが報告されていま
す。
また、年齢階層別人口の将来見通しについては、「0~14 歳の年少人口は減少を続け、
H55(2043)年には現況よりも約 6,500 人、立川市の人口に占める割合では 2.4%減少
し、少子化の影響が今後も継続する見通しである。15~64 歳の生産年齢人口は H55
(2043)年には現況よりも約 32,000 人、立川市の人口に占める割合では 11.2%減少す
る見通しとなっている。65 歳以上の高齢者人口は H34(2022)~H40(2028)年にか
けて増加が鈍化するものの、H41(2029)年以降再び増加を続け、H55(2043)年には
現況よりも約 17,000 人、立川市の人口に占める割合では 13.5%増加し、立川市の人口
の約3分の 1 が高齢者となる見通しである。」としており、立川市においても確実に少
-1-
子高齢化の波がやってくることが報告されています。
②財政状況の悪化
近年、本市の財政状況は必ずしも良好な状況とは言えません。経済状況の悪化による
税収減や税制改正等の影響が市の財政を圧迫し、施策の自由度を下げていることも事実
です。今後、経済状況が好転し、順調に推移すれば、市の財政状況も一時的な好転を見
ることができるかもしれません。
しかし、人口の減少、とりわけ生産年齢人口の減少は、消費活動の総量を減らすこと
となり経済状況の悪化をもたらします。また、課税の総量も確実に減らすため、市の収
入に大きな影響を及ぼすこととなります。さらに、高齢者人口の増大は、高齢者に必要
となる施策にかかる社会保障費の増大にもつながり、それらの要因だけでも市の財政状
況が悪化することは容易に推察することができます。
他市より収入における割合が高い法人市民税についても、消費税率改定に伴う税制改
正の中で一部国税化されることが決定され、市としては大きな痛手となることが予想さ
れています。また、性質上、経済状況に大きく左右されるほか、法人税率引き下げが近々
に見込まれるなど、景況や税制改正の動向等を注視する必要があります。
財政状況が悪化すると、住民サービスは低下を余儀なくされ、
他の自治体と比較して、
その水準が低ければ、魅力も低下することになります。人口の減少が税収の低下を、税
収の低下が住民サービスの低下を生み、住民サ―ビスの低下により、さらに定住人口の
流出が起きるという、負のスパイラルに陥ってしまう危険性が高くなります。事業者や
住民に魅力ある施策を提供し続けるためには、財政状況が非常に大きな要因であると言
えます。
人口の減少や少子高齢社会の本格化により財政需要が増大する中で、課題に的確に対
応していくためには、健全な財政であり続けなければなりません。また、将来世代に健
全な財政基盤を継承していくことも必要となります。
③地域への愛着心・誇り
前項で述べた財政状況の悪化は、直接的に市民満足度を下げる「見えやすい相関」を
現出しますが、一方で、市民が市に対して「ふるさと」
「自らの居場所」としての愛着心
や誇りを抱く要素は、自然環境や地域での人間関係、長い間培われた歴史や伝統など、
不可視的な事柄にも大きく依拠します。
市民が立川市に対して持つ意識によって、市域の活力は左右されます。そこに住まう
市民が、自らの住むまちを愛し、誇りに思っていれば、まちをよりよくしようとする行
動や、よいまちであるという発信につながります。
市民が立川市に住んでいることに自信を持てるか、自慢できるまちと言えるかは、ま
ちの価値を向上させる大きな要因となります。
まちの魅力や住みよさなどを客観的に表すデータとして、各種調査やアンケートの結
-2-
果をまとめた様々なランキングが報告されています。ある雑誌の「住みたい街・住んで
よかった街ランキング」中、「住んでよかった街」では、立川市のランキングは、2011
年の 10 位から 2012 年には5位へと上昇しています。一方、
「市町村の魅力度ランキン
グ」(ブランド総合研究所「地域ブランド調査 2012」)では、ベスト 100 のランキング
外となっているほか、日本経済新聞社「日経グローカル」による「全国都市のサステナ
ブル(持続可能)度調査」においては、同規模の近隣各市がランキング上位となっている
にもかかわらず、立川市はベスト 30 のランキング外となっています。
このようなことから、立川市は交通の結節点としての利便性の高さ、商業集積、基盤
整備など都市の基礎力はあるものの、それが十分に認識されていません。現状、まちの
魅力や住みよさなどを市内外へ十分に発信できていないことが課題となっています。
④他団体における取り組みの状況
近年、大学キャンパスが郊外から都心に戻り、超高層マンションなどの住宅も増える
など、都心回帰の動きが進んでいます。それに歩調を合わせるように、区部をはじめ近
隣自治体もそれぞれの危機意識から、シティプロモーションを重点プロジェクトと位置
づけ、まちづくりを行うとともに、計画策定や専門人材を活用した担当セクションを設
けるなど、独自の対応策を講じています。先進的な自治体では、積極的に市あるいは県
を挙げてシティセールス、シティプロモーションの取り組みを行っています。
(3)立川市におけるシティプロモーションの必要性
立川市における近年の交流・定住人口は、減少または横ばいであり、前述のとおり決し
て楽観視できる状況ではないことから、今後の少子高齢社会の本格的な進展や都心回帰に
よる人口減少が懸念される中、危機感を持って対応していかなければなりません。
また、立川市を取り巻く他の自治体の状況からも、シティプロモーションの重要性は明
白で、立川市も早急にシティプロモーションに取り組み、住む・働く・遊ぶ・買うなど、
まちの魅力や住みやすさなどを積極的にアピールしていくことが重要な課題となっていま
す。
(4)本指針の目的
現在、立川市ではシティプロモーションについて、基本計画上の位置づけや戦略プラン
(個別計画)がないため、行政計画に基づく戦略の具現化を図ることが難しい状況です。
そこで、
「第4次長期総合計画」に立川市のシティプロモーションの取組を明確に位置づ
けていくことが重要と考え、本指針を策定することとしました。
本指針の目的は、立川市の目指すべき姿を達成するために必要となるシティプロモーシ
ョンの考え方を長期総合計画に位置付け、持続可能な都市経営を進めることです。
-3-
更には、本指針を基に組織としての推進体制を整備し、戦略プラン(個別計画)の策定
や実施により、持続可能で魅力のある「愛されるまち、選ばれるまち」の実現を図ってま
いります。
2.シティプロモーションの視点からみた立川市の現状
ここでは、シティプロモーションに取り組むにあたり前提となる条件として、現在の立川市
が持つ強みや弱みについてまとめました。
(1)各種調査からみた立川市の強み・弱み
①立川市市民意向調査
第4次長期総合計画の策定にあたり、平成 24 年 11 月から 12 月、住民基本台帳から
無作為抽出した 3,000 人を対象に「市民意向調査」を行いました。調査項目のうち、立
川市の「強み・弱み」に関係する項目についての分析結果は次のとおりです。
【強み】
○住みよさ
「あなたは、立川市を住みよいところだと思いますか。」という問いに対し、
「住
みよい」は 46.8%、「どちらかというと住みよい」は 38.6%、両者を合わせた『住
みよい』は 85.4%でした。
『住みよい』85.4%
「あなたは、これからも立川市に住みたいと思いますか。」という問いに対し、
「永
住したい」が 44.3%、
「当分の間住んでいたい」が 45.5%、両者を合わせた『住み
続けたい』は 89.8%でした。
-4-
『住み続けたい』89.8%
「住み続けたい理由」についての問いでは、
「交通の便が良い」が 49.2%、
「買い
物の便が良い」が 47.1%、
「自然環境・居住環境に恵まれている」が 44.7%、
「長年
住み慣れており、愛着を感じる」が 34.2%でした。
(複数回答)
○買い物
利便性についての問いでは、「日常の買い物」に対する満足度が最も高く、「大い
に満足」が 12.2%、「満足」が 37.9%、両者を合わせた『満足』が 50.1%でした。
一方「不満」が 10.8%、
「大いに不満」が 2.2%で両者を合わせた『不満』が 13.0%
でした。過半数の人が日常の買い物に利便性を感じていることが分かります。
-5-
『不満』13.0%
『満足』50.1%
○市への関心
「市政への関心の程度」では、
「大いに関心がある」が 14.3%、
「関心がある」が
42.5%、両者を合わせた『関心がある』が 56.8%だったのに対し、
「あまり関心が
ない」が 13.7%、「まったく関心がない」が 2.1%、両者を合わせた『関心がない』
が 15.8%でした。市政に関心を持つ人が多いことが分かります。
『関心がある』56.8%
『関心がない』15.8%
以上から、市民は立川市を「住みよい」と思っている割合が非常に高く、「交通の便」
や「買い物の便」といった利便性と「自然環境・居住環境に恵まれている」ことが住み
よさの主な理由であることが読み取れ、市政への関心度も高いことが分かります。
【弱み】
○快適性
快適性についての問いでは、
「騒音・振動・悪臭」の項目で「大いに満足」が 2.6%、
「満足」が 16.4%、両者を合わせた『満足』が 19.0%だったのに対し、「不満」が
19.0%、「非常に不満」が 5.7%、両者を合わせた『不満』が 24.7%でした。
『満足』19.0%
『不満』24.7%
-6-
○安全・安心
安全面についての問いで、『不満』が『満足』を上回った項目は次の4つでした。
・「青少年に対する社会環境・風紀」では『満足』が 7.9%、『不満』が 20.4%
・「犯罪対策」では『満足』が 9.6%、『不満』が 19.4%
・「交通安全対策」では『満足』が 10.8%、『不満』が 19.3%
・「地震や風水害等の自然災害対策」では『満足』が 12.0%、『不満』が 13.5%
○利便性
利便性(施設の満足度)についての問いで『不満』が『満足』を上回った項目は
次の3つでした。
・「高齢者・障害者用福祉施設」では『満足』が 9.5%、『不満』が 13.6%
・「スポーツ施設」では『満足』が 14.0%、『不満』が 20.4%
・「文化・レジャー施設」では『満足』が 13.8%、『不満』が 20.1%
以上の項目はいずれも「普通」が最も多く、
「満足」も「不満」も少数で、両者に大き
な差はありませんでしたが、
「満足」が「不満」を上回るよう、改善に向けて努力してい
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く必要があります。
②立川市来街者調査
第4次長期総合計画の策定にあたり、平成 25 年3月にJR立川駅周辺において「来
街者調査」
(有効回答数 615 枚)を行いました。調査項目のうち、立川市の「強み・弱
み」に関係する項目についての分析結果は次のとおりです。
【強み】
○立川に対する評価
「立川に対する評価」という問いについて、
・
「楽しくにぎわいがある」では、「そう思う」は 82.0%で、「どちらかという
とそう思う」は 12.5%となり、「そう思う」と「どちらかというとそう思う」
を合わせた、『そう思う』は 94.5%でした。
『そう思う』94.5%
・
「買い物・飲食が楽しめる」では、「そう思う」は 81.1%で、「どちらかとい
うとそう思う」は 13.2%となり、「そう思う」と「どちらかというとそう思う」
を合わせた、『そう思う』は 94.3%でした。
『そう思う』94.3%
・
「自然豊かな公園・緑地の整備が進んでいる」では、
「そう思う」は 43.3%
で、「どちらかというとそう思う」は 33.2%となり、「そう思う」と「どちらかと
いうとそう思う」を合わせた、『そう思う』は 76.5%でした。
-8-
『そう思う』76.5%
・
「家族連れでも安心して出かけられる」では、
「そう思う」は 51.4%で、「ど
ちらかというとそう思う」は 22.3%となり、「そう思う」と「どちらかという
とそう思う」を合わせた、『そう思う』は 73.7%でした。
『そう思う』73.7%
○立川のイメージ
「立川と聞いて思い浮かぶもの、イメージ」という問いでは、
・
「大型商業施設」が 62.0%
・
「昭和記念公園などの公園」が 52.7%
・
「飲食店」が 24.4%でした。
(複数回答)
○立川の良いところ
「立川の良いところ」についての自由回答では、
・
「駅前集中で便利」が最も多く 74.0%でした。
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以上から、来街者の抱く「立川の強み」のイメージは、
「楽しくにぎわいがあって発展
しており、駅前集中で便利。自然豊かな公園があり、家族連れでも安心して出かけられ
る。」となります。
【弱み】
○立川に対する評価
「まちの情報はわかりやすい」では、「そう思う」は 14.0%で、「どちらかとい
うとそう思う」は 17.7%となり、「そう思う」と「どちらかというとそう思う」を合
わせた、
『そう思う』は 31.7%となりました。
「どちらかというとそう思わない」(4.9%)
と「そう思わない」(5.9%)を合わせた、『そう思わない』は 10.8%となっていますが、
「どちらとも言えない」が 53.5%と大きな割合を占めました。
『そう思う』31.7%
『そう思わない』10.8%
○立川の良くないところ
「立川の良くないところ」についての自由回答では
・
「治安に対する意見」が最も多く、39.4%を占めました。
以上から、
「まちの情報発信」と「治安の確保」について、来街者はそれほど満足して
- 10 -
いません。来街者にとって分かりやすい情報発信と、安全に安心してまちを回遊するた
めの治安の確保は、まちのイメージ向上の観点からも非常に重要な課題であり、今後も
充実、改善を図っていく必要があります。
③第4次長期総合計画検討市民会議
第4次長期総合計画の策定にあたり、広く市民の意見を反映し、市民と行政との協働
によるまちづくりを推進するため、平成 25 年 8 月に市民 59 名、市職員 19 名、計 78
名により市民会議が設置されました。その中で出された主な意見は次のとおりです。
《立川の良いところ》
○福祉・医療
・子育てがしやすい
・福祉が充実している
○環境
・自然が多い!近くに緑がたくさんある
・玉川上水など緑の多さ
・昭和記念公園がある
・住みやすい
・自然災害が少ない
○教育・文化
・諏訪神社のお祭りなど伝統文化がある場所
・アニメでメジャーになりはじめている
・パブリックアートが多い(美術館ないけど)
・国立極地研究所、国立国語研究所がある
○都市・インフラ
・車で郊外(奥多摩など)に簡単に行ける
・交通の便が良い
・都心からもそんなに遠くない
・交通の要所
・都市機能と自然のバランス
・道が平ら
・駅前のペデストリアンデッキ
・駅前がバリアフリー化している
・大抵のことは市内で用が足りる
○産業
・商業施設が多い
・立川駅周辺が便利
・映画館がある!
・ショッピングモールができる
・イケアができる
・いろいろな買い物をまとめてできる
・イベントが多い
・昭和記念公園→観光の目玉
・立川うどは東京一
・新鮮な野菜がある
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○地域経営
・人口が多すぎない
・
「人情味」が残っている
・財政が健全
・国の行政機関が多い
《立川の悪いところ》
○環境
・子どもが遊べる場所がない
・駅前がキレイじゃない
・立川駅南口の治安
・ギャンブルの街(特に駅前)
・家賃が高い
・良好な住宅地が少ない
・ヘリコプターの音がうるさい(基地)
○教育・文化
・美術館やギャラリー、アートセンターが無い
・学校の校舎が古い
・立川に大学を誘致してほしい
・文化施設が少ない
・伝統的な文化が少ない
・スポーツ施設が少ない
○都市・インフラ
・市役所が駅から遠い
・駅前の交通渋滞
・自転車が安全に走れる道が少ない
・歩行者と自転車
・駅前の自転車が邪魔
・夜間の立川駅周辺が恐い
○産業
・商店が駅前に集中している
・シャッター通りが多くなった
・観光資源がない
○地域経営
・まだまだ全国的には知名度が低い、マイナー
・立川といえば○○○というものが無い
・立川のイメージがはっきりしない
・人が多すぎ
・夜間人口と昼間人口の差が大きい
・まちの宣伝係がほしい
・住む魅力をことばにできない
・情報発信の仕方が下手
・基地のまちのイメージが強い
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(2)プロジェクトからみた立川市の強み・弱み
平成 25 年 7 月から平成 26 年 3 月まで計 6 回行われた「立川市シティプロモーション
プロジェクト」において、立川市の「強み・弱み」に関してメンバーから出された主な意
見は次の通りです。
【強み】
○福祉・医療
・障害児のサポートや若者の自立支援への先進的な取り組みを行っている
・住んでいる人は障害者に親切で、懐の深いまちという印象がある
・保育園や子育てひろばが多く、子育て中の方たちのネットワークや講座の充実な
ど、子育てしやすいまちになっている
○環境
・国営昭和記念公園があり、多くの人が集まる
・玉川上水や根川緑道など緑が多い
・富士山が見える
○教育・文化
・国立極地研究所、立川防災館等の施設が集まっており、立川ならではの社会見学
ができる
・まんがパークは稀少な漫画を取り揃えており、今後の集客力が期待できる
・
「とある魔術の禁書目録」や「ガッチャマンクラウズ」や「聖☆おにいさん」など、
アニメの舞台や背景となっており、ファンが聖地巡礼に訪れる
・フロム中武のアニメショップや世界的フィギュアメーカーの存在など、サブカル
チャーが充実している
・ファーレ立川には世界的に価値の高い芸術作品が多数設置されているほか、石田
倉庫、高松町のアメリカンハウス、カンマーザール in 立川など、文化・芸術の拠
点が複数ある
・立川いったい音楽まつり、立川市民オペラ公演、たちかわ真夏の夜の演劇祭など、
市民参加型・市民主体の文化イベントが多数ある
・国立音楽大学とは協定を結び、連携を図っている
○都市・インフラ
・立川駅にはJR中央本線、青梅線、南武線、そして多摩都市モノレールが接続し
ているため交通の要衝となっており、多くの人が集まりやすい立地にある
・都心へのアクセスも良く、新宿駅まで 30 分程度で行ける
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・コンパクトシティ化が実現している
・暮らすのにちょうどいいまち、庶民的というイメージがある
・裁判所や警察署が市内にあり、手続きに便利
・市内2か所の体育館にはモノレールの駅が隣接しており、アクセス良好
・モノレールがあるので、先進的なまちというイメージがある
・駅周辺のバリアフリー化が進んでいるので、障害者、高齢者、子ども連れでも利
用しやすい
○産業
・立川駅周辺はデパートや映画館等の商業施設、飲食店等、多様な施設が集積して
いるので、駅周辺でほとんどの用事を済ませることができる
・駅周辺が便利なので来街者が多い
・大型店舗の出店も相次ぎ、商業都市化が進んでいる
・多摩地域では昼夜間人口比率が№1
・国営昭和記念公園のみどりの文化ゾーンでは年間を通して多くのイベントが開催
されており、立川駅北のサンサンロードとともに、駅近くのイベントスペースと
して賑わいを創出している
・市内各所で行われるお祭りなどのイベントが多い
・農業が盛んで、立川産の新鮮で安心安全なおいしい野菜が手に入る
○防災
・広域防災基地があるので、防災上の強みをアピールできる
・消防団が充実している
【弱み】
○環境
・自衛隊の基地があり、横田基地も近いことから、航空機やヘリコプターの騒音が
気になる
・駅前に緑が少ないイメージがある
○教育・文化
・美術館や劇場などの芸術施設や歴史的な観光資源が少ない
・総合大学がない
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○都市・インフラ
・交通渋滞がひどく、駐車場も不足している
・大型店舗の出店によりさらに渋滞が悪化する恐れがある
・競輪場やウインズによる賑わいがある反面、ギャンブルの街という印象がある
・治安が悪く、夜の街を歩くのが怖い
・雨の日に子供が遊べるような施設がない
○地域経営
・全国的な知名度が低く、個性がない
・立川市出身の有名人が少ない
・おしゃれなイメージでは都心や吉祥寺に勝てない
・市民や外部への情報発信が上手ではない
・イメージの打ち出しがないため、確たるイメージがない
・話題作りやマスコミへの発信も十分とは言えない
・イベントに関するホームページはいろいろあるが、点在していて把握が困難
(3)立川市の強み・弱みの整理
各種調査やプロジェクトにおける「強み・弱み」の考察や意見を総合すると、立川市に
おける主な「強み・弱み」は次のとおりとなります。
【強み】
(ア)交通の便が良い
市民意向調査では「住み続けたい理由」について、「交通の便が良い」「買い物の便
が良い」を挙げた方が半数近く、市民会議では、「交通の便が良い」
「都心からもそん
なに遠くない」等の意見があり、プロジェクトにおいても「立川駅にはJR中央本線、
青梅線、南武線、そして多摩都市モノレールが接続しているため交通の要衝となって
おり、多くの人が集まりやすい立地にある」「都心へのアクセスも良く、新宿駅まで
30 分程度で行ける」という意見がありました。
以上の分析より、
「交通の便が良い」ことが立川市の強みとなります。
(イ)まちのにぎわい
来街者調査では「立川に対する評価」について、
「楽しくにぎわいがある」と思って
いる方が8割以上、
「買い物・飲食が楽しめる」と思っている方が9割以上おり、「立
川の良いところ」についての自由回答では、7割以上の方が「駅前集中で便利」と回
答しております。市民会議では「商業施設が多い」
「立川駅周辺が便利」等の意見が出
- 15 -
ており、プロジェクトにおいても「立川駅周辺はデパートや映画館等の商業施設等、
多様な施設が集積しているので、駅周辺でほとんどの用事を済ませることができる」
「大型店舗の出店も相次ぎ、商業都市化が進んでいる」等の意見が出ております。
以上の分析より、
「まちのにぎわい」が立川市の強みとなります。
(ウ)緑豊かな自然環境
市民意向調査では「住み続けたい理由」について、
「自然環境・居住環境に恵まれて
いる」を挙げた方が半数近く、来街者調査では「自然豊かな公園・緑地の整備が進ん
でいる」と思っている方が7割以上、市民会議では「自然が多いところ。近くに緑が
たくさんある」
「昭和記念公園がある」等の意見があり、プロジェクトでは「国営昭和
記念公園があり、多くの人が集まる」
「玉川上水や根川緑道など緑が多い」という意見
がありました。
以上の分析より、
「緑豊かな自然環境」が立川市の強みとなります。
(エ)イベントが多い
市民会議では「イベントが多い」等の意見があり、プロジェクトでは「国営昭和記
念公園のみどりの文化ゾーンでは年間を通して多くのイベントが開催されており、立
川駅北のサンサンロードとともに、駅近くのイベントスペースとして賑わいを創出し
ている」「市内各所で行われるお祭りなどのイベントが多い」等の意見がありました。
以上の分析より、
「イベントが多い」ことが立川市の強みとなります。
(オ)芸術が身近な環境にある
市民会議では、
「パブリックアートが多い」という意見が出ており、プロジェクトで
は、
「ファーレ立川には世界的に価値の高い芸術作品が多数設置されているほか、石田
倉庫、高松町のアメリカンハウス、カンマーザール in 立川など、文化・芸術の拠点が
複数ある」という意見が出ております。
以上の分析より、
「芸術が身近な環境にある」ことが立川市の強みとなります。
(カ)アニメ
市民会議では「アニメでメジャーになりはじめている」という意見があり、プロジ
ェクトでは「『とある魔術の禁書目録』や『ガッチャマンクラウズ』や『聖☆おにいさ
ん』など、アニメの舞台や背景となっており、ファンが聖地巡礼に訪れる」等の意見
がありました。
以上の分析より、
「アニメ」が立川市の強みとなります。
(キ)農業
市民会議では「立川うどは東京一」
「新鮮な野菜がある」という意見が出ており、プ
- 16 -
ロジェクトでは「農業が盛んで、立川産の新鮮で安心安全なおいしい野菜が手に入る」
という意見が出ております。
以上の分析より、
「農業」が立川市の強みとなります。
【弱み】
(ア)治安が悪い
市民意向調査では安全面について、「青少年に対する社会環境・風紀」「犯罪対策」
「交通安全対策」への市民の満足度が低く、来街者調査では自由回答での「治安に対
する意見」が最多であり、市民会議では「夜間の立川駅周辺が恐い」という意見があ
り、プロジェクトにおいても「治安が悪く、夜の街を歩くのが怖い」という意見があ
りました。
以上の分析より、
「治安が悪い」ことが立川市の弱みとなります。
(イ)騒音
市民意向調査では快適性について、「騒音・振動・悪臭」への市民の満足度が低く、
市民会議では「ヘリコプターの音がうるさい」という意見があり、プロジェクトにお
いても「自衛隊の基地があり、ヘリコプターの音がうるさい」という意見がありまし
た。
以上の分析より、
「騒音」が立川市の弱みとなります。
(ウ)交通渋滞
市民会議では「駅前の交通渋滞(が多い)」という意見があり、プロジェクトでは「交
通渋滞が多く、休日における駐車場も不足している」
「大型店舗の出店によりさらに渋
滞が悪化する恐れがある」という意見がありました。
以上の分析より、
「交通渋滞」が立川市の弱みとなります。
(エ)情報発信力が弱い
来街者調査では「まちの情報はわかりやすい」と思っている人が少なく、市民会議
では「情報発信の仕方が下手」等の意見があり、プロジェクトにおいても「立川市は、
市民や外部への情報発信が上手ではない」等の意見がありました。
以上の分析より、
「情報発信力が弱い」ことが立川市の弱みとなります。
(オ)確たるイメージがない
市民会議では「まだまだ全国的には知名度が低い、マイナー」
「立川のイメージがは
っきりしない」等の意見があり、プロジェクトにおいても「全国的な知名度が低く、
個性がない」等の意見がありました。
- 17 -
以上の分析より、
「確たるイメージがない」ことが立川市の弱みとなります。
各種調査報告やプロジェクトの活動により抽出された「強み・弱み」のうち、
「弱み」に
あげられているものの多くは、
「安全・安心」や「交通対策」など、市においても既に課題
として認識され、その対応策に取り組んでいるものであり、市にとってマイナスイメージ
にあたる課題をゼロまたはプラスに転換するための施策については、引き続き責任を持っ
て取り組まなければなりません。
これに対し、シティプロモーションの取り組みは、単なる課題の穴埋めではなく、上記
で抽出されたような立川市の「強み」を活かし、まちの魅力を高めて内外にアピールする
ことが求められます。
(4)立川市の目指す将来像(目指すべきシナリオ)
人口減少や高齢化の加速とともに、定住人口の流動化が進み都市間競争が激化する中、
住民や企業に「住み続けたいまち」「訪れたいまち」「働きたいまち」として選択してもら
う活動は、持続可能な都市経営にとって不可欠です。
立川市においても、この「住み続けたいまち」「訪れたいまち」「働きたいまち」の3項
目を目指すべき将来像として、取り組みを進める必要があります。
「住み続けたいまち」
(定住人口の増加)
住みたいまち、住み続けたいまちとして選ばれ続ける立川市を目指します。
少子高齢社会では、税収の減少と財政需要の増大に直面し、市の経営は厳しさを増すこ
ととなります。市民サービスを低下させないためには、定住人口の増加、とりわけ働く世
代の人口増により安定した税収を確保し、発展を続けるまちの仕組みが必要となります。
なお、人口減少社会にあって定住人口の増加を目指す取り組みは、他の自治体において
も既に進めていることから、より魅力のある施策の展開と、その施策を効果的にPRする
手法が必要となります。
「訪れたいまち」
(交流人口の増加)
訪れて楽しいまち、立川市を目指します。
まちのにぎわいと活力を生み、訪れたいまちとして選ばれ続けるために、立川市の持つ
多種多様な魅力を発信し、交流人口の増加により、さらに魅力のあるまちの仕組みづくり
を進めます。
なお、定住人口と同様、交流人口の増加を目指す取り組みは、他の自治体においても既
に進めていることから、より魅力のある施策の展開と、その施策を効果的にPRする手法
が必要となります。
- 18 -
「働きたいまち」
(持続可能な事業運営・事業所誘致・創業支援)
働きたいまち、立川市を目指します。
立川市の持つ多種多様な産業の魅力を発信し、大企業から中小零細企業、商店街の個店
まで、
幅広い産業の振興を図るとともに、
事業所誘致を推進するための施策を実施します。
安定した事業運営を可能にし、創業・起業のしやすいまちを目指すために、より事業者が
魅力を感じる施策を充実させる努力を行うとともに、施策を効果的にPRする必要があり
ます。
【立川市の将来見込み(このまま手をこまねいていた時のシナリオ)】
定住人口の減少
(交流人口の減少)
市民の地域に対す
税収減による
る愛着や誇りに思
財政状況の悪化
う気持ちの低下
(地域活力の減退)
住民サービスの低下
(事業運営の減退)
シティプロモーションの取り組み
【立川市の目指す将来像(目指すべきシナリオ)】
文化芸術振興による
シティイメージアップ
定住人口の増加・
若年層の定住促進
(交流人口の増加・
事業所集積)
安定的な税収による
市民の地域に対する
健全な財政状況
愛着や誇りの醸成
(地域活力の活性化)
充実した住民サービス
(事業運営の活性化)
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3.シティプロモーションの推進戦略
立川市におけるシティプロモーションの取り組みについては、先に述べたとおり、戦略プラ
ン(個別計画)がなく、本指針により「第4次長期総合計画」にシティプロモーションの位置
づけを行い、さらに推進体制を整備した後、戦略プラン(個別計画)の策定と計画の推進を図
ることとしています。しかしながら、立川市を取り巻く状況を鑑みると、今すぐにでもシティ
プロモーションに取り組まなければなりません。
そこで、立川市がシティプロモーションを展開していくために必要となる推進戦略を示しま
す。
(1)基本的な考え方
立川市が目指す将来像(目指すべきシナリオ)については、先に述べたとおり、下記の
3項目となります。
○「住み続けたいまち」
(定住人口の増加)
○「訪れたいまち」
(交流人口の増加)
○「働きたいまち」
(持続可能な事業運営・事業所誘致・創業支援)
この将来像を実現するシティプロモーションの対象となる地域は、市内・市外の両方と
なります。その対象となるターゲットは、市内においては、既に居住している市民や既に
事業運営を行っている事業者などとなり、
市外においては、立川への来街者や市外居住者、
市外に拠点を置く事業者などとなります。
このことから、立川市が想定するシティプロモーションのターゲットを、
「立川市民」
・
「立
川市民以外」
・
「事業者」と分けて整理することとします。
なお、戦略プラン(個別計画)の策定にあたっては、さらに詳細に世代や要件を絞り込
み、それぞれのターゲットに合わせた施策の展開が必要となります。
- 20 -
○ターゲットのイメージ
【立川市民】
市民、市民団体など
【事業者】
市内事業者、市内創業者など
市内
【立川市民以外】
来街者(市内で働く人、市内の
学校へ通学する人、市内で買い
物をする人など)
【事業者】
市外事業者(市内へ事業活動の
ため来街する事業者、市内で
創業を考えている事業者など)
市外
定住人口の増加
交流人口の増加
市内事業者の増加
【立川市民以外】
市外居住者(立川市へ
来たことがない人など)
【事業者】
市外事業者(市内で事業
活動を行っていない事業者)
それぞれのターゲットに対し、目標を達成するためにはどのような姿勢でプロモーショ
ンに取り組まなければならないかを示すことが、立川市におけるシティプロモーションの
基本的な考え方となります。
したがって、この基本的な考え方について、次のとおり整理します。
○「立川市民」に対しては…、
立川市への愛着心を持つことができる取り組みを推進し、立川市に「住み続けた
い」と感じてもらうことで、定住人口を確保します。市民がまちを愛し、まちに誇
りを持つことが、まちのイメージアップの一番の原動力となります。
- 21 -
○「立川市民以外」に対しては…、
立川市の持つ多種多様な魅力を発信し、「住みたい」
「訪れたい」と感じてもらう
ことで、定住人口や交流人口の増加を目指します。
○「事業者」に対しては…、
立川市の持つ多種多様な産業の魅力を発信し、「立川で事業を展開したい」
「立川
で働きたい」と感じてもらうことで、持続可能な事業運営の振興を図るとともに、
新たな事業所の誘致や創業を推進します。
人々や事業者が、
「住み続けたい」
、
「訪れたい」、
「働きたい」と感じるために必要な要素
は、快適で居心地の良い環境です。
「住む」にも、
「訪れる」にも、
「働く」にも、自分自身
にとって「ちょうどいい」と感じる環境であることが重要です。
(2)キーコンセプトの設定
立川市の持つ魅力を的確にアピールするキーコンセプトとして、本指針では、
「立川がちょうどいい!」を設定します。
立川は相反する様々な特性を持っています。立川の持つ強み、弱みの議論の中でも、様々
な要素があります。例えば、
「にぎわい」と「やすらぎ」です。都会的な景観や商業集積の
一方で、緑や水辺が残り、穏やかな郊外、田舎的な雰囲気を残すエリアも存在します。こ
れをマイナスに捉えると、なんでも有り過ぎる、ごった煮的、特徴が絞りにくいなどとい
った見方になります。
一方で、立川を愛する人たちが大勢いるのも立川の特徴です。特に、立川を生活のフィ
ールドとしている人たちは満足度が高く、立川に住み続けたい意向が強い。外から見るよ
り中で暮らす方が、評価が高くなります。
これは逆に立川の大いなる強みと捉えることもできます。
立川市には、鉄道・モノレールの駅が 14 駅、バスは 50 系統、停留所が約 220 か所あ
ります。利便性が高いのに都会過ぎず、地域の人間関係も豊かで、山並みが見え、木々や
畑のみどりが残り、広大な国営昭和記念公園もあります。
この心地良さと便利さは、生活の場としては最強です。なぜなら、このまちを肯定する
ことは、地に足の着いた自分の暮らしを肯定することに繋がるからです。
市民一人ひとりがそれを確認する、自覚する。周りに向けて発信する。発信することで
自分と自分の暮らしの価値を再評価できる。
そんなキーコンセプトが「立川がちょうどいい!」となります。
- 22 -
(3)推進戦略
立川市では、この「立川がちょうどいい」というキーコンセプトのもと、次のような 3
つのステージで構成される推進戦略によりシティプロモーションに取り組むこととします。
【ステージ1】魅力の確立(マーケティング~ブランディング)
【ステージ2】魅力の発信(戦略的な情報発信)
【ステージ3】愛 着 心 の 醸 成
なお、シティプロモーションの取り組みを積極的かつ出来ることから始めていくことを
想定し、現在取り組んでいる事業や、
「予算が無くてもできるシティプロモーション」の事
業例も盛り込むこととします。
【ステージ1】魅力の確立(マーケティング~ブランディング)
何が「立川市の魅力」なのか、その魅力を活用してどのような人々(ターゲット)を立
川市に引き付ければ都市が持続的に発展していけるのか、その掘り起こしと分析を行いま
す(マーケティング)
。
さらに、マーケティングによって得られた結果を基にまちの価値を高めるキーコンセプ
ト「立川がちょうどいい」を具現化するため、各ターゲットを引き付けるのに効果的な「立
川市といえば○○」という「立川市の魅力」
(立川市の目指す都市イメージ)を確立します
(ブランディング)
。
【事業例】
○「立川がちょうどいい」ポスターの作成
○「立川市の魅力とは?」庁内アンケートの実施
- 23 -
【ステージ2】魅力の発信(戦略的な情報発信)
確立した「立川市の魅力」を戦略的に情報発信するための手法について研究し、情報発
信力を強化、より戦略的な手法により、市内外へ向けて「立川市の魅力」を発信します。
現状、立川市には様々な魅力がありますが、それらは上手に外部に伝わっていません。
情報発信力の向上のためには、情報発信に対する市職員の意識を変えることが必要です。
職員一人ひとりは、市への愛着心を持って市のセールスマンとなり、対外的に人と接する
時は勿論、市の良さを少しでも知ってもらえるよう、あらゆる業務に臨む必要があります。
例えば、プレスリリースなどの「パブリシティ」を積極的に活用し、あらゆる媒体で露
出度を高めます。また、各種調査への回答を行う際には「市の魅力発信」に主眼を置き、
何が求められているか、どうすれば市の魅力をうまく外部に伝えることができるのかを考
えて回答するなど、市のイメージアップにつながる情報発信に努めていきます。
【事業例】
○官民協働による情報化、フリーペーパーの発行
○ターゲットに合わせたプロモーションのツールとしてのイベント実施
○プレスリリースの活用
○動画サイトの活用
○市役所女子部SNS発信
【ステージ3】愛着心の醸成
市外に向けて「立川市の魅力」を発信することにより、
「立川市民以外」や「市外事業者」
には、立川市に興味を持ち、好きになってもらいます。
「立川市民以外」は立川市を転居先
に、「市外事業者」は立川市を営業エリアや出店先等に選ぶようになります。
さらに、市内に向けて魅力を発信することにより、
「立川市民」や「市内事業者」の立川
市への愛着心を醸成します。「立川市民」は立川市に住み続け、
「市内事業者」は立川市で
営業を続けていきます(市民満足度の向上)
。
また、
「立川市民」や「市内事業者」の立川市への愛着心を深めることにより、各々がシ
ティプロモーションに参加しているという意識(当事者意識)を持つことができます。多
くの「立川市民」や「市内事業者」が当事者意識を持って行動することにより、
「立川市民」
や「市内事業者」自らが、立川市の魅力を市内外へさらに強く発信していくことができま
す。
- 24 -
【事業例】
○立川市キャラクター「くるりん」の積極的活用と展開
○「立川市民」や「市内事業者」による情報発信(ホームページ、SNS、雑誌等)
○フィルムコミッション事業
○ふるさと納税
○観光大使
4.立川市のシティプロモーションの展望
(1)シティプロモーションの推進スケジュール
立川市におけるシティプロモーション推進の展開スケジュールをまとめると、以下のと
おりとなります。
【H25 年度】
・シティプロモーションプロジェクトによる検討
・「シティプロモーション基本指針」の策定
【H26 年度】
・
「第4次長期総合計画」へのシティプロモーションの位置づけ
・シティプロモーション推進組織の検討
・「第2次観光振興計画」の策定
・シティプロモーションプロジェクトの継続(HPリニューアルに伴う全庁的な
情報発信の強化等)
【H27 年度】
・シティプロモーション推進体制の整備
・「(仮称)広報戦略」の策定
・
「第4次長期総合計画」を踏まえた「
(仮称)シティプロモーション計画」の
策定
【H28 年度以降】
・「(仮称)シティプロモーション計画」の推進
- 25 -
(2)第4次長期総合計画への「シティプロモーション」の位置づけ
個別計画を策定しないまま、戦略を具現化することは極めて困難であることから、今回、
策定した「立川市シティプロモーション基本指針」を基に「第4次長期総合計画」に「シ
ティプロモーション」の基本的な考え方を明確に位置づける必要があります。
まず、
「第4次長期総合計画」に市のシティプロモーションの取り組みを明確に位置づけ、
次の段階となる「
(仮称)立川市シティプロモーション計画」を策定、戦略の具現化を図り
ます。
なお、
「(仮称)立川市シティプロモーション計画」の策定は、策定手法の検討や組織の
あり方についての議論を経た後、推進する組織体制を整え、
「第4次長期総合計画」の初年
度となる平成 27 年度に取り組みます。
(3)推進体制の整備
①庁内組織の体制・役割
○「(仮称)立川市シティプロモーション計画」を策定し、計画的に取り組みを推進、
計画の進捗管理を行い、評価を次のステップに繋げていく等、シティプロモーショ
ン全般を所管する組織体制の整備が必要となります。
○「(仮称)立川市シティプロモーション計画」の策定にあたっては、計画の策定体制
(下記の案を参照)を整備し、長期総合計画を踏まえた戦略プランを策定する必要
があります。
(仮称)立川市シティプロモーション計画の策定体制(案)
経営会議・政策会議
③各関係機関との協議会
(商工会議所・観光協会
・自治会連合会・商店街連合会
・市民団体・産業関連団体等)
①(仮称)立川市シティプロモーション
計画策定検討委員会
(関係部課長)
※若手メンバーによるワーキンググループを
設置できることとする
②(仮称)立川市シティプロモーション
計画策定検討委員会作業部会
(関係係長・主査・一般職員)
※若手職員によるワーキンググループを
設置できることとする
各種調査
(市民意向調査、来街者調査等)
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区
分
№
会議名称
経営会議・政策会議
①
庁
内
会議の目的・所掌事項
メンバー
計画(案)の最終確認、承認 経営会議・政策会議メンバー
(仮称)立川市シティプロモー
計画(案)の作成
ション計画策定検討委員会
関係部課長
本市の都市イメージ・ブラン
ドの確立(魅力の抽出・創
(仮称)立川市シティプロモー
出、整理体系化)、本市の魅
② ション計画策定検討委員会作
関係係長・主査・一般職員
力・情報の効率的・効果的発
業部会
信手法の構築に関する協議・
検討
庁
③ 各関係機関との協議会
外
本市のシティプロモーション 商工会議所・観光協会・自治
推進に関する協議・検討、計 会連合会・商店街連合会・市
画案に対し意見提言
民団体・産業関連団体等
②観光協会等関係団体との連携
シティプロモーションの推進にあたり、事業の展開の一翼を担う外部組織との連携に
ついては、その連絡・調整の体制を整備し、
「オール立川市」として施策を組み立て、展
開する必要があります。
③情報発信のしくみ(市広報・市ホームページ・SNS等)
現在、広報課を中心に発信している市広報やホームページ、ツイッター等については、
シティプロモーション推進戦略に基づき、より効果的な手法により、展開する必要があ
ります。
(4)
「
(仮称)立川市シティプロモーション計画」の策定
第4次長期総合計画に基づき、市民と行政、各関係機関が一体となった「オール立川市」
でのシティプロモーションの展開を図るため、「(仮称)立川市シティプロモーション基本
計画」を策定します。
計画は、目指すべきシティプロモーションを掲げ、その実現に向けた道筋を示すととも
に、今後のシティプロモーションの具体化を図るアクションプランとします。
また、今後訪れる時代背景の変化や計画の進捗状況により、必要に応じて計画の見直し
を検討することとします。
なお、
「(仮称)立川市シティプロモーション計画」の計画期間は、第4次長期総合計画
を踏まえて、平成 28 年度を初年度に、31 年度までの 4 か年(平成 28 年4月~平成 32 年
3月)とします。
- 27 -
(5)
「
(仮称)立川市シティプロモーション計画」に盛り込む内容
現段階で想定する内容は、下記のとおりとなります。
○市の概況(位置・地形・気象・市域・人口・世帯・産業など)
○計画策定の趣旨(目的)
○現状と課題分析
○基本指針の内容
○基本計画における基本的な考え方(視点)
○目標
○重点分野
○市・市民・事業者の役割
○推進手段
○戦略(アクション)プラン・重点プロジェクト
○効果測定
○推進体制
など
(6)計画の推進
第4次長期総合計画及びシティプロモーションの推進体制の検討により整備された組織
体制のもと、
「
(仮称)立川市シティプロモーション計画」に盛り込まれた各戦略プランを、
全市を挙げて推進します。
5.おわりに
今後、立川市が取り組むシティプロモーションでは、①立川の中にある限られた資源を駆使
して、②立川の人々の知恵と創意工夫により、③定住人口の維持と、④交流人口の拡大、⑤事
業所の集積、そして⑥立川ファンの増大を目指す、持続可能なまちづくりの戦略が求められま
す。
他の自治体との勝負ではなく、立川市民がいつまでも住み続けたいと思えるようなまちづく
り、立川市民以外の人々からも愛され、親しまれ、敬意をもって受け入れられるようなまちづ
くりとして、「ナンバーワンからオンリーワンへ」を目指します。
そのオンリーワンは、昔から身近にある慣れ親しんだ伝統的なものでも、新たに展開される
目新しいパワフルなものでも構いません。地元に暮らす市民がこよなく愛し、親しんでいる生
活習慣や景色、まさに「立川ならではの何か」となります。
気付かずに馴染んでいる「立川ならではの何か」を掘り起し、埃を払って磨き上げ、発信し、
メディアに露出していきます。メディアを通じて他者の眼で自分たちの姿や生活習慣を見つめ
なおすことによって、あらためてその魅力に気付き、わがまちに対する愛着心が醸成され、さ
- 28 -
らに強く刺激されます。この愛着心が、まちづくりにおける持続力をもたらします。シティプ
ロモーションは、愛着心をフィードバックしてくれる最高の戦略となります。
地域内では当たり前のものとして価値を見出されなかった生活習慣や伝統、人間関係、新し
く芽生えつつある活動等の地域文化に対し、その価値を再認識し、誇りを感じること。それが、
魅力のさらなる向上につながる取り組みを推進する力を生み出す、プラスのスパイラルへとつ
なげていきます。
- 29 -
立川市シティプロモーション基本指針(改訂版)
発行年月 平成 26 年5月
発
行 立川市総合政策部広報課
立川市産業文化部産業振興課
〒190-0022 東京都立川市泉町1156番地の9
電話 042-523-2111(代表)