Dr.クマの“健康のヒント”

Dr.クマの
“健康のヒント”
「めまい」もいろいろ
症状をあらわす言葉にはいろいろな意味が含まれ
がしびれる、力がはいらないなどの症状がある場合
ていることがある。
「めまい」がそのひとつだ。め
には中枢神経系が原因の可能性があるので、神経内
まいは、目がぐるぐるまわる回転性のもの、ゆらゆ
科か脳外科を受診する。意外に多いのが立ちくらみ
ら感じる動揺性のもの、たちくらみの三つに大きく
である。急に立ち上がると頭も上に上げることにな
分けられる。それぞれ症状の原因が異なっており、
るが、その動きに血液循環の調節が間に合わなくな
端的に言ってしまえば、内耳、中枢神経系、循環系
る場合や、立ち続けているうちに循環の調節がうま
と広い範囲にわたるのだ。めまいの患者さんはどの
くいかなくなり脳の血流が不足する場合などがある。
診療科を受診すればよいのか迷われる人が多い。こ
血流の調節は年齢とともに悪くなるし、また、高血
こでは一般的にどの診療科を受診するかの目安を示
圧症や糖尿病などでも調節不良が起きやすい。この
そうと思う。回転性のめまいで、難聴、耳鳴り、耳
ような症状の時にはまず内科を受診すると良い。
「め
がふさがった感じなどの耳症状もある場合には内耳
まい」のように普通に使われている言葉ほどいろい
が原因の可能性が高いので、まず耳鼻科を受診すべ
ろなものが隠れている可能性が高いのである。
きである。耳の症状がなく、目が見えにくい、手足
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(北里大学医学部 教授 熊谷 雄治)
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月刊建設16−09
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