植物性産業廃棄物からのゼロエミッションを目指した環境浄化

研究課題中間評価調書(標準様式∼表)
平成
16
年度
予算区分: 通常
機 関 名
総合食品研究所
課 題 名
記入日
要求区分:平成17年度当初予算
課 題 コ ー ド H140305
事業年度
平成
16
年 06
月
平成14 年 度 ∼
24
日
平成17 年 度
植物性産業廃棄物からのゼロエミッションを目指した環境浄化技術の開発
機関長名
連 絡 先
政策コード
施策コード
目標コード
事業コード
伊藤義文
担当(班)名 酒類第二担当
018-888-2000
担当者名
進藤昌
N
政 策 名 豊かな自然と調和した個性あふれる農林水産業の振興
02
施 策 名 地域農業との連携強化による秋田らしい食品産業の振興
02
施策目標名 新製品開発累計件数
N020201
事業名 総合食品研究所試験研究費
研究
○
開発
試験
調査
その他
種 別
県単
国補
○
共同
受託
その他
評 価 対 象 事 業 の 内 容
1.課題設定時の背景と問題の所在
秋田県では、米や麦、そば、大豆等多くの農産物を生産しており、その加工において穀物の殻やおから等大量の植物性食品廃棄物が
排出されている。これらのほとんどは、食品メーカーがお金を出して焼却または埋め立て廃棄されており、企業への負担と環境に対す
る負荷がかなり大きい。一方、環境保全のための生分解性プラスチックが開発されているが、原料である乳酸が高いため広く使用され
ていない。仮に、食品廃棄物から低コストで乳酸を生産することが可能になれば生分解性プラスチックの広範囲にわたる実用化も期待
されるであろう。さらに農業用フィルムへ応用することにより秋田県での循環型農業への一助になるものと期待される。
2.課題設定時の市場・ニーズの状況
・市場動向:ほとんどが焼却または埋め立て廃棄
・研究開発動向:有効利用の研究例として、微生物培地、炭化後の土壌改良材、きのこの菌床などへの応用例がある。
・特許等の動向:籾がらを爆砕処理後酵素処理を行ってキシロオリゴ糖を作成する特許が出されている。
3.課題設定時の最終到達目標
難分解性セルロース系バイオマスを物理的変換と生物学的処理の組み合わせにより、環境保全型資源である生分解性プラスチックの原
料の乳酸や産業用アルコールへの効率的変換による、ゼロエミッションシステムを開発する。
4.課題設定時の全体計画及び財源
実施内容
到達目標
14 年度
爆砕条件の確立
最適爆砕条件が確立される============
15 年度
16 年度
17 年度
18 年度
19 年度
全体(最終)計画
------------
乳酸発酵条件の確立 最適乳酸発酵条件が確立さ
れる
============
------------
エタノール発酵条件 最適エタノール発酵条件が
の確立
確立される
============
------
バイオリアクターシ バイオリアクターシステム
ステムの構築
が構築される
============
---
種々の廃棄物からの 種々の廃棄物から有用物質
物質変換
を生産する
============
合 計
予算額(千円)
一 般 財 源
財源 国 庫 補 助 金
内訳
県
債
そ の 他
27,000
20,000
600
50,000
27,000
20,000
300
50,000
300
(標準様式∼裏)
評価チームリーダー職・氏名
課 題 の 評 価
1. 進捗状況
科学技術課長
仙波日出夫
機
関
に
よ
る
自
己
評
価
○A 計画以上に進んでいる
●B 計画通りに進んでいる
○C 計画より遅れている
[理由] 最適爆砕条件を確立し、酵素処理によって十分な単糖を含む可溶化液を得ることができた。またバイ
オリアクターによる乳酸発酵を行うことが出来た。さらに古米及び重金属汚染植物からの乳酸発酵に
も成功した。
2. 内外の状
況変化
○A ニーズの増大とともに技術的意義も高まっている
●B ニーズに大きな変動はない
○C ニーズの低下とともに技術的意義も低くなってきている
[理由] 環境問題に関する状況に大きな変化はない。また生分解性プラスチックの原料である乳酸生産の低コ
スト化の競争が内外で激しく行われている。
3. 目標達成
可能性
●A 目標を達成する可能性が
(80%以上)
○B 目標を達成できない可能性がある (50%∼80%未満)
○C 目標を達成できない可能性が高い (50%未満)
[理由] 爆砕方法を確立し、乳酸発酵条件やバイオリアクターの構築を予定通り進める。
4. 施策目標
への貢献度
○A 大きく貢献している
●B 貢献している
○C 貢献度が低い
[理由] 食品メーカーから排出される廃棄物から農業用の生分解性フィルムを作ることが可能になれば、環境
面から見た地域農業との連携強化による秋田らしい食品産業の振興に繋がるものと考えている。
5. 効果
○A 大きな効果が期待される
●B 効果が期待される
○C 効果が低いものと思われる
[理由] 食品メーカーの廃棄物ゼロを達成し、低コストで生分解性プラスチックの原料である乳酸や産業用エ
タノールを生産し、メーカーおよび環境面で効果が期待される。
6. 機関長コメント
植物廃棄物のモデルとしてモルトフィールドから、従来より高収率で低コストの乳酸を生産する微生物の選抜及びバイオリアクタ
ー生産技術を確立し、新知見を学会・報文発表、特許出願した。また、古米や重金属汚染植物からも今回開発した技術が応用出来
ることが確認された。この乳酸を原料にした生分解性プラスチックの製造は、環境面での効果も大きく、県外のメーカーからの問
い合わせも多く実用化の可能性が高いと考えられる。
総
○A
●B
○C
○D
合
評
価
来年度は最優先して実施するべきである
来年度も継続実施するべきである
計画の改善(方針の変更、期間短縮など)が必要である
来年度以降継続実施の必要性が低いので中止すべきである
評価チームコメント(評価チームによる評価を実施した場合)
生分解性プラスチックの原料となる乳酸やエタノールなどを食品メーカーから排出される廃棄物から製造できれば、その
波及効果は大きく、生分解性プラスチックの製造に関連する新規産業の創出も期待できる。
乳酸製造コストと産業廃棄物処理コストのバランスが実用化の際に問題になることから、廃棄物の前処理方法を含め、実
用化のために必要なコスト評価を厳密に行う必要がある。その上で、実用化の可能性を見極め、研究の継続を判断すべきと
考えられる。
平成15年中間 平成16中間
(参考)過去の評価結果
B
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