近赤外分析法とは 近赤外分析法とは

■近赤外分析法とは
近赤外分析法とは、800nm~2500nm(12500~4000cm-1)の波長領域を用い、物質特有の
吸収波長を定量的に解析する定量分析法である。
下記に近赤外分析法の特徴を列記する。
・エネルギーの低い電磁波を用いるので、試料を破損することがほとんどない、非破壊、
無侵襲分析法である。
・固体、紛体、繊維、フィルム、ペースト、液体、溶液等色々な状態にある試料に適用す
ることができる。
・赤外と比較して、近赤外では水の吸収強度がかなり弱くなるので、水溶液での研究は分
析がはるかに容易になる。
・多成分の同時分析が可能である。
・化学量のみならず物理量(紛体の粒度、密度、結晶化度等)も測定ができる。
・化学薬品を使用しない無公害分析である。
■近赤外分析法の応用例
近赤外分析法は食品、工業、農業等幅広い分野に使用されている。
下記に近赤外分析法の応用例を記載する。
食品への近赤外法の応用
穀物、豆類、種子類など
項目
米
成分
デンプン(アミロース)、タンパク質、水分、灰分、アミノ酸、食味
値
小麦(小麦粉)
デンプン、タンパク質、水分、灰分、硬軟質、損失デンプン、さび病、
SDS 沈降性、α-アミラーゼ活性、カラーバリュー、ふすま質混入率、
品種判別、アミノ酸、製パン適正
大麦
タンパク質、水分、エキス分、リジン、アミノ酸、窒素、β-グルカ
ン、外観最終発酵度
カラス麦
タンパク質
ソバ
タンパク質、水分、灰分
綿実
ゴシポール、水分、ブドウ糖、果糖
大豆
タンパク質、水分、脂質、7S、11S
ナタネ
脂質、クロロフィル
唐辛子
カプサイシン
ホップ
水分、α酸、製油
茶(乾燥茶)
タンパク質、水分、全窒素、カフェイン、テアニン、全遊離アミノ酸
紅茶
品質
その他
乳製品
項目
成分
牛乳
水分、脂質、タンパク質、乳糖、TMS、カゼイン
乾燥乳
水分、脂質、タンパク質、乳糖、灰分
チーズ
脂質、タンパク質、固形分、水分、灰分、チロシン、pH
粉ミルク
水分、脂質、タンパク質
その他
肉類
項目
成分
魚肉
魚肉中の水の存在状態
畜肉(肉製品)
タンパク質、水分、脂質、塩分、カロリー、大豆分、pH、調理特性
その他
飲料品
項目
成分
ワイン
アルコール、エキス分、糖、滴定酸度
ビール
アルコール
日本酒
アルコール、酸度、アミノ酸、日本酒度、直糖、全糖
果実ジュース
ブドウ糖、果糖、ショ糖
茶(抽出液)
カフェイン、テアニン、総アミノ酸
その他
一般加工食品
項目
シリアル加工食
成分
繊維、糊化度
品
パン
タンパク質、水分、脂質
ココア
タンパク質、脂質、でんぷん
乾海苔
品質等級、タンパク質、色素
その他
世界最高の性能を誇る近赤外装置
スペクトラスター XT のご紹介
近赤外装置が発売されてから約 40 年が経ち、今日までも改良を重ねられてきたが、各種
各様で、近赤外計に対する客観的評価に疑念が無いとは言えない状況下にある。
現在販売されている装置は、回折格子型と FT(フーリエ変換)型に大別される。
前者と後者には、各メーカーの言い分による得失がある。前者は、吸光度レベルの正確
性と、耐震耐振性を強調し、FT(特にマイケルソン)側は、波長の正確性と耐振性(耐震
性ではない)を強調してきた。
そして、その判断は顧客に委ねられており、真実は不明であった。
■TRUE NIR
今回、リニューアルしたSpectraStarXLシリーズは、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)
が認証する原器1920aを用いて、装置性能の根本となる各波長の正確性と各波長帯における
S/N比を調べた結果、驚異的な装置であることが判明した。下記表は、紙面の都合上S / N
比のみの比較を表すものである。言うまでもなくデータには、一切手を加えていないこと
を断言する。
我社の装置を2500XL-R、代表的な他社をそれぞれA、B、Cとした。Aは回折格子、B、Cは
FTである。
S /N比が大きいほど分光計として優れているのは言うまでもないが、B、Cは際立ってS /N
比が劣ることが証明された。同様にFTが優れているとされる波長正確性についても、ビー
エルテック社の装置に及ばないことが証明された。これについては営業担当より資料を入
手して頂きたい。
■超冷却検出器
検出器はInGaAsを使用し、その特性を生かすためにウルトラクーリング(超冷却)を採
用したところ、PbSより100倍感度が良くリスポンスが20倍速くなった。
■パッケージアナライザー
パッケージアナライザーとは、導入時に我社で検量線をインストールし、設置後すぐに
測定できるようにした検量線付の装置である。詳細は割愛するが、チョコレートや、小麦
粉、配合飼料、粗飼料、ペットフード等の検量線が準備されている。
■その他
17インチタッチパネルを採用し、より画面を見やすくするとともに、スタンドアローン
で日常分析でのパソコンは不要である。
メンテナンスを無くすために、従来のエアフィルターやファンをはずし、ランプの消費
電力量を5Wにすることで10,000時間以上の寿命を保証する。また、FTに見られる高額なレ
ーザーの交換などもなく、ランニングコストは他社に比べ格段に低い設計である。
工場での使用を考慮しIP52を標準装備とし、さらなる過酷な環境ではIP65もオプション
で対応可能である
以上