艦娘戦記 桜好き ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP DF化したものです。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作 品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁 じます。 ︻あらすじ︼ 時は1941年。人類が共通の敵、深海棲艦に立ち向かう話。艦娘 は戦艦の艦長的役割になっております。妖精さんは全員女性の兵員 設定です。取り敢えずイベントを追っていくつもりです。それでは、 戦場に参りましょう。自由を、平穏を、取り戻す為に。 提督になった日 │││││││││││││││││││││ 1 目 次 艦長になった日 │││││││││││││││││││││ 4 提督になった日 遠い遠い昔から、人類には共通の敵がいた。その敵は遠い遠い昔か ら人類を襲っていた。無差別に、凄惨に、無残に、海を渡る者に死を 与えた。それは時に海賊船と呼ばれたり、幽霊船と呼ばれたりした。 これらは共通していないかに見えるが、たった1つだけ共通してい た。それは⋮ その船に遭遇した船団は必ず皆殺しになるからだ。しかし大航海 時代に無線機など存在せず、ましてや飛行機なども飛んでいない時 代。この存在は結局噂話程度に留まった。何故なら生き残りが殆ど いないからだ。 それからまた時が流れ、1935年。とうとう人類は共通の敵、深 海棲艦を発見した。しかし、人類は深海棲艦を敵とは認めなかった。 何故ならその人類に見つかった最初の深海棲艦は、帆船だったから。 人類は、此方に豆鉄砲を撃ってくる深海棲艦を進路上にいる邪魔なデ コイとして、片手間に沈めた。それが、人類の分かれ道となった。深 海棲艦は次々と同胞が沈められた事で対策を講じたのか急速な変化 をした。最初は鉄甲船、次は蒸気船、そして遂には軍艦を作った、深 海棲艦は、一年でこれを成し遂げた。人類が何百年も掛けて築き上げ た文明をたった一年で追いついて来た。しかし何も無い所から深海 棲艦はここまで技術を発展させた訳ではない。ここまで発展したの には、彼等が海底を住処にしていた事が最大の理由だ。何故なら、海 底には幾多もの沈没船が、廃棄船がある。つまり彼等はこれを使って 1 急速な技術革新を行なったのだ。人類に対抗する為だけに。人類と 同等の力を持った深海棲艦の攻勢は激しさを極めた。瞬く間にアメ リカ大陸を滅ぼし、イギリスの東洋艦隊を全滅させ、ハワイ・アリュー シャン・アッツ・マーシャルなどの諸島を降した。今や人類は滅亡の 一途を辿っている。降伏も、命乞いも許されない。我々は今、本当の 戦争に直面している。 ︻深海棲艦との歴史を一部抜粋︼ ーーー 1941年1月1日。俺は、提督として、艦長として、そして男と して横須賀鎮守府に配属され、車で向かっていた。海ばかりが見える 道をジープに揺られながら俺は先日言われた上司の言葉を思い出し ていた。 ーーー それは、よく晴れた日だった。朝のラッパと共に起床し、軍服を纏 2 い、ベットを整え、食堂に向かい、朝食をかっ喰らって自室に戻り、洗 などとビク と意気込んでいたら上司の上司、つまりは陸軍大将にお呼 面台に立って、髭を剃り、歯磨きをして、制帽を被り、さぁ今日も銃 の点検だ ばれされてしまった。何をやってしまったのだろうか 居なかった。それもその筈、海軍は戦争の華と呼ばれる女性だけで組 軍の陸戦隊だった。計10人の見目麗しい少女ばかりで男が1人も そして今、俺はその迎えの車に乗っていた。翌朝迎えに来たのは海 ーーー に遅く、今更嫌ですとも言えず、俺はその異動命令を承諾した。 れた。この辺りになってようやく俺の頭は再起動した。しかし時既 渡され、明日迎えが来るからそれまで自室で待機せよと言われ、帰さ れ、階級を海軍少佐に変更・昇格させられ、大和魂の篭った日本刀を 無くあれよあれよと書類を渡され、服を真っ黒の軍服に着替えさせら だった。何を言われたのか全く理解出来なかった俺は理解する間も る適正があると判明したから今から海軍のとこ行ってこい。の一言 は叱責ではなかった。お前には提督と艦長、そのどちらにも対応出来 ビクしながらも大将の執務室に出頭した。しかしそこで言われたの ? !! 色取り取りなの 織された軍隊だからだ。全構成員が未婚の少女・女性であり、下は小 学生から上はアラサーと色取り取りである。そう これならまだ昨日まで所属していた だが全く嬉しくない。女性だらけの中で自家発電が容易に出来 ない職場など全く嬉しくない だ !! んと艦種不明の軍艦が浮かんでいた。そんな光景を見ながら俺は、車 艦・空母が立ち並んでいた。そして、そこから大分離れた所に、ぽつ い程の敷地に空港・ドック・工廠が立ち並び、海には駆逐艦・軽巡洋 そして、その中の光景に俺は息を飲んだ。陸軍とは比べ物にならな 門を開けさせて車で中に入った。 て門前に立つ衛兵に前方車両のタクティカルの運転手が要件を話し、 こうにか乗り越え、俺はようやく横須賀鎮守府の門前に着いた。そし をガン見しないよう真っ直ぐ道を見ていた。そんな苦行をどうにか 女性と触れ合う事など母親ぐらいしか無かったので横にいる娘の胸 ませて真ん中に座っていた俺は、ドギマギしていた。生まれてこの方 いた少女達もクスクスと笑った。揃いも揃って美少女なので肩を縮 運転手がなんとも絵になる微笑を浮かべると、俺の左右と助手席に ﹁フフッ、御冗談を﹂ ﹁もうとっくの昔に幸せに逃げられてるよ﹂ ﹁少佐殿、溜め息を吐かれますと幸せが逃げてしまいますよ﹂ ﹁はぁ⋮﹂ ツ過ぎということである。 ではあったが。つまり何が言いたいかと言うと、童貞にこの職場はキ あったからだ⋮まぁ訓練訓練の繰り返しで結局一度も行かず仕舞い 陸 軍 の 方 が マ シ だ っ た。女 性 兵 士 が 1 人 も い な い 代 わ り に 風 俗 が !! を降りて赤煉瓦で作られた建物へと入っていった。 続く⋮ 3 !!! 艦長になった日 軍港と空港、ドックにも近いこの赤煉瓦で作られた建物は、通称鎮 守府。ここ、横須賀の中央部であり、司令塔でもある建物だ。この建 物には毎日多くの海軍将校が詰めており、作戦立案・艦隊指揮・装備 開発・人員育成・改造計画と多種多様な事を日々こなしている。つい 先日の新聞では世界︵とは言ってもアメリカもイギリスもいない︶で 初めて46㌢三連装砲という超高威力主砲を開発した事で世界を驚 かせていた。そんな輝かしい栄光を持っている海軍。それに比べて ウチの陸軍は未だに戦車がチハなのが嘆かわしい。あぁ、陸軍にも超 高威力戦車が欲しいよ、もう陸軍じゃ無いけど。なんて、途中から現 実逃避をしていたら、執務室と書いてある部屋に着いた。ここまで案 内してくれた陸戦隊の少女は、自分に敬礼をすると去っていった。そ ﹁は、はい ﹂ よろしくお願いしま う30になるかならないかの俺ではあるが、確実に年下であろう彼女 彼女は、優しい微笑を浮かべて俺のガチガチっぷりを見ていた。も !! 4 れを見送ると、俺は先ずは入る前の礼儀としてノックした。 コンコンコン ﹁どうぞ、空いてますよ﹂ ﹁失礼します﹂ 部 屋 の 主 の 優 し い 声 色 に 促 さ れ て 俺 は 中 に 入 っ た。中 に 入 る と、 整った雰囲気が感じられた。部屋の隅々までに掃除が行き届いてお り、贅沢過ぎない調度品、落ち着きのあるカーテン、純白の壁、フロー リングされた床が目の前に広がっていた。そして、その真ん中で座っ ている女性がいた。その女性は所謂大和撫子というものを体現した 慎ましやかでしかし凛とした眼差しを持った女性だった。そんな光 ほ、本日付けで着任する事になりました 景に唖然としていたら、彼女にクスッと笑われた。 ﹁っ ﹂ !! ﹁ふふっ、そんなに肩を張らないでください。少佐﹂ す !! !? にタジタジだった。 ﹁さて、少佐。貴方の着任を先ずはお祝い致します。これからは海軍 よろしくお願いします ﹂ の将校として、提督として、そして艦長としてよろしくお願いします﹂ ﹁は、はい ﹁す、すいません ﹂ ﹁ふふっ、まだ肩が硬いままですよ、少佐﹂ ﹁そ、それは凄いですね﹂ 日本最初の軽空母なんですよ﹂ ︻鳳翔︼の艦長でもあります。そして私の階級は特務大佐。これでも ﹁私の名前は鳳翔。軽空母︻鳳翔︼の名を授かりました。勿論軽空母 未だにガチガチの俺に彼女は変わらず微笑で自己紹介をした。 !! ﹁ は、はい﹂ ﹁さて、では本題に入りましょう﹂ ﹁は、はい﹂ ﹁まぁ、いいでしょう。時期に慣れるでしょうから﹂ をした。 俺がガチガチのまま頭を下げていると、鳳翔さんは少し困った表情 ! なら先程までの空気がほんわか又は穏やかだったのに対して、今の空 気は少し張り詰めていた。緊張が走る中、俺はどうにか返事を返し た。 ﹂ というものに適正があるから ﹁今回、貴方は何故この男禁制の海軍に異動になったか知っています か ﹁は、はい。確か自分には艦長と提督 だと前の上官に聞かされました﹂ す﹂ ? ﹁あの、大佐殿⋮少し質問よろしいでしょうか ﹂ するのかがイマイチよく分からない。なので聞いてみた。 になる為には適正が必要なのは知っている。だが、何を持って適正と 前の上官にも言われた事だが、適正とは何をするのだろうか 艦長 ﹁はい、それで正解です。貴方には類い稀な両方の適正を持っていま ? ? 5 ! 彼女が本題に入りましょうと言った瞬間、空気が変わった。例える !? ? ﹁どうぞ、少佐﹂ ﹁適正とは一体何でしょうか 事が出来ます﹂ ﹁はい﹂ ﹂ ﹁因みに、軍艦には大体姉妹艦がいることはご存知ですか あ、はい。知ってます﹂ ? ﹁え 何故です ﹂ 桑︼になった者が1人っこだった場合、問題が発生するのです﹂ ﹁先程の戦艦︻扶桑︼にも姉妹艦︻山城︼がいます。ですがもし戦艦︻扶 ﹁え ﹂ ます。この三つの条件をクリアした者のみがこの戦艦︻扶桑︼になる 分かる日本人の風格・負けない精神・慎ましい人格が必要条件となり の扶桑には大日本帝国の別の国号が使われています。つまり、一目で 格の一致です。例えば新しい戦艦︻扶桑︼を作ったとしましょう。こ ﹁⋮そうですね。適正とは一般的に言えばそれに適当する体・精神・人 ? すので、先ずは艦長の役職を勉強して下さい。香取中尉・鹿島中尉を ﹁しかし貴方はここに来たばかり。右も左も分からない状態です。で ﹁はい﹂ ければなりません﹂ いましたね。貴方には、艦長と提督、どちらの役職もこなして貰わな ﹁さて、少し話が逸れました。先程も貴方には両方の適正があると言 ﹁そうでした﹂ 喪い、イギリスを無力化され窮地に立たされているのですから﹂ ﹁戦時ですから甘い事は言えません。今でさえ私達人類はアメリカを ﹁それは⋮厳しいですね﹂ ればなりません﹂ ですから、姉妹艦がある軍艦になる為には計7つの条件を満たさなけ 必 ず そ れ に 適 正 が あ る 本 当 の 姉 妹 を 組 ま せ る 事 が 決 ま っ て い ま す。 時間を掛けている余裕はありません。ですから、姉妹艦がある軍艦は 間を掛けて調整する事は可能なのですが、今は戦時でありそんな事に ﹁連携が取りづらくなるのです。これが戦時で無いのであれば長い時 ? 貴方の専属にします﹂ 6 ? ? ﹁はい ﹂ ﹂ ﹁書類はこちらに。あ、言い忘れていました。貴方には軍艦一隻を与 えます﹂ ﹁は、はい ﹂ 失礼致しました ﹂ !!! 結局終始ガチガチだった俺は書類を持ちながらカクカクとドアを ﹁はっ ﹁それでは、もう行っても構いませんよ﹂ ﹁はっ 出ないで下さいね、少佐﹂ 援護であり、主目的は大規模艦隊の指揮です。間違っても、前線には 爆撃にも耐えられる装甲です。しかしこの軍艦はあくまでも艦隊の を視野に入れた31㌢三連装が三門。防御は800㎏爆弾の急降下 にて護衛中の金剛型を合わせた巡洋戦艦です。威力は重巡との交戦 ﹁名称はB65型超甲型巡洋艦。現在建造中の大和型と現在フランス ! 開けて、執務室を去ったのだった。 続く⋮ 7 ! !!! !!
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