第2節 道路交通安全対策についての重点事項 1 高齢者と子どもの安全確保 本市の高齢化率は、29.7%(「平成27年国勢調査」)で、県平均(30.8%)は下回るも のの、全国平均(26.6%)を上回っています。こうした高齢社会の進展に伴い、高齢者の 関係する交通事故は増加傾向にあります。本市においては、過去5年間で発生した交通死亡 事故の犠牲者7名全員が高齢者でありました。今後、高齢者が安全にかつ安心して外出した り移動したりできる交通社会の形成は、緊急かつ重要な課題と言えます。 このため、加齢に伴う身体機能の低下等が及ぼす影響についての学習や、道路及び交通 の状況に応じた実践的技能及び交通ルールの習得を目的に、参加・体験・実践型の交通安 全教育を積極的に推進します。また、高齢者や障がい者が交通社会に参加することを可能 にするため、歩道等のバリアフリー化など道路交通環境の整備を図ります。 また、高齢社会の進展とともに考えなければならないのが少子化の進展です。少子化の 進展の中で、安心して子どもを生み、育てることができる社会を実現するためには、子ど もを事故から守る観点からの交通安全対策が一層求められます。そのため、幼児期から心 身の発達段階に応じた交通安全教育の推進や、通学路等歩行空間の整備を推進します。 さらに、夜光反射材等交通安全用品の普及に努めることにより、高齢者や子ども自らが 自分を守る意識の醸成を図る一方、地域においても、高齢者や子どもを事故から守る運動 の展開を誘導していきます。 2 幹線道路での交通事故防止対策の推進 平成 27 年中、本市内の幹線道路(国道、県道)における交通事故発生件数は 164 件で、全 体の 6 割を占めています。 具体的な交通事故防止対策としては、幹線道路における交通指導取締りを実施し、運転 者の注意喚起を図るとともに、交通安全協会等と連携しながら、幹線道路で運転者への注 意喚起活動を実施します。更に、道路管理者と協力しながら、交通安全施設の整備充実を 図ります。 3 運転者対策の推進 平成 27 年中、本市内での交通事故発生件数は 259 件でしたが、その内、交通事故の第 1 当事者が高齢ドライバーである件数が 59 件となっており、全体の約 2 割を占めました。高 齢ドライバーに対しては、具体的な事故事例に基づく安全教育はもとより、自らの身体機 能の低下等を把握できる参加・体験型交通安全教育を推進します。一方、自動車を運転す ることは、生活の足として、社会参加のための一手段となることから、安全運転の能力維 持・向上のための研修会等についても推進を図っていきます。また、運転免許証の自主返 納については、身近な交番や駐在所でも扱うことができるようになりましたが、さらにこ れを拡大していくため、自主返納に対する支援制度についても、関係機関と連携を取りな がら周知を図っていきます。 一方、平成 27 年中に青年ドライバー(16 歳以上 30 歳未満の運転者)が交通事故の第 1 当 事者となる件数は 58 件であり、全体の約 2 割を占めました。青年ドライバーに対しては、 安全運転管理者協議会等を中心に、若者対象の参加・体験型交通安全教育を推進します。 4 生活道路などの道路安全施設整備による交通事故防止対策の推進 歩行者や自転車に係る死傷事故発生割合が高い生活道路では、県公安委員会等と連携を とりながら、地域住民参加の下、地域の実情を踏まえた整備等総合的な交通事故対策に取 り組みます。 また、車両や歩行者の交通実態及び道路環境等に適した交通規制の実施及び見直しを行 い、道路標識・標示の整備等についても、関係機関と連携をとりながら、推進していきま す。さらに、交通事故が多発している交差点や区間を事故危険箇所として、重点的に広報 啓発活動に努めるほか、右折レーン、道路照明灯、視線誘導標等の設置、カラー舗装など 関係機関と連携をとりながら、交通事故防止対策を行います。 5 夕方から夜間にかけての交通事故防止対策の推進 日没時間の早まる秋以降、夕暮れ時から夜間にかけて、高齢者等が道路歩行中に交通事 故に遭う危険が高まる傾向があります。車両のオートライト機能義務化の動きを見据えな がら、運転者に対し前照灯の早め点灯の呼びかけを行うほか、歩行者を早めに確認できる ハイビームの積極的な活用を推奨するなど、前照灯のこまめな切り替えによる前方への注 意を高める運転を推進します。 また、交通安全協会、交通安全母の会等関係機関・団体等と連携し夜光反射材等交通安 全用品の普及促進に取り組むほか、夜光反射材の視認性効果の実験等による参加・体験・ 実践型教育により、夜光反射材の自発的な活用の促進に取組みます。 6 シートベルト全席着用及びチャイルドシートの正しい着用の徹底 本市において、過去 5 年間で発生した 7 件の交通死亡事故のうち 1 件が、シートベルト の着用があれば助かったものと考えられています。シートベルト及びチャイルドシートは 人命を守るための安全装置であることを再認識するとともに、着用効果についての理解を 深め、運転席、助手席、後部座席すべての座席における着用率 100%を目標に、正しい着用 の徹底を図ります。 このため、県、警察、関係機関・団体等の相互の協力により、あらゆる機会・媒体を通 じて積極的に普及啓発活動を展開します。
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